芥川賞-歴代受賞作- 全作品一覧

これまで芥川龍之介賞を受賞した作品の一覧です。

※ 過去に芥川賞にノミネートされた作品の一覧は、【芥川賞】歴代ノミネート作 一覧 のページをご覧ください。

※ 直木賞・本屋大賞の受賞作品一覧のページはこちらへ。
→ 直木賞 ~歴代受賞作一覧~
→ 本屋大賞~歴代受賞作一覧~

芥川龍之介賞」(通称 芥川賞)は、純文学の新人に与えられる文学賞です。雑誌(同人雑誌を含む)に発表された、新進作家による純文学の中・短編作品のなかから、文藝春秋社内の日本文学振興会によって候補作品が絞り込まれ、選考委員の合議によって受賞作が決定されます。大正時代を代表する小説家の一人・芥川龍之介の業績を記念して、友人であった菊池寛が1935年に直木三十五賞(直木賞)ともに創設し、以降年2回発表されるようになりました(上半期は前年12月から5月までに発表された作品、下半期は6月から11月までに発表された作品から選出)。

 第170回芥川賞 受賞作品決定!

東京都同情塔
[九段理江]

日本文学振興会は2024年1月17日(水)、第170回芥川賞・直木賞の選考会を都内で開催し、芥川龍之介賞に九段理江(くだん りえ)さん(33)の『東京都同情塔』(新潮12月号)が選ばれました。九段理江さんは、埼玉県出身の33歳。2021年に『悪い音楽』で文芸誌の新人賞を受賞しデビューし、一昨年に『Schoolgirl』で芥川賞に初ノミネート、2回目の候補での受賞となりました。

受賞作は、犯罪者が快適に暮らすための収容施設となる高層タワーが新宿の公園に建てられるという未来の日本が舞台。タワーをデザインした女性建築家が、過度に寛容を求める社会や生成AIが浸透した社会の言葉のあり方に違和感を覚え、悩みながらも力強く生きていく姿が描かれています。

芥川賞にノミネートされた小説(5作品)の詳細は、
別のページへ進む芥川賞 歴代ノミネート作 一覧 または 【芥川賞2023】候補作・受賞作 紹介のページをご覧ください。
 

なお、現在の芥川賞の選考委員は、小川洋子氏、奥泉光氏、川上弘美氏、島田雅彦氏、堀江敏幸氏、山田詠美氏、吉田修一氏、松浦寿輝氏、平野啓一郎氏の9名です(2020年1月に宮本輝氏が退任、代わって3月に平野氏が就任)。

