レタスの育て方

都会からリタイアして地元の田舎に戻り始めた家庭菜園、少しずつ学んだ野菜の育て方のコツをまとめてみました。

 1.レタス栽培のキモとコツ

レタスとは

キク科に属するレタスの原産地は、地中海沿岸から西アジアにかけて。紀元前6世紀には栽培が始められ、日本でも古くから栽培されていました。一般的な結球性のレタスのほか、非結球のリーフレタス(サニーレタス)、結球しても細長い形をしたものなど、分類上は様々。ここでは、主に「玉レタス」と呼ばれる、ごく一般的な丸い結球性のレタスを対象とします。

レタスを収穫する際には、切り口から牛乳の様に白い液体が流れ出します。この白い液は、ポリフェノールの一種だそうですが、レタスという呼び名は、ラテン語の牛乳=Lacに由来します。レタスの和名は「チシャ」(チサ)ですが、これも乳草(ちちくさ)が転じてチシャとなったそうです。


【品種】
玉レタスに違いがあるとは驚きですが、意外に数々の品種の種が売られています。ただし、味の違いというよりは、耐病性や耐暑性など、育てやすさに繋がる品種改良が主ですから、適期栽培を心がければ、あまり品種の違いを感じることはありません(汗)。
私が作っている玉レタスの定番品種は、「シスコ」。耐病性が強く、玉揃いがよく作りやすい、おすすめの品種です。安価で手に入りやすい「グレートレークレタス」も定番ですね。
【連作障害】
2~3年空けた輪作が望ましいとされますが、キク科の野菜はゴボウと春菊くらいで、滅多に被ることは無いので、さほど気にする必要は無さそうです(笑)。
【病害虫】
排水性の悪い土壌での栽培や、高温多湿により、ウィルス病や灰色カビ病、立ち枯れ病、菌核病などの病気にかかりやすい野菜です。主に生色で用いられる野菜なので、雨のはね返りにより土で汚れるのを防ぐため、ビニールマルチや藁マルチをして育てるのが一般的ですが、マルチをすると病気の予防にも役立ちます。ただし、マルチの下は、ナメクジやダンゴ虫の巣窟になりやすいため、台所でナメクジを見たくない人は、農薬による防除が必要です(汗)。
とは言え、アブラナ科の野菜に比べれば、害虫による食害被害は滅多に発生しないので、通常は防虫ネットを掛ける必要もなく、比較的手間のかからない、作りやすい野菜です。

 2.種まきと育苗

冷涼な気候を好むレタスの旬は、春から初夏と思い込み、春まき栽培のみしている人も多いようですが、個人的には、春まき栽培より、夏まき秋取り栽培の方が育てやすいと感じています。理由は、春まき栽培だと、収穫時期が初夏の頃になりますが、近年は温暖化の影響もあり、6月も半ばになると猛暑日なんてことも珍しくありません。すると、収穫を待たずして傷んでしまったり、せっかく実ったレタスも病気に侵されがちで、一斉に収穫を済ませなければなりません。いくら旬だからとはいえ、毎日毎食レタスでは辟易します(汗)。一方、秋に収穫するためには、猛暑の8月中から残暑厳しい9月上旬までに種まきをする必要があり、レタスの種が発芽し難い時期に播種しなければなりません。しかし発芽さえ上手くいけば、収穫期はどんどん寒くなる時期なので、収穫が遅れても、畑でレタスが痛むようなことは、滅多にありません。夏まき栽培なら、春まき栽培とは比べ物にならないくらい、長い期間に渡って収穫し続けることができますよ!。

【気象環境】
生育・結球適温は15~20度、冷涼で日照を好みます。耐寒性は非常に高く、長野の氷点下10度以下になる冬でも、小苗のまま雪の下で越冬し、翌春に塔立ちしなければ、初夏には結球します。ただし、暑さにはめっぽう弱く、28度以上になると生育は停滞します。
【播種の適期】
レタスの主な種まきの適期は、初春の春まきと、夏まきの2回。一般的にレタスの旬は、春まきレタスが育つ、晩春から初夏の頃とされていて、春まき栽培のみする農家も多い様ですが、個人的には夏まき秋取り栽培もおすすめ!。夏のレタスの芽出しは難しいですが、発芽さえうまくいけば、秋の収穫は長く楽しめます。
レタスの種は、高温下では休眠してしまうので、夏に種まきする前には、休眠打破させる必要があります。方法は、水に浸してから冷蔵庫に入れ、1~2日間冷やしてから蒔きます。とは言うものの、私が試しに、そのまま蒔いた場合と両方を比べてみましたが、発芽率にさほどの違いはありませんでした。ただし長野県であれば、夏でも夜は結構気温が下がりますが、熱帯夜が続くような地域では分かりません(汗)。
種まきと収穫時期

種を直播して栽培することも可能ですが、育苗した苗を定植して育てるのが一般的。発芽のタイミングを揃えることができ、1~2度植え替えして根をイジメることで、丈夫な苗が育ちます。

