【種の寿命】買った種は何年目まで芽が出るのか?

タネには寿命がありますが、結構長そう。何年目まで芽が出るのか、私の経験をまとめてみました!

 1.種の寿命

買ったり自家採種した種(タネ、種子)は、水分や温度(気温や地温)、光など、発芽に必要な環境が整うと発芽しますが、発芽環境が整わない間は、発芽に備えて、自身の種に蓄えられた養分を必要最小限消費しながら、生き続けます。しかし、種も生き物で、その養分を消耗し尽くせば発芽力を失い、死んでしまいます。この「種の寿命」は、植物(野菜)の種類によって異なります。

なお、高温多湿の環境下で種を保存していると、その寿命は短くなることが知られています。種にとって快適な、冷涼で乾燥した状態で保存してあげると、トマトやナスなどの長寿命の種だと、7年後でも発芽させることが出来るそうです!。ちなみに、レタスなどの種では、発芽に適した条件下においても発芽しないことがあります。これは、水や温度などの外的な要因ではなく、種そのものの内的要因により発芽しない状態にあるためで、これを「種子休眠」と言います。レタスなどの種は、休眠することで、秋に間違って発芽してしまい、冬の寒さで枯れてしまうのを防ぐ役目を果たしています。

作物の種子は、最長でどのくらい長寿命なのでしょうか?。研究のため、約19万点もの種子を保存している「農業・食品産業技術総合研究機構」が、重要な作物の種子の寿命を推定したところ、大豆は15年、小麦は20年、トマトは30年、ソバは70年、キュウリは130年などとなった結果を発表しました!(驚)。農研機構では、種が発芽能力を失わないように、セ氏マイナス1度、湿度30%に保たれた、茨城県つくば市にある種子専用の貯蔵庫で種を保管しているそうです…(汗)。

さて、野菜の種を一袋買うと、種類によっては沢山入っていて、家庭菜園ではとても使い切れません!。中には、翌年どころか数年分もの量が入った種もあり、勿体ないので取って置いて、翌年や翌々年、あるいは数年間も同じ種を蒔き続けることにしますが、ある年になると、急に芽が出ないことに遭遇します!。『去年は芽が出たのに、なんで今年は?』と思って、種の袋に書かれている”有効期限”を見て唖然…。しかし、既に後の祭り。種を買い直して蒔き直していたら、種まきが半月も遅れてしまうことに…(汗)。

そんな後悔を、今まで何回繰り返してきたことか…(泣)。そこで、種の寿命による発芽の失敗を無くそうと、種の保存期間を私なりに整理してみることに!。ちなみに、一般的に紹介されている種の寿命は、種にとって快適な環境下で保存した場合の期間です。私もですが、ほとんどの人が、余った種の保存は、空き箱や空き缶、プラスチック製のタッパーなどに入れて、畑の納屋や玄関先の下駄箱などに入れて、保管しているのでは無いでしょうか?(笑)。長野県だと、冬の納屋はマイナス10度以下にも下がりますし、真夏には40度以上にもなることでしょう…(汗)。そんな保存状態でも、この期間なら種を蒔いたら芽が出たという年数を探ってみたいと思います(笑)。

