【芥川賞2019】候補作・受賞作 紹介

令和元年度の芥川龍之介賞において、候補作として選考にノミネートされた全小説の一覧です。

※ 2019年度の直木三十五賞の候補作・受賞作は、【直木賞2019】のページへ!

 2019年上半期 芥川賞

候補作 一覧

令和で最初の開催となる、第161回(2019年上半期)芥川賞にノミネートされたのは、5作品。著者5人のうち、今村夏子(39)氏と古川真人(30)氏は3度目の候補入り、高山羽根子(44)氏と古市憲寿(34)氏は2度目の候補入りと常連組が多く、初ノミネートは李琴峰(29)氏のみ。前回に続き連続でノミネートされた、社会学者で数多くのテレビ出演や関連書籍を書いている人気の古市憲寿が、特に注目を集めました。

そして芥川賞に選ばれたのは、今村夏子さんの『むらさきのスカートの女』でした。

今村(いまむら)夏子(なつこ)さんプロフィールは広島県広島市出身の39歳。大阪市内の大学を卒業後、清掃のアルバイトなどを転々とし、29歳にして突然小説を書こうと思い立って書いた『あたらしい娘』(後に『こちらあみ子』に改題)が第26回太宰治賞を受賞。芥川賞にノミネートされたのは、2016年の『あひる』、2017年の『星の子』に続き3回目。受賞作の『むらさきのスカートの女』は、近所に住む“むらさきのスカートの女”の奇行を追いかける、別の女の視点で書かれたシュールな作品です。


第161回芥川賞 候補作一覧
芥川賞 受賞

むらさきのスカートの女」(小説トリッパー 春号)
今村夏子
 

カム・ギャザー・ラウンド・ピープル」(小説すばる 5月号)
高山羽根子
 

百の夜は跳ねて」(新潮 6月号)
古市憲寿
 

ラッコの家」(文學界 1月号)
古川真人
 

五つ数えれば三日月が」(文學界 6月号)
李琴峰

候補作紹介(内容、あらすじ)

むらさきのスカートの女(受賞作)

著者:今村いまむら夏子なつこ

「むらさきのスカートの女」と呼ばれる女性が気になって仕方のない〈わたし〉は、彼女と「ともだち」になるために、自分と同じ職場で彼女が働きだすよう誘導し……。ベストセラーとなった芥川賞受賞作。文庫化にあたって各紙誌に執筆した芥川賞受賞記念エッセイを全て収録。(朝日新聞出版)

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カム・ギャザー・ラウンド・ピープル

著者:高山たかやま羽根子はねこ

おばあちゃんは背中が一番美しかったこと、下校中知らないおじさんにお腹をなめられたこと、自分の言い分を看板に書いたりする「やりかた」があると知ったこと、高校時代、話のつまらない「ニシダ」という友だちがいたこと……。大人になった「私」は雨宿りのために立ち寄ったお店で「イズミ」と出会う。イズミは東京の記録を撮りため、SNSにアップしている。映像の中、デモの先頭に立っているのは、ドレス姿の美しい男性、成長したニシダだった。

イズミにつれられてやってきたデモの群衆の中、ニシダはステージの上から私を見つけ、私は逃げ出した。敷き詰められた過去の記憶とともに、私は渋谷の街を思い切り走る。ニシダにつかまらないように。(集英社)

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百の夜は跳ねて

著者:古市ふるいち憲寿のりとし

「格差ってのは上と下にだけあるんじゃない。同じ高さにもあるんだ」。高度200メートル。僕はビルの窓を拭く。頭の中で響く声を聞きながら。ある日、ふとガラスの向こうの老婆と目が合い……。境界を越えた出逢いは何をもたらすのか。無機質な都市に光を灯す「生」の姿を切々と描き切った、まったく新しい青春小説。(新潮社)

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ラッコの家

著者:古川ふるかわ真人まこと

見えないからこそ見えてくるものがある。夢とリアルが絶え間なく交錯する老女は、自らの空想に怯えていたことを笑い飛ばして生きる。

老女の〝意識の流れ〟を描く、実力派新人の芥川賞候補作。(文藝春秋)

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五つ数えれば三日月が

著者:琴峰ことみ

日本で働く台湾人の私。台湾人と結婚し、台湾に移り住んだ友人の実桜。平成最後の夏、二人は5年ぶりに東京で再会する。

話す言葉、住む国――選び取ってきたその先に、今だから伝えたい思いがある。(文藝春秋)

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 2019年下半期 芥川賞

候補作 一覧

第162回(2019年下半期)芥川賞にノミネートされたのは、5作品。著者5人のうち、古川真人(31)氏は4度目の候補入り、高尾長良(27)氏は3度目の候補入り、他の木村友祐(49)氏、千葉雅也(41)氏、乗代雄介(33)氏の3人は初の候補入りです。

