白菜の育て方

都会からリタイアして地元の田舎に戻り始めた家庭菜園、少しずつ学んだ野菜の育て方のコツをまとめてみました。

 1.白菜栽培のキモとコツ

白菜とは

白菜(ハクサイ)は、アブラナ科アブラナ属の二年生植物です。中国では、日本で「白菜」と呼ばれている野菜を「大白菜」と呼び、結球しないチンゲンサイやシロナなどは「小白菜」と呼ばれており、元々は白菜もチンゲン菜も、実は同じ種族の野菜なんだそうです(驚)。

白菜の苗日本で、今の様な大きく結球した白菜が食べられるようになったのは、20世紀になってからの事です。もともと白菜の種は、交雑しやすく、品種を保持することができなかったためで、現在日本で栽培されている白菜の多くはF1品種です。

【品種】
ハクサイの生育適温は15度から20度と冷涼を好み、主に秋まきで栽培されますが、品種によっては春まき栽培も可能です。極早生種から晩生種までの生育期間(熟期)、肥大性や生育した形(球形やタケノコ形など)、球内色(芯の葉の色が白か黄色かオレンジ等)によって、様々な種類があります。
まず気にすべきは、生育日数。極早生が55~60日、早生が60~75日、中生が75~85日、晩生は85日以上と、幅があります。早生品種ほど暑さに強いため、早蒔きが出来て、早い時期に収穫期を迎えることができます。お盆明けに蒔けば、10月下旬には食べられます。一方、晩生種は、大玉で食味もよく、貯蔵性にも優れるため、雪が降る前に外葉を縛って畑に置いておけば、冬の間中、新鮮な状態で収穫できます。ただし、長野の様な地域だと、雪を掘り分けて収穫する必要がありますが・・・(汗)。その代り、結球するまでに日数を要するため、秋の天候によっては結球せずに冬を迎えてしまうことがあり、種まきの適期が短く、注意が必要です。
病害虫の被害を受けやすいため、春まきより秋まき栽培が作りやすく、さらに生育期間が短いほど病害虫の被害を受け難いため、早生・極早生品種が、初心者にはおすすめです。最近は、甘みがあって柔らかい黄芯系の白菜が喜ばれるため、「黄ごころ65」が人気ですが、白芯系の「耐病60日」も作りやすくおすすめです。ちなみに、タキイの「黄ごころ」には、65日型の他に、75日、85日、90日とあって、栽培期間が幅広く選べます。耐病性は少し落ちますが、中生種の「金将二号」や「王将」も、肥大性と結球性に優れているため、家庭菜園でも作りやすい品種です。
【連作障害】
ハクサイは比較的病気に弱い野菜なので、アブラナ科の野菜(キャベツや小松菜、大根やカブ等)との連作は避けて栽培するようにしましょう。
【病害虫】
ハクサイの栽培は、晩夏の頃に種まきをして育苗し、モンシロチョウが飛ばなくなる頃に収穫が始まるため、無農薬・減農薬の家庭菜園では、アオムシとの戦いと言っても過言ではありません。アオムシだけでなく、コナガやヨウトウムシ、メイガなども沢山付きます(泣)。病気では、アブラナ科特有の根こぶ病や、ベト病に侵されることがあります。特に育苗中の多雨と、灌水のし過ぎには注意が必要です。
アオムシなどの害虫対策には、定植後すぐに防虫ネットを掛けましょう。出来れば、種まき直後からポットにもネットを掛けるのがベストです。しかし、それでもアオムシ被害は収まらず、結局私は量と回数に注意しながら、農薬に頼ることにしています。生育初期の段階では「オルトラン粒剤」がおすすめ。播種時や定植時の植穴処理、育苗期に株元に撒くことで、防除効果を発揮します。株が育ってからだと、速攻性の高い「プレオ フロアブル」や、収穫前日まで使える「フェニックス顆粒水和剤」が、幅広いチョウ目害虫に高い効果が期待できて、おすすめです。(→家庭菜園で使う農薬、おすすめはどれ?

 2.種まきから育苗

ハクサイやキャベツの根は浅く、特にハクサイは根の再生力も弱いため、移植を伴う育苗栽培より直播き栽培の方が、根張りがよく生育期間も短く、私の経験では、直播きした方が育苗した苗より2週間近くも早く育ちます。しかし直播きすると、幼苗期に病害虫の被害にあい易く、除草手間も余計にかかるため、家庭菜園では育苗による栽培がおすすめです。ただし、栽培期間が限られる寒冷地では、畝床(蒔床)にオルトランなどの浸透移行性の農薬を土壌散布してからマルチを掛け、種を直播きしてトンネル栽培することで、だいぶ生育期間を短縮させることができます。

【気象環境】
発芽適温は15~20度ですが、秋まき栽培の種まき適期は、8月下旬から9月中旬までの残暑の厳しい頃になります。生育適温は18~20度で、冷涼を好みますが、5度以下になると生育は停止します。また、20度以上でも生育は抑制されるため、種まきの適期が非常に短く限られる野菜です。
【播種の適期】
ハクサイの播種期はとても短く、早蒔きし過ぎると病害虫に侵されやすく、遅れると葉が巻かずに結球しないまま冬になって生育が停まってしまいます。さらに、秋晴れが続く温暖な年もあれば、秋雨が長く続く年もあるため、前者の年に早蒔きしたら育ち過ぎてしまいますし、後者の年に遅まきしたら、結球が間に合いません。もう何年もハクサイを栽培していますが、未だに毎年、ハクサイの播種のタイミング選びに頭を悩ます日々が続きます(汗)。
寒冷地にあたる長野盆地では、9月中旬を過ぎると、60~65日型の早生品種でも、天候不順の年だと結球が間に合いません。8月下旬から9月上旬が播種の適期で、晩生種のポット育苗では、お盆過ぎには種まきを始める必要があります。
種まきと収穫時期
 
