都会からリタイアして地元の田舎に戻り始めた家庭菜園、少しずつ学んだ野菜の育て方のコツをまとめてみました。
ダイコン(大根)は、アブラナ科ダイコン属の越年草で、主に肥大した根を食べます。ただし、スーパーで売られているダイコンは、萎びてしまうので葉が切り落とされていますが、家庭菜園で収穫した新鮮なダイコンの葉は、炒めたり味噌汁に入れたりして、美味しく頂けます。
原産地は定かでありませんが、地中海地方や中東地域と考えられ、古代エジプト時代には食用されていた様です。日本にも、古く弥生時代には伝わったとされ、地域ごとに様々な品種が生まれました。江戸時代に全国に名を馳せた練馬大根や、世界一大きな桜島大根、世界一長い守口大根など、今や日本は、ダイコンの品種が世界で一番多い国だそうです!。調理方法も多種多様に広がり、これほど日本で庶民の生活に根付いた野菜は、他には無いかもしれません。アツアツおでんに大根は欠かせませんし、様々ある大根漬けも美味。ダイコンを食べる国は日本以外にも沢山ある様ですが、さすがに切り干し大根を作って更に料理のレパートリーを広げた国は、日本だけでしょう!。そのうえ、消化が良くて食中りしないことから、「大根役者」とか「大根バッター」なんて言葉も生まれましたし、「大根足」なんて誉め言葉?もありますよね(笑)。
ダイコンやニンジンなどの根もの野菜は、移植に向きませんので、畑に種を直播きします。土中に石や肥料の塊があると、根割れや変形の原因になるので、出来るだけ早めに石灰と肥料を施して、深く耕しておきましょう!。
ダイコンの種まきの時期は、春と秋の2度ありますが、春まき栽培の収穫時期は暑さがやって来る季節になるため、冷涼を好むダイコンにはあまり向きません。私は初夏に大根を食べたいとは思わないので、最近は秋まき栽培オンリーです。春まき栽培では、ダイコンの代わりに、カブや20日大根を育てています(笑)。春まき栽培する場合は、トウ立ちが遅い晩抽性の、春まきに適した品種を選びましょう。前年の9月に秋まきしたダイコンの残り種を春に蒔くと、ほぼ100%トウが立ち、収穫に至りませんのでご注意あれ!。
秋まき栽培の播種の適期は9月上旬。長野では霜の降りだす11月中旬に収穫期を迎えます。収穫したダイコンは、葉を切り落とし、凍みない様にして土蔵や物置に貯蔵すれば、翌年の3月まで食べられます。ダイコンは、ジャガイモやニンジン、タマネギと同様に、寒い地域では冬の保存食になります。暖かい地域であれば、抜いたダイコンを肩まで埋め直して、畑で貯蔵することも可能ですし、氷点下にならない地域であれば、収穫せずに畑でそのままにして、2月くらいまで収穫し続けることも可能です。
大根の種は、畝を立てた場所に直播きします。株間は25cm~30cm、条間は30~40cm。育てる品種によって、小さいダイコンは狭めに、大きくなるダイコンは広めに間隔を取ります。
種を直播きする場合、発芽しなかった場所に後から追い蒔きすると、成長が揃わず、追い蒔きの株の生育が滞りやすいので、一カ所に数粒の種を蒔き、間引いて育てる様にします。タネの袋には、『1カ所に3~4粒をまき』と書かれていることが多く、書籍には『1カ所に5粒ずつ蒔け』と書いてある場合もあります。沢山蒔いてもらった方が、種苗メーカーは嬉しいので、数多く蒔けと指示するのは当たり前ですが、最低限の保険と考えるなら、1カ所に2粒でも構いません。両方ともダメになったら、そこは歯抜けになっても構いませんし…(笑)。後は、買った種の値段と数により、各自でご判断ください!。ダイコンのタネ1袋に、5mlで200粒も入っているとすると、1カ所2粒蒔きなら100本ものダイコンが採れます。50本で十分なら4粒ずつ蒔いても構いませんし、残ったら取っておいて、翌秋に蒔いても構いません。
ダイコンの種は比較的長命で、4年間くらいは持つと言われています。しかし、実際は発芽率が落ちたり、抽苔しやすくなったりするので、ダイコンの種は、出来れば使い切ってしまった方が得策です。むしろ、買った種を使いまわすより、固定品種のダイコンを育てて、自家採種することをおすすめします!。冬に収穫せずに、土から出た部分に土寄せして越冬させれば、翌春にはトウが立って花が咲き、タネが採れますよ。
