暖房器具ランニングコスト対決、安いのはどっち?

ファンヒーターは灯油を入れるのが面倒。しかしエアコンは電気代が高くつきそう。そこで、どっちの暖房器具のランニングコストが安いのか、勝負比較してみることに!

関連ページ、「暖房器具のランニングコストを比較、安いのはどれ?」、「石油ファンヒーターの選び方、比較して賢く選ぼう!」、「エアコンのランニングコスト,電気代は幾ら?」も、ぜひご覧ください。

 1.電気vs灯油vsガス 熱効率対決!

電気・灯油・都市ガスの発熱量、暖房で使うのにお得なのはどれ?

まず最初に気になるのは、そもそも暖房に使う燃料は、電気・灯油・ガスのうち、どれが一番効率的なのでしょうか?。

熱量の計算では、国際的には「J(ジュール)」という単位が使われます。熱量以外のエネルギー量などにも使われる、とても基礎的な単位で、ウィキペディアによると、『1ジュールは、標準重力加速度の下でおよそ 102.0グラム(小さなリンゴくらいの重さ)の物体を 1メートル持ち上げる時の仕事量』です。しかし、日常生活でこの単位に出会うことは滅多に無いので、1ジュールと言われてもピンときません(汗)。そこで、日常よく目にする、「cal(カロリー)」の単位に置き換えて、考えることにします。『1カロリーは、1グラムの水の温度を標準大気圧下で1度上げるのに必要な熱量』です。しかし、何度の水で定義するかにより様々な学説が生まれてしまい、現在、学術文献でこの単位が使われることはありません。とは言え、私たちの日常生活には全く支障がないレベルの話です(笑)。単位変換には、1J ≒ 0.239cal を使います。

電気・灯油・ガスといったエネルギーを消費して得られる最大の熱量は、学術的に計算で示されます。ただし、ガソリンにもレギュラーとハイオクの様に品質の違いがあるように、灯油やガスにも品質の違いがあり、一定とは限りません。ここでは、以下の値を使用することにします。

1単位量当り熱量 熱量当り単価 備考
電気
(1 kWh)
3.6 MJ/kWh
≒ 860 kcal/kWh
約 33.5 円/cal
(30 kcal/円)
東京電力の想定条件下で算定。
設定単価は 28.82円/kWh。
灯油
(1 L)
36.49 MJ/L
≒ 8,721 kcal/L
約 11.6 円/cal
(86 kcal/円)
石油連盟の石油製品の標準発熱量より。
単価は東京店頭価格(2018/11) 1,815円/18Lより。
都市ガス
(1 m3
45 MJ/m3
≒ 10,755 kcal/m3
約 14.4 円/cal
(70 kcal/円)
東京ガスの都市ガス13Aで算定。
設定単価は 154.43円/m3
※ 1M(メガ)は1k(キロ)の1,000倍、1kは1の1,000倍の単位。

これより、1カロリーの熱量を得るためには、電気だと約 33.5円かかりますが、灯油だと約 11.6円で済むため、電気を暖房に使うのは、灯油より3倍もコストが掛かることになります。都市ガスは、灯油の25%増しくらいです。

つまり、暖房に使うエネルギー源として、電気・灯油・ガスで比べると、灯油 > 都市ガス >> 電気 の順に、お得だと分かります。

エアコンの省エネ性能の凄さ!

ただ、ここで注意しなければならないのが、エアコン省エネ性能!。エアコンは、単に電気を熱に変換しているのではなく、外気(空気)が持っている熱を取り込む「ヒートポンプ」という仕組みを利用しています。これにより、エアコンは電気をそのまま熱に変換するより、遥かに高い省エネ効果を生み出しています。その省エネ効率を示す指標が、定格能力を定格消費電力で割った「COP(エネルギー消費効率)」や、より実使用を想定して計算した「AFP(通年エネルギー消費効率)」という数値です。

