【直木賞2019】候補作・受賞作 紹介

令和元年度の直木三十五賞において、候補作として選考にノミネートされた全小説の一覧です。

※ 2019年度の芥川龍之介賞の候補作・受賞作は、【芥川賞2019】のページへ!

 2019年上半期 直木賞

候補作 一覧

令和で最初の開催となる、第161回(2019年上半期)直木賞にノミネートされたのは、6作品。著者6人のうち、柚木麻子(37)氏は5度目、原田マハ(57)氏は4度目、澤田瞳子(41)氏は3度目、大島真寿美(56)氏と窪美澄(53)氏は2度目の候補入りと常連組が多く、初ノミネートは朝倉かすみ(58)氏のみ。なお、直木賞の候補者全員が女性で、これは芥川賞を含めて1935年の賞創設以来、初めてのことです。

そして直木賞に選ばれたのは、大島真寿美さんの『渦 妹背山女庭訓 魂結び』でした。

大島おおしま寿美ますみさんプロフィールは、愛知県名古屋市出身の56歳。高校時代から脚本を書き出し、大学卒業後には劇団を主宰し脚本と演出を手がけます。その後小説家に転身、1992年に『春の手品師』で第74回文學界新人賞を受賞しデビュー。2014年に『あなたの本当の人生は』で第152回直木三十五賞候補に選ばれ、今回が2回目のノミネートでした。受賞作の『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び(うず いもせやまおんなていきん たまむすび)』は、大島さんが初めて挑戦した時代小説で、江戸時代に大坂道頓堀で活躍した人形浄瑠璃作者の近松半二が主人公。父に連れられ芝居小屋に通い出した子が、浄瑠璃の魅力に取り付かれ、浄瑠璃作者として歩みだす。だが、弟子には先を越され、人形遣いからは何度も書き直させられ、それでも書かずにはいられない…。筆者自身の長年のテーマである、“物語はどこから生まれてくるのか”という問が重ね合わされています。


第161回直木賞 候補作一覧
 

平場の月
朝倉かすみ
直木賞 受賞

渦 妹背山婦女庭訓 魂結び
大島真寿美
 

トリニティ
窪美澄
 

落花
澤田瞳子
 

美しき愚かものたちのタブロー
原田マハ
 

マジカルグランマ
柚木麻子

候補作紹介(内容、あらすじ)

平場の月

著者:朝倉あさくら かすみ

朝霞、新座、志木――。家庭を持ってもこのへんに住む元女子たち。元男子の青砥も、このへんで育ち、働き、老いぼれていく連中のひとりである。須藤とは、病院の売店で再会した。中学時代にコクって振られた、芯の太い元女子だ。50年生きてきた男と女には、老いた家族や過去もあり、危うくて静かな世界が縷々と流れる――。

心のすき間を埋めるような感情のうねりを、求めあう熱情を、生きる哀しみを、圧倒的な筆致で描く、大人の恋愛小説。(光文社)

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うず 妹背山いもせやま婦女庭訓おんなていきん 魂結びたまむすび(受賞作)

著者:大島おおしま真寿美ますみ

江戸時代、芝居小屋が立ち並ぶ大坂・道頓堀。大阪の儒学者・穂積以貫の次男として生まれた成章。末楽しみな賢い子供だったが、浄瑠璃好きの父に手をひかれて、芝居小屋に通い出してから、浄瑠璃の魅力に取り付かれる。近松門左衛門の硯を父からもらって、物書きの道へ進むことに。弟弟子に先を越され、人形遣いからは何度も書き直しをさせられ、それでも書かずにはおられなかった半二。著者の長年のテーマ「物語はどこから生まれてくるのか」が、義太夫の如き「語り」にのって、見事に結晶した長編小説。(文藝春秋)

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トリニティ

著者:くぼ美澄みすみ

どんなに強欲と謗(そし)られようと、三つとも手に入れたかった――。50年前、出版社で出会った三人の女たちが半生をかけ、何を代償にしても手に入れようとした〈トリニティ=かけがえのない三つのもの〉とは? かつてなく深くまで抉り出した、現代日本を生き抜く女たちの夢と祈り――。平成の掉尾を飾る傑作!(新潮社)

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落花

著者:澤田さわだ瞳子とうこ

仁和寺僧・寛朝が東国で出会った、荒ぶる地の化身のようなもののふ。それはのちの謀反人・平将門だった。武士の世の胎動を描く傑作長篇!(中央公論新社)

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美しき愚かものたちのタブロー

著者:原田はらだマハまは

アートに青春と情熱をかけた男たちの物語

「日本に美術館を創りたい」。その夢を追いかけ、絵を一心に買い集めた男がいた。国立西洋美術館の礎“松方コレクション”誕生秘話。(文藝春秋)

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マジカルグランマ

著者:柚木ゆずき麻子あさこ

正子は75歳の元女優。携帯電話のCMで再デビューを果たし、順風満帆かと思いきや、ある出来事をきっかけに事務所を解雇され、急遽お金が必要な状況に。周りを巻き込み、逆境を跳ね返す生き方はマジカルグランマ(理想のおばあちゃん)像をぶち壊す!(朝日新聞出版)

