スイカの育て方

都会からリタイアして地元の田舎に戻り始めた家庭菜園、少しずつ学んだ野菜の育て方のコツをまとめてみました。

 1.スイカ栽培のキモとコツ

スイカとは

スイカ(西瓜、水瓜)は、ウリ科のつる性一年草で、その果実を食用します。英語では「ウォーターメロン」と呼ばれるように、果肉の90%以上が水分で、甘みがあって、暑い夏の水分補給には最高の”野菜”……。あれ、果物だったかな??。調べてみると、答えは『野菜でもあり果物でもある』、なんだそうです(汗)。そもそも一般的に、『野菜とは、食用の草本(そうほん)植物の総称』と言われていますが(by ウィキペディア)、その定義は明確ではありません。扱う側によって、都合が良い様に解釈されているのが実情らしいです。その代表格が、スイカやメロン、イチゴなどで、生産者側としては野菜として扱っているのに、青果市場や店では果物として扱われていることから、「果実的野菜」と呼ばれています。所管する国の役所でも、立場が変われば野菜にも果物にも分類されています…。

スイカの原産地は、熱帯アフリカのサバンナ地帯や砂漠地帯とされ、古くは5000年も前の遺跡からスイカの種が見つかっているそうです。しかし、日本に伝わったのは500年ほど前のことで、江戸時代後期には全国に広まりますが、一般に多く消費される様になったのは、品種改良が進んだ大正以降と、日本では比較的新しい野菜です。ちなみに、今では当たり前の様に沢山売られている野菜の接木苗ですが、昭和2年に初めて、スイカのつる割病対策としてカボチャの台木にスイカを接ぐ方法が開発されたのが、世界における接ぎ木栽培の最初だそうです!(驚)。


【品種】
スイカの品種は数百もあるそうですが、実際に現在市場に出回っているのは20数種類と言われています。大きく分けると、大玉・中玉・小玉種の”大きさ”のほか、円型やラグビーボール型などの”形”、赤や黄色などの”果肉の色”、緑や黒色、縞模様など”果皮の色模様”、種の有る無しといった特徴があります。
全国的に数多く栽培されている主要品種は、大玉すいかで、都道府県別のスイカの出荷量で1番多い熊本県では「祭ばやし777」、2位の千葉県では「紅大」や「味きらら」、3位の山形県では「祭ばやし777」や「富士光」などです。他には、「縞王」や「甘泉」などの栽培が盛んです。味が良いのはもちろんですが、病害虫に強くて栽培しやすく、収量が多いことも重要です。
一方、家庭菜園では、作りやすい小玉スイカも人気です。特に、スイカ栽培が初めての人や、大玉スイカが上手く育たないと感じた方は、まずは小玉スイカの栽培にチャレンジしましょう!。以前はあまり人気の無かった小玉スイカですが、核家族化や少人数世帯の増加とともに、冷蔵庫に入る大きさの小玉スイカの人気が高まっています。人気が出れば、当然、品種改良も進み、大玉スイカに負けないほど、甘くてシャリシャリ感のある品種が登場してきています。なかなか種や苗の入手は困難ですが、栽培しやすいのは「スウィートキッズ」。味で選ぶなら”ひとりじめ系”がおすすめで、スイカ大国・熊本県が品種改良して誕生した「ひとりじめBonBon」(黒小玉)が特に評判が良い様です。
【連作障害】
スイカのつる割病に悩まされた日本人が、昭和2年に接ぎ木苗を世界で最初に開発したという逸話がある通り、スイカは連作障害が出やすい作物の代表格です。ウリ科の野菜なので、カボチャやキュウリ、ゴーヤ、ウリ、トウガン、ヒョウタンなどとの連作も避けて、5年以上開けるのが良いとされています。しかし、そこまでシビアに開けるのは難しいので、せいぜい2年も開ければ良かろうと油断していると、たまに障害が発生したりします…(汗)。そこで、接ぎ木苗を買って、保険を掛けることになるのですが、いかんせん接ぎ木苗は高い!。とは言え、出来たスイカを買うよりはよっぽど安いので、判断に迷うところです。どっちが良いか、私には勧められませんが、せいぜい2~4株もあれば十分な自家菜園なので、私は小玉は種から、大玉は接ぎ木苗を購入して、保険を掛けています。100円-200円をケチって、収穫前に株が枯れたのでは、悔やんでも悔やみきれませんから(泣)。
【病害虫】
病気で代表的なのは、ツル割れ病やツル枯れ病、炭疽病など。害虫では、アブラムシやハダニが発生しやすいです。病気には、ちょっと高いですが「ストロビーフロアブル」殺菌剤がよく効く様です。しかし、病気が出たらなかなかスイカの栽培はむずかしいですね(汗)。アブラムシも大敵で、出来るだけ早めに発見して防除しましょう!。アブラムシには、「ダントツ」が良く効きますが、値段が高いので、私的には「トレボン乳剤」がおすすめです!。