 芥川龍之介賞 歴代受賞作一覧

芥川賞 受賞者「受賞作」 一覧
受賞年 受賞者 「受賞作」
2024年 下半期 第172回 候補作発表:12月中旬
受賞作発表:翌1月中旬
上半期 第171回 候補作発表:6月中旬
受賞作発表:7月中旬
2023年 下半期 第170回 九段理江「東京都同情塔芥川賞受賞作が決定
上半期 第169回 市川沙央「ハンチバック
2022年 下半期 第168回 佐藤厚志「荒地の家族」、井戸川射子「この世の喜びよ
上半期 第167回 高瀬隼子「おいしいごはんが食べられますように
2021年 下半期 第166回 砂川文次「ブラックボックス
上半期 第165回 石沢麻依「貝に続く場所にて」、李琴峰「彼岸花が咲く島
2020年 下半期 第164回 宇佐見りん「推し、燃ゆ
上半期 第163回 高山羽根子「首里の馬」、遠野遥「破局
2019年 下半期 第162回 古川真人「背高泡立草
上半期 第161回 今村夏子「むらさきのスカートの女
2018年 下半期 第160回 上田岳弘「ニムロッド」、町屋良平「1R(いちらうんど)1分34秒
上半期 第159回 高橋弘希「送り火
2017年 下半期 第158回 石井遊佳「百年泥」、若竹千佐子「おらおらでひとりいぐも
上半期 第157回 沼田真佑「影裏(えいり)
2016年 下半期 第156回 山下澄人「しんせかい
上半期 第155回 村田沙耶香「コンビニ人間
2015年 下半期 第154回 滝口悠生「死んでいない者」、本谷有希子「異類婚姻譚
上半期 第153回 羽田圭介「スクラップ・アンド・ビルド」、又吉直樹「火花
2014年 下半期 第152回 小野正嗣「九年前の祈り
上半期 第151回 柴崎友香「春の庭
2013年 下半期 第150回 小山田浩子「
上半期 第149回 藤野可織「爪と目
2012年 下半期 第148回 黒田夏子「abさんご
上半期 第147回 鹿島田真希「冥土めぐり
2011年 下半期 第146回 円城塔「道化師の蝶」、田中慎弥「共喰い
上半期 第145回 該当作品なし
2010年 下半期 第144回 朝吹真理子「きことわ」、西村賢太「苦役列車
上半期 第143回 赤染晶子「乙女の密告
2009年 下半期 第142回 該当作品なし
上半期 第141回 磯崎憲一郎「終の住処
2008年 下半期 第140回 津村記久子「ポトスライムの舟
上半期 第139回 楊逸「時が滲む朝
2007年 下半期 第138回 川上未映子「乳と卵
上半期 第137回 諏訪哲史「アサッテの人
2006年 下半期 第136回 青山七恵「ひとり日和
上半期 第135回 伊藤たかみ「八月の路上に捨てる
2005年 下半期 第134回 絲山秋子「沖で待つ
上半期 第133回 中村文則「土の中の子供
2004年 下半期 第132回 阿部和重「グランド・フィナーレ
上半期 第131回 モブ・ノリオ「介護入門
2003年 下半期 第130回 金原ひとみ「蛇にピアス」、綿矢りさ「蹴りたい背中
上半期 第129回 吉村萬壱「ハリガネムシ
2002年 下半期 第128回 大道珠貴「しょっぱいドライブ
上半期 第127回 吉田修一「パーク・ライフ
2001年 下半期 第126回 長嶋有「猛スピードで母は
上半期 第125回 玄侑宗久「中陰の花
2000年 下半期 第124回 青来有一「聖水」、堀江敏幸「熊の敷石
上半期 第123回 町田康「きれぎれ」、松浦寿輝「花腐し
1999年 下半期 第122回 玄月「蔭の棲みか」、藤野千夜「夏の約束
上半期 第121回 該当作品なし
1998年 下半期 第120回 平野啓一郎「日蝕
上半期 第119回 花村萬月「ゲルマニウムの夜」、藤沢周「ブエノスアイレス午前零時
1997年 下半期 第118回 該当作品なし
上半期 第117回 目取真俊「水滴
1996年 下半期 第116回 辻仁成「海峡の光」、柳美里「家族シネマ
上半期 第115回 川上弘美「蛇を踏む
1995年 下半期 第114回 又吉栄喜「豚の報い
上半期 第113回 保坂和志「この人の閾
1994年 下半期 第112回 該当作品なし
上半期 第111回 室井光広「おどるでく」、笙野頼子「タイムスリップ・コンビナート
1993年 下半期 第110回 奥泉光「石の来歴
上半期 第109回 吉目木晴彦「寂寥郊野
1992年 下半期 第108回 多和田葉子「犬婿入り
上半期 第107回 藤原智美「運転士
1991年 下半期 第106回 松村栄子「至高聖所
上半期 第105回 辺見庸「自動起床装置」、荻野アンナ「背負い水
1990年 下半期 第104回 小川洋子「妊娠カレンダー
上半期 第103回 辻原登「村の名前
1989年 下半期 第102回 大岡玲「表層生活」、瀧澤美恵子「ネコババのいる町で
上半期 第101回 該当作品なし
1988年 下半期 第100回 南木佳士「ダイヤモンドダスト」、李良枝「由煕
上半期 第99回 新井満「尋ね人の時間
1987年 下半期 第98回 池澤夏樹「スティル・ライフ」、三浦清宏「長男の出家
上半期 第97回 村田喜代子「鍋の中
1986年 下半期 第96回 該当作品なし
上半期 第95回 該当作品なし
1985年 下半期 第94回 米谷ふみ子「過越しの祭
上半期 第93回 該当作品なし
1984年 下半期 第92回 木崎さと子「青桐
上半期 第91回 該当作品なし
