ブロッコリー&カリフラワーの育て方

都会からリタイアして地元の田舎に戻り始めた家庭菜園、少しずつ学んだ野菜の育て方のコツをまとめてみました。

 1.栽培のキモとコツ

ブロッコリーとは、カリフラワーとは

ブロッコリーもカリフラワーも、同じアブラナ科アブラナ属の野菜で、いずれも同属のキャベツの変種です。主に花蕾(からい)に当たる部分と、その茎を食用にします。原産地は定かでありませんが、地中海の辺りで見つかり栽培されていた花キャベツが、ヨーロッパに渡り品種改良されて、今のような姿になったと言われています。

日本には、明治初期に「カウリフラワー」(花梛菜、はなはぼたん)として紹介され伝来しましたが、食用としても観賞用としても普及せず、本格的に栽培が広まったのは、洋食文化が広がった昭和30年以降のことです。その後、洋食ブームと共に、カリフラワーの生産量は右肩上がりに急増し、昭和の終わり頃には、年間15万トンも生産される様になりました。一方、常温保存だと変色しやすいブロッコリーは、カリフラワーの様に直ぐには広まりませんでしたが、1980年代になると低温流通技術の開発と冷蔵庫の普及により、徐々に生産量が拡大します。生産自体は、ブロッコリーの方がカリフラワーより栽培しやすく、収量も多いことから、平成元年(1989年)には一気にその生産量は逆転、今ではブロッコリーの収穫量が年15万トンもあるのに対して、カリフラワーは2万トン以下と、大きく水を開けられています。

日本では、子供が嫌いで親に無理やり食べさせられる野菜の代表格と言えば、「クレヨンしんちゃん」にも登場するピーマンですが、アメリカ人には、ブロッコリーが一番そのイメージが強いそうです(笑)。ただし、日本でもブロッコリーやカリフラワーは子供には不人気で、嫌いな野菜のアンケートでは、常に10番目くらいに入ってきます…(汗)。しかし、ブロッコリーもカリフラワーも、ビタミンやカロテンなどの栄養価が高く、ブロッコリーは茹でるとビタミンCが流出しやすいので、レンジでチンしたり、欧米ではサラダなどで生食されることもあります。

カリフラワーは、ブロッコリーより加熱による栄養価の損失が少ないため、茹でる以外にも、焼いたり蒸したり揚げたりと、幅広い調理法に適しています。また最近は、低炭水化物ダイエットや低糖質ダイエットが広まり、お米の代わりに、ブロッコリーやカリフラワーを砕いて米飯状に加工した、「ブロッコリーライス」や「カリフラワーライス」が売れているらしいです!。


【品種】
ブロッコリーもカリフラワーもキャベツの変種なので、質のよい果が採れる品種の種は、ほとんどが交配種です。
ブロッコリーは、主に頂花蕾のみを収穫する品種と、次々に芽吹く側枝の側花蕾が沢山採れる品種の他に、側枝の茎が細くてやわらかい茎ブロッコリーの品種に大別できます。頂花蕾では、早生の「ピクセル」(サカタ交配)が栽培しやすくておすすめです。播種後90日程度で収穫でき、春まきも夏まきも出来ます。側枝花蕾がとれる多収品種では、「ハイツSP」(タキイ交配)が人気。茎ブロッコリーでは、「スティックセニョール」(サカタ交配)が、作りやすくてアスパラガスに似た風味でおいしいと評判です。
カリフラワーでは、固定種の「野崎早生」が、日本の風土に合っていて作り易く、タネも安いのでおすすめです。カリフラワーは、花蕾を白く育てようとすると、葉を縛って日除けする作業が大変です。そこで、最初からオレンジ色や黄緑色をした品種を選ぶというのも、一つの手段(笑)。小林交配の「オレンジさん」や「きみどり君」が、栽培しやすいです。最近なにかと話題で人気なのが、イタリア生まれのカリフラワーの一種で、幾何学模様をした蕾が特徴のロマネスコ(カリブロ)。カリフラワーに比べてクセがなく、甘みも強いので、家庭菜園でも作る人が増えてきました。代表的な品種は、「スパイラル」。ネオ・スパイラルはその新品種で、耐暑性や耐病性に優れた早生種です。
【連作障害】
ブロッコリーもカリフラワーも、比較的連作障害は出難いですが、1年は空けた方が無難です。
【病害虫】
病気では、アブラナ科特有の根こぶ病が出る場合があります。過去に根こぶ病が出た場所では栽培しない様にしましょう。
害虫は、キャベツ類と同様に、アオムシやコナガ、ヨトウムシなどチョウ目(鱗翅目)の幼虫が天敵で、アブラムシ対策も必要です。定植後は防虫ネットを掛けるのが無難ですが、それでも蝶の侵入はなかなか防げず、アオムシは見つけ次第に捕殺(テデトール)しましょう!。
しかし、無農薬栽培は難しく、私は農薬に頼っています。アブラムシとアオムシに対しては、生育初期の段階では「オルトラン粒剤」や「オルトラン水和剤」がおすすめです。粒剤は、播種時や定植時の植穴処理、育苗期に株元に撒くことで、防除効果を発揮します。株が育ってからだと、速攻性の高い「プレオ フロアブル」や、収穫前日まで使える「フェニックス顆粒水和剤」が、幅広いチョウ目害虫に高い効果が期待できて、おすすめです。
家庭菜園で使う農薬、おすすめはどれ?」のページもご覧ください。。

