エダマメの育て方

都会からリタイアして地元の田舎に戻り始めた家庭菜園、少しずつ学んだ野菜の育て方のコツをまとめてみました。

 1.エダマメ栽培のキモとコツ

エダマメとは

枝豆とは、大豆を未熟な状態で収穫したものです!。……えぇぇ!?。

そんなの当たり前と言う人もいるでしょうが、私も含めて多分、枝豆が大好きだと言う人でもその大多数が、『枝豆と大豆は同じもの』だとは、知らないのでは無いでしょうか?(汗)。「チコちゃんに叱られる! 」の森田アナ風に語ると、『枝豆は大豆と同じとも知らずに、やれ”ビールには枝豆が欠かせない”だとか、”やっぱ枝豆は茶豆に限る”とか、居酒屋で酔っぱらって騒いでいるお父さん方の、何と多いことか!』(笑)。

大豆(だいず)は、中国が原産といわれる、マメ科の一年草です。とても古くから世界中で農作物として栽培されており、日本でも縄文時代には食べられていたそうです。『畑の肉』とも称されるとおり、植物の中では唯一肉に匹敵するだけのタンパク質を含有する、とても優秀な農作物ですが、意外と大豆を現代でも食用しているのは、世界中でも日本だけが突出しているそうです。日本では大豆の消費量の約5分の1を、豆腐や納豆、味噌・醤油などに加工して食べていますが、世界の多くの国では、ほぼ大半を搾油の原料として使用し、その搾りかす(大豆ミール)を飼料用に回したりしています。さらに、その大豆を未成熟な状態で収穫し、枝豆として食用しているのは、日本と中国、台湾、タイ、ベトナムなど、アジアの数カ国だけで、それも日本から広まったものだそうです!(驚)。

ただ、大豆と枝豆では、違っている部分も多々あります。通常、枝豆は莢ごと収穫して流通しますが、大豆として収穫する時には莢は既に乾燥してボロボロになっているので、豆だけを収穫します。また、大豆として適している品種と、枝豆として食べて美味しい品種とでは異なり、枝豆用の品種改良は今でも盛んにおこなわれています。


【品種】
日本人の美味しい枝豆に対する探求心はとどまる所を知らず、食味の良さ、豆粒の大きさ、収量の多さなどを目指して、日々品種改良が進められ、新品種が続々と誕生しています!。大きくは、種皮や莢のうぶ毛の色の違いから、白毛青豆と茶豆、黒豆の3種類に区分され、それぞれに極早生や早生、中晩生種まで揃い、枝豆専用品種の数は今では400以上とも言われています。
枝豆の出荷量が一番多い千葉県で主に生産されている品種は、「サヤムスメ」(中早生)や「湯あがり娘」(中早生)、続く各県でも「湯あがり娘」は大人気で、他に群馬県では「ユキムスメ」(中早生)、山形県では「秘伝」(晩生)、埼玉県では「初だるま」(極早生)や「福だるま」(極早生)、新潟県では「おつな姫」(早生)などが多く生産されています。他に、地域限定の希少価値の高いブランド豆も人気です。
私が最近主に栽培しているおすすめ品種は、「奥原早生」。播種後70日~75日で収穫できる、極早生・早生品種です。育てやすくて味も良く、さらに自家採種も可能な固定種であることも気に入っているのですが、今年はニチノウの種を蒔いたら、なぜか極端に発芽率が悪く、大失敗を喫してしまいました…(汗)。また、以前には美味しく感じていた茶豆も、齢を重ねたせいか、最近は敬遠しがち…。昔ながらの白毛青豆の味が、懐かしく感じる歳になってしまいました(笑)。
さて、枝豆の品種選びのキモは、実は収穫時期にあります!。私は、一番暑さが増す7月中旬から8月にかけて、ナイターなどを見ながらビール片手に枝豆が食べたいので、長野でも早い時期から種を蒔ける早生品種(「奥原早生」や、遅く蒔くにしても中早生の「湯あがり娘」など)を選んでいます。一方、隣人のハチミツおじさんは、『夏の枝豆なんて不味くて食えるかぁ、枝豆の旬は9月以降だ!』と言い張ります(笑)。そういう人には、晩生種の「秘伝」がおすすめです!。畑のスペースに余裕があれば、早生と晩生の枝豆、両方栽培して、夏の間中、長く味わうのがベストですね(笑)。
【連作障害】
豆類は連作障害が発生しやすいので、豆類の同じ場所での栽培は3~4年開けるのが無難です。
【病害虫】
病気ではべと病やわい化病が発生しやすく、害虫ではアブラムシやカメムシが付きやすいですが、何れも比較的早期に発見しやすいので、すぐに対策を取れば、滅多なことにはなりません。
私が一番嫌な害虫は、莢の中に入り込んで豆を食害してしまう、ダイズサヤタマバエや、シロイチモジマダラメイガの幼虫。こ奴らの防除のためには、開花の終わりから莢が出来始める頃に、「トレボン乳剤」を撒布します。トレボンは、幅広い害虫に優れた殺虫効果を示し、エダマメ以外にもトウモロコシ等でも重宝する農薬(殺虫剤)なので、無農薬栽培以外の方は、一本買っておくと重宝します。

