ゴーヤの育て方

都会からリタイアして地元の田舎に戻り始めた家庭菜園、少しずつ学んだ野菜の育て方のコツをまとめてみました。

 1.ゴーヤ栽培のキモとコツ

ゴーヤとは

一般的には、「ゴーヤ」や「ゴーヤー」と呼ばれることが多いですが、標準和名は「ツルレイシ」という、ウリ科の植物です。未熟な果実を野菜として食しますが、その果肉が苦いことから、「ニガウリ」とも呼ばれ、それが方言で訛って、ニガゴリとかトーグリ、ニガゴイなどと呼ぶ地域もあります。原産地は熱帯アジアとされ、日本へは17世紀ごろに、中国から琉球王朝を経由して渡来した様です。そのため、主に沖縄など南西諸島や、南九州で栽培が広まりました。

20年ほど前までは、沖縄に行ったことが無い本州に住む人達の多くが、ゴーヤなんて食べ物(野菜)があることすら知らず、知っていても苦くて嫌いという人がほとんどだったと思います。それが、2000年7月に「沖縄サミット」が開催され、記念して発行された二千円札の絵柄になった守礼門や、晩餐会の会場に選ばれた首里城など歴史的建造物が、全国的に知られるところとなり、沖縄への観光ブームが巻き起こります!。2001年4月からは、NHK朝の連続テレビ小説「ちゅらさん」が放送され、沖縄の長閑な小さな離島・小浜島で育った、ヒロインの恵里(国仲涼子)とおばぁ(平良とみ)らの人柄が人気を呼び、高い視聴率を記録、沖縄人気がさらに高まります。ちゅらさんには、「ゴーヤーマン」というキャラクターも登場し、ゴーヤの認知度も高まりました(笑)。そういえば、私がダイビングを始めて、年に何回も沖縄の離島を訪れる様になったのも、この頃でした…(汗)。こうして、ゴーヤは栄養価が高くて、夏バテ防止にも効く健康によい食材として注目されるようになり、今や関東のスーパーでも普通に売られるまでに広まりました。また、地球温暖化の影響で猛暑が続くと、環境にやさしい”緑のカーテン”(グリーン・カーテン)としても栽培が広まっています。

【品種】
ほとんどが固定種ですが、その果実の長さや形、大きさ、色、苦みの強弱などで、様々な品種が各地で生まれ、継続的に生産され続けています。沖縄で代表的なものは、大きくてボリュームのある「中長ゴーヤー」や、苦みが少なく中太の「あばしーゴーヤー」。より大きな品種では「願寿ゴーヤー」や、鹿児島で多く生産されている細くて長い「大長れいし」などがあります。また、苦みが苦手な人でも食べやすい様にと、苦みがより少ない白系の「白願寿ゴーヤー」や「純白ゴーヤ」などもあります。なお、節々に果が成り多収量が得られるように改良された、F1種の「節成ゴーヤ」という品種もありますが。家庭菜園ではそんなに出来ても食べきれないので、自家採種できる固定品種がおすすめです。
【連作障害】
ゴーヤの輪作年限は、2~3年とか、3~4年と言われていますので、最低でも毎年、前作でカボチャやスイカなどウリ科の野菜を育てた場所とは違う所で栽培しましょう。しかし我が家では、単にゴーヤの収穫だけを目的とせず、”緑のカーテン”としても栽培しているので、当然のことながら、毎年同じ場所で、それも猫の額ほどの幅しかない場所で、ゴーヤの栽培を続けていますが、ちゃんと育って、沢山のゴーヤが収穫できていますから不思議です(汗)。
一応、連作障害を回避するおまじないとして、秋になってツルの撤去が終わったら、圃場には発酵鶏糞など堆肥を漉き込んでよく耕し、転作目的で、余った小麦の種や、未成熟で収穫せずに残ったトウモロコシの種などを蒔いてみたりしています(笑)。もちろん、小麦やトウモロコシの収穫が目的ではありませんし、トウモロコシは発芽しても冬になれば枯れてしまいます。小麦は、春になって畝づくりを始める前に刈り取って、圃場に漉き込んしまえば、緑肥としても役立ちます。
【病害虫】
比較的、病害虫の被害に合うことが少ない、とても丈夫な野菜ですが、水はけの悪い土地で密植しすぎると、うどんこ病が発生したり、幼苗のうちはアブラムシやウリハムシの被害に合うこともあります。特に苗が小さいうちは、葉の裏側など時々チェックして、アブラムシが付いていないか確認しましょう!。
また、収穫には関係しませんが、以前、ゴーヤの収穫が終わったのにツルの撤去を面倒くさがって放っておいたら、なんとカメムシの巣窟と化して、散々な目にあったことがあります…(汗)。収穫が終了したゴーヤの棚は、出来るだけ早く片付けましょう!。

