DIY リフォームに挑戦⑤-床板の張替

床板を上張り(重ね張り)工法で、フローリングに張り替えます!

 1.床板リフォームの工法について

床板のリフォーム(張り替え)には、 既存の床板を剥いで、根太(ねだ、床板を張るために303mm間隔に渡された約45mm角の材木)に、床板を張り直す方法(張り替え工事)と、 既存の床板の上にそのまま新しい床板を張ってしまう方法(上張り工法、重ね張り工法とか二重張り工法とも)があります。

前者は、床板を剥ぐための工事が必要で、多量の廃材が発生するのが難点です(デメリット)。ただし、床下の状態を確認し、根太や大引(おおびき)に腐食等の問題個所があれば、補修することができ、床の高さも現状と変わらなくできるため、段差ができたり戸が開かなくなったりという問題は避けられます(メリット)。
一方、後者の上張り(重ね張り)工法であれば、床板を剥ぐための工事も必要なく、廃材も発生しません。また、既存の床に構造的な問題(腐食等)が無ければ、床板が二重になる分、床の強度が増すことも期待できます(メリット)。ただし、床の厚み(高さ)が増すことで、段差が生じたり扉が当たったりする可能性があります(デメリット)。

今回、倉庫を卓球場にリフォームするのに、床が高くなっても、何ら問題ありません。サッシの隙間も、十分あります。また、既存の倉庫の床板は、硬い樫の木が使われているので、むしろ捨て貼り合板や、複合フローリングなどより、よっぽど丈夫なはずです。したがって今回は、上張り(重ね張り)以外の選択肢は、有りえません。

ただ問題は、その古い樫の木の床板が、所々割れたり反ったりして、段差が半端なく生じてしまっていることです。そこで、段差をなくすために、合板(べニア材)の「捨て張り」が必要か否かが、次の課題です。

元の床板の状態
既存の床板の状態

「直張り」と「捨て張り」工法の違い

床板を全部張り替える工事でも、既存の床板に上張りする重ね張り工法でも、 新しい床板を直接張る方法と、 12mmあるいは6~8mm程度の厚さの合板(べニア板)を下に張ってから(これを「捨て貼り」と呼びます)、その上に新しいフローリング材を張る方法があります。

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捨て貼り用の合板は、特に湿気の無い場所であれば、安い規格のもので構わないのですが、それでも1枚(12mm厚、3×6版)で1千円ほど、1坪なら2千円、10坪で2万円の出費増になります。また、張り上げる手間が、ほぼ2倍余計にかかります。

「どうしたものか?」と、散々悩んだ挙句、フローリング材を購入した「アウトレット床材本舗楽天市場店 」さんにメールで相談したところ、『既存の床の上に新しい床板を仮置きして、上で飛び跳ねてみると施工後のイメージがつかめるかも』と、アドバイスをもらいました。そこで、そのまま新しい床板を重ねた場合と、試しに12mm厚の合板を敷いた上に床板を置いた場合とで、床を踏んだ感触を比較してみました。もちろん、釘止めしていないので、実際の感覚とは異なると思いますが、明らかに合板を敷いた方が、床を踏んだ時に足に伝わる”床板のしっかり感”が違います。結局悩んだ末、コストアップにはなりますが、後から後悔しても張り直せないので、既存の床板の上に12mm厚の合板を敷き詰め、その上に新しい床板を上張りすることにしました。


 2.床板の張り替え(上張り)作業

(1)合板の捨て張り作業

合板は、特に湿気がある場所ではないので(湿気の多い所では1類(あるいは特類)規格の構造用合板を使用)、近所のコメリで一番安かった針葉樹合板(12mm厚の3×6版、998円/枚)を使い、ウレタン系のフローリング用ボンド「床職人 」と、「コーススレッド 」(タッピングネジ)を使って、頑丈に既存の床板の上に敷き並べました。コーススレッドは、コメリの「黒コース」が使いやすかったです。10坪の既存の床板の補強と、捨て貼り用の合板を張るのに、合わせて2千本近くのネジを打ち込みました。腰と肩が痛くなり、ドリルを持った親指の付け根の皮が剥けそう・・・。

注意】 捨て張り用の合板を敷き詰める際に、既存の床板の釘の位置(根太の位置)を、合板に印を付けておくのを忘れないように!。

捨て張りの合板は、少々隙間が開こうが大した問題ではありませんので、柱の切り込み部分なども、端材などを活用して、効率よく作業を進めます。基本的に、既存の床板とクロス方向(根太の方向)に、合板の長手方向が来るようにして、出来るだけ繋ぎ目が重ならないように、敷いて行きます。