 2.種まきと支柱立て

種まき

発芽した大豆の芽エダマメ栽培の肝は、何と言っても芽出し!。種を蒔いて、芽さえ揃って出てくれれば、後は草取りと害虫駆除くらいで、収穫まで見守っていれば、7月か8月には、美味しいビールと枝豆が待っています(笑)。

発根させたエダマメの種まきエダマメの種まきで発芽しない失敗続きの人は、水耕栽培で強制的に発芽(発根)させてから、種を蒔きましょう!。底の平らな容器にペーパータオルを敷き、紙が浸かる程度に水を張り、その上に種を並べます。できれば、種にある黒っぽいスジが横を向くようにします。枝豆の種は”嫌光性”なので、真暗になるよう覆いをして、部屋の暖かい場所に置いておきます。できれば水は、1日ごとに入れ替えてあげると、カビが生えません。すると、3日ほどで、種から白くて尖がりした芽(根)が出ますので、その幼根を痛めないようにして、その状態のまま種を静かにポットか畑に掘った蒔き穴に置き、上から土を優しく掛け、軽く押さえておきます。後は適宜水やりをすれば、遅くとも1週間ほどで発芽するはずです!。

なお、鳥害を避け、発芽率を高めるために、ポット蒔きを勧める人が多いですが、私は豆類の種は、直播きに限ると思っています。定植時に根を痛めやすいですし、その後の発育速度にも差が出ます。鳥害については、我が家ではまず経験が無いので断定はできませんが、播種した畝の上に、防鳥糸かミシン糸を一本張っておけば、ほぼ安心の様な気がします。ただし、不運にも発芽率の悪い種に当たってしまった場合は、ポット蒔きしておけば良かったと後悔することも…(汗)。

【気象環境】
発芽には最低でも10度以上が必要で、発芽適温は30度以上と高温です。生育適温は20~30度で、温暖で多湿を好みます。15度以下になると発育が停滞するので、最低気温が15度を下回らなくなる頃に種まきをしましょう。
【播種の適期】
早取りする枝豆(早生種)の種まきは、温暖地では4月中頃から最盛期を迎えます。しかし、枝豆が発芽するには地温が10度以上は必要で、そのためには最低気温が15度を下回らなくなる頃が理想ですが、そうすると長野盆地では5月下旬以降になってしまいます。しかし、5月下旬に種まきしたのでは、いくら播種から70~75日で収穫可能となる極早生や早生品種でも、7月中旬のプロ野球・オールスター戦までに、収穫が間に合いません!。夏のナイター試合を見るには、やっぱビールと枝豆が必要でしょう(笑)。
そこで、5月上旬のゴールデンウィーク頃には(気の早い人だと4月下旬に)、最初の種まきをします。しかし、まだ遅霜の心配も残る時期なので、私は全部を一遍に蒔かずに、時間差で1畝ずつ種まきをすることで、保険を掛けます!。
一方、遅取り(晩生種)の「秘伝」などは、6月中旬から7月にかけて種まきをし、10月下旬から11月にかけて収穫期を迎えます。早蒔きすると蔓化(まんか、≒つるぼけ)して、実付きが悪くなります。『枝豆の本当の旬は秋だ』と言う人がいますが、大豆が晩秋に収穫期を迎えることを考えれば、確かに枝豆の旬は秋なのかもしれません…(汗)。
ちなみに、枝豆として収穫せずに、そのまま畑において熟せば大豆(ダイズ)になるはずですが、ダイズとして収穫するには4月蒔きだと早すぎます。長野でも、本当にダイズとして栽培するには、7月初旬にダイズ専用の種を蒔き、収穫は初雪の便りも届く11月半ば以降です。
種まきの株間・条間・畝幅
 
