カボチャの育て方

都会からリタイアして地元の田舎に戻り始めた家庭菜園、少しずつ学んだ野菜の育て方のコツをまとめてみました。

 1.カボチャ栽培のキモとコツ

カボチャとは

カボチャ(南瓜)は、ウリ科の一年草で、その果実を食用します。原産はアメリカ大陸とされ、トウモロコシや豆の栽培より遥に昔、今から8千年以上も前に栽培されていた痕跡が中央アメリカで発見されたとか!。日本には、16世紀前半、鉄砲やキリスト教が日本に伝来したのと時を同じくして、やはりポルトガル人がカンボジアからカボチャを持ち込み、豊後(大分)の大名に献上したのが最初と言われています。カボチャという名前も、その由来は諸説ありますが、カンボジアのポルトガル語(カンボジャ)から付いたとされています。

実は、カボチャの栽培では、キモもコツも、書くことがほとんどありません(汗)。草にだけ負けなければ、あとは放任栽培でも、ちゃんと実が生ります!。ただし、本当に全く何もしないと、梅雨明けの日差しで焼け付いたり、虫に齧られてイボやアザだらけの表皮になってしまうので、最低限の気配りだけは必要です(笑)。


【品種】
世界中で栽培されているカボチャは、大きく分けて、セイヨウカボチャや二ホンカボチャ、ハロウィンでおなじみのペポカボチャなど5種類とその雑種がありますが、現在日本で広く栽培されているのは、セイヨウカボチャです。ちなみに、二ホンカボチャは単なる和名で、鹿ケ谷かぼちゃなど伝統野菜として、ごく一部で栽培されているだけです。
日本では、セイヨウカボチャの中でもホクホクとした黒皮栗南瓜(くろかわくりかぼちゃ)系の品種が好まれ、「みやこ」や「えびす」、「ほっこりえびす」「九重栗南瓜」などが人気です。また、手のひらサイズで小さい「坊ちゃん」も、最近の日本の食卓事情に合って、栽培が広まっていますが、何れも殆どがF1品種(一代交配種、一代雑種)。ただし、こうしたホクホク系のセイヨウカボチャの元祖と言われる「東京芳香南瓜」は、固定種です。また、ホクホク系に飽きたという方には、あっさりしていて煮物料理におすすめの「日向」や「小菊」など、昔からある在来種に戻って栽培してみるのは、いかがでしょうか?(笑)。
一方、カボチャは上手に貯蔵すれば翌年まで食べられます。特に、白系カボチャ(白皮かぼちゃ)の「伯爵」や「雪化粧」などは貯蔵性が高いため、私は他のカボチャより1~2月ほど遅く種まきをし、出来るだけ遅くに収穫するようにしています。
ちなみに、我が家では台所の残渣をコンポストに入れ、最後は畑に撒いて漉き込んでいるのですが、5月になると出るわ出るわ、畑中にカボチャの芽!。それも、かなり深い地中からでも、カボチャのこぼれ種は発芽します。固定種だけ栽培していたら、カボチャの種や苗を買うことなんて、まったく必要ありませんね!(笑)。
【連作障害】
カボチャは連作障害が出難く、連作が可能とされています。カボチャは、連作障害が発生しやすいスイカと同じ、ウリ科の野菜なのに、不思議ですね…(汗)。
【病害虫】
比較的、病害虫による被害は少ない野菜ですが、多雨で過湿すぎると、ウドンコ病が発生しやすくなります。
また、ウリハムシが沢山寄ってきますので、特に苗が小さいうちは、見つけたら捕殺してください!。行動が鈍い、朝方が捕まえ易いです。ウリハムシは、特に5月と8月に被害が多く、放っておくと、ウリ科の植物の株元に産卵し、孵った幼虫は野菜の根を食害します。そして、成虫で越冬し、来年また大量発生することになってしまいます…(汗)。カボチャのウリハムシ駆除には、汎用性のある「マラソン乳剤」が効果的です。安価ですし、一本買っておくと、方々に重宝する殺虫剤ですよ。