1983年 下半期 第90回 笠原淳「杢二の世界」、高樹のぶ子「光抱く友よ
上半期 第89回 該当作品なし
1982年 下半期 第88回 加藤幸子「夢の壁」、唐十郎「佐川君からの手紙
上半期 第87回 該当作品なし
1981年 下半期 第86回 該当作品なし
上半期 第85回 吉行理恵「小さな貴婦人
1980年 下半期 第84回 尾辻克彦「父が消えた
上半期 第83回 該当作品なし
1979年 下半期 第82回 森禮子「モッキングバードのいる町
上半期 第81回 重兼芳子「やまあいの煙」、青野聰「愚者の夜
1978年 下半期 第80回 該当作品なし
上半期 第79回 高橋揆一郎「伸予」、高橋三千綱「九月の空
1977年 下半期 第78回 宮本輝「螢川」、高城修三 「榧の木祭り
上半期 第77回 三田誠広「僕って何」、池田満寿夫「エーゲ海に捧ぐ
1976年 下半期 第76回 該当作品なし
上半期 第75回 村上龍「限りなく透明に近いブルー
1975年 下半期 第74回 中上健次「」、岡松和夫「志賀島
上半期 第73回 林京子「祭りの場
1974年 下半期 第72回 日野啓三「あの夕陽」、阪田寛夫「土の器
上半期 第71回 該当作品なし
1973年 下半期 第70回 野呂邦暢「草のつるぎ」、森敦「月山
上半期 第69回 三木卓「
1972年 下半期 第68回 山本道子 「ベティさんの庭」、郷静子「れくいえむ
上半期 第67回 畑山博「いつか汽笛を鳴らして」、宮原昭夫「誰かが触った
1971年 下半期 第66回 李恢成「砧をうつ女」、東峰夫「オキナワの少年
上半期 第65回 該当作品なし
1970年 下半期 第64回 古井由吉「杳子
上半期 第63回 吉田知子「無明長夜」、古山高麗雄「プレオー8の夜明け
1969年 下半期 第62回 清岡卓行「アカシヤの大連
上半期 第61回 庄司薫「赤頭巾ちゃん気をつけて」、田久保英夫「深い河
1968年 下半期 第60回 該当作品なし
上半期 第59回 丸谷才一「年の残り」、大庭みな子「三匹の蟹
1967年 下半期 第58回 柏原兵三「徳山道助の帰郷
上半期 第57回 大城立裕「カクテル・パーティー
1966年 下半期 第56回 丸山健二「夏の流れ
上半期 第55回 該当作品なし
1965年 下半期 第54回 高井有一「北の河
上半期 第53回 津村節子「玩具
1964年 下半期 第52回 該当作品なし
上半期 第51回 柴田翔「されどわれらが日々──
1963年 下半期 第50回 田辺聖子「感傷旅行 センチメンタル・ジャーニィ
上半期 第49回 後藤紀一「少年の橋」、河野多惠子「
1962年 下半期 第48回 該当作品なし
上半期 第47回 川村晃「美談の出発
1961年 下半期 第46回 宇能鴻一郎「鯨神
上半期 第45回 該当作品なし
1960年 下半期 第44回 三浦哲郎「忍ぶ川
上半期 第43回 北杜夫「夜と霧の隅で
1959年 下半期 第42回 該当作品なし
上半期 第41回 斯波四郎「山塔
1958年 下半期 第40回 該当作品なし
上半期 第39回 大江健三郎「飼育
1957年 下半期 第38回 開高健「裸の王様
上半期 第37回 菊村到「硫黄島
1956年 下半期 第36回 該当作品なし
上半期 第35回 近藤啓太郎「海人舟
1955年 下半期 第34回 石原慎太郎「太陽の季節
上半期 第33回 遠藤周作「白い人
1954年 下半期 第32回 小島信夫「アメリカン・スクール」、庄野潤三「プールサイド小景
上半期 第31回 吉行淳之介「驟雨」その他
1953年 下半期 第30回 該当作品なし
上半期 第29回 安岡章太郎「悪い仲間・陰気な愉しみ
1952年 下半期 第28回 五味康祐「喪神」、松本清張「或る「小倉日記」伝
上半期 第27回 該当作品なし
1951年 下半期 第26回 堀田善衛「広場の孤独」「漢奸」その他
上半期 第25回 安部公房「壁 S・カルマ氏の犯罪」、石川利光「春の草」他
1950年 下半期 第24回 該当作品なし
上半期 第23回 辻亮一「異邦人
1949年 下半期 第22回 井上靖「闘牛
上半期 第21回 由起しげ子「本の話」、小谷剛「確証
1945~
1948年
(第二次世界大戦のため中断)
1944年 下半期 第20回 清水基吉「雁立
上半期 第19回 八木義徳「劉廣福」、小尾十三「登攀
1943年 下半期 第18回 東野邊薫「和紙
上半期 第17回 石塚喜久三「纏足の頃
1942年 下半期 第16回 倉光俊夫「連絡員
上半期 第15回 該当作品なし
1941年 下半期 第14回 芝木好子「青果の市
上半期 第13回 多田裕計「長江デルタ
1940年 下半期 第12回 櫻田常久(桜田常久)「平賀源内
上半期 第11回 高木卓「歌と門の盾」(受賞辞退)
1939年 下半期 第10回 寒川光太郎「密猟者
上半期 第9回 半田義之「鶏騒動」、長谷健「あさくさの子供
1938年 下半期 第8回 中里恒子「乗合馬車」他
上半期 第7回 中山義秀「厚物咲
1937年 下半期 第6回 火野葦平「糞尿譚
上半期 第5回 尾崎一雄「暢気眼鏡」他
1936年 下半期 第4回 石川淳「普賢」、冨澤有爲男「地中海
上半期 第3回 小田嶽夫「城外」、鶴田知也「コシャマイン記
1935年 下半期 第2回 該当作品なし(二・二六事件のため審査中止)
上半期 第1回 石川達三「蒼氓