野菜種の寿命と使い切る目安
分類 野菜 種子
寿命
使い
切り
目標
備考
長命種子
4-5年
以上
トマト 4年 3年 早蒔き保温して芽が出ないと最悪…
ナス 5年 3年   同上  
ピーマン 5年 3年   同上  
スイカ 5年 3年   同上  
メロン・ウリ 5年 3年   同上  
オクラ 5年 2年 買って余ったら、でも毎年自家採種しよう!
ゴーヤ 5年 1年 毎年自家採種か、こぼれ種で苗取りしよう!
トウガラシ 5年 1年 毎年自家採種しよう!
ソラマメ 4年 1年 毎年自家採種しよう!
常命種子
2-3年
or
3-4年
キュウリ 4年超 3年 結構長寿命!
キャベツ 4年 3年 大量に残るので数打ちゃ当たる!
ブロッコリー 5年 3年   同上  
カリフラワー 4年 3年   同上  
レタス 5年 3年   同上  
カボチャ 3年超 2年 殺菌処理の着色種は短命かも?
カブ 5年 2年 塔立ちしたら最悪…
ホウレンソウ 5年 2年 ケチらず兎に角使い切ろう!
小松菜 4年 2年 ケチらず兎に角使い切ろう!余ったら菜花用に晩秋に蒔いちゃおう!
エンドウ 3年 1年半 翌年は芽が出る時も出ない時も。余ったら翌年トウモロコシのコンパニオンプランツに使おう!
ダイコン 4年 1年 翌春蒔くと99%トウ立ちするよ!
短命種子
1-2年
ニンジン 3年 1or2年 翌年は発芽率落ちるが、大量に余れば数打ちゃ当たるかも?
トウモロコシ 2年超 1or2年 基本は使い切り、余ったら芽が出るも八卦位で…
タマネギ 2年 1年 兎に角使い切ろう!タネが余る位なら苗を買おう!
長ネギ 2年 1年 ねぎ坊主を残して自家採種!
ラッカセイ 1年 1年 毎年自家採種しよう!
シソ 1年 1年 こぼれ種で発芽するので問題なし!
※1 「分類」は雑多な情報を寄せ集めて私が勝手に分類しましたが、「種子寿命」はジオテック社の「主な野菜種子の特性一覧表【pdf】」を参考にしました。ある一定の良好な保存環境下で保存した場合での寿命と考えます。
※2 「使い切り目標」は、私が買った種を、冷涼地にあたる長野の畑の脇の納屋で箱に入れて、いい加減に保存している状態で、『この位までは持つはず(芽が出るはず)』という、私の経験に基づく感覚的な寿命です…(汗)。種を買った年が1年目、翌年が2年目と数えます。種をもっと長持ちさせたい、つまり寿命を延ばしたいと思ったら、乾燥材を入れた容器に密閉し、年間を通じて温度変化の少ない冷涼な暗所で、ちゃんと保管しましょう!。
※3 2021年5月、なぜか今年は古種の発芽率が悪くて苦労しました…。そのため、従来4年としていた使い切り目標は3年に訂正しました(汗)。

 2.種の発芽条件

種を蒔いて発芽するか否かは、①水やり、②温度(気温・地温)、③覆土の厚さが、一番の肝です!。

①種まきをしたら、毎日たっぷり水やりをして、土が乾燥しない様にしないといけない種もあれば、毎日水やりをしたら腐ってしまう種もあります(汗)。②低い気温(地温)で発芽する種もあれば、気温が高くならないと発芽しない種もありますが、逆に高すぎても発芽しない種もあります(汗)。③そして最後に、好光性の種と、嫌光性の種があります。好光性の種は、浅く種まきしないと、日光が届かないため光が足らず発芽しません!。一方で、嫌光性の種は、深く埋めないと、明るくて芽が出てくれません。しかし、かといって深く埋めすぎると、酸素不足になったり、タネによっては芽が出ても地上に届くまでに枯れてしまう場合も…(汗)。育てたい野菜の種類は沢山あり、どの種がどの様な性質の発芽条件を有しているのかを覚えるのは、結構大変です。そこで、種まきする際には、勘に頼らず、もう一度栽培マニュアル(バイブル)を見直して、播種の適期と種の蒔き方を、再確認しましょう!(笑)。

