ツルムラサキの育て方

都会からリタイアして地元の田舎に戻り始めた家庭菜園、少しずつ学んだ野菜の育て方のコツをまとめてみました。

 1.ツルムラサキ栽培のキモとコツ

ツルムラサキとは

ツルムラサキ(蔓紫)は、ツルムラサキ科のつる性の一年生草本植物です。同じツルムラサキ科には、つる性多年草の「オカワカメ」(和名はアカザカズラ、雲南百薬や”ぬるっぱ”とも)があります。両者はよく似ていて、何れもビタミンやミネラルが豊富、真夏の猛暑下でも何のお構いもなしに成長する強者で、夏バテ防止や健康野菜として知られています。また、つる性のため、緑のカーテン(グリーン・カーテン)を兼ねてベランダで育てる人も多いですね。

「ツルムラサキ」は、私は次々と伸びる脇芽の先端部の若い茎葉を食べますが、大きくなった葉やつぼみ、花を食べる人もいます。おひたしで食べるのが一般的ですが、和えたり炒めたり、味噌汁に入れたり、天ぷらしても頂けます。一方の「オカワカメ」は、”陸のワカメ”と呼ばれる通り、ツルムラサキよりは粘り気が強いのが特徴です。ツルムラサキと同様に、主にその茎葉をおひたし等で食べますが、葉の付け根に出来る”むかご”や、地下に出来る山芋の様な”球根”も美味しく頂けます。オカワカメの方が、ツルムラサキより癖が少なくて食べやすいという人が多いですが、逆にツルムラサキの方が癖が無いという人もいて、何れが好きかは人それぞれの様です(笑)。他にも、似たようなネバネバ系の健康野菜には、「明日葉」(あしたば)や「モロヘイヤ」などもあります。私は、あの葉っぱ葉っぱした食感があまり好きになれず、もっぱらツルラサキ派です…(汗)。

何れの野菜も育て方は同じ。肥料を撒いて耕したら、苗を植えて、後は終わり!(笑)。株が小さいうちは多少の草取りが必要になるかもしれませんが、他に書く、育て方のキモもコツも無いほど、簡単に栽培できる野菜です。そして、植えてから1か月もすれば、株が大きくなり、脇芽がどんどん出てくるので、収穫を始めます。つる性のツルムラサキやオカワカメは、ネットや支柱に絡ませてもいいですが、畑で栽培するなら放任栽培が一番です。何れも安くタネが売られているので、種から育てることも可能ですが、家庭菜園では1-2株もあれば十分なので、種を買う必要も無いかと…。最初、株が小さいうちは収量が少ないので、沢山植えたいと思うかもしれませんが、3株・5株なんて植えたら、後で大変なことになりますよ!(汗)。


【品種】
熱帯の東南アジア原産とされ、中国やベトナム等でも古くから食用されてきましたが、品種改良されたことは無いようで、種でも苗でも一種類、「ツルムラサキ」としか書かれていません(汗)。オカワカメも同じです。
ただし、ツルムラサキにはその名の通り、つる(茎)が赤紫色をした赤茎種と、緑色の緑茎種があります。赤茎種は色見がキレイなので観賞用に寄せ植えにも使われたりしますが、食味的には緑茎種の方が好まれます。私は最初、買ってきた1袋の種を何年間か蒔き続けて栽培していましたが、数年で発芽しなくなってしまい、それ以降は、こぼれ種から自然に発芽した苗を育てて栽培しています…(汗)。5月下旬頃、去年ツルムラサキを栽培した場所の草取りをする際は、ツルムラサキの芽が出ていないか、注意して草取りをしましょう(笑)。なお、我が家のツルムラサキも、最初は赤茎系のものと緑茎系のものが混ざっていたはずですが、いつの間にか、緑茎系だけになってしまいました…。緑茎の方が、原種に近いのかもしれませんが、だったら”ツルムラサキ”という名前は変ですね?(汗)。
また、そのこぼれ種から毎年育てている我が家の緑茎系のツルムラサキは、茎が太すぎて、支柱に巻き付けて上に伸ばすことは出来ません。ところが、近所の家に株をお裾分けし、そのお宅の畑のこぼれ種で育った緑茎系ツルムラサキは、我が家のツルムラサキより10分の1くらい茎が細くて、支柱を立てればクルクル巻き付いて上に伸びます!。今年、里帰りと逆に株を分けて貰い、一緒に育ててみました。両者の味に違いは無い様ですが、食べ応えというか、収穫の手間が全然違います!。なので、スペースに余裕がある畑では、絶対に茎の太いツルムラサキがおすすめです(笑)。
ツルムラサキの種類の違い
【連作障害】
こぼれ種で同じ場所に芽を出すくらいですから、ほぼ連作障害は生じないようです。
【病害虫】
何年も育てていますが、我が家の粘土質の畑であっても、病害虫の被害にあったことは一度もありません!。真夏の高温と強い日差し、日照り続きで、他の野菜が弱ってしまい実が着かない時でも、ツルムラサキやオカワカメ、クウシンサイなどは、緑々とした元気な葉を繁らせ、モクモクと成長を続け、次々と収穫することが出来ます。その夏の強靭さには、本当に驚かされます(汗)。

