クウシンサイの育て方

都会からリタイアして地元の田舎に戻り始めた家庭菜園、少しずつ学んだ野菜の育て方のコツをまとめてみました。

 1.クウシンサイ栽培のキモとコツ

クウシンサイとは

私がクウシンサイを知ったのは、東京に出て中華料理で「クウシンサイと牛肉の炒め物」を食べて美味しいと思ったのが最初だった気がします。なので、余った苗を隣近所にお裾分けしても、長野県で生まれ育ったオバチャン達は、『クウシンサイなんてハイカラな野菜は、食べたことも見たこともない』と言います(笑)。

しかし、標準和名は「ヨウサイ(蕹菜)」と言い、ウィキペディアにもヨウサイという見出しで掲載されています。元は中国で「ウォンツァイ」と発音されていた様ですが、中国語も方言が多様で、地域によって「エンツァイ(蓊菜)」とか「コンシンツァイ(空心菜)」と発音し、それが日本に伝わって「ヨウサイ」とか「エンサイ」、「クウシンサイ」と呼ばれる様になったみたいです…(汗)。

ちなみに、”空心菜”の「心」の字に「芯」を使った、カタカナで”くうしんさい”との読みは、商標登録がされており、権利者によると、『文字が違っても呼称が同じ場合(クウシンサイと読める場合)は法に抵触し違反する』とのことです。詳細は、J-PlatPat(特許情報プラットフォーム)で”クウシンサイ”と検索してください。1999年に登録され、2019年に10年間の更新登録が済んでいます。なお、「芯」のくさかんむりは、3画と4画の両方の登録商標があります。面倒くさい世の中になってしまいました…(汗)。

クウシンサイの花熱帯の東南アジア原産とされ、ヒルガオ科サツマイモ属のつる性多年草です。茎葉はサツマイモに似ていますが、その名のとおり、茎の中が空洞になっています。湿地帯や水辺でも育つ野菜ですが、猛暑日が続く夏の暑さにもとても強く、日照りで他の野菜が元気がなくても、畑ではクウシンサイとツルムラサキだけは、緑々と元気に育ちます!(笑)。また、秋になると、アサガオにそっくりの花が咲きます。ツルムラサキやオカワカメなどと同様に、とても栄養価が高い野菜で、ビタミンやミネラルが豊富に含まれています。特に鉄分が多いことから、疲労回復にも効果があるとか。ツルムラサキなどの様なネバネバ感はほとんど感じないので、ネバネバが嫌いな人には、夏の健康野菜には最適かもしれません。ただし、ちょっとエグミを感じるので、人によっては好き嫌いがありそうです。

この野菜も、育てるのに、ほとんど手が掛かりません(笑)。つる性ですが、支柱やネットには巻き付かないので、広めの場所で、放任栽培するのが一番です。安くタネも売られていますが、家庭菜園では1-2株もあれば十分なので、苗を買ってきて育てる方が、手っ取り早いです。ただ、種の寿命はツルムラサキよりかなり長いので、一袋買って、何年か蒔き続けるのもアリです。また、ツルムラサキの様に、こぼれ種からの自然発芽は期待できません。


【品種】
熱帯の東南アジア原産とされ、中国やベトナム、タイ等の東南アジアでは広く食べられており、オーストラリアの先住民族のアボリジニも食べていたとか!。しかし、これまでに品種改良されたことは無いようで、種でも苗でも一種類しかありません。ただし商品名は、先の登録商標の影響で、最近は”エンサイ”あるいは”エンツァイ”と表記されています。
【連作障害】
ほぼ連作障害は生じないようです。同じ種属のサツマイモも、やはり連作の影響を受け難く、連作が可能です。
【病害虫】
何年も育てていますが、我が家の粘土質の畑であっても、病害虫の被害にあったことは殆どありません。本当は”一度も無い”と書きたいところですが、実際には夏以降になると、葉をハスモンヨトウに食われて、あちらこちらに穴を開けられてしまいます(汗)。ただし、次から次へと新しい脇芽が出てくるので、そんな被害は全く気にならないレベルです(笑)。

 2.種まきと植え付け

クウシンサイの芽クウシンサイの種は 200円前後と安いので、タネから育ててもいいのですが、せいぜい2株もあれば十分なので、育った苗を安く買ってきて植えた方が、早く収穫期を迎えることが出来ます。ただし、クウシンサイの種の寿命は長いので、余った種を何年も使いまわせば、種を買った方が大分お買い得ですね(笑)。

ちなみに、九州以北の露地栽培では、花は付けても種は出来ないとのことなので、自家採種は無理です。


【気象環境】
発芽・生育適温は 20~30度とされますが、近年は長野でも、真夏の最高気温が36度とか37度という日が珍しく無くなりました。そんな気温の炎天下でも、クウシンサイは至って元気です!(笑)。
【播種の適期】
発芽適温は 20~25度とされ、直播きできる様になるのは、最高気温が25度を超え、最低気温が15度を下回らなくなる頃です。ただし、ポットに種まきをして、ポットカバーやビニールトンネル内に置けば、桜の咲く頃には種まき出来ます。種まきから1か月も過ぎると、定植できる大きさまで苗が成長します。
なお、クウシンサイの種の殻も比較的硬いので、種まきする前に一昼夜、布に包んで水に浸けておくと、発芽が早まります。
種まきと収穫時期
 
【土壌・施肥】
東南アジアの熱帯地域で多く栽培され、空洞の茎が浮き輪の役目を果たして、湿地や水辺での水上栽培が盛んです。土地を必要とせず、汽水域でも成長が可能とは、とてもコストの掛からない野菜ですね(笑)。水上栽培では、水中に大量の根を伸ばし、水に含まれる窒素やリンを大量に吸収するので、水質浄化にも役立つとされ、各地で水質浄化実験が行われている程です。
【植え付け】
株間は50cmくらい、放任主義で育てるなら1mくらい開けても夏には密に繁ります(汗)。株元の周りだけでも、ワラか、破れたマルチシートの切れ端でマルチをしておくと、株が小さいうちの草取りや水やりの手間も省け、収穫まで、ほぼ管理作業は一切不要になります(笑)。

 3.管理と収穫

管理

クウシンサイの株苗を植えた後の管理作業は、ほぼ不要です!(笑)。必要なのは、草取りくらいです。

私は追肥もしたことがありませんが、成長が遅いようだと追肥して、中耕・土寄せしてあげましょう。株が大きくなってからだと、どこが株元か分からないほど茎葉が繁るので、追肥は株元が見えるうちにするのが良さげです。


収穫

収穫したクウシンサイ株が一抱えくらいまで成長したら、収穫を開始します。早めに主枝を摘心すると、脇芽の成長が促されます。次々と生える脇芽の先端 15cm~20cmを切り取って収穫し、炒めたり和えたり、好みの食べ方で、暑い夏を乗り切りましょう!。我が家の冷蔵庫には、クウシンサイを炒める時にだけしか使わない「ナンプラー」が、必ず入っています(笑)。

暑さには強靭なクウシンサイも、寒さにはめっぽう弱く、10月に入ると収穫は滞り、気温が10度を下回る10月下旬には枯れ出します。単に、乾燥して枯れてくれればいいのですが、枯れると腐敗して、べっとりと地面に張り付いてしまい、撤去するのが大変です。収穫が滞り始めたら、思い切ってさっさと片付けた方が、後処理は楽です!。


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