根太の位置を、合板に鉛筆で印を付けたら、墨出しをして、その線上に等間隔にコーススレッドを打ち込みます。合板の厚みが12mm、既存の床板の厚さが17mmほどなので、下の根太まで届くように、51mmの黒コースを使いました。また補強のために、横方向の間々にも、既存の床板との接合目的で、短めの41mmの黒コースを、これでもか!ってくらい打ち込んでおきました。

墨出しには、「墨壺 」を使います。最初、たぶん今回しか使わないであろう墨壺を、わざわざ買うのを躊躇して、糸を張って、鉛筆で線を引こうとトライしましたが、速攻で断念しました。墨壺、誰が考えたか知りませんが、すばらしい道具です。今回しか使わないでしょうが、1千円出してでも買うだけの価値ある、大工道具の一つでした。

捨て貼り前と後の写真

 

(2)新しいフローリング板の上張り作業

捨て張り作業が済んだら、いよいよ、その上に新しいフローリング板を張っていきます。

a.墨出し

まず、捨て合板の上に、根太の墨出しを、端から端まで完全に済ませます。次に、フローリング材を張るための、基準線となる墨を引きます。

一般的な「複合フローリング」のサイズは、303㎜×1818㎜です。部屋の奥から、手前に床板を張ってくるので、一番奥の壁から305mm離して、墨を引きます。今回リフォームする倉庫の壁は、ブロック塀で、その上に石膏ボードをGL工法で貼り付けているので、壁が完全に直線ではありません。そのため、一番狭い所でも303mm以上は確保できる場所に、ライン(基準線)を引くことにしました。

後は、その墨と平行に、303mm間隔で、部屋の入口(手前)まで、墨を引いていきます。最後に引いた線(墨)と、部屋の入口との隙間があまり狭いと、最後にフローリング材を細長く切る必要があり、施工面でも難しい作業が残ってしまいます。そのため、もし最後に敷く床板の幅が狭すぎるようであれば、スタートとなる基準線を動かして、最初の床板の幅を切って調整します。壁際の切り口が多少曲っても、幅木で隠せるので、問題ありません。むしろ、壁と床板との間は、多少隙間が開いた方が、床板の伸縮にも対応できます。

注意】 最後に敷くフローリング材の幅が狭くなりすぎないように、敷き始めの基準線の方を調整します!。隙間は、巾木で隠せます。

b.床板の割り付け

次に、フローリング材を無駄にしないよう、床板の「割り付け図」を作成します。張り始めはメスメスの角から
床板本舗さんに作ってもらった割り付け図を参考に、実際の部屋の寸法に合わせて、パワーポイントを使って、自分で割り付け図を作ってみました。パワーポイントだと、矩形(挿入→図→四角)を選び、適当な大きさの四角形を描いてから、図のサイズ設定で高さと幅を数値(cm)で指定すると、一定の縮尺の図面を簡単に作ることができます。
今回、3間×3間の約10坪、約6m弱四方の大きさの図面を描くには、実際のcm単位の数値を0.03倍のサイズに指定して描いたところ、ちょうどA4サイズの用紙に納まりました。つまり、1/33.33倍の縮尺図という事になります。

注意】 フローリングは、部屋の奥、メスメスの角から、張り始めます!。

フローリングの床板を張り始めるには、部屋の”奥側”の、床板の”メスメスの角”から、手前に張っていきます。フローリング材には、長辺と短辺の両側に、オスとメスの「実(サネ)」(凸凹)がそれぞれありますが、品物によって、オスとメスの方向が異なる場合があります。購入したフローリング材のメスメスの角の位置を確認してから、施工を始めるようにして下さい。

『よし、これで完璧!』と、張り始めてみたところ、これがまた、大失敗・・・。

自分で作った割り付け図の通りに、まず一列目を3枚張り終わってから、次に2列目の最初の板を図面の長さに切って張り終え、さて次の床板をオス実に差し込もうと思ったら、「何と、オス実が無い!」。
そりゃそうです。メス実から長さを計って切り取った方を、先に貼ってしまったのですから・・・。

