畑の一部が道に浸食されて狭くなっているという話が?市役所に相談しても埒があきません。そこで、自分で畑と赤道との境を調べてみることに。
畑の一部が道に浸食されて、土地がどんどん狭くなっているという話が、地元で勃発しました。
長野の田舎の畑です。横に、「赤道(あかみち)」と呼ばれる未舗装の農道が通っていて、その反対側には草に埋もれた側溝があります。昔は人と馬くらいしか通らない赤道だったかもしれませんが、今では軽トラが轍を作り、側溝と草むらを避けて、年月を経るうちにどんどん私有地を浸食してくるのは自明の理。しかし、地主としては誰しもがいい気分ではいられないようです。
市役所の建設課に行って直談判してこいと言われ、現地の写真などを準備して訪ねてみたところ、「忙しくてそんな話に付き合っている暇はない、測量結果の立ち合いをなら半年後くらいであれば行けるかもしれない」ってな状況で、てんで話になりません。
とはいえ、地図に航空写真を重ねた図面をプリントアウトして見せてくれて、「そんなに道が食い込んでいるようには見えないが?」と。「じゃあ、そのプリントをくれ!」と頼んだら、「これはやれない」の一点張り。A2サイズぐらいで精細なプリントで、家のA4インクジェットでもその品質で印刷したら数百円くらいかかりそうな代物です。どうせ捨てるなら、くれたっていいのにと <`~´>。
市役所に立ち会ってもらうための測量をするには、それなりの出費がかかりそうなので、結局、誰でも手に入る「地図あるいは公図」を頼りに、自分で境界を確かめてみるしか手はなさそうです。
市役所の建設課では、「この航空写真はやれない、税務課に行けば公図が350円で手に入る」と。
その足で税務課に行って、当該土地周辺の公図を出してもらいました。そこで、「こうこう、こういう話なんだけど・・・」と相談してみると、建設課より遥かに親身になって、「赤道とは・・・」から始め、「より精度の高い公図や地図・測量図などは、法務局にある」など、いろいろな事を教えてくれました。
そこでまずは、市役所の税務課で入手した公図から、敷地の辺の長さや三角形の斜辺などを、定規と計算機でもって算出し、それが合っているのか、現地で巻尺を使って距離を測ってみることにします。
さっそく、Amazonで「50m テープメジャー」を、780円で注文したのでした。。。
なお、公図の縮尺は1/500です。定規で測った長さを500倍すれば、実際の長さになります。「三角スケール」があると良いですが、文房具用のプラ定規を使っても最低0.5mm単位の精度では測れるでしょうから、現地では25cm程が誤差の範囲となります。
生活や実務に役立つ計算サイト「keisan」(Powered by CASIO)で、不等辺三角形の三辺の長さから、“高さ”や“面積”などを簡単に求めることができますよ!。
果たして結果は・・・、何の結論も得ることができませんでした。
敷地の近くに目印となる交差点や道路境の杭でもあれば測れそうですが、田舎の田畑では、近くを通る県道も公図が作られた時代とはだいぶ付け変わっていて、どこを公図の基準に畑の位置を特定したらいいのか分かりません。
公図は市役所でも入手できますが、市の職員曰く、「法務局の方が原本で正確です」とのこと。
ならば、法務局で入手できる「地図」(あるいは公図)なら、もっと目印になる測量点などが記してあるのではないか?と考え、わざわざ片道一時間近くかけて長野にある法務局まで行って、地図(地籍図)をもらってきました。
ちなみに、一枚 450円です。(平成25年4月から、500円→450円に値下げされたようです。役所の見本になるような出来事ですね!)
