マルチとトンネルを掛けよう!

畝を立てたら、草除けと地温上昇・保水のためにマルチを敷き、野菜の種まきや苗を定植したら、防虫対策にトンネルを掛けましょう。

畝を立てたら、病害虫と雑草除け、地温上昇・保水のためにマルチを敷き、野菜の種まきや苗を定植したら、防虫対策にトンネルを掛けましょう。

 1.畝作り、畝立て

畝(うね)とは

畝(うね)野菜の種を蒔いたり、苗を植える場所は、1~2週間前に石灰や堆肥など鋤き込んで耕してから、土を盛り上げ、畝(うね)を作ります。この、畝を作ることを、園芸用語で、「畝立て」といいます。

畝を立てることで、水はけをよくし、通気性や日照性も高まります。また、種まきや定植、草取りをするにも。屈む角度が浅くなるので、作業も楽になりますね!。なお、栽培する野菜ごとに、適した畝の形や大きさ、高さは異なります。葉物野菜は、あまり水はけを気にしなくていいので、高さ5~10cmほどの平畝で構いませんが、乾燥を好むトマトなどは、高畝にした方が、良いトマトが収穫できます。特に、我が家の畑は粘土質で、水はけが悪いので、トマトは、これでもか!ってなくらい、思いっきり高畝にしています。

ちなみに、石灰を施すのは、酸性に強く傾きやすい土を、中和させるためです。特にホウレンソウ等は酸性土を嫌うため、他の野菜より石灰を多めに施します。そこで、石灰に何を使うかですが、一番安いのは「消石灰」。しかし、消石灰はあまりに強アルカリ性で、そのまま野菜の根が直接触れてしまうと、枯れてしまいます。そこで、種まきや定植する時期より、できるだけ早い時期に土に鋤き込み、土に馴染ませてしまう必要があります。消石灰を使う場合は、2週間以上前と言われています。次に安いのが「苦土石灰」で、一番高いのが「有機石灰」です。苦土石灰なら、種まきや定植の1週間前、有機石灰なら、ほぼ影響はないので、直前か同時でも構いません。

肥料も同様です。肥料成分に野菜の根が直接触れると、肥料焼けを起こし、枯れてしまうことがあります。特に未熟な堆肥ほど、早い時期に土に鋤き込みます。化成肥料でも、種まきや定植の1週間前までに、畑に鋤き込むように言われています。ただし、消石灰と有機堆肥を同時に投入すると、窒素分が強アルカリに反応し、アンモニアガスを発生することがあるので、1週間ほどずらす必要があります。そのため、畝を立てるのは、種まきや定植の『1~2週間前には』とされています。

畝立てしかし、実際のところ、そんなに段取りよく、畝の準備なんぞ出来ません(汗)。たいていは、『あ!?、キャベツの種を蒔くのを忘れてた!』てな感じで、慌てて畝を立てるのが関の山。

そんな時、私は(ほとんど毎回ですが…)、「有機石灰」と少な目の粒状化成肥料を鋤き込み畝を立て、その後に畝の上から「苦土石灰」と粒状化成肥料を撒くようにしています。これなら、すぐに種を蒔いたり苗を植えても、根焼けを起こす心配は、まずありません。粒状化成肥料の代わりに鶏糞を撒いても良いのですが、発芽した新芽や幼苗が撒いたばかりの鶏糞に触れると焼けてしまうので、種蒔きをする場合は発芽まで1週間以上かかる野菜のみ、苗を定植する場合は鶏糞を避けてから植えてください。まぁ、『もっと早くやれよ!』って話なんですけどね(笑)。

 

畝の方角

畝の向き・方角畝の向き(方角)は、畑の形や場所など特に制約が無ければ、南北方向か東西方向に畝立てするのが一般的ですが、個人的には、「南北方向」が一番いいと思います。

理由は、背の高い棚を建てても、日中に日陰になる面積が少なく、畑全体に太陽の光がまんべんなくあたり、日当たりが確保しやすいことと、南北の方が風が通りやすいためです。また、強い風が吹くのも、南風や北風の時が多いので、棚やトンネルが、風の被害を受けにくくなります。ただし全国には、ひょっとしたら『うちは、東風(西風)が強いんだよ』っていう地域があるかもしれません(汗)。その時は、地域の先達の教えを乞うてください。

 2.マルチ(マルチング)

マルチとは

農業で言う「マルチ」とは、畑の畝あるいは土を、薄いポリエチレン製のフィルムや、ビニールや紙のシート、稲藁(わら)などで覆うこと(=動詞)で、英語の「Mulching」(マルチング)を縮めて略し、”マルチ”と言うようになりました。転じて、マルチングで土を覆うシートや藁(わら)のことを指して、マルチと呼ぶこともあります(=名詞)。通常、『マルチをかける』とか『マルチをする』、『わらでマルチする』などという言い方をしています。

マルチをする目的は、雑草対策や乾燥防止、地温上昇、雨による土の跳ね返りを防ぎ病害虫対策など、様々あります。また、マルチには、一般的に黒マルチが多く使われていますが、銀マルチや白マルチ、透明マルチ、土に還る紙マルチ、藁マルチなど、効果の違う様々なマルチ素材があります。

地温上昇には、透明マルチが効果的です。早春にマルチして、夏までに剥ぐ場合は、透明マルチがおすすめです。黒マルチでも、ある程度の地温上昇は期待できますが、透明マルチには適いません。それに、黒マルチの下は、ダンゴ虫やゲジゲジ、ナメクジの巣窟になりやすいですが、透明マルチなら地表面が高温になるので、そうした虫も住めません。高温のため地表面の雑草の種や芽も死滅するので、ある程度は雑草も防止できます。