1円の電気で得られる発熱量は、1円の灯油で得られる発熱量の 3分の1 しかありませんが、エアコンの省エネ性能が3倍になれば、灯油と同じコストで同じ発熱量が得られることになります。エアコンの省エネ性能は近年、飛躍的に高性能化しており、例えば三菱電機のルームエアコン(Zシリーズ)のスペック表で見比べると、通年エネルギー消費効率(AFP)は最低でも4.9(29畳用)、最高では7.2(10畳用)もあります。仮に、平均AFP値=6.0とすれば、逆にエアコンの1円あたり発熱量は、灯油の2倍も得られることになります。つまり、同じ熱量を得るためなら、エアコンを使えば、電気代が灯油の半額で済む計算です。

したがって、エアコンの省エネ性能を加味したうえで、暖房に使うエネルギー源として電気・灯油・ガスのお得度を比べると、エアコン >> 石油ストーブ > 都市ガスストーブ >> 電気ストーブ の順番になります。

ただし、エアコンにも弱点があります。関東以南など暖かい地域であれば問題ないのですが、外気温が低いと、ヒートポンプの熱交換率が低下し、その省エネ性能が発揮できなくなってしまいます。また、室外機が結露すると、通常のエアコンは室内の暖まった空気を利用して霜取り運転をしますが、この間は暖房が停まってしまいます(汗)。こうした問題を解消しようと、各メーカーが研究をして寒冷地仕様のエアコンを開発。今では『外気温-25℃まで暖房運転可能』と言われていますが、実際使うとなると、マイナス10℃を下回ってくると、エアコンでは体感的に十分な暖かさが得られないと感じる人が多いようです。雪の多い地域で、室外機が雪に埋まってしまう場合にも、エアコンは使えませんね(汗)。

 2.狭い居室での小型暖房機対決!

まずは、4畳半から6畳くらいの、子供部屋や勉強部屋、仕事部屋等の暖房を想定します。子供部屋で灯油は使いたくないという考え方もあるとは思いますが、ここはあくまでランニングコスト比較なので、その点はご容赦ください。

比べるのは、小型エアコンと、小型の石油ファンヒーター、小型の石油ストーブ、電気ストーブ(遠赤外線ヒーター)の、4つの暖房器具。ただし、エアコンとファンヒーターは温度調整機能があるため使用環境によって消費エネルギー量は大きく変化します。また、電気ストーブは部屋全体を暖める為ではなく、手軽に暖を取るための器具なので、他の機器と単純にその暖房能力を比較することは出来ません。それぞれの使用状況を加味した上で、参考にしてください。

① 小型エアコン

平成30年12月現在、価格.comの“エアコン・クーラー”の「売れ筋ランキング」で、ダントツの売れ筋の商品は、パナソニック「エオリア CS-228CF」(最安値で 4万円弱から)。

まずは、製品カタログに掲載されている、「消費電力量の目安(JIS C9612:2013)」から電気代を試算してみます。「JIS C9612」は、日本の工業規格で、東京にある平均的な木造住宅(南向)において、11月8日~4月16日の160日間に一日18時間、エアコンをONにしていた場合、どれほど電気を消費するかを外気温の変化から計算し、全期間の消費電力量を合算した値です。この機種の暖房の消費電力量の目安は、492kWhです。これに、電気料金の単価(28.82円/kWh)を掛けると、年間(冬期間)の暖房にかかる電気代は、14,179円となります。トータル時間(160日×18時間=2,880時間)で割ると、暖房にかかる電気代のランニングコストの平均は、4.9円/時間と、メッチャ安くなります。しかし、実際のところ、この期間にどれほどエアコンが稼働するかは未知数です!。仮に12月~3月の120日間ほど、一日あたり10時間位まともに動いたとすれば、トータルで 1,200時間。逆算すると、時間単価は約 12円/時間となります。

一方、カタログに掲載されている、「定格出力」からも電気代を試算してみましょう。この機種の暖房時の消費電力は 470W(125~1220W)ですから、0.47kW×28.82円/kWh=約 14円/時間となります。もちろん、お住まいの地域の外気温や設定温度、住宅の構造等によって、エアコンの消費電力量は変化しますので、あくまで目安にしかなりません。ちなみに、MAXパワー(最大出力=1220W)でフル稼働したとすると、1.22kWh×28.82円/kWh=約 35円/時間となります。