そして芥川賞に選ばれたのは、古川真人さんの『背高泡立草(せいたかあわだちそう)』でした。

古川(ふるかわ)真人(まこと)さんプロフィールは福岡県福岡市出身の31歳。國學院大學文学部中退。2016年に『縫わんばならん』が第48回新潮新人賞を受賞しデビュー、同作が第156回芥川賞候補に選ばれます。翌2017年には『四時過ぎの船』が第157回芥川賞候補に、2019年には『ラッコの家』が第161回芥川賞候補に選ばれ、今回が4回目のノミネートで受賞に至りました。受賞作の『背高泡立草』は、長崎の離島を舞台にした物語。わいわいと親族で草刈りをする「現在」の視点から、ふとタイムスリップするように家が見つめてきた島を往来した「過去」の人々の人生が交錯する。お母さんが長崎県平戸市の的山大島出身で、作中で語られている同島独特の方言である「大島弁」での会話が、どこか遠い国の話を聞いている様な不思議な穏やかさを感じさせる作品です。


第162回芥川賞 候補作一覧


幼な子の聖戦」(すばる 11月号)
木村友祐
 

音に聞く」(文學界 9月号)
髙尾長良
 

デッドライン」(新潮 9月号)
千葉雅也
 

最高の任務」(群像 12月号)
乗代雄介
芥川賞 受賞

背高泡立草」(すばる 10月号)
古川真人

候補作紹介(内容、あらすじ)

幼な子の聖戦

著者:木村うさみ友祐うさみ

第162回芥川賞候補作「幼な子の聖戦」と、ビルの窓拭きを描いた話題作「天空の絵描きたち」を収録。憤怒と諦めのあいだに、かすかな希望を探る、著者の新境地!(集英社)

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音に聞く

著者:髙尾たかお長良ながら

音楽と言葉がぶつかり合う新鋭の傑作

デビュー以来連続して芥川賞候補になってきた二十代天才女性作家が、沈黙を破り放つ決定打。ウィーンを舞台にした愛憎のドラマ!(文藝春秋)

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デッドライン

著者:千葉ちば雅也まさや

珊瑚礁のまわりで群れをなす魚のように、導きあう男たちが夜の底をクルーズする――。ゲイであること、思考すること、生きること。修士論文のデッドラインが迫るなか、動物になることと女性になることの線上で悩み、哲学と格闘しつつ日々を送る「僕」。気鋭の哲学者による魂を揺さぶるデビュー小説。(新潮社)

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最高の任務

著者:乗代のりしろ雄介ゆうすけ

大学の卒業式を前にした私は、あるきっかけで、亡き叔母にもらって書き始めた、小学生の頃の日記帳をひもとく。日記を通して語られていく、叔母との記憶……。

第162回芥川賞候補作の表題作と、傑作中篇「生き方の問題」を収録。「手紙」と「日記」を通して、「書く」という行為の意味を問う――。野間文芸新人賞受賞の気鋭による青春小説集!(講談社)

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背高泡立草せいたかあわだちそう(受賞作)

著者:古川ふるかわ真人まこと

大村奈美は、母の実家・吉川家の納屋の草刈りをするために、母、伯母、従姉妹とともに福岡から長崎の島に向かう。吉川家には<古か家>と<新しい方の家>があるが、祖母が亡くなり、いずれも空き家になっていた。奈美は二つの家に関して、伯父や祖母の姉に話を聞く。吉川家は<新しい方の家>が建っている場所で戦前は酒屋をしていたが、戦中に統制が厳しくなって廃業し、満州に行く同じ集落の者から家を買って移り住んだという。それが<古か家>だった。島にはいつの時代も、海の向こうに出ていく者や、海からやってくる者があった。江戸時代には捕鯨が盛んで蝦夷でも漁をした者がおり、戦後には故郷の朝鮮に帰ろうとして船が難破し島の漁師に救助された人々がいた。時代が下って、カヌーに乗って鹿児島からやってきたという少年が現れたこともあった。草に埋もれた納屋を見ながら奈美は、吉川の者たちと二つの家に流れた時間、これから流れるだろう時間を思うのだった。(集英社)

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【関連ページ掲載】
※ これまで、「本屋大賞・芥川賞・直木賞」の全受賞作を、一覧(リスト)にしていましたが、あまりに数が多くなってしまったので、各賞を切り出した、それぞれのページを作りました。
 → 芥川賞-歴代受賞作|全作品一覧
 → 直木賞-歴代受賞作|全作品一覧
 → 本屋大賞-歴代受賞作|全作品一覧

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