稲わらマルチ夏以降は、逆に直射日光を遮り、地温上昇を抑えてくれる黒マルチが重宝します。稲わらマルチは、野菜の収穫が終わったら土に鋤き込めば堆肥になり良いのですが、広い面積を覆ったり、細かい場所まで隙間なく敷き詰めるのには適していません。私は、ナスやキュウリの株元には稲わらを使いますが、レタスやイチゴの畝には、通常は黒マルチを使います。ただし、少しの株数であれば、簡単に稲わらで済ましてしまうことも。

 3.トンネル

トンネルとは

農業で言う「トンネル」とは、寒さ対策や害虫除けに、畝の上に湾曲したポールを設置し、その上から透明のビニールシートや防虫ネット、寒冷紗、不織布などを掛け、トンネル状にして、野菜を覆うことです。『トンネルを作る』とか『トンネルを掛ける』、『トンネルで覆う』、『トンネルで栽培する』といった言い方をします。

トンネル用の資材

支柱

トンネルを設置するには、トンネル用の支柱(ポール)と、被せる布やシートなどの被覆資材が必要です。なお、育てる野菜や畝の立て方によって、トンネルの高さや幅が違ってきますので、必要となる支柱の長さや被覆資材の幅も変わってきます。トンネル支柱の長さには、900mmからはじまり、1200mm、1500mm、1800mm、2100mm、2400mm、さらには3600mm、3900mmといった長さの物まであります(汗)。しかし、長さや幅の違うトンネル資材を揃えるとなると、コストばかりかかってしまい、それこそ野菜は買った方が安いと言われかねませんね(汗)。どの長さや幅がいいのかは、それぞれの菜園で作っている作物の違いや、畑の広さに応じた畝の作り方などによっても異なりますので、残念ながら経験で学ばざるを得ません。個人的には、支柱の長さは 2.1m~2.4m、被覆資材の幅は 1.8m~2.1mのものを、多く使っています。このサイズが汎用品として店で一番多く売られているので、単価的にみても、コストパフォーマンスに優れます。

なお、支柱の長さは、土の中に挿す深さによってトンネルの大きさを調節できますし、被覆資材の幅も、足りないと問題ですが、余る分にはさほど困りません!。余ったネットの裾に土を被せてしまうと、草の根で痛んでしまうことがあるので、洗濯ばさみを使い、折りたたんで土元に留めておきましょう(笑)。

トンネル支柱は、人それぞれ使い勝手が違うでしょうが、私的には、すぐに曲がって変形してしまう金属製の硬い支柱より、グラスファイバーや樹脂で出来たフレキシブルな「ダンポール」や、「樹脂ポール」がおすすめ!。太いものより、細い5.5mm径くらいの方が、柔らかくて扱いやすく、土に挿しやすいので長さ調整も楽で、何より安いです!(笑)。金属製のトンネル支柱なら、長さ2100mmのタイプが汎用的ですが、ダンポールなら長さ2400mmのものが、一番使い勝手がいい様に思います。

被覆資材

被覆資材は、値段の安さにつられて不織布を買うと、すぐに穴が開いたり破れたりして、消耗品になりがちです。少し高くても、しっかりした寒冷紗タイプの防虫ネット等の方が、長持ちします。ただし、軽い不織布も、ベタ掛けする時には便利なので、それぞれ買って、自分で使い分けてみてください!。

洗濯バサミでトンネル被せた布やシートの裾は、風に飛ばされたり、絶対に虫が入らないように、全面に土をかけて埋め込んでしまうのが一般的です。ただし、土を被せてしまうと、草が生えてきてネットに絡みつき、剥ぐときに布が破れやすくなります。また、草取りや追肥の時に、布やシートを剥ぐのが一苦労です。

そこで、多少の虫による被害は農薬で対処すると割り切って、被覆材の裾は、石やブロック、長めの角材や古くなった物干し竿などを使って押さえるか、洗濯バサミ(ピンチ)でポールに挟んで止めるのがおすすめ。最近は、安いプラスチック製の洗濯バサミでも、紫外線による劣化防止塗料が塗られた製品が、スーパーなどでも売られています。20個入りで100円ほどと、大変お買い得ですよ!(笑)。

ダイオ 農園芸用 銀糸入 防虫ネット透光率 90% 1mm 2.1mx20m アブラムシ 青虫その他の害虫対策

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なお、ネットの”網目”の大きさや細かさは、「目合い」と呼ばれ、商品にも表示されていると思いますが、目合いが小さいほど(網目が細かいほど)、小さな害虫まで防御できます!。汎用的に流通している防虫ネットの目合いは、多くが 1mmのタイプのものです。アブラムシなどを完全に防除したい場合は、目合いが 0.8mm以下のものを、ハモグリバエなどを完全防除したい場合は 0.6mm以下のものを選ぶことが推奨されます。しかし、目合いが小さくなるほど透光率が低下し、太陽の光が遮断されて、野菜の光合成が阻害され兼ねません(汗)。また、風通しが悪くなるため、トンネル内が高温になりやすく、強風に対しても弱いです。さらに、ネットの上から水やりをしたい横着者には、水が透過しずらいので、水やりには不便です(笑)。さらに何より、目合いが小さい防虫ネットほど、価格が高くなります(汗)。使用目的に応じて、それぞれ選んでいただくことになりますが、一般的には汎用的に売られている 1mm目のものが、結果的に使い勝手がよく、コストパフォーマンス的にも納得できるのではないでしょうか?(笑)。

防除害虫に対する目合いの大きさ
目合い 対象害虫
1mm 多くのチョウ目・ハバチ亜目等の害虫類
0.75mm アブラムシ、コナガ、キスジノミハムシ等
0.6mm ハモグリバエ、アザミウマ、キスジノハムシ等
ダイオ化成の防虫ネット商品より

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