 2.種まきと定植

カボチャの種の発芽率は高いため、気温が上昇してから畑に直播きする方が、育苗する手間が省け、楽です。長野盆地でも、5月以降になれば、畑への直播きも可能です。

ただし、信州では、お盆には天ぷらを揚げて仏壇に供える風習があり、カボチャの天ぷらも欠かせません!。カボチャは、収穫してから1~2週間ほど追熟させた方が美味しくなるので、8月初旬には初収穫を迎えたいため、3月下旬~4月上旬にポットに種を蒔いてビニールトンネルで保温育苗し、5月上旬に定植します。

【気象環境】
セイヨウカボチャは中米の高地が原産とされ、発芽・生育適温は 15度~20度と、野菜の中では冷涼な気候を好みます。日照は必要ですが、日本の暑い夏の日差しの下では、カボチャの実皮が焼けついて白化し、内部の実が変質、そのうちに腐ってしまうことがあります(汗)。梅雨が明けたら、肥大化した玉には、ワラや刈り草などで日除けを掛けてあげましょう!。
【播種の適期】
種を畑に直播きするなら、最高気温が20度を超え、最低気温が10度を上回る様になる、桜が満開になる頃がひとつの目安になります。ただし、長野盆地の辺りだと、4月中はまだ寒の戻りや遅霜の虞があるので、直播きが可能になるのは5月上旬以降です。しかし、お盆までに初収穫を迎えるためには、3月下旬から4月上旬にポットに種まきをして、保温しながら育苗しないと間に合いません。
ポット育苗した苗の植え付けは、遅霜の心配がなくなってから。苗の本葉が4~5枚になったところで、畑に定植します。
カボチャの植え付けと収穫時期
 
【土壌・施肥】
中米原産のセイヨウカボチャは、排水性のよい砂質土を好みますが、カボチャの適応性は幅広く、粘土質の我が家の畑でも問題なく生育しています!。痩せ地でも栽培可能なので、サツマイモと同様に、我が国の戦後の食糧難の時代を支えてくれた、貴重な野菜のひとつです。肥料が多すぎるとツルボケしたり実が落ちたりするので、基肥は控えめに施します。

種まき

カボチャの種のまき方ポット種まきの場合も、畑に直播きする場合も、私は種が勿体ないので、1か所に1粒蒔きします(笑)。ただし、新しく購入した種なら相当な高確率で発芽しますが、2年目はまだしも、3年目となると発芽が結構怪しくなりますので、ご注意ください(→【種の寿命】買った種は何年目まで芽が出るのか?)。カボチャの種を土に埋める際には、ヘソ(尖った方)を下に向けて、1センチほど覆土し、軽く手で押さえてから潅水します。

植え付け

カボチャ定植時の株間育苗した苗は、本葉が4~5枚になった頃に、畑に定植します。

カボチャは、スイカとは比較にならないほど枝葉が広がるので、露地栽培では、株間は3m以上開けて、放射状につるを伸ばして放任栽培にするのが基本です。

しかし、都会で広いスペースが確保できない場合は、支柱でトンネルを作ってネットを張り、「空中栽培」にします。しかし、そこまで資材と手間を掛けるとなると、スイカならいざ知らず、カボチャだと買った方が安いということになり兼ねません…(汗)。


 3.管理と収穫、貯蔵

管理

そもそも、カボチャの栽培で管理が必要か否か?。もちろん、最低限の管理は必要だし、した方が良いに決まっているのですが、4~5本も株を植えたなら、全部の株の整ツルや芽欠き、人口受粉までするのは、相当な手間です…(汗)。畑がスペース的に余裕があるなら、私は放任栽培で構わないと思っています。畑の周りに広い土手や畔(あぜ)があるなら、その脇に苗を植えて、伸びてきたツルを土手の方に蹴飛ばしておけば、勝手に土手を覆いつくしてくれます(笑)。特に丈夫な在来種や固定種であれば、草にも負けません!。人口受粉などしなくても、必要な数の実はちゃんと成りますし、逆に成りすぎることもありません!。中には、病気にかかってしまう株も出てきますが、数は沢山採れるので、態勢に大きな影響も与えません(笑)。品種改良された高い種のカボチャだと、草に負けてしまうので、藁マルチを敷いたり段ボールを広げるなどして、草除けは最低限必要ですね。

しかし、都会の家庭菜園では、さすがにそうはいきません(汗)。貴重な1苗か2苗を、ちゃんと育てて、確実に美味しいカボチャを収穫したいと思うと、ちゃんと管理した方が良いに決まっています!。

