ラッキョウの育て方

都会からリタイアして地元の田舎に戻り始めた家庭菜園、少しずつ学んだ野菜の育て方のコツをまとめてみました。

 1.ラッキョウ栽培のキモとコツ

ラッキョウ(辣韮)とは、ネギ属の多年草です。あちこちのネット記事に、”オオニラ”や”サトニラ”という別称があると書かれていますが、そんな名前は全く聞いたことがありません(汗)。調べてみると、『道教(道家)では、臭気の強い薤(オオニラ)は淫欲や怒りをもたらすと禁じた』と書かれているので、どうも中国からラッキョウが伝来した大昔の頃の呼名ではないでしょうか?。

ラッキョウは、特有の強い匂いと辛味を持ち、生薬の一種として漢方にも用いられています。適量を食べると滋養強壮効能があるとされ、最近では本当か否か、血液サラサラ効果やダイエット効果もあると言われています。以前に、巨人で活躍していた頃の松井秀喜が元気の秘訣として、『ラッキョウを毎朝1粒食べている』と話していたのを聞き、私も真似をしたことがあります(笑)。また、カレーライスの付け合わせ(薬味)にラッキョウがよく出されるのは、ラッキョウに含まれているアリル硫化物という成分が消化を助け、また豚肉に含まれるビタミンB1の吸収に役立つと言われているからだそうです。ただし、くれぐれも食べすぎにはご注意を(笑)。

【品種】
中国から日本に伝わったのは平安時代とされ、さほど多くの品種はありません。ラクダ系の品種を元に、歯ごたえや球の大きさを改良した品種や、匂いや辛みを抑えエシャロット(エシャレット)として栽培される品種、沖縄の島ラッキョウなどがあります。
ラッキョウは、ニンニクと同じく、その年に収穫した球根を種球として植えて栽培を繰り返していくので、今となっては、我が家のラッキョウの品種は、何か分かりません(汗)。強いて言うなら、「我が家のラッキョウ」(笑)。
【連作障害】
ほとんどありません。
【病害虫】
ほとんどありません。
ラッキョウの葉を食害するナノクロムシ・・・のはずなんですが、春先(4月下旬から5月上旬)に、小さくて真っ黒な芋虫の様な幼虫が発生し、葉を食害して、大きな被害を受けることが多々あります(泣)。こいつの正体は、カブラハバチの幼虫で、小さくて黒いので「ナノクロムシ」とも呼ばれています。カブラハバチは、草食の蜂で、成虫が葉肉の中に卵を産みつけ、孵化した幼虫が葉を食害します。名前の通り、”カブラ”などアブラナ科全般につきますが、何故か我が家の畑では、ラッキョウやワケギ、ニンニク、長ネギなど、ネギ属でナノクロムシの被害が発生します(汗)。
基本はテデトール(手で取る)なのですが、捕まえようとして手がちょっとでも葉に触れると、危険を察したナノクロムシはポロッと地面に落ちて、動かなくなってしまいます。小さくて黒いので、地面に落ちると、何処に行ったのか見つけられないので、とても厄介です。そこで、マラソン乳剤を散布して安心していたのですが、気が付けば被害は更に拡大(汗)。改めて、オルトラン水和剤を散布したところ、ほぼ駆除することが出来ました!。

 2.植え付け

ラッキョウの花ラッキョウは、一塊になって収穫された球根を、1つずつの球にばらし、それを種球として植え付けて栽培します。植え付けて1月半も経つと、伸びてきた葉の先に花を咲かせますが、種は採れません。

さて、「らっきょう漬け」としての商品価値は、もちろん味も重要ですが、シャキシャキとした歯ごたえも大切です。そのため、大粒のラッキョウより、小粒のラッキョウが好まれます。しかし、漬ける側からすると、小さいラッキョウほど、洗って皮を剥いて、根と葉を切ってという作業が大変になるし、量も作れません。そのため、国産の小粒のらっきょう漬けは、中国産のものと比べると、とても値段が高いです。

小粒のラッキョウにするか、大粒のラッキョウを収穫したいか、まずは品種選びもありますが、在来種を育てている場合には、植えつけ方と育て方で、球の大小を調整することができます。

小粒で食感・食味のよいラッキョウを育てるための代表的な栽培方法が、「3年越し栽培」。ラッキョウは普通、夏の終わりから秋に種球を植えて、翌年の春から初夏に収穫しますが(2年越し)、そこで収穫せずにそのままもう一年越冬させ、植え付けから2年後の春から初夏に収穫するのが、3年越し栽培です。福井県三里浜砂丘の『3年子花らっきょう』が殊に有名!。ラッキョウは、最初植え付けた1つの種球が、分蘖(ぶんげつ)して10~20個もの1塊のラッキョウに育ちます。しかし、そこで掘り起こさず、そのまま土の中に置いておくと、翌年にはさらに1球が10~20倍もに分げつしたら、一体どうなるか、想像してみてください(汗)。実際には、スペースの関係で、最大の20×20倍=400倍とは成りませんが、分げつした球根が土の中でひしめき合うことで、より小粒のラッキョウを収穫することができます。