② 小型石油ファンヒーター

石油ファンヒーターの、価格.comにおける今の売れ筋ランキング・トップは、コロナの「FH-G3217Y」(木造9畳・コンクリート12畳用、最安値で 11,000円位)。もっと小型の石油ファンヒーターもありますが、本体価格は逆に高くなり、燃料タンクが小さいため給油頻度が増して使いづらいので、このクラスがコストパフォーマンス的にも手頃だと思います。

この石油ファンヒーターの暖房出力は3.19~0.63kWで、燃料消費量は0.310L/h~0.061L/hです。また石油ファンヒーターは、燃焼と温風を吹き出すために電気を使い、その消費電力は弱で11W・強で20Wです。

灯油の平均的な消費量は、強と弱の中間値と想定すると、1時間あたり0.1855L/hで、これに灯油代単価 100.8円/L(=1,815円/18L)を掛けると、灯油代は 18.7円/時間となります。また電気代の計算では、こちらも強と弱の間を取って16Wと想定すると、これに電気代単価 28.82円/kwhを掛けると、1時間あたりの電気代は 0.46円/時間となります。灯油代と電気代を合計すると、1時間あたりのランニングコストの合計は、約 19円/時間となります。ちなみに、最大出力でフル稼働したとすると、灯油代と電気代の合計は、約 32円/時間になります。

③ 小型石油ストーブ

小型石油ストーブの、価格.comにおける今の売れ筋ランキング・トップは、コロナの「RX-2218Y」(木造6畳・コンクリート8畳用、最安値で 7,500円位)。

この石油ストーブの燃料消費量は0.218L/hなので、これに灯油代単価 100.8円/L(=1,815円/18L)を掛けると、1時間あたりのランニングコストは、約 22円/時間となります。

④ 電気ストーブ(遠赤外線ヒーター)

電気ストーブ(遠赤外線ヒーター)の、価格.comにおける今の売れ筋ランキング・トップは、日本エー・アイ・シーの「Aladdin CAH-2G92A 」(最安値で 12,000円位)。今流行の、発熱体に黒鉛を使用した遠赤グラファイトヒーターで、立ち上がりが早くて、遠赤外線効果で体の芯から暖まると人気です。

この電気ストーブの出力は、250~700Wと900Wの2段階の切換式です。弱モードで中間の500Wとすれば、これに電気代単価 28.82円/kwhを掛けると、1時間あたりの電気代は、約 14円/時間となります。一方、900Wの強モードで使用すれば、1時間あたりの電気代は、約 26円/時間となります。

暖房器具のランニングコスト目安(小部屋)
1時間当り 1日8h当り 1ヵ月当り 備考
小型エアコン 14 円/h 112 円/日 3,360 円/月 定格出力時。使用環境によって4.9円~35円/h。
小型石油ファンヒーター 19 円/h 152 円/日 4,560 円/月 機器能力の中間出力時。最大出力時は32円/h。
小型石油ストーブ 22 円/h 176 円/日 5,280 円/月 定格出力時。
遠赤外線ヒーター 14 円/h(弱)
22 円/h(強)
112 円/日
176 円/日
3,360 円/月
5,280 円/月
弱は500W、強は900Wでの使用時。
※ それぞれの暖房機器の使用環境や試算条件は異なります。
※ 1ヵ月当りは、1日8時間×30日間利用した場合。

 3.広いリビングでの大型暖房機対決!