春まき栽培では、低温下での発芽と育苗が難しく、夏まき栽培では高温下で種が休眠して発芽し難いことから、苗を購入して育てる農家も多いですが、レタスの種は比較的安価なので、種まきからチャレンジしてみましょう。

【種まき】
レタスの種まき春まき栽培では、暑くなる前に収穫時期を迎えたいため、3月中のなるべく早い時期に種まきします。温暖な地域はいいですが、長野県では3月いっぱいは、まだ雪が降ります。3月末になれば、屋外でもビニールトンネルを設置すれば発芽・育苗も可能になりますが、できることなら3月上~中旬に種まきしたいところ。そこで、小さめのプランター等の育苗箱に種をばら蒔きし、それを屋内の日向に置いて、夜は布団を掛けるなど保温し、苗を育てます。
一方、夏まき栽培では、高温下で休眠している種を休眠打破して発芽を促します。布に包んだ種を一晩水に浸し、その後冷蔵庫の野菜室に二晩入れてから、種まきします。とはいえ、面倒ですよね!?。少なくとも長野県のような寒冷地であれば、私の経験上、多めに種をばら蒔きし、十分灌水することで、大抵は発芽する……様な気がしています(汗)。ただし、失敗することもありますので、責任は負えません(笑)。
【ポット上げ】
レタス苗のポット上げ広い苗床で、隙間を空けて種を蒔いた場合は、そのまま適宜間引いて育苗しても構いませんが、草取りが大変ですし、一度ポット上げした方が、丈夫で大きな苗を育てることができます。
本葉が出た段階の1~2cmの幼苗を、数が少なければポットに1本ずつ、苗の数に余裕があるならポットに2本ずつ移植し、大きくなったら1本立ちにします。

 3.定植と管理、収穫

植え付け

本葉が5~6枚、苗の大きさが7~8cmくらいになったら、苗を植え付ける定植の適期。その2週間前までに、基肥と石灰を漉き込み、畝を立てておきます。株間・条間とも30cmで植え付けますので、一般的によく使われている95cm幅のマルチを使う場合は、2条植えにします。敷き藁を使う場合は、四角形の畝にした方が、藁が敷きやすいですね(笑)。

レタス栽培の畝幅・条間・株間

【土壌・施肥】
あまり土質は選びませんが、有機質の多い肥えた土でないと、葉が巻きません(汗)。葉が巻かないからと、後から速効性の液体肥料や化成肥料を追肥しても手遅れ。事前に基肥として、完熟堆肥を多めに漉き込み、肥えた畝を立てておきます。排水性の悪い土地では、高畝にします。
乾燥に弱いため灌水が必要ですが、過湿により病気にもなりやすいです。そのため、マルチを使って育てるのが一般的。温度を抑える黒マルチか、敷き藁でもOKです。雨による土の跳ね返りも防げるため、病気予防にもつながります。

管理

レタス栽培では、定植後の管理はほとんど不要。マルチを使えば、草取りの心配もいりませんし、水やりもさほど必要ありません。葉が巻きだしたら、追肥をします。

レタスの害虫といえば、ナメクジが最大の難敵。しかし、ナメクジの食害はさほど酷くはならないので、気にならない人は無農薬でも育てられます。しかし、ナメクジなんて絶対に見たくもないという人は(汗)、収穫期の前に、「ナメトール」などのナメクジ誘引駆除剤(農耕地用)を、株元やマルチの下に撒きましょう。

しかし、レタスは生でも食べる野菜なので、農薬はあまり使いたくないと思う人も多いと思います。そこで、私も大好きですが、ナメクジも大好物という、”ビール”を使って誘引し、駆除する方法があります!。
ビール缶でナメクジを駆除 缶ビールを飲む際に、勿体ないですが、少しだけ多めにビールを残して、その空き缶を取っておきます。翌日、その空き缶を、中のビールがこぼれない様に、かつナメクジが入りやすい様に、傾けてレタスの株の間に埋めてやります。すると、ビールに誘引されたナメクジが、缶の中に落ちて、ビールの海で溺れるという仕組みです。私は、ビールを残すのが勿体ないので、ちょびっとだけ残して、空き缶の中にナメクジ駆除剤を投入して、レタスの畝の中に転がしておきます!(笑)。どれだけナメクジが獲れたか見たい人は、翌日に缶の中を覗いてみてください。私は、遠慮しておきます…(汗)。ちなみに我が家では、もっぱら第三のビールしか飲みませんが、本物のビールでなくても、発泡酒や第三のビールの空き缶を使っても、ナメクジは捕獲できていますよ!(笑)。

収穫

レタスの頭を手で押さえ、弾力がある程度に固く締まったら、収穫適期。スーパーで売られているレタスの大きさと固さを覚えておきましょう(笑)。春まき栽培では、収穫の頃には暑くなり出し、高温下ではレタスは傷みやすいので、早め早めに収穫しましょう。


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