 2.種まきと定植

スイカは連作障害が出やすい野菜の代表格なので、自根苗ではなく接ぎ木苗を購入して栽培する人が多いですが、接ぎ木苗は高いので、慣れてきたら種からの栽培にもチャレンジしてみましょう!。まずは、作りやすい小玉品種から始めてみるのがおすすめです。

スイカの種の発芽率は、新しい種であれば非常に優秀です。特に小玉スイカなら、前作で収穫して食べて吐き出した種を、台所の残渣と一緒に畑に埋めて耕しておくと、あちらこちらから芽が出ます!。ただし、スイカはほとんどがF1品種(一代交配)なので、その苗を育てても、美味しいスイカは採れません…(汗)。ちなみに私は、その苗を育ててスイカを収穫したことがあります。それも、翌年も2代に亘って!(笑)。育てたというより、勝手に生えて育ち、抜くのも勿体ないので1-2本残しておいたら、ちゃんと実を付けたというのが本当の所です。もちろん、その実を食べましたよ!。確かに美味しくはないですが、マズイというほどでもなく、それしか無ければ、ちゃんと食べられます(笑)。

スイカの苗話が逸れましたが、スイカの種は発芽率がいいので、新しい種なら、1ポットに1粒ずつ種を蒔いてもほぼ全部発芽します。種の寿命も長く、1袋の種を買ったら、4~5年も蒔き続けられますが、だんだんと発芽率は低下します。適温下であれば、種まきから1週間ほどで発芽し、それから1か月半ほどで定植できる大きさにまで成長します。苗は、本葉4~5枚の大苗にしてから定植しましょう。したがって、5月上旬に苗を植えるには、3月下旬から4月初旬には種まきをする必要があり、長野盆地だとビニールトンネルなどで保温が必要です。


【気象環境】
発芽は15度以上あれば可能とされ、発芽・生育適温は25~30度。乾燥にも強く、高温で強い日差しを好みます。
【植付の適期】
植え付けの適期は、5月上旬頃。暖地であれば、暑さ厳しい7月下旬には収穫が始まります。ちょっと寒い長野盆地の辺りでも、ちょうどお盆には間に合います!。早く収穫したいからと、4月中に植え付けると、遅霜に当たる可能性も高く、トンネルで覆って保温対策が必要です。なお、一般的に、大玉スイカより小玉スイカの方が、早く収穫できます。
スイカの栽培シーズン
【土壌・施肥】
加湿を嫌うため、水はけのよい砂質土が良いとされますが、実は多少酸性気味の粘土質の方が、収量が増えるとも言われています。
肥料過多はつるボケになりやすく、アブラムシも付きやすいので、肥えた畑なら肥料は要らないくらいです。痩せた畑でも、基肥は控えめにし、株の様子を見ながら追肥で補いましょう。

定植

苗は、本葉が4~5枚の大苗に育ってから定植します。若苗で定植すると、子づるの成長が不ぞろいになりやすいとか…。一花咲くころでも、遅く無いそうです(汗)。トマトも、一花咲いてから定植する方が良いと言われていますね!。一番花がちゃんと着果することで、その後の花の着果が確実になります。

トンネル栽培スイカはつる性の植物なので、広い栽培面積を必要とします。狭い畑では、棚を作ってツルを上に誘引し、果実を吊り下げて栽培する「空中栽培」という方法もありますが、面倒だし大変です(汗)。広い畑なら、多収穫が可能な様に、株間を3~4メートルと広く取り、「放任栽培」で全方向にツルを広げさす方法もありますが、草除けに敷きわらを広げたり、草取りの手間が大変です。一般的には、スペースが有効に使え、管理も楽なように、横一列に定植して、全部の株の子づるを、同じ方向に揃えて伸ばす「横一列栽培」がおすすめです。その場合の株間は、60cmくらい。また、トンネル栽培する場合は、苗を一列に植えて、同じ方向に子づるを伸ばすため、株の間隔は3メートルくらい取ります。

株間は、あくまで目安です。小玉種であれば狭く、大玉種なら広めに取ります。また、株の仕立て方(何本の子づるを残すのか)や、何果の収穫を目指すのかによっても異なります。大玉種の場合、最高品質のスイカの収穫を目指すのであれば、”3~4本仕立て2果どり”とか、”5~6本仕立て3果どり”ですが、あちこちにお裾分けしたいと思えば、6~7本仕立てで6果どりとかも不可能ではありません…。まずは、”4~5本仕立て4果どり”くらいを目指してみましょう!(笑)。

スイカ苗の植え方

スイカ苗の定植苗を植えるのは、晴れた日の午前中が良いとされ、植えたら灌水して活着を促しますが、以降は基本、水やりは不要です。日照りが続き、葉がしおれてきたら、灌水します。私なんぞ、『早く大きくなーれ、早く大きくなーれ!』と、毎日水やりをしていたら、逆にまったく成長しなくて…(汗)。