素人のDIYですから、プロの職人さんがやるように、フローリングの継ぎ面を縦に揃えることは、早々に諦めました。

床板の割り付け図

結局どうしたかと言うと、前列の最後に切り余った端材を、次列の最初に敷くことで、オス・メスの実を有効に(無駄にせず)、張り進めることができます。その代り、継ぎ目は階段状になってしまいますが、卓球場の床板ですから、これで十分です。あまりに短い端材が出てしまった時は、隙間用に回してください。

c.フローリングの張り方のコツ

最初は、試行錯誤の繰り返しでしたが、1坪、2坪目を張り終えた辺りから、だいぶコツが分かってきました。

フローリングをきれいに張るには、最初の一列目がとても肝心です。二列目以降は、床板のオス実(さね)の方から添え木を当てて、思いっきり玄能(金づち)で叩いて、一列目のオス実に、二列目のメス実を叩き入れます。この時、少々の隙間なら構わないだろうと妥協せず、ちょっとでも隙間が開いていたら、実が少々潰れても構わないので、躊躇せず思いっきり叩き込んでください。ただし、あまり叩きすぎると、接合部分が後で盛り上がってしまうことに。確かに、素人でもDIYで出来る作業なのですが、きれいに仕上げるのは、至難の業です。次回があるとすれば、もっと上手く出来るかも・・・。

注意】 床板は、硬くて長めの添え木を使って、躊躇せず、思いっきり叩き込むこと!。ただし、叩きすぎると接合部が盛り上がってしまうので注意!。

新品のフローリングでも、梱包を解くと、結構反っています。そのため、一度にうまく実を全部はめることができません。まず端をはめたら、板の上に乗って、両足を広げて反りを抑えながら、自分が乗っている板を、先に張った後方の板のオス実に叩き込みます。それでも一遍に納まりきらない時は、端を決めたら角近くに釘を仮打ちして位置を固定してから、反対側を叩き込みます。

フロアー釘を打ち込む位置使うフロアー釘は、#14×38mmが一般的ですが、釘を打ってもフローリングに問題が生じないようであれば、45mmの方が打ちやすいし、シッカリ止まるように思いました。釘を刺す場所は、オス実の付け根(角)ではなく、気持~ち(0.5mmくらい)、オス実の出っぱっている方に寄せて打つと、きれいに打ち込めます。
最後は、釘しめ(ポンチ)で頭が出ないように打ち込みますが、釘しめ(ポンチ)は釘に対して真っ直ぐ添えて叩くと、すんなり入ります。逆に、ちょっとでも釘に対して曲って当てると、なかなかうまく打てません。。

床張り用のボンドには、アクリル系の根太ボンドと、ウレタン系の床板ボンドがあります。捨て貼り合板の上にフロアー材を張る際には、伸び縮みが大きい無垢のフローリングなら、絶対にウレタン系のボンドを使ってください。あまり伸び縮みしない複合フローリングなら、アクリル系の根太ボンドでも問題ないようですが、値段の差は2~3割程度なので、今回は安全をみて、ウレタン樹脂系無溶剤形の「コニシ 床職人 」を使いました。なお、硬く硬化してしまう、「木工用ボンド」は厳禁です。
床職人はアプリパックという容器が使われていますが、寒いと硬くて、ボンドを絞り出すのに苦労します。寒い時期に作業するなら、コーキングガン用のボンドがお勧めです。

注意】 どん詰まりにならないように、張り上がる場所(最後の床板をはめ込む場所)を、途中の段階で予定しましょう!。

最後の2列の仕上げ方最後の2列目になると、壁との隙間が狭くなって、実を叩き込む作業にも支障が出る場合があります。その場合は、最後の二列は、一緒に張っていく必要があります。
方法は、最後から二列目を仮置きして、最終列の幅を計り、最終列のフローリング材を切り出します。切り出した寸法に間違いが無いか確認したら、最後の二列のフローリング材にボンドを塗ります。そして、その二列を山形に組んで、オス実とメス実の位置を合わせたら、上から添え木を当てて叩き、押し下げます。すると、サイズがきちんと合っていれば、見事に実(さね)がハマり、きっちりと張り上げることができます。

なお、最後の一列の幅が十分にあり、幅木で壁際の隙間や仕上がりを隠すことができるのであれば、壁際に”梃子”(テコ)になる棒(釘抜きなど)を差し込んで、手前のオス実に押し込むことも可能です。

フローリング張りに必要な道具

 

 3.完成!

構想に2週間、施工に約1か月、合計1月半かかって、ようやくDIY卓球場が完成です!。

フローリング張り替え後の写真

 

 このコーナーの目次

リフォームの手順の図 リフォームの概要と手順 鉄骨の柱と土蔵の扉を塗装 ブロック塀に石膏ボードを貼る Cチャンネルにプリント合板を張る 床板の張り換え(上張り工法)

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