念のため免許証と印鑑を持って行ったのですが、誰でもどこの番地だろうと自由に閲覧・書面請求ができ、身分証明書も印鑑も不要でした。。。
地図(公図)や地積測量図等の写しの交付請求は、郵送でも可能です。所定の額面の収入印紙を貼った請求書様式(PDF)と、切手を貼った返信用封筒を、管轄法務局宛てに送って下さい。
地図にも公図にも、登記されている土地の地番ごとに、境界線で土地の形や方位が示されており、隣接地との相対的な位置関係や、土地の面積や辺の長さなどをおおよそ知ることができますが、その精度に差があるということになります。
さらに地図(地籍図)には、公図にはない図面の右上端と左下端に座標値が記されています。
そこで、この座標から図面上のある地点の緯度と経度も調べることができたら、GPSを使って比較的簡単に土地の境界の場所をおおよそ特定できるのでは? と考えた次第です。
地図(地籍図)は、登記されている土地の位置と形(形状、区画)、隣接している土地の地番を表すために、一筆又は数筆の土地ごとに作製されています。
なお、地図に示されている方位(北)は、真北(地軸の北方向)であり、方位磁針が示す磁北とは“ずれ”があります。方位磁石を使う場合には注意してください。
真北と磁北のずれは、おおよそ北から、北海道で9°、青森‐秋田で8°、宮城‐広島で7°、千葉‐鹿児島で6°、沖縄で4°です。
地図上に記されている丸に縦棒(○の中心に縦線)のしるしは、法務局の窓口の女性に尋ねたところ、図郭座標値を算定するために使用される座標点らしく、無視して下さいとのことでした。
また、境界線上に2・3個の点が連続して打たれている線がありますが、字界(2点境界線)と大字界(3点境界線)らしいです。
そして、地図の左下端と右上端に、平面直角座標のXY座標値が記されています。
測量の世界では、南北(緯度)がX軸になり、北側(地図の上側)が+(プラス)です。
そして、東西(経度)がY軸で、東側(地図の右側)が+(プラス)になります。
地図に示されている外郭の座標値は、外郭の左右に記された値が“X座標値”で(左下端の左側の数字が外郭下辺のX座標値、右上端の右側の数字が外郭上辺のX座標値)、外郭の上下に記された値が“Y座標値”です(左下端の下側の数字が外郭左辺のY座標値、右上端の上側の数字が外郭右辺のY座標値)。
地図(地籍図)上で、土地の境界点の座標を読み取り、GPSでも読み取れる世界緯度と経度を算定してみましょう。
なお、以下の作業によって得られる境界地点の緯度と経度の値は、境界を直接測量して得た座標(経緯度)の値ではなく、あくまで地図を管理する為の座標系に区画線を重ね合わせて、境界の座標(経緯度)を推定した値であることに留意する必要があります。
さらに、測量誤差や図面化する際の誤差、印刷や用紙の伸び縮みによる誤差、計測誤差、さらには補正誤差も含めて様々な誤差を含んでおり、これを持って境界を示す法的根拠とはならないことも、十分に認識しておく必要があります。
少しでも誤差を減らすために、今度はちゃんと「三角スケール」(通称;サンスケ)を買った方がいいですね。小さい三角スケール(15cm) も邪魔にならず安くて良いですが、どうせ買うなら地図の上下左右の外郭線の両端まで届く 大きい三角スケール(30cm)
の方が、便利に使えると思います。
もし、普通の定規を使うのでしたら、縮尺が1/500の地図であれば、座標を読み取る地点から近い方の上下・左右の外郭線からの長さを図り、500倍すれば直交座標軸からの距離が分かります。
サンスケを使う場合は、1/500のスケールの目盛を使って、上記の長さ(距離)を測って下さい。
地図の左下の座標値を基準にする場合は、上記の距離をそれぞれXY座標値にプラスすれば(加えれば)、調べたい地点の座標が算定できます。
地図の右上の座標値を基準にする場合は、上記の距離をそれぞれXY座標値からマイナスすれば(引けば)、調べたい地点の座標が算定できます。
せっかく買ったサンスケを使っても、なかなか正確には測れません。
そこで、もっと正確に測れるであろう方法を思いつきました!