苗が活着し、成長が確認できたら、草除けに、株の周りに敷き藁を敷くと、後の管理が楽です。


 3.管理と収穫

管理

追肥は、株が元気ない場合や、果実が野球ボールぐらいになった時に、つるの先端辺りに化成肥料を一握り撒きます。

灌水は、定植時に灌水して活着したら、後は基本、水やりは不要です。日照りが続き、葉がしおれてきたら灌水する程度と、最低限にとどめます。

家庭でのスイカ栽培ならば、上記の肥料と水やりだけに注意し、あとは草取りと、病害虫が発生していないか見回りだけしていれば、放任栽培でもスイカは生ります!(笑)。ただし、立派で美味しいスイカを収穫するためには、ちょっと手間暇をかけてあげる必要があります。どこまで手間を掛けるかは、人それぞれ…。手間を掛けたからといって、美味しいスイカが採れるとも限らず、逆にその年の天候や土壌環境で、放っておいても大きくて美味しいスイカが沢山採れる時もあります(汗)。

しかし、やらずに失敗したら後悔するので、無理し過ぎて『やーめた!』なんて事にならない程度に、少し頑張ってみましょう!(笑)。スイカ栽培での一番の問題は、確実な着果と、果実の肥大化です。

スイカの子づるの伸ばし方スイカの実は、子づるに生るので、親づるは早めに摘芯し、必要な数の子づるだけを伸ばします。最初の雌花(1番花)は、子づるの8節目辺りに咲き、それから5節ごとに雌花が着きます(とは言え先日、2節続けて雌花が咲いて実を付けたのを目の当たりにしました…)。それぞれの雌花が全部着果すれば、1本の子づるに4果くらい付きますが、全部生らせたのでは良いスイカは採れません。そこで、変形果になりやすい株元に近い実は捨てて、3番果や4番果を収穫する様にします。しかし、目標果とする3番果や4番果が、必ず着花・受粉して、実が生るとも限りませんし、変形果に育つ場合もあります。たまに、草取りをしていたら、子づるを踏んずけてしまったとか、つるを整えたり孫づるを欠いていたら、間違って子実を摘んでしまったという事も…(汗)。そこで、2番果の着果を確認したら1番果を摘果し、3番果を確認してから2番果を摘む様にします。

スイカ栽培は、いろいろ覚えることがあって、大変ですね…(汗)。まずは、無理せず出来る範囲で手を掛けてあげましょう!。

最低限の管理

気合を入れた管理


雌花の簡単な見つけ方

栽培するスイカの株数が少ない場合は、人口受粉をした方が、確実な着果が期待できます。しかし、最初の咲いている花の数が少ないうちは大したことありませんが、ツルが伸び、花の数が多くなると、雌花を探すのが大変で、いちいち屈んで花の下を覗き込んでいたら、腰が痛くなってしまいます…(汗)。スイカの雌花を見つけたい時は、花の下から覗くのではなく、花の上から覗き込みましょう!(笑)。

スイカの花を上から覗き込むと、雌花と雌花では、それぞれの柱頭の色が明らかに違うので、簡単に雌花を見つけることが出来ます!。雄花の中心部にある雄しべの柱頭は、鮮やかな黄色ですが、雌花の雌しべの柱頭は、雄しべと比べると、くすんだ、薄い黄色をしています。花の大きさも、雄花より雌花の方が、若干小ぶりです。雌花を見つけたら、近くに咲いている雄花を摘んで、その葯(やく、雄しべの先端の花粉の入っている部分)を、雌花の柱頭にこすり付けてあげれば、人口受粉は完了です(笑)。なお、花が元気よく開花している、午前中の早い時間帯に見つけましょう!。

スイカの雄花と雌花の見分け方

収穫

スイカは、収穫時期の見極めが難しいです!。ヘタやその節の巻きひげが枯れ、やや光沢が失せた頃とは言いますが、いくらスイカ農家でも、外見を見ただけでの判断はむずかしく、若くて未熟では美味しくないですし、採り遅れて遅いとボケます(汗)。

そこで、スイカを手で叩いて音で判断しますが、プロならいざ知らず、素人では『なんとなく・・・』が関の山(汗)。一番堅実なのは、日誌に頼ることです。スイカは、着果した花が受粉した日から数えて、約35日~50日で、収穫適期を迎えます。品種によって、その熟期は異なりますが、一般的に小玉スイカの方が早く、小玉スイカで約35日前後、大玉スイカでは40日~50日です。熟期は品種によって異なるので、種から育てたなら種の袋に書いてありますし、苗を購入したならその品種を育成した種苗メーカーのホームページ等で確認してください。あとは、最初に生ったスイカを一つだけ収穫し、試食してみて、『そろそろ良いな』とか、『まだ早い、もう少し待とう』と判断するのが、最も確実ですね(笑)。

 


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