米の品種による違いを調べて、その特徴を比較してみました。
日本各地では、それぞれの地域の気候や風土に合わせたお米が生産されており、さらに近年はバイオ技術の発展により、品種改良も盛んに行われるようになってきました。現在、日本で生産されているお米の品種は、全部で300種類もあると言われています。
その中で、日本で一番多く生産され、もっとも多く食べられているお米の銘柄は、断トツで「コシヒカリ」です。その作付割合は36.2%と、2位の「ひとめぼれ」(9.6%)の4倍近くにも及びます。10年前には全体の38%を占めていたので、この10年間で2ポイント低下していますが、それでもなお、『日本のお米の雄』であることに変わりありません。
なお、2位以下のお米の作付順位は、年々どんどん入れ替わってきています。例えば、10年前に北海道で主に生産されていた品種は、「きらら397」や「ほしのゆめ」でしたが、今では「ななつぼし」が主流米となっています。消費者にとっては美味しさが決めてとなりますが、生産者にとっては作りやすさと収益性が、生産米を選ぶうえでの重要なポイントとなります。
順位 | 品種名 | 作付割合 | 主要産地 | 順位 | 品種名 | 作付割合 | 主要産地 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | コシヒカリ | 36.2% | 新潟、茨城、栃木 | 11 | こしいぶき | 1.4% | 新潟 | |
2 | ひとめぼれ | 9.6% | 宮城、岩手、福島 | 12 | きぬむすめ | 1.2% | 島根、鳥取、岡山 | |
3 | ヒノヒカリ | 9.1% | 熊本、大分、鹿児島 | 13 | つがるロマン | 1.0% | 青森 | |
4 | あきたこまち | 7.0% | 秋田、岩手、茨城 | 14 | 夢つくし | 1.0% | 福岡 | |
5 | ななつぼし | 3.5% | 北海道 | 15 | つや姫 | 1.0% | 山形、宮城 | |
6 | はえぬき | 2.8% | 山形、香川、秋田 | 16 | あいちのかおり | 0.9% | 愛知、静岡 | |
7 | キヌヒカリ | 2.5% | 滋賀、兵庫、埼玉 | 17 | きらら397 | 0.7% | 北海道 | |
8 | まっしぐら | 1.8% | 青森 | 18 | 彩のかがやき | 0.7% | 埼玉 | |
9 | あさひの夢 | 1.6% | 栃木、群馬 | 19 | ハツシモ | 0.6% | 岐阜 | |
10 | ゆめぴりか | 1.5% | 北海道 | 20 | ふさこがね | 0.6% | 千葉 |
公益社団法人 米穀安定供給確保支援機構「米ネット」、品種別作付動向より
主な流通米の銘柄ごとに、そのお米の特徴をみていきましょう。なお、私が住んでいる長野県では、西日本で生産が主流のお米は出回っていないので、ここには挙げていません。あしからずご容赦を。
お米選びは、結構難しいものです。
評判がイイ、人気があるからと言っても、柔らかくもっちりした食感が好きな人もいれば、硬めで噛みごたえがある粘っこい食感が好きな人や、パラっとした食感が好きな人もいます。甘みがあり、お米の味を強く感じる方が好きな人もいれば、香りも甘みも控えめで、あっさりした味のお米が好みという人もいます。
食味・食感・粘り・香り・外観、何れに重みを置くかも人それぞれで、好き嫌いは十人十色と言っても過言ではありません。さらに問題なのは、生産地や作柄によってお米の品質が変わりますし、同じお米だとしても、炊き方や季節、重ねた年齢によって、人の好みが変わってきます。
まずは、いろいろなお米を買ってみて、様々な炊き方や調理、おかず選びにチャレンジし、年月をかけて自分好みのお米を探していくのも、楽しからずや(笑)。
※ 丸数字は、作付面積の多い順番。つまり多く売られているお米です。
日本穀物検定協会では、良質米作りの推進と米の消費拡大に役立てるため、昭和46年産米より、全国規模の代表的な産地品種について食味試験を行い、その結果を毎年「食味ランキング」として発表しています。
日本穀物検定協会が2018年2月28日に発表した平成29年(2017年)産米の食味ランキングによると、5段階評価で最上級の「特A」は43銘柄となり、2016年産に比べ1銘柄減りました。注目は、「新潟県魚沼産コシヒカリ」!特Aが設けられた1989年産から、唯一確保し続けてきた最高評価の「特A」を初めて逃し、今年は「A」に格下げとなってしまいました(汗)。ちなみに、今年初めて「特A」を獲得したのは、埼玉(県東)の「彩のきずな 」、高知(県北)の「にこまる 」、佐賀の「夢しずく 」の3銘柄です。「彩のきずな」と「にこまる」は、初登場で「特A」に選ばれました。
食味試験は、日本穀物検定協会において選抜訓練した専門の評価員である食味評価エキスパートパネル20名により、白飯の「外観・香り・味・粘り・硬さ・総合評価」の6項目について、複数産地コシヒカリのブレンド米を基準米とし、これと試験対象産地品種のものを比較評価する、相対法により行います。
評価は、それぞれの項目について”基準と同じ”は「0」、これより良・不良の度合いにより、”僅かに・少し・かなり”の3段階でプラス・マイナス1を加えることで、評価値を求めます。
食味ランキング区分は、食味の総合評価結果が、基準米より特に良好なものを「特A」、良好のものを「A」、おおむね同等のものを「A'」、やや劣るものを「B」、劣るものを「B'」と、ランク付けされます。