ラッキョウの2年物と3年物左の写真は、10月上旬のラッキョウの株の様子。右側の株は、8月下旬に1球を植え付け、芽が出て花が咲いた状態。左の株は、昨年植え付けて今年収穫せずにそのままにして、同じく花が咲いた状態の株。分げつの数が全然違います!。

その原理を応用すると、通常の1年栽培でも、1箇所に2~3粒の種球を植え付けることで、収穫できる球は小粒になりますし、浅植えするより深植えした方が、小粒になりやすいです。


 

【気象環境】
生育適温は、18~22℃。冷涼で乾燥、日照を好みます。しかし、8月下旬から9月上旬の、まだ残暑の盛りの頃が、植え付けの適期。植え付けると間もなく芽を出し、一月もすると花を咲かせます。
耐暑性・耐寒性とも高く、北海道から沖縄まで、全国で栽培することができます。
【播種の適期】
ラッキョウは、種を蒔いて育てるのではなく、ニンニクなどと同じく、その球根を植え付けて増やすことで栽培します。種球を植え付ける時期は、8月下旬から9月上旬で、そのまま冬越しをし、収穫は翌年の6月下旬です。2年物(3年子)にするには、そのまま収穫せずに置き、翌々年の6月下旬に収穫します。
ところが、7月下旬頃になると、『鳥取で、砂丘らっきょうの植え付けが始まった』とのニュースが聞こえてきます。長野県よりよっぽど暖かい鳥取県で、もう植え付けが始まったのかと焦りますが、どうやらこの時期から植え付けを始めないと、8月下旬や9月上旬までに、全部の植え付けが終わらないからの様です。なんと鳥取では、一人で1日1万球も植付けするというから驚きです…(汗)。
種まきと収穫時期
 
【土壌・施肥】
土質は特に選びませんが、水はけが悪いと球根が腐敗することがあります。吸肥力が強く、痩せ地や乾燥地でもよく育ちます。そのため、鳥取県など砂地の地域での栽培が盛んです。毎年野菜を育てている畑であれば、耕すだけで、基肥(元肥)も石灰も特に施す必要はありません。
【植え付け】
ラッキョウを植え付けるの株間・条間耕したら平畝を立て、蒔き溝を掘って、種球を植え付けていきます。植え付ける株間は、1球ずつ植える場合は 10cm、条間は 20cm間隔にします。比較的密植は可能です!。小さい球を収穫したい場合には、株間を 20cmに広げ、1ヶ所に2~3球を同時に植え付けてもいいです。
ラッキョウの種球天地を間違えないように、発根部を下、種球の先端を上に向け、古根は取らず、薄皮も剥かずに、そのまま土に埋めます。植え付ける深さ(覆土厚)は、3~4cmが一般的。初夏に収穫したラッキョウを種球にする場合は、枯れた葉がそのまま残っているので、『覆土厚ってどこからだよ?』って思ってしまいますが、ラッキョウを漬ける時に切る頭の高さから、土の表面までとお考え下さい。ラッキョウを5本の指先で掴んで、移植ゴテで掘った穴に押し込み、親指がだいたい埋まる深さでしょうか…。まぁ、そんなに気にせず、アバウトで構いません(笑)。覆土の厚さを、2cmくらいの「浅植え」にすると、丸く太った球が多く収穫でき、5cm以上の「深植え」にすると、細目の小粒な球が収穫できます。漬けるには大きい球の方が楽ですが、ラッキョウは小粒の方がシャキシャキと食感がいいですね(笑)。少し高畝にして、深めに植え付けても構いません。

 3.育て方

ラッキョウは、野菜栽培の中では、とても手のかからない野菜です。ただ、栽培期間が長いので、草取りだけは必要です。

春になった3月ごろ、葉の色を見て緑が薄いなと感じたら、株元に少し鶏糞などを撒いて追肥し、草取りを兼ねて中耕・土寄せをしておきましょう。

5月になって、球が肥大してくると、球根の先端が分かれ出します。そのままにしておくと、株元から光が土の中に入って、ラッキョウの白い肌が緑変してしまうので、土寄せをします。

収穫

ラッキョウは、収穫時期になっても、葉がニンニクの様に大きく枯れてきませんし、タマネギの様に葉が倒れることも無いので、収穫適期が分かりにくいです。前年の8月下旬から9月上旬に植えたラッキョウは、6月中旬から下旬が収穫期の目安です。収穫が遅れると、実が緑変してしまうので、梅雨の晴れ間を狙って、ちょっと早めかな?くらいのタイミングで収穫しましょう。