 2.種まき

品種名が表示されたゴーヤの種を買うとなると、なぜか意外と高くて、少量の種でも400円~500円くらいします。百円ショップのダイソーでは、2袋=100円でゴーヤの種が売られていますが、品種名が書かれていないので、果たして自家採種できるのか心配です。それに、ゴーヤの種の発芽率は低く、上手に蒔かないと発芽してくれません(汗)。そこで、もしゴーヤを2~3本しか植えないなら、苗は買った方が手っ取り早いです。安ければ100円、高くても198円くらいで売られています。

植える苗の数の目安ですが、露地植えでも株間は1m位取った方がいいので、例えば幅4間の大きなサッシ窓全体に緑のカーテンを作るとしたら、6~7本くらい苗が欲しい所です。しかし、プランターでの栽培を考えているのであれば、相当大きなプランターでも、1個のプランターに植える苗は1本だけに留めましょう!。ゴーヤは、夏の猛暑や水枯れにも耐え、さほど肥料も必要とせず痩せ地でも育つ、とても優秀な野菜ですが、その分、とても太くて丈夫な根を、とても広く深く生やします。小さなプランターや、いくら大きなプランターでも2苗も植えたら、すぐに根の行き場がなくなってしまい、実がほとんど成りません(汗)。

【気象環境】
発芽適温は25~30度と高く、畑への直播きでいくら早蒔きを試みても、まず芽は出ません(汗)。しかし、夏がやって来るのは直ぐなので、出来るだけ早く”緑のカーテン”を仕立てたい場合は、保温しながら育苗するか、苗を買う必要があります。
生育適温は20~30度で、夜間でも最低気温が15度以上必要です。寒冷地では5月中はまだ最低気温が15度を下回るのが当たり前ですから、苗を植えたら、ポットカバーなどで寒さ対策を心掛けましょう。
【播種の適期】
露地へ種を直播き出来るようになるのは、日中の最高気温が25度以上、最低気温が15度を下回らない日が続くようになる頃です。長野盆地だと、5月下旬以降になります。その苗が成長して、1階の軒下までツルが伸びてグリーン・カーテンの役目を果たす様になるのは、7月下旬ごろ。もう暑くて堪らないという時期です。もっと早くにグリーン・カーテンを仕上げたい場合は、早めにポットに種を蒔いて、暖かくして育苗する必要があります。
種まきと定植・収穫時期
 
【土壌・施肥】
比較的土壌は選びませんが、排水性の高い砂質土を好み、乾燥には強いですが多湿には弱いです。痩せ地でも生育は良好ですが、長い期間収穫できる野菜なので、基肥は控えめにして、追肥しながら収穫を愉しみましょう。

発芽率を高める種まきのコツ

ゴーヤの種はとても硬く、上手く発芽させられずに種を腐らせてしまい、種まきに失敗するケースがとても多いです。

ゴーヤの種上手く発芽させるコツは、なんと言っても、十分に暖かくなってから種まきをすること。しかし、一日でも早くゴーヤが食べたい、緑のカーテンを仕上げたいと思うと、どうしても年々、種まきの時期が早まってしまうのが、人の常(汗)。そこで、発芽率を高めるために、種まきをする前の一昼夜、種を布に包んで、水に浸しておきましょう!。ちなみに、ゴーヤの種を種まき前に水に浸けるのは、”休眠打破”させるためではなく、殻を柔らかくして、発芽しやすい環境を整えてあげるためです。本当の休眠打破が必要な種は、夏蒔きのレタスやホウレンソウなど、限られた一部の野菜です。しかも、特に休眠打破せずともある程度は発芽してくれます!。また、種の硬い殻が割れて芽が出やすい様に、種の尖った部分を爪切りで切ったり、殻に傷をつけたりすると良いという人もいますが、私的には、してもしなくても、結果は同じような気がします…(汗)。