ただし、この方法を使うには、少々ですが画像処理ソフトや描画ソフト(パワーポイント(PowerPoint)でも可)のスキルが必要ですが・・・。
ちなみに、私がセブンイレブンで600dpiで白黒スキャンし、PDFで表示させたものを「Adobe Fireworks」に図面部分のみコピペしたところ、約「6800×6500」ピクセルもの巨大な画像サイズになりました。
フルHDの15inchノートの画面に収めるには、12%表示にしなければなりません。100%表示で、めちゃ詳細に境界点を拡大表示できます!。
メモリーも大量に必要になりますので、300dpi辺りに抑えてスキャンした方がいいかも・・・です。
国土地理院の「測量計算サイト」では、以下の項目について「1点毎の計算」あるいは「一括計算」することができます。
ここでは、5番の「緯度、経度への換算」の機能を使って、地図で読み取った平面直角座標を緯度と経度へ換算します。
測量で使うトータルステーションなど、精度の高いGPS機器があればよいですが、普通は持ってないですよねー。
しかし、私にはゴルフで使うGPSがあります!
試しに、「ゴルフ用のGPS距離測定器
」を使って、地図上に示された目標物になる地点の座標から緯度・経度を割り出し、実際の計測結果の緯度・経度と、どれ程の違いがあるか?(どれ程の精度があるのか?)、調べてみましょう。
ちなみに、私が持っているGPSは、「Shot Navi ショットナビ Pocket neo」で、購入価格は1万円未満の代物です。
まず、地図上で目標物を探してみたのですが、なかなか見つかりません。
そこで、建物の角の緯度・経度を目標とすることにしました。
なぜなら、以下のような複数のサイトで、GoogleMap上の建物の形から、その地点の緯度・経度ならびに平面直角座標を取得することができる機能が提供されていたからです。
なお、サイトによっては角度の表示単位が、「度」単位だったり「度分秒」単位だったりします。その場合は、Keisanサイトの「度分秒から度に変換」あるいは、「度から度分秒に変換」ページを使って変換すると便利です。
個々に計算させるのが面倒で、エクセル(Excel)で「度」を「度分秒」で表示させたい場合は、
例えば、[A1]セルに「度」単位の値が入力されていた場合、[B1]セルに『 =TEXT(A1*"1:0","[hh]゜mm′ss.000″") 』と計算式を入力すると、「度分秒」単位に変換表示されます。
(ちなみに、Excel 2013では、秒単位の小終点以下は3桁までが限界のようです。)
で、ゴルフ用のGPS距離測定器で測ってみた結果ですが、同じ位置にGPS測定器を置いているのにも係わらず、数秒毎に緯度・経度の秒単位の小数点以下が変動してしまいます。秒単位の小数点以下とはいえ、それが「0.何秒」違うだけで、数メートルもの誤差になってしまいます。
つまり結論は、「ゴルフ用のGPS距離測定器を使って土地の境界を特定するのは無理!」ってことです。。。
裏を返せば、私のゴルフの腕前(ショットの距離感)は、せいぜい「数メートルも誤差の範囲」ってことですかねー(^_^;)。
私も含めて多くの人が、GPS = 衛星を使った測位方式の総称 と認識してしまっていると思います。しかし調べてみると、どうもそうでは無いことが分かってきました。
「GPS」(Global Positioning System, 全地球測位網)は、アメリカ合衆国によって運用される衛星測位システムで、以前はGPSしか存在しなかったために上記のような認識が生じてしまっています。
しかし現在では、ロシアの「GLONASS」(グロナス)が構築中とはいえ実用段階にあり、 ヨーロッパなどが準備・開発中の「ガリレオ」や、 中国が構築中の「北斗」(コンパス)、日本の「準天頂衛星システム」(QZSS, Quasi-Zenith Satellite System)などもあります。
そこで、現在では衛星を使った測位方式の総称としては、「GNSS」(Global Navigation Satellite System, 全地球測位システム)と呼ぶのが、一般的なようです。
さらに、複数の衛星測位システムを利用した観測方法や、ネットワークから補正データを取得して精度を上げる観測方法の開発などもあり、現時点でも様々な測位方式が利用されています。
そして現在、GNSSを使った測量の精度は、リアルタイム測量でも数cmから数mmの誤差へと向上しつつある状況らしいです。
結果は後日・・・。
実は、建設機械のレンタル業者から、GPS測量機を借りようと見積もりを依頼したところ、数十万円もの見積もりがFAXされてきました(汗)。
慌てて、丁寧にお断りの電話をかけたのは、言うまでもありません・・・。
なので、実際に自分で測量することは、まだ出来ていません m(__)m。