芥川賞と直木賞の違いについて

ちなみに、「芥川賞と直木賞の違い」についてですが、「芥川賞」(芥川龍之介賞)は純文学の新人に与えられる文学賞で、「直木賞」(直木三十五賞)は大衆文学の無名・新人及び中堅作家による大衆小説作品に与えられる文学賞です。

では、「純文学と大衆文学の違い」についてですが、純文学は娯楽性よりも“芸術性”に重きを置いている小説のことで、逆に大衆文学は芸術性よりも“娯楽性”に重きを置いている小説とされています。
ただし、ここでいう「芸術性とは何にか」についての定義は曖昧で、ある読者が低俗な作品だと感じたとしても、著者自身が「これは芸術である」と思って書いていれば純文学に位置付けられます。

過去には、大衆文学が読者の慰安を目的として興味本位に書かれるのに対して、純文学はあくまで作者の芸術的感性に基づいて生み出される作品であり、“純文学は大衆文学より高級である”との前提が広く受け入れられた時代があり、その後の文学論争に発展した経緯があります。

いずれにしても、これらの分類は“日本の近代文学および文壇における独特の用語”であり、自分が好む小説や作家がどっちに当てはまるかなど、まったく気にする必要は無いってことですね。こうした読者の現代的な感性が、古い拘りに未だに縛られ続けている芥川賞や直木賞の受賞作より、本屋大賞の受賞作の方が売れる時代になった背景の一つにあるのではないでしょうか・・・?。

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