なお、日本穀物検定協会によると、「平成29年産水稲の作柄」は、北海道、東北、北陸、関東・東山及び東海では、全もみ数は一部を除き「平年並み」ないし「多い」となったものの、7月下旬から8月にかけての日照不足やその後の低温等の影響により登熟が平年を下回る地域がありました。近畿以西では、全もみ数は一部を除き「平年並み」ないし「多い」となり、登熟は、九州で9月中旬以降の日照不足等による影響が見られたものの、その他の地域ではおおむね順調であったことから、作況指数は、全国平均100の「平年並み」となりました(平成28年は103の”やや良”、平成27年は100の”平年並み”)。
作付順位 品種名 |
産地(地区) | ランク |
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1位 コシヒカリ |
福島(会津、浜通)、茨城(県北)、新潟(上越、下越、佐渡)、福井、長野(北信)、岐阜(美濃、飛騨)、三重(伊賀)、兵庫(県北) | 特A コシヒカリ |
2位 ひとめぼれ |
宮城、福島(会津、中通)、大分(西部) | 特A ひとめぼれ |
3位 ヒノヒカリ |
熊本(県北)、大分(西部) | 特A ヒノヒカリ |
4位 あきたこまち |
秋田(県南) | 特A あきたこまち |
5位 ななつぼし |
北海道 | 特A ななつぼし |
6位 はえぬき |
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7位 キヌヒカリ |
京都(丹波) | 特A キヌヒカリ |
8位 まっしぐら |
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9位 あさひの夢 |
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10位(↑1) ゆめぴりか |
北海道 | 特A ゆめぴりか |
11位(↓1) こしいぶき |
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12位 きぬむすめ |
兵庫(県南)、岡山、山口(県西) | 特A きぬむすめ |
13位 つがるロマン |
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14位 夢つくし |
福岡 | 特A 夢つくし |
15位(↑2) つや姫 |
宮城、山形(置賜、村山)、島根 | 特A つや姫 |
16位 あいちのかおり |
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17位(↓2) きらら397 |
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18位 彩のかがやき |
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19位 ハツシモ |
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20位 ふさこがね |
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晴天の霹靂 | 青森(津軽) | 特A 晴天の霹靂 |
とちぎの星 | 栃木(県南) | 特A とちぎの星 |
彩のきずな | 埼玉(県東) | 特A 彩のきずな |
はるみ | 神奈川(県央、湘南、県西) | 特A はるみ |
ハナエチゼン | 福井 | 特A ハナエチゼン |
あきさかり | 福井 | 特A あきさかり |
みずかがみ | 滋賀 | 特A みずかがみ |
にこまる | 高知 | 特A にこまる |
夢しずく | 佐賀 | 特A 夢しずく |
さがびより | 佐賀 | 特A さがびより |
森のくまさん | 熊本(県北) | 特A 森の熊さん |
あきほなみ | 鹿児島(県北) | 特A あきほなみ |
※ お米の品種別作付割合は平成28年産で上位20品種(カッコ内は前年からの順位変動)、「特A」ランクのもの。
今年も新米の季節が近づいてきました!。そこでか、日経新聞によると、毎年全国で相次いで登場しているブランド米のコメ卸の取引価格が、上昇しているとのこと。2017年秋に収穫する新米は、新潟産コシヒカリより、2~3割も高いものも珍しくないそうで、ブランド米の人気の高さが窺えます。
JAが取り引きする米卸との契約価格は、国内最高級の「魚沼産コシヒカリ」で、籾米1俵(60kg)あたり1万9千円ほど。新潟産コシヒカリの平均価格は、1万4千円前後が目安です。ところが、岩手県が今年から売り出す新ブランド米「金色の風」は1万8千円、一昨年から本格販売された青森県のブランド米「晴天の霹靂」は1万6500円、新潟県が満を持して今年売り出す「新之助」は魚沼産コシヒカリと同等の1万9千円を目指すとのこと。こうしたブランド米は、出回る量や時期が限られることから、市場でも高値で販売され、2キロ袋で1,400円程度となりそうです。
もし、運よく新ブランド銘柄のお米を買える機会があったら、試しに買ってみるのもイイかもしれません。次は何時、手に入るか分かりませんから・・・(汗)。
最近登場の全国各地の新ブランド米