 2.種まきと定植

ブロッコリーもカリフラワーも、春まき栽培と夏まき栽培が可能ですが、両野菜とも生育適温は15度~20度と冷涼な気候を好むので、夏まき秋どり栽培の方が、比較的容易です。春まき栽培では、暖地や保温下で2月に種まきをして育苗すれば、5月にも収穫可能ですが、長野辺りではトンネル内で種まきが出来るのは3月下旬から4月になってから。すると、収穫できるのは梅雨の頃で、既に気温は高く、収穫が始まるとあっという間に蕾がほけてしまいます(汗)。白いカリフラワーは、夏の日差しで直ぐに黄色く変色してしまうので、早めに葉を縛り、日除けをする必要があります。その点、夏まき秋栽培だと、収穫時期には寒くなり、収穫期間が長くなるほか、太陽も傾くのでカリフラワーは葉を縛らずとも、結構白い花蕾のまま収穫できます。

【気象環境】
生育適温は15度~20度と、冷涼な気候を好みます。カリフラワーよりは、ブロッコリーの方が耐寒性も耐暑性も強いです。ブロッコリーは初春の早まきが可能で、カリフラワーと一緒に種まきをすると、ブロッコリーの苗の方が先に大きく成長します。冬になり、気温が5度以下になるとブロッコリーの生育も抑制されますが、長野の寒い冬でも越冬可能で、お正月のお雑煮に緑野菜が足りない時には、ブロッコリーの脇芽が入ることもあります(笑)。春になると、蕾がほけて抽苔してしまいますが、それまでの間は、脇芽を欠いて食べ続けることができます。一方のカリフラワーは、長野では越冬することが出来ません。
【播種の適期】
発芽適温は15度以上で、比較的低温でも発芽します。春まきの場合、暖地や一般地であれば、ビニールトンネルで覆えば2月には種まきできます。長野盆地だと、ビニールトンネルや保温ポットで覆っても、種まきは早くても3月中旬以降です。
夏まきは、霜が降りるまでに収穫したいので、7月中旬から下旬までの暑い盛りに種まきをします。直播きも可能ですが、害虫対策と草除けを考慮すると、ポット蒔きがおすすめです。夏まきでは、発芽するまでポットを日陰に置いておけますし。
種まきと収穫時期
 
【土壌・施肥】
排水性・保水性のよい肥沃な土壌を好みますが、カリフラワーは多湿を好み、ブロッコリーは湿潤を嫌う傾向があります。
野菜のなかでは結構肥料を好みますが、追肥で化成肥料を多く施すとアブラムシを誘引しやすいので、基肥に遅効性の堆肥をたっぷり漉き込む様にしましょう。

植え付け

ブロッコリーの苗定植の適期は、種まきから40~50日ほど。春まき苗は、草に負けない様に本葉7~8枚の大きめの苗にしてから、夏まき苗ではポット土が乾きやすいので、本葉5~7枚になったら早めに定植してしましょう。

カリフラワーの苗ブロッコリーの苗もカリフラワーの苗も、とてもよく似ているため、苗のうちに見分けるのは難しいです。植え場所を変えたい場合は、苗が混ざらない様に管理しましょう。以前、私が古種を蒔いて発芽に失敗した際、近所からブロッコリーの苗を貰った(はずだった)のですが、育てていたら、なぜか葉が巻き出し、結局出来たのはキャベツだったという、笑い話みたいな経験をしたことがあります(笑)。同時に種まきをした場合は、ブロッコリーの方が大きな苗に育ちます。


 3.管理と収穫

管理

ブロッコリーとカリフラワー栽培での管理作業と言えば、草取りと害虫駆除が中心です。無農薬で栽培するなら、毎朝観察して、アオムシは見つけ次第、捕殺します。

株が大きく育ってきたら、草取りを兼ねて中耕し、追肥をしてから土寄せをしましょう。土寄せすることで、梅雨の大雨による倒伏も予防できます。

カリフラワーは、花蕾が出来始めたのを確認したら、中心部の葉を何枚か束ねて縛り、花蕾が日光に当たって変色するのを予防します。夏まき栽培であれば、収穫期には太陽が傾くので、面倒であればやらなくても、結構白っぽいカリフラワーが採れますが、春まき栽培では、葉を縛らないと、白いはずのカリフラワーも、黄色やオレンジ色に変わってしまいますよ…(汗)。まぁ変色しても、家で食べるには問題ないのですが、人には上げられないですね(笑)。


収穫

ブロッコリーの収穫適期花蕾の大きさが、店で売っているブロッコリーやカリフラワーと同じくらいになれば、収穫適期。株数を多く育てている場合は、特に春まき栽培では一斉に収穫時期がやって来るので、多少小さくても、早めに収穫し始めましょう。ちなみに春まき栽培では、花蕾が締まらず、ほけてしまう株が、10株に1~2株は発生します。

収穫したブロッコリーは、水を張ったタライに逆さにして暫く浸けておくと、花蕾の中に潜り込んだ青い色のアレが、だいぶ浮いてきます(笑)。それでも取り切れず、茹でているとプッカリ浮いてくることがありますが、それも家庭菜園の醍醐味と、気にせず美味しく頂きましょう!。カリフラワーは、アオムシが花蕾の中に入り込むことは、あまり無いようです。

 


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