種が好光性の野菜と嫌光性の野菜
分類 野菜
好光性 [アブラナ科] カブ、キャベツ、ブロッコリー、小松菜
[キク科] シュンギク、ゴボウ、レタス
[シソ科] シソ、ミント
[セリ科] ニンジン、セロリ、パセリ、ミツバ
[マメ科] インゲン
嫌光性 [アブラナ科] ダイコン
[ウリ科] カボチャ、キュウリ、スイカ、メロン、ゴーヤ
[ナス科] ナス、トマト、ピーマン、トウガラシ
[ユリ科] タマネギ、長ネギ、ニラ
[マメ科] 大豆(エダマメ)
※ 分類は、ジオテック社の「主な野菜種子の特性一覧表【pdf】」や、タキイ種苗の「タネの発芽不良の原因と対策(山田式家庭菜園教室)」などを、参考にしました。

休眠する野菜の種

レタスなどの種は、発芽に適した条件下においても、発芽しないことがあります!。これは、水や温度などの外的な要因ではなく、種そのものの内的要因により発芽しない状態にあるためで、これを「種子休眠」と言います。こうした種は、休眠することで、秋に間違って発芽してしまい、冬の寒さで枯れてしまうのを防ぐ役目を果たしています。しかし、春まき夏どり栽培だけでなく、夏まき秋どり栽培したい場合には、休眠している種を蒔いて、発芽させなければなりません。実は、休眠中の種でも結構発芽するのですが(汗)、発芽を揃えて、発芽率を高めるには、低温処理により「休眠打破」してやるのが、手っ取り早いです。

種子休眠するのは、以下のような野菜の種です。しかし、ハウス栽培ならいざ知らず、露地栽培の家庭菜園では春にしか種まきしな野菜も多いので、休眠打破が必要な野菜は、そう多くはありません!。

種子休眠する野菜の種類(代表的なもの)

夏まき秋どりしたい野菜
レタス、春菊、ホウレンソウ、ダイコン、野沢菜
基本的に春にしか種まきしない野菜
セロリ、ナス、ゴボウ、シソ、落花生

露地栽培のレタスの旬は、長野盆地辺りだと、6月上旬です。種まきは3月上旬で、ポットカバーで保温する必要があります。苗の植え付けは、4月中旬。そして、定植から1か月半ほど、5月下旬~6月上旬に、収穫期を迎えます。6月上旬といえば、”今年一番の暑さ”なんてニュースが聞こえて来る頃。間もなくして、梅雨入りする時期です。こうした季節に収穫期を迎えた、冷涼な気候を好むレタスは、意外と弱くて、畑で早々に痛み出してしまいます…(汗)。そこで、「夏まき秋どり」のレタスを栽培します!。種まきは、お盆前の暑さ厳しい、8月10日前後。ひと月ほどで苗は育ちますが、定植してからは気温が下がる一方なので、収穫までには約2か月を要し、収穫期を迎えるのは11月上旬です。この頃は、初霜が降りる頃ですが、畑のレタスはとても元気で、長持ちします!。しかし、夏に種を蒔かれるなんて、レタス自身にとっては、めちゃくちゃ迷惑な話です(汗)。秋に葉を巻き、人間はそれを食べちゃうからいいですが、本当ならレタスは、それから塔立ちし、花を咲かせ、種を作らねばなりません!。でも、その前に寒い冬がやって来て、レタスは花を咲かすことも出来ず枯れてしまいます…(泣)。そこで、レタスの種は、春が過ぎると、間違って発芽しない様に、休眠に入る仕組みになっています。種が季節を判断できるのですから、自然の摂理って、スゴイですね!。

一方で、種を蒔く側の人間も考えました!。休眠中で芽が出ないレタスの種を、8月に種を蒔いて、いかにして芽を出させるか?。それが、低温処理による「休眠打破」という手法です。要は、強制的に数日間、寒い環境に置いて、種に冬だぞと勘違いさせておいて、それから種まきをします。すると、春が来たと勘違いした種は、発芽してしまうという訳です…(汗)。低温処理は、3~5度で2~3日間が最も効果的という研究があり、冷蔵庫の中(冷蔵室の温度:2~6℃、野菜室:3~7℃)が最適ですね!(笑)。

 


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