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 2019年下半期 直木賞

候補作 一覧

第162回(2019年下半期)直木賞にノミネートされたのは、5作品。著者5人のうち、湊かなえ(46)氏は4度目の候補入り、ほかの4人は初の候補入りです。

そして直木賞に選ばれたのは、川越宗一さんの『熱源』でした。

川越かわごえ宗一そういちさんプロフィールは、鹿児島県生まれ、大阪府出身の41歳。会社員として働きながら30代後半になって小説添削講座を受講、2018年に『天地に燦たり』で第25回松本清張賞を受賞して作家デビュー。受賞作の『熱源』は2作目で、山田風太郎賞の候補に入り、本屋が選ぶ時代小説大賞を受賞、直木賞は初ノミネートでした。受賞作は、樺太(サハリン)で生まれ南極探検に赴いたアイヌ民族の男性と、ポーランドの文化人類学者を主人公にした歴史小説。ともに故郷を奪われた2人の生涯を描き、文明がもたらす理不尽な側面を浮き彫りにする作品です。


第162回直木賞 候補作一覧
 

嘘と正典
小川哲
直木賞 受賞

熱源
川越宗一
 

スワン
呉勝浩
 

背中の蜘蛛
誉田哲也
 

落日
湊かなえ

候補作紹介(内容、あらすじ)

嘘と正典

著者:小川おがわさとし

奇想小説、歴史小説、そしてSF小説……ジャンルすべてを包含して止揚する傑作集の誕生。

零落した稀代のマジシャンがタイムトラベルに挑む「魔術師」、名馬・スペシャルウィークの血統に我が身を重ねる「ひとすじの光」、無限の勝利を望む東フランクの王を永遠に呪縛する「時の扉」、音楽を通貨とする小さな島の伝説を探る「ムジカ・ムンダーナ」、ファッションとカルチャーが絶え果てた未来に残された「最後の不良」、CIA工作員が共産主義の消滅を企む「嘘と正典」の全6篇を収録。(早川書房)

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熱源(受賞作)

著者:川越かわごえ宗一そういち

樺太(サハリン)で生まれたアイヌ、ヤヨマネクフ。開拓使たちに故郷を奪われ、集団移住を強いられたのち、天然痘やコレラの流行で妻や多くの友人たちを亡くした彼は、やがて山辺安之助と名前を変え、ふたたび樺太に戻ることを志す。一方、ブロニスワフ・ピウスツキは、リトアニアに生まれた。ロシアの強烈な同化政策により母語であるポーランド語を話すことも許されなかった彼は、皇帝の暗殺計画に巻き込まれ、苦役囚として樺太に送られる。日本人にされそうになったアイヌと、ロシア人にされそうになったポーランド人。文明を押し付けられ、それによってアイデンティティを揺るがされた経験を持つ二人が、樺太で出会い、自らが守り継ぎたいものの正体に辿り着く。

樺太の厳しい風土やアイヌの風俗が鮮やかに描き出され、国家や民族、思想を超え、人と人が共に生きる姿が示される。金田一京助がその半生を「あいぬ物語」としてまとめた山辺安之助の生涯を軸に描かれた、読者の心に「熱」を残さずにはおかない書き下ろし歴史大作。(文藝春秋)

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スワン

著者:勝浩かつひろ

首都圏の巨大ショッピングモール「スワン」で起きたテロ事件。死者二十一名、重軽傷者十七名を出した前代未聞の悲劇の渦中で、犯人と接しながら、高校生のいずみは事件を生き延びた。

しかし、取り戻したはずの平穏な日々は、同じく事件に遭遇し、大けがをして入院中の同級生・小梢の告発によって乱される。次に誰を殺すか、いずみが犯人に指名させられたこと。そしてそのことでいずみが生きながらえたという事実が、週刊誌に暴露されたのだ。被害者から一転、非難の的となったいずみ。

そんななか、彼女のもとに一通の招待状が届く。集まったのは、事件に巻き込まれ、生き残った五人の関係者。目的は事件の中の一つの「死」の真相を明らかにすること。彼らが抱える秘密とは? そして隠された真実とは。(講談社)

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背中の蜘蛛

著者:誉田ほんだ哲也てつや

ついに、ここまできた――。前人未到、孤高の警察小説が誕生した。東京・池袋の路上で男の死体が発見された。目撃者もなく捜査は難航、しかし「あること」がきっかけになり捜査が急転。それから約半年後。東京・新木場で爆殺事件が発生。こちらもな捜査はなかなか進展しなかったが、「あること」が転換点となり容疑者が浮かぶ……。捜査に携わる管理官を中心に、新時代の警察捜査を濃密に描く。著者史上、もっとも尖った警察小説。(双葉社)

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落日

著者:みなと かなえ

新人脚本家の甲斐千尋は、新進気鋭の映画監督長谷部香から、新作の相談を受けた。『笹塚町一家殺害事件』引きこもりの男性が高校生の妹を自宅で刺殺後、放火して両親も死に至らしめた。15年前に起きた、判決も確定しているこの事件を手がけたいという。笹塚町は千尋の生まれ故郷だった。この事件を、香は何故撮りたいのか。千尋はどう向き合うのか。“真実”とは、“救い”とは、そして、“表現する”ということは。絶望の深淵を見た人々の祈りと再生の物語。(角川春樹事務所)

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【関連ページ掲載】
※ これまで、「本屋大賞・芥川賞・直木賞」の全受賞作を、一覧(リスト)にしていましたが、あまりに数が多くなってしまったので、各賞を切り出した、それぞれのページを作りました。
 → 芥川賞-歴代受賞作|全作品一覧
 → 直木賞-歴代受賞作|全作品一覧
 → 本屋大賞-歴代受賞作|全作品一覧

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