ここでは、15畳前後くらいと広い、座敷やリビングでの暖房を想定します。エアコンとファンヒーターでは、暖かさはともかく、部屋全体が暖まるまでの時間が違うからという理由でファンヒーターを選ぶ考え方もありますが、ここはあくまでランニングコスト比較なので、その点はご容赦ください。

比べるのは、大型エアコンと、石油ファンヒーター、ガスファンヒーターの、3つの暖房器具です。

① 大型エアコン

2018年12月現在、価格.comの“エアコン・クーラー”の「売れ筋ランキング」において、木造和室暖房15畳・鉄筋洋室暖房18畳クラスで売れ筋の商品は、パナソニックの「エオリア CS-X568C2 」(最安値で 19万円前後)です。

このエアコンの暖房の消費電力量の目安は、1296kWhです。これに、電気料金の単価(28.82円/kWh)を掛けると、年間(冬期間)の暖房にかかる電気代は、37,351円となります。トータル時間(160日×18時間=2,880時間)で割ると、暖房にかかる電気代のランニングコストの平均は、13.0円/時間と、メッチャ安くなります。しかし、実際のところ、この期間にどれほどエアコンが稼働するかは未知数です!。仮に12月~3月の120日間ほど、一日あたり10時間位まともに動いたとすれば、トータルで 1,200時間。逆算すると、時間単価は約 31円/時間となります。

一方、カタログに掲載されている、「定格出力」からも電気代を試算してみましょう。この機種の暖房時の消費電力は 1500W(110~4000W)ですから、1.5kW×28.82円/kWh=約 43円/時間となります。もちろん、お住まいの地域の外気温や設定温度、住宅の構造等によって、エアコンの消費電力量は変化しますので、あくまで目安にしかなりません。ちなみに、MAXパワー(最大出力=4000W)でフル稼働したとすると、4.0kWh×28.824円/kWh=約 115円/時間にもなります。

② 石油ファンヒーター

大型の石油ファンヒーターの、価格.comにおける今の売れ筋ランキング・トップは、コロナの「FH-WZ5718BY」(木造15畳・コンクリート20畳用、最安値で 36,000円位)。

この石油ファンヒーターの暖房出力は5.65~0.90kWで、燃料消費量は0.549L/h~0.087L/hです。また石油ファンヒーターは、燃焼と温風を吹き出すために電気を使い、その消費電力は弱で11W・強で25Wです。

灯油の平均的な消費量は、強と弱の中間値と想定すると、1時間あたり0.318L/hで、これに灯油代単価 100.8円/L(=1,815円/18L)を掛けると、灯油代は 32.1円/時間となります。また電気代の計算では、こちらも強と弱の間を取って18Wと想定すると、これに電気代単価 28.82円/kwhを掛けると、1時間あたりの電気代は 0.52円/時間となります。灯油代と電気代を合計すると、1時間あたりのランニングコストの合計は、約 33円/時間となります。ちなみに、最大出力でフル稼働したとすると、灯油代と電気代の合計は、約 56円/時間になります。

③ ガスファンヒーター

15畳以上向けのガスファンヒーターの一番売れ筋の商品は、リンナイの「RC-U5801E」(木造15畳・コンクリート21畳用、最安値で 41,000円位)です。

このガスファンヒーターの暖房能力は、都市ガス(13A)で5.81kWです。ガス機器のガス消費量は、おおよそ1kcal/h=1.163Wなので、ほぼ5,000kcal/hとなります。また、都市ガス(13A)の1m3あたりの発熱量は、45メガジュール(10,750kcal/h)ですから、1時間あたりのガス消費量は、約0.465m3(=5,000÷10,750)となります。これに、ガス代単価 154.43円/m3を掛けると、都市ガス代は 71.8円/hとなります。またガスファンヒーターは、燃焼と温風を吹き出すために電気を使い、その消費電力は17Wです。これに電気代単価 28.82円/kwhを掛けると、1時間あたりの電気代は 0.49円/hとなります。

したがって、このガスファンヒーターの1時間あたりのランニングコストの合計は、約 72円/時間となります。

暖房器具のランニングコスト目安(大部屋)
1時間当り 1日8h当り 1ヵ月当り 備考
大型エアコン 43 円/h 344 円/日 10,320 円/月 定格出力時。使用環境によって13円~115円/h。
石油ファンヒーター 33 円/h 264 円/日 7,920 円/月 機器能力の中間出力時。最大出力時は56円/h。
ガスファンヒーター 72 円/h 576 円/日 17,280 円/月 定格出力時。
※ それぞれの暖房機器の使用環境や試算条件は異なります。
※ 1ヵ月当りは、1日8時間×30日間利用した場合。
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