 2.種まきと植え付け

ツルムラサキの種は 150円~200円くらいと安いので、タネから育ててもいいのですが、せいぜい2株もあれば十分なので、安い苗を買って植えた方が、早く収穫期を迎えることが出来ます。ただ、余った種も 3~4年は使い続けられるので、種を買った方がトータルコストは何十円か安いかもしれません(笑)。

ツルムラサキの自然発芽した芽私も最初は、買った種から苗を育てて、余った苗を近所にお裾分けしていましたが、数年で発芽しなくなってしまい、以後はこぼれ種から自然発芽した苗を育てて、栽培しています(笑)。5月下旬頃になると、去年ツルムラサキを栽培した場所で、あちらこちらからツルムラサキが芽を出します。それをポット上げして育て、苗が大きくなったら定植します。しかし、年々その発芽率が落ちてきたような気が…(汗)。近親交配による影響なのか、はたまた冬の気候にもよるのかも?。また、最初は赤茎種も混ざっていましたが、我が家でこぼれ種から発芽するのは、なぜか緑茎種だけになってしまいました。なお、ツルムラサキは両性花だそうですが、自家受粉を避けて種取りするためには、やはり2-3株は植えた方が良さそうです。


【気象環境】
発芽・生育適温は 20~30度とされますが、近年は長野でも、真夏の最高気温が36度とか37度という日が珍しく無くなりました(汗)。そんな気温の炎天下でも、ツルムラサキは至って元気です!。
【播種の適期】
発芽適温は 20~25度とされ、長野でこぼれ種が自然発芽するのは5月下旬、最高気温が25度を超え、最低気温が15度を下回らなくなる頃です。ただし、ポットに種まきをして、ポットカバーやビニールトンネル内に置けば、桜の咲く頃になれば、種を蒔いても発芽してくれます。種まきから1か月も過ぎると、定植できる大きさまで苗が成長します。
なお、ツルムラサキの種の殻は比較的硬いので、種まきする前に一昼夜、布に包んで水に浸けておくと、発芽が早まります。
種まきと収穫時期
 
【土壌・施肥】
有機質に富む保水・排水性の高い土壌が良いとされますが、我が家の粘土質で水はけの悪い、痩せた畑でも、グングン成長しますので、特に土壌は関係なさそうです。私は、植え付け時に肥料を撒いているだけで、追肥したことは無かったのですが、最近こぼれ種から芽が出てこないのは、そのせいかもしれないと、これからは追肥も上げたいと思います(笑)。
【植え付け】
ツルムラサキの植え付け株間は50cmくらい、放任主義で育てるなら1mくらい開けても夏には密に繁ります(汗)。株元の周りだけでも、ワラか、破れたマルチシートの切れ端でマルチをしておくと、株が小さいうちの草取りや水やりの手間も省け、収穫まで、ほぼ管理作業は一切不要になります(笑)。

 

 3.管理と収穫

管理

苗を植えた後の管理作業は、ほぼ不要です!(笑)。必要なのは、草取りくらいです。私は追肥もしたことがありませんが、成長が遅いようだと追肥して、中耕・土寄せしてあげましょう。

畑が狭い場合や、ベランダのコンテナで育てるなど、株をコンパクトに仕立てたい場合は、支柱かネットを張って、上方へとツルを誘引します。しかし、巻き付く力はあまり強くないので、時々少し手助けしてあげる必要がります。脇芽がたくさん発生しますので、広がる茎葉はどんどん切り落としてしまいましょう!。

夏のツルムラサキの株

収穫

株が一抱えくらいまで成長したら、収穫を開始します。次々と生える脇芽の先端 15cm~20cmを切り取って収穫し、おひたしや天ぷらなど、好みの食べ方で、暑い夏を乗り切りましょう!(笑)。


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