仕立て方

出来るだけコンパクトに栽培したいなら、西洋カボチャは、親づると1本の子づるの2本仕立てにします。日本カボチャは、親づるを4-5節で摘芯して、子づるのみ4-5本仕立てにします。坊ちゃんなどのミニカボチャは、放任栽培にします。なお、畑のスペースに余裕があり、複数以上の株を栽培するなら、西洋カボチャや日本カボチャも、放任栽培で特に問題はないと思います…(汗)。

人口受粉

まず、つるが1メートルも伸びないうちに着果した実は、勿体ないですが摘んでしまいましょう。まずは、株を大きく育てるのが先決です。したがって、つるが2メートル以上に伸びてきたら、人口受粉の作業を始めます。

カボチャの花の雄しべ受粉作業は、通常は昆虫たちがしてくれますが、放っておくと、どうしても着果せずに、小さい実のまま黄色くなって落ちたり、茶色く腐ってしまう果が出てきます。株数が多ければ、それでも最終的に収穫数は合うのですが、株数が少ないと余計に受粉に失敗しやすいので厄介です(汗)。そこで、確実に着果させるために、人口受粉を行います。花が開いている午前中に、花の下が膨らんだ雌花の柱頭に、摘んだ雄花の葯(やく、雄しべの先端の花粉の入っている部分)をこすり付けます。

カボチャの雄花と雌花

着果させる数は、通常は1株に4~5個くらいが目安。成りすぎた場合は、変形果や未熟果から摘果します。ミニカボチャは放任で構いません。

玉返し

着果した実が土に触れていたり草に埋もれていると、虫に齧られ、その齧った後が盛り上がって、表面が凸凹した見難いカボチャになってしまいます。着果が確認できたら、実の下に藁や発泡スチロール、段ボール等を敷いて、草除けを兼ねて果の表面が土に触れないようにしてあげましょう。

また、果の同じ面だけ下を向いていると色が付かないので、肥大化してから最低1度は「玉返し」をしましょう。天地をひっくり返すほどのことは不要で、地面に付いている部分が少し横を向く程度に、座りを直してあげれば十分です。

梅雨明け後の、急な気温の上昇と強い直射日光により、肥大化した実が焼け付いてしまうことがあります。葉に覆われていればよいのですが、危なそうな実を見つけたら、抜いた草などを頭に載せて、日除けしてあげましょう。

収穫

収穫は、受粉から日本カボチャで30日ほど、西洋カボチャでは40日~50日と言われています。人口受粉していれば、受粉日もはっきりしますが、それでも幅があります(汗)。やはり、収穫時期の判断は、果の状態を見極めるしかありませんね!。

カボチャは熟してくると、表面のツヤが褪せて、果実とツルを繋いだヘタの部分が緑色から茶色と緑の縞模様に変わり、やがて白っぽくコルク化します。ある程度コルク化し、爪を立てた跡がしっかり残る様になれば、収穫適期。

ヘタを切って収穫し、風通しのよい日陰に置いて、2週間ほど追熟させたら食べごろです。カボチャは追熟させることで、でんぷんが分解されて糖分に変わり、甘みが増してホクホクとした食感になります。後は、ネズミに齧られない様にして、土蔵や物置で保存すれば、年内いっぱい貯蔵できます。なお、ミニカボチャは、収穫後すぐでも美味しく食べられますよ!。

貯蔵

沢山採れたカボチャは、土蔵や物置に仕舞って貯蔵します。年内に食べきれば、凍みる心配もありません。問題は、ネズミです…(汗)。

田舎では、物置や畑の納屋に仕舞っておいたはずのカボチャが、取りに行ってみたら、タネしか残っていなかったなんてことはざらです。殺鼠剤(ネズミ駆除剤)を隣に置いておいても、カボチャだけ食べられてしまうので、役に立ちません…。ネズミに齧られない、丈夫な木箱や、プラスチック製のケースやカゴなどに入れて保存しましょう。

ちなみに、ネズミ除けには、枯れたシソの枝が効くと言われています。種が散らかるので家の中には持ち込めませんが、畑の納屋などで保存する場合は、カボチャの下にシソの枝を敷いたり、上に枝を掛けておくと、多少は効果がある感じです…(笑)。

 


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