種を蒔いた後の覆土の厚さは、約1cm。アブラナ科の野菜の種は、ほとんどは好光性ですが、ダイコンの種は嫌光性です。ある程度の覆土は必要ですが、深すぎても発芽が揃いません(汗)。
ダイコンの種まきが済んだら、畝全体に防虫ネットか不織布をべた掛けしておきます。四隅と所々に、専用の止め金具を土に挿して風に飛ばされない様にしますが、何なら石を置いておくだけでも構いません。もちろん、トンネルで覆ったら、さらにグッドです!(笑)。
1カ所に数粒の種を蒔いた場合には、本葉が2~3枚になったら間引いて2本立ちにし、本葉が5~6枚になったらもう一度間引いて、1本立ちにします。
葉が広がり出す頃になると、草も伸びてきますので、草取りを兼ねて、追肥をして中耕します。
地上から出ている首の太さを見て、収穫時期を判断します。
10月になり、頭が土から出始めたら、太いものから順番に収穫して、食べ始めても構いません。早蒔きしたダイコンなら、サンマが安くなり出すまでに間に合いますよ(笑)。寒い地域では、霜が降りだす頃までには、全部のダイコンを収穫し、貯蔵します。
11月に大量に収穫した大根は、凍みない様にして、土蔵や物置に貯蔵すれば、翌年の3月いっぱいまで、保存食として食べ続けることができます。
まず、収穫した大根の葉を、畑で切り落とします。葉は、少しでも残すと再び成長を始めてしまうので、大根の実を少しそぎ落とす程度に、完全に切り落とします。切り取った葉で、大根の泥をぬぐい取りますが、後に台所に土を持ち込みたくない人は、さらに水道でキレイに土を洗い落します。そのまま段ボール箱に入れても構いませんが、だんだん表面が萎びてしまうので、ビニール袋に入れてから段ボール箱に入れると、萎びるのを防ぐことが出来ます。大根は、横向きか、天地を逆にして貯蔵すると、長持ちすると言いますが、効果のほどは不明です…(笑)。後は、物置にしまうだけですが、冬の最低気温が氷点下10度以下に下がると、段ボール箱に入れただけでは、大根が凍みてしまうことがあります。凍って溶けてを繰り返すと、大根の実が痛んでしまうので、寒い地域では、不要になった毛布や布団で包んだり、発泡スチロール製の箱に入れたりして、凍みない様にして貯蔵します。
暖かく雪の降らない地域であれば、畑で貯蔵することも可能です。ダイコンは、土から出ている部分が凍害を受けるので、一旦抜いてから、深さ30cmほどの穴にダイコンを斜めにして並べ、肩まで土で覆い埋め直します。氷点下にならない地域であれば、収穫せずに畑でそのままにして、2月くらいまで収穫し続けることも可能です。
秋晴れが続いて、大根が太り過ぎて、とても貯蔵しきれない時には、自家製の切り干し大根を作って保存しましょう!。段ボール箱一杯の大根が、ビニール袋1袋にまで小さくなりますよ(笑)。
ちゃんとした切り干し大根の様に、包丁を使って手で、大根を薄く細く剥き上げるのは、無理があります(汗)。そこで、乾燥しやすい様に、薄く短冊状に切って、ワイヤーハンガー(針金ハンガー)に吊るして、ベランダで干し上げる方法が、簡単で早いです(笑)。
切り方にもよりますが、太くて大きな大根1本で、ワイヤーハンガー2本分くらいになります。
皮を剥いた大根を、厚さ1cmの短冊状に切ります。
小さく薄く切れば切る程、早く乾きますが、干す作業が面倒で、干す場所も沢山必要になります。一般的にスーパーで売られている程度の青首ダイコンであれば、長さを半分か3分の1に切った後、縦半分に真っ二つに切ります。それを、1cmくらいの幅(厚さ)で短冊状に縦に切り分けます。できた大根の短冊の真ん中に、上に2cmくらい残して、縦に切り込みを入れます。切り込みは、1本だけでなく、沢山入れれば、それだけ早く乾きます。
晴天が続く日中に、切り込み部分をワイヤーハンガーに引っ掛け、ベランダで乾燥させます。よく乾くまでには、1週間以上かかりますが、雨に当たるとカビてしまうため、天気の悪い日と夜は、家の中に入れましょう。ただし、部屋中に大根臭が充満しますので、仕舞い場所を考えておく必要がります(汗)。
大根がよく乾いて小さくなったら、百円ショップで買った洗濯ネットなどに入れて、物置などに吊るして保存します。