【土壌・施肥】
豆類は比較的痩せ地でも育ちやすく、逆に肥え過ぎると蔓化しやすいので、施肥は控えめにします。化成肥料が多いとアブラムシが付きやすくなるので、種まきの2週間前に、多めの石灰と、完熟堆肥を控え目にすき込んでおきます。
【種まき】
発根させたエダマメの種まき直播きあるいは定植時の間隔は、1本立ちなら条間は50cm×株間は30cm、2本立ちなら条間は70cm×株間は50cmとします。1か所に数粒の種を蒔いて、芽が出てから間引いて育てるよりは、私は種が勿体ないので、1か所に2粒ずつ蒔いて、基本2本立ちで育てています。もちろん、中には芽が出ない種もあるので、そこは1本立ちのままです。
1か所に1本植えとするよりも、2本植えにした方が、エダマメが倒伏し難く、畑のスペースも節約できます(笑)。そのうえ、肥料をあまり必要としないエダマメは、隣り合う2本の株が競って根を張り合うため、逆に1本あたりの収量も増えると言われています!。

定植

発芽した大豆の芽エダマメの主根は直根で、大きくなった苗を植えかえると主根を痛めやすいため、ポット育苗した苗を定植する場合は、双葉が開き本葉が展開し終わる前、若苗のうちに定植します。

大豆(枝豆)の苗


 3.管理と収穫

管理

枝豆の実が成り出した種まきから1月半ほど経つと花が咲き、2ヶ月も過ぎるとエダマメの莢の形が確認できるようになります。この頃に、草取りを兼ねて中耕と土寄せをして、株の倒伏を防止します。葉の色が薄かったり、葉の繁りが足りない様なら、追肥もしましょう!。

逆に、葉が茂りすぎて、株の丈が腰高くらいまでに伸びているのに、実付が確認できないようだと、ツルボケしているかもしれません。株の頭を20cmくらい切って、ツルボケを抑えます。もちろん、追肥は不要ですよ(笑)。

エダマメの天敵、メイガが侵入するのも、この頃です!。開花が終わったころから莢ができ始めるまでの間に、「トレボン乳剤」などを散布して、防除しましょう。無農薬に拘るなら、防虫ネットを掛けた方が無難です。何もしないと、収量が激減してしまいますよ(汗)。

収穫

枝豆の収穫適期エダマメの収穫時期は、膨らんできた莢を見たり触ったりすれば、おおよそ判断できるはずです。が、そこは人間、どうしても欲が勝り、『もう少し待てば…』と思ってしまい、得てして採り遅れがちです(汗)。

採り遅れを防ぐ一番の手段は、種まきからの日数を確認すること!。早生種だと、種まきから75日前後、中生種は85日前後、晩生種は110日前後です。ゴールデンウィークに早生種を種まきすると、7月下旬には収穫適期を迎えます。ちなみに、極早生の「奥原早生」だと、収穫の適期は開花後30~40日だそうですが、さすがに開花の時期まで覚えていられません…(汗)。

エダマメの収穫方法収穫時期を迎えたら、3~4株を抜いて莢をもぐと、中くらいのキッチンボール一杯の枝豆が収穫できます。実は私、枝豆のもぎ取りが、大嫌いです!。面倒臭いし、手も痛くなるし…。収穫ハサミを使うと、きれいには採れますが、手間が掛かって大変です。結局、溜まっているストレスをぶつけて、『このやろ~』と思いつつ、もぎ取ることになります(笑)。

枝豆をもぐときは、あまり選りすぐりしないことです(笑)。店で売っているような枝豆を期待すると、収穫量は半分にも足りず、ほとんどを捨てることになり兼ねません…(汗)。多少は虫に食われていようが、3粒莢に2粒や1粒しか入っていなくても、茹でてしまえば大して気になりませんし、痛んだ実は食べる時に気を付ければ済むことです!。これも、家庭菜園ならではの醍醐味。採れたて茹でたての枝豆の味は、冷凍枝豆とは比べ物にならないくらい美味しいので、できるだけ捨てずに、全部頂きましょう!(笑)。


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