【直木賞2022】候補作・受賞作 紹介

令和4年度の直木三十五賞において、候補作として選考にノミネートされた全小説の一覧です。

※ 2022年下半期の第168回直木賞の受賞作が決定しました!。新着記事、最新記事
※ 2022年度の芥川龍之介賞の候補作・受賞作は、【芥川賞2022】のページへ!

 2022年下半期 直木賞

候補作 一覧

第168回(2022年下半期)直木賞にノミネートされたのは、5作品。著者5人のうち、千早茜(43)氏は3度目の候補入り、一穂ミチ(44)氏と小川哲(35)氏は2度目の候補入りです。なお、雫井脩介(54)氏は初ノミネートですが、『犯人に告ぐ』をはじめ、『火の粉』『クローズド・ノート』『ビター・ブラッド』『検察側の罪人』『望み』など、映画やドラマの原作を多数手掛けています。また、同じく初ノミネートのボーイズラブ小説家として知られる凪良ゆう(49)氏は、『流浪の月』(2020年第17回本屋大賞受賞)が今年映画化されました。

そして直木賞に選ばれたのは、小川哲さんの『地図と拳』と、千早茜さんの『しろがねの葉』の2作品でした。

小川おがわさとしさんプロフィールは、千葉市出身の36歳。東京大学を卒業後、同大学大学院博士課程を中退。2015年に『ユートロニカのこちら側』で第3回ハヤカワSFコンテスト大賞を受賞しデビューし、直木賞は2度目の候補入りでした。

千早ちはやあかねさんプロフィールは、北海道江別市出身の43歳。立命館大学を卒業後、2008年に『魚神(いおがみ)』で第21回小説すばる新人賞を受賞しデビューし、直木賞は3度目の候補入りでした。


第168回直木賞 候補作一覧
 

光のとこにいてね」(文藝春秋)
一穂ミチ
 
直木賞 受賞

地図と拳」(集英社)
小川哲
 
 

クロコダイル・ティアーズ」(文藝春秋)
雫井脩介
 
直木賞 受賞

しろがねの葉」(新潮社)
千早茜
 
 

汝、星のごとく」(講談社)
凪良ゆう
 

候補作紹介(内容、あらすじ)

光のとこにいてね

著者:一穂いちほミチみち

古びた団地の片隅で、彼女と出会った。彼女と私は、なにもかもが違った。着るものも食べるものも住む世界も。でもなぜか、彼女が笑うと、私も笑顔になれた。彼女が泣くと、私も悲しくなった。彼女に惹かれたその日から、残酷な現実も平気だと思えた。ずっと一緒にはいられないと分かっていながら、一瞬の幸せが、永遠となることを祈った。どうして彼女しかダメなんだろう。どうして彼女とじゃないと、私は幸せじゃないんだろう……。

運命に導かれ、運命に引き裂かれる――ひとつの愛に惑う二人の、四半世紀の物語。(文藝春秋)

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地図と拳(受賞作)

著者:小川おがわさとし

「君は満洲という白紙の地図に、夢を書きこむ」 日本からの密偵に帯同し、通訳として満洲に渡った細川。ロシアの鉄道網拡大のために派遣された神父クラスニコフ。叔父にだまされ不毛の土地へと移住した孫悟空。地図に描かれた存在しない島を探し、海を渡った須野……。奉天の東にある〈李家鎮〉へと呼び寄せられた男たち。「燃える土」をめぐり、殺戮の半世紀を生きる。

ひとつの都市が現われ、そして消えた。日露戦争前夜から第2次大戦までの半世紀、満洲の名もない都市で繰り広げられる知略と殺戮。日本SF界の新星が放つ、歴史×空想小説。(集英社)

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クロコダイル・ティアーズ

著者:雫井しずくい脩介しゅうすけ

この美しき妻は、夫の殺害を企んだのか。息子を殺害した犯人は、嫁である想代子のかつての恋人。被告となった男は、裁判で「想代子から『夫殺し』を依頼された」と主張する。犯人の一言で、残された家族の間に、疑念が広がってしまう

「息子を殺したのは、あの子よ」「馬鹿を言うな。俺たちは家族じゃないか」 未亡人となった想代子を疑う母親と、信じたい父親。家族にまつわる「疑心暗鬼の闇」を描く、静謐で濃密なサスペンスが誕生!(文藝春秋)

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しろがねの葉(受賞作)

著者:千早ちはやあかね

戦国末期、シルバーラッシュに沸く石見銀山。天才山師・喜兵衛に拾われた少女ウメは、銀山の知識と未知の鉱脈のありかを授けられ、女だてらに坑道で働き出す。しかし徳川の支配強化により喜兵衛は生気を失い、ウメは欲望と死の影渦巻く世界にひとり投げ出されて……。生きることの官能を描き切った新境地にして渾身の大河長篇!(新潮社)

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汝、星のごとく

著者:凪良なぎらゆうゆう

その愛は、あまりにも切ない。正しさに縛られ、愛に呪われ、それでもわたしたちは生きていく。本屋大賞受賞作『流浪の月』著者の、心の奥深くに響く最高傑作。

風光明媚な瀬戸内の島に育った高校生の暁海(あきみ)と、自由奔放な母の恋愛に振り回され島に転校してきた櫂(かい)。ともに心に孤独と欠落を抱えた二人は、惹かれ合い、すれ違い、そして成長していく。生きることの自由さと不自由さを描き続けてきた著者が紡ぐ、ひとつではない愛の物語。(講談社)