ゴーヤの芽私の経験上、もっとも確実に発芽させる方法は、前作のこぼれ種から自然発芽するのを待つことです(笑)。前作の秋に自家採種した種を保存しておいて、春になってから蒔いても、なかなか上手く発芽しないのに、なぜか暖かくなれば、勝手にこぼれ種から自然に芽が出てきます(汗)。そのためにも、株が元気な早い時期に、大きくて形のよいゴーヤの実を何個か収穫せずにツルに残して、熟させて種をわざと地面にこぼします。もちろん、必要な数だけ自家採種しても構いません。ただし、長野県の様に寒い地域だと、地表面に落ちただけでは種が越冬できないので、秋に棚を撤去したら、深めによく耕し、春になったら再び耕し返してあげましょう。

 3.管理と収穫

棚作り

ゴーヤは、特に誘引しなくても、ツルから伸びた細い巻きヒゲが、勝手に近くの物や紐に巻き付いて、上へ上へと成長していきます。そのため、ツルが伸び出したら、早い時期に、ネットや紐で棚を作ってあげましょう。

ただし、ゴーヤのツルはとても長く伸び、次々に脇芽も伸びて密に茂り、さらに大きな実を付けると、とても重くなります。細い紐や、細いネットだと、その重さに耐えられず、切れたり破れてしまうことがあります。そのためにも、ある程度しっかりした資材を使って棚を張り、あまり傾斜を緩くしないのが、きれいな”緑のカーテン”に仕上げるコツです。

私は、ナイロン素材で出来た市販のキュウリネットなどで棚を作ると、撤去するときに処分に困るので、燃やしてもいいし腐らせてもいい麻で出来た、安価な「ジュート紐」(バインダー紐、麻ひも)を使って棚を作っています。ただし紐だと、基本的に縦か、せいぜい少し斜めにしか張れないので、出来るだけ本数を多くして、紐の間隔を50cm以内くらいに狭めると、ツルが勝手に横方向にも伸びて、最後にはちゃんとしたグリーン・カーテンに仕上がります!。

ゴーヤのカーテン

なお、親づるが伸びてきたら摘心せよと言いう人もいますが、私は不要だと思っています(汗)。スイカ栽培では、親づるを早めに摘心することで、数本だけ残した子づるの成長を早め、子づるに成らせる1株に2~3個の実に、確実に栄養を届けやすくします。しかし、ゴーヤは緑のカーテンを作る目的もあるので、出来るだけ脇芽は沢山伸ばしたいところですし、放任していても、ちゃんと根が張り肥料が行き届けば、1株で何十個ものゴーヤの実が収穫できます(笑)。そもそも、ゴーヤの雌花は6月下旬の夏至を迎え、短日・低温化で分化するようになるため、それ以前にいくら子づるを伸ばしても、咲く花は雄花ばかりで、ほとんど実着きは期待できません(汗)。それよりも、親づるをできるだけ早く上に伸ばして、元気で大きな株に仕立てた方が、最終的なゴーヤの収量を期待できますし、早くグリーン・カーテンが仕上がる様に感じているからです。

収穫

熟したゴーヤ実が十分成長したら、熟れ過ぎて変色し始める前に、ヘタをハサミで切って収穫します。野菜は、夜のうちに実に水分が蓄えられるので、基本的に朝方に収穫するのが良いとされています。ゴーヤも、朝方にはパンパンに張っていた実が、暑い日差しを受けて夕方になると、フンニャリとしてしまいます(笑)。ちなみに、緑のゴーヤの実も熟すと、赤く変色します。見た目的にグロテスクな色になるので、私は食べませんが、トロっと柔らかく甘くなって、熟した赤いゴーヤの方が好きっていう人も、たまにいます…(汗)。

ゴーヤのカーテン

ゴーヤの食べ方は、やはり一番は、「ゴーヤチャンプル」がおすすめですね!(笑)。様々なレシピが紹介されていて、豚肉やスパム(SPAM)など色々な食材が混ざるとそれも美味しいのですが、私はゴーヤと豆腐だけのシンプルなチャンプルが、一番好きかもしれません(笑)。


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