【土壌・施肥】
ハクサイはアルカリ性土を嫌うため、播種・植え付け前に、多めに石灰を施すようにしましょう。ハクサイは湿害に弱く、排水性と保水性の高い、肥沃な土を好みます。しかし、基肥の過剰施肥は外葉の出来すぎを助長しやすく、肥料切れすると結球しなかったり、葉の締まりが悪くなるので、本葉が7~8枚になったころと結球開始ごろの追肥をしっかり施すようにします。また、未熟堆肥の直前施肥は、病害虫が発生しやすいので避けましょう。
【種まき】
直播きする場合は、1ヶ所に数粒ずつ種まきし、適宜間引いて栽培します。
育苗する場合も、ポットに数粒ずつ種まきし、間引いて育苗します。ハクサイの根は短いので、多連結ポット(セルトレー)での育苗も可能ですが、根の再生力が弱いため、あまり長期間育苗せず、発芽後2週間くらいを目途に、早めに定植した方が良いでしょう。
また、育苗期間中もモンシロチョウなどに卵を産み付けられない様に、種まきしたポットは寒冷紗などを掛けて、早めに虫除け対策をしましょう。白菜の種まき時期はまだ残暑厳しく陽射しが強い時期。暑さ対策としても、寒冷紗は役立ちます。

 3.定植から収穫、貯蔵

定植

ハクサイやキャベツは、外葉を大きく広げて育つため、株間を広めに取る必要があります。大玉種の「富風」などは、株間を60cm以上取って定植しますが、外葉がコンパクトな「耐病60日」などの品種であれば、株間は40cmくらいまで密植が可能です。90cm~1mの畝幅で、小玉なら並列で、大玉なら千鳥の2条植えとして、株間を適宜取るようにします。また、ハクサイは多湿を嫌うため、水捌けが滞る場所では、できるだけ高畝にしてください。

ハクサイは根の再生力が弱いので、ポットやセルトレーから苗を移植する際には、事前にポットごと水に浸け、なるべく根を傷めないようにして移植します。

また、ハクサイの苗は、アオムシなど害虫被害を受けやすいため、定植する際にオルトランなどの浸透移行性の農薬を植穴処理したり、定植後すぐに寒冷紗など防虫網のトンネルで覆い、防除に務めます。なお、残暑厳しい時期に定植する場合は、日中の強い陽射しを避けて夕方に定植しますが、寒冷紗を掛けておくと、暑さ対策の日除け効果も期待できて、便利です。それでも、どうしてもアオムシ被害は避けられないため、早め早めの捕殺を心がけましょう。


定植後の管理

定植後、苗がしっかり根付くまでは、しっかり灌水します。水不足は、生理障害や不結球の原因となります。しかし、ハクサイは多湿に弱く、あまり灌水しすぎると軟腐病などを発症してしまうので、乾燥しない程度に灌水してください。

追肥と除草の際には、外葉を傷めないように注意して作業します。その際、トンネルで覆った防虫ネットを外しますが、その間にもモンシロチョウが何羽も押し寄せ、あっという間に卵を産み付けてしまいます。トンネルで覆ってあるからと安心せず、こまめに葉の状態を観察して、初期防除に心がけてください。

収穫・貯蔵

ハクサイが肥大して来たら、頭部を上から手で軽く押さえてみて、葉がしっかり締っているようであれば、収穫適期です。秋晴れが続き天候が良すぎる年は、早く肥大してしまいますが、2~3度霜が降りるくらいの寒さに当った方が、ハクサイの甘みは増すと言われています。気温が高ければ、収穫せずに畑に置いておけば、さらに肥大は進みますが、あまり収穫が遅れると裂果してしまいます。逆に、秋の天候に恵まれず生育が遅れた場合でも、12月に入り最高気温が5度を下回るようになると、ハクサイの生育は停止しますので、霜で外葉が痛む前に収穫するようにします。

白菜の収穫収穫したハクサイは、傷んだ外葉を剥いでから、数日から一週間ほど陽の当たる軒下に並べて、外葉を乾かします。その後、新聞紙に包んで、凍みないように土蔵や倉庫で貯蔵すれば、春先まで貯蔵できます。

雪が積る地域では、真冬に雪の畑に出てハクサイを収穫することが出来ないので、雪が積る前に収穫し貯蔵しますが、雪が積もらず最低気温がマイナス10度を下回ることが無い地域あれば、収穫せずに畑に置いたまま、越冬貯蔵することも可能です。最低気温が氷点下になる前に、外葉を持ち上げてハクサイを外葉で包み込み、頭の部分をワラなどで縛って、葉の芯まで凍らないように外葉で保温すれば、冬の間、そのまま畑に置いておけます。

白菜の貯蔵なお、さほど雪深くない当地では、真冬の間は貯蔵分を食べて、2月中旬以降、雪が溶けだしてからは、畑に置いたハクサイを食べることもあります。しかし、一度凍った葉が溶けだすと、急速に痛みが広がるので、あまり長くは畑に置いておけません。


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