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 2022年上半期 直木賞

候補作 一覧

第167回(2022年上半期)直木賞にノミネートされたのは、5作品。著者5人のうち、窪美澄(56)氏と呉勝浩(40)氏、深緑野分(38)氏の3人は3度目の候補入り、河崎秋子(42)氏と永井紗耶子(45)氏は初の候補入りです。なお、今回の芥川賞では史上初めて候補者5人全員が女性でしたが、直木賞でも候補者の5人中4人が女性で、昨今の女性作家の勢いを感じます。ちなみに、直木賞では過去に、第161回(2019年上半期)の候補者6人全員が女性だったことがあります。

そして、直木賞に選ばれたのは、窪美澄さん(56)の『夜に星を放つ』でした。

窪さんは、1965年生まれ。フリーの編集ライターを経て、2009年に『ミクマリ』で第8回女による女のためのR-18文学賞大賞を受賞しデビュー。2011年に受賞作を収録した『ふがいない僕は空を見た』で第24回山本周五郎賞を受賞。同作は本屋大賞第2位、本の雑誌が選ぶ2010年度ベスト10で第1位となります。直木賞は、3回目のノミネートでした。


第167回直木賞 候補作一覧
 

絞め殺しの樹」(小学館)
河崎秋子
 
直木賞 受賞

夜に星を放つ」(文芸春秋)
窪美澄
 
 

爆弾」(講談社)
呉勝浩
 
 

女人入眼」(中央公論新社)
永井紗耶子
 
 

スタッフロール」(文藝春秋)
深緑野分
 

候補作紹介(内容、あらすじ)

絞め殺しの樹

著者:河崎かわさき秋子あきこ

あなたは、哀れでも可哀相でもないんですよ

北海道根室で生まれ、新潟で育ったミサエは、両親の顔を知らない。昭和十年、十歳で元屯田兵の吉岡家に引き取られる形で根室に舞い戻ったミサエは、ボロ雑巾のようにこき使われた。しかし、吉岡家出入りの薬売りに見込まれて、札幌の薬問屋で奉公することに。戦後、ミサエは保健婦となり、再び根室に暮らすようになる。幸せとは言えない結婚生活、そして長女の幼すぎる死。数々の苦難に遭いながら、ひっそりと生を全うしたミサエは幸せだったのか。養子に出された息子の雄介は、ミサエの人生の道のりを辿ろうとする。数々の文学賞に輝いた俊英が圧倒的筆力で贈る、北の女の一代記。(小学館)

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夜に星を放つ(受賞作)

著者:くぼ美澄みすみ

かけがえのない人間関係を失い傷ついた者たちが、再び誰かと心を通わせることができるのかを問いかける短編集。

コロナ禍のさなか、婚活アプリで出会った恋人との関係、30歳を前に早世した双子の妹の彼氏との交流を通して、人が人と別れることの哀しみを描く「真夜中のアボカド」。学校でいじめを受けている女子中学生と亡くなった母親の幽霊との奇妙な同居生活を描く「真珠星スピカ」、父の再婚相手との微妙な溝を埋められない小学生の寄る辺なさを描く「星の随に」など、人の心の揺らぎが輝きを放つ五編。(文藝春秋)

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爆弾

著者:勝浩かつひろ

東京、炎上。正義は、守れるのか。

些細な傷害事件で、とぼけた見た目の中年男が野方署に連行された。たかが酔っ払いと見くびる警察だが、男は取調べの最中「十時に秋葉原で爆発がある」と予言する。直後、秋葉原の廃ビルが爆発。まさか、この男“本物”か。さらに男はあっけらかんと告げる。「ここから三度、次は一時間後に爆発します」。警察は爆発を止めることができるのか。爆弾魔の悪意に戦慄する、ノンストップ・ミステリー。(講談社)

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女人入眼

著者:永井ながい紗耶子さやこ

「大仏は眼が入って初めて仏となるのです。男たちが戦で彫り上げた国の形に、玉眼を入れるのは、女人であろうと私は思うのですよ」建久六年(1195年)。京の六条殿に仕える女房・周子は、宮中掌握の一手として、源頼朝と北条政子の娘・大姫を入内させるという命を受けて鎌倉へ入る。気鬱の病を抱え、繊細な心を持つ大姫と、大きな野望を抱き、それゆえ娘への強い圧力となる政子。二人のことを探る周子が辿り着いた、母子の間に横たわる悲しき過去とは――。「鎌倉幕府最大の失策」と呼ばれる謎多き事件・大姫入内。その背後には、政治の実権をめぐる女たちの戦いと、わかり合えない母と娘の物語があった。(中央公論新社)

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スタッフロール

著者:深緑ふかみどり野分のわき

戦後ハリウッドの映画界でもがき、爪痕を残そうと奮闘した特殊造形師・マチルダ。脚光を浴びながら、自身の才能を信じ切れず葛藤する、現代ロンドンのCGクリエイター・ヴィヴィアン。CGの嵐が吹き荒れるなか、映画に魅せられた2人の魂が、時を越えて共鳴する。特殊効果の“魔法”によって、“夢”を生み出すことに人生を賭した2人の女性クリエイター。その愛と真実の物語。(文藝春秋)

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【関連ページ掲載】
※ これまで、「本屋大賞・芥川賞・直木賞」の全受賞作を、一覧(リスト)にしていましたが、あまりに数が多くなってしまったので、各賞を切り出した、それぞれのページを作りました。
→ 【芥川賞】 歴代受賞作|全作品一覧
  → 芥川賞 歴代ノミネート作一覧
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  → 直木賞 歴代ノミネート作一覧
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