ただし、ラッキョウは収穫して時間が経ち鮮度が落ちてくると、薄皮がどんどん剥がれやすくなってしまいます。できれば、収穫したその日のうちに、塩漬けにしましょう!。新鮮なうちに皮をむいた方が、涙も出ない様です(笑)。そのため、休みの日など、ラッキョウを漬ける時間的余裕のある日に、収穫しましょうね(笑)。

収穫したラッキョウラッキョウの株を引き抜いたら、地面にはたきつけて、根や実に付いた土を払い落としてから、畑で葉を切り落としてしまいましょう。右の写真は、10株くらい抜いて、葉を切り落としてからタライ(直径30cm)に入れた状態。これをキレイに洗って葉と根を切り落とし、薄皮を剥くと、約 1.5キロのラッキョウが採れました。スーパーで買ったら、500gで1千円近くするので、これで3千円分くらいってことですね(笑)。

ラッキョウ漬けらっきょう漬けは、個人的に、甘酢漬けより塩漬けが大好き。甘酢に漬け直す手間もかかりませんし、日持ちもするのでおすすめです。せっかくなので、手前味噌のラッキョウの漬け方レシピを紹介しておきましょう(笑)。

 


ラッキョウの漬け方 レシピ

酒好きな私は、ほとんど甘いものを食べないので、ラッキョウも甘酢漬けよりは塩漬けの方が、さっぱりしていて好きです。その簡単で美味しい、塩漬けのレシピをご紹介しましょう(笑)。甘酢漬けにするには、塩漬けしたラッキョウを、塩抜きしてから、お好みの甘酢に漬ければ出来上がりますので、これさえ作っておけば、万能ですね!。

必要なラッキョウの量

らっきょうの塩漬けレシピ (1)ラッキョウ漬けに必要なラッキョウの重さは、きれいに洗い終えた状態で、だいたい1kgくらいが目安。2人家族で、時々食べて、ちょうど1年くらいで食べきれる量だと思います。少ないと、うまく漬けるのが難しい気がします。2kgもあると、結構な食べ応え。大びんの漬物容器に入りきるのは、だいたい3~4kgくらいです。

葉付き・根付きの、畑から収穫した状態のラッキョウだと、一般的なスーパーのレジ袋いっぱいに入りきるくらいの量で、漬けられる分量は、約1キロくらいです。

①下処理

収穫したばかりのラッキョウを、畑で土を落し、根と茎を粗方に切り落とします。収穫してから時間が経つと、ラッキョウの皮むきに手間取るので、できるだけ新鮮なうちに漬けてしまいましょう。

あれば家の外の水道で、葉と根を切り落としたラッキョウを、タライに入れて2~3回水洗いし、泥をよく落します。

その後、台所に持ち込み、包丁で茎と根口を切り落とし、外皮を剥いてキレイに洗い、ザルにあげます。面倒ですが、出来るだけ根のギリギリを切り落とす様にすると、シャキシャキ食感が残ります。その昔、おばあちゃんは根っこを爪楊枝で抜いて仕上げたとか(汗)。

一般的な大きさのステンレスのザルに入れて、7~8分目で1キロ、こぼれる程に山盛りで2キロくらいになります。上の写真で、1.7kgでした。

②下漬け

らっきょうの塩漬けレシピ (2)下漬けは、ラッキョウの10%の分量の塩で、2週間漬けこみます

漬けるらっきょうが1kgであれば、その10%、100gの塩を使います。漬物容器に、塩をまぶしながらラッキョウを投入し、ラッキョウが浸るくらいまで水を加えます。

ラッキョウの2~3割程の重さの重石を乗せ、2週間、涼しい冷暗所に保管します。漬けたまま、忘れてしまわないように!(笑)。

③本漬け

2週間下漬けしたら、今度は3%の塩水で漬け直します。下漬けした塩水は捨ててしまいますが、台所に流すと、その匂いが一晩中残ってしまいますので、ご注意あれ!(汗)。野良猫の糞尿にお困りの方は、ネコ除けに、このラッキョウを漬けた塩水を庭に撒いてみてください。結構効果ありますよ!(ただし、植物等にはかからないように)。

下漬けしたラッキョウをザルにあけ、今度はラッキョウの量の3%の塩、つまり1kgのラッキョウなら30gの塩を振りながら容器に入れ、ラッキョウが浸るまで水を加えます。

再び涼しい冷暗所に保存し、1か月経ったら食べごろです!。1週間で食べ切る程度の量を、お玉ですくい出して、好みの塩味まで流水で塩抜きしてから頂きます。雑菌が入らないように気を付けて保管すれば、1年間は保存できますよ。

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