ニラの育て方

都会からリタイアして地元の田舎に戻り始めた家庭菜園、少しずつ学んだ野菜の育て方のコツをまとめてみました。

 1.ニラ栽培のキモとコツ

ニラとは

ニラ(韮)は、ネギ属に属する多年草。中国やインドでは紀元前から栽培されていたという、歴史のある野菜です(笑)。『一度植えたら、毎年収穫できる野菜』に分類しましたが、残念ながらアスパラの様に、植えっぱなしで10年以上も収穫することは出来ません。なぜなら、同じ場所に植えたまま3年くらい経つと、株が大きくなり過ぎて、根を張る場所が無くなり、葉が細くなるなど品質が低下、収量も落ちてしまいます。

そこで、3~5年毎に、株分けをし、植え替える必要があります。植え替えた翌年は収量が少ないので、2畝作っておいて、交互に3年毎に株分けするようにすると、切らすことなくよいニラを収穫し続けられます。

【品種】
紀元前から作られてきたというニラですから、よく見かける「大葉ニラ」といった固定種だけかと思っていたら、幅広で肉厚、収量の多い、多様なF1種が開発されていました(汗)。4月から収穫できる品種や、9月から収穫できる「ワンダーグリーンベルト」など、様々。何種類か育てると、より長い期間、収穫できそうです。そんなに毎日食べる野菜ではありませんが、必要な時に畑にあると便利です。
【連作障害】
ありません。ただ、ニラの根に住み着く微生物が、様々な病気を防ぐ効果があるとされ、ナスやピーマン、トマトなど、ナス科の野菜の「コンパニオンプランツ」として知られています。また、アスパラガスの茎枯病を防ぐ効果もあるとのこと。そんな便利なニラですから、せっかく数年毎に植え替える時には、別な場所に植え替えた方が、畑の消毒が出来て、よさそうじゃありません?(笑)。
【病害虫】
あまり発生しませんが、株間が混み合って、風通しが悪くなると、葉に赤サビや白サビの「さび病」が発生しやすくなります。発症を見つけたら、葉を全部刈り取り、株を間引くなどして通気性をよくしましょう。
にら さび病また、ウィルスにより外側の葉から黄化・褐変し腐敗する、「白絹病」も時々発生します。これは、近くに未熟な有機物があると発生しやすく、刈り取ったニラの葉を収穫・処分せずに、近くの地面に置いておくと、よくかかる病気です。ニラの葉は乾燥し難く腐敗しやすいので、刈り取った葉は、必ず圃場外へ処分するようにしましょう。酸性土でも発生しやすいので、追肥と一緒に、時々石灰も撒いてあげてください。

 2.種まき

数ある野菜の中でも、ニラは育てやすい野菜のひとつです。あまり細かいことは気にしなくても、滅多なことはありません。私は、畑の土の流出防止に、ニラの株を大きくして、土手を作成中です!(笑)

【気象環境】
発芽・生育適温は、15~25度。冷涼な気候を好み、耐寒性がとても高く、宿根で越冬します。
耐暑性もありますが、真夏の日差しには弱いです。もともと、半日陰でも育てられる野菜なので、コンパニオンプランツとなるアスパラガスの日陰になる場所に植えたらベストでしょう。
【播種の適期】
播種(種まき)の時期は、暖地では3月中旬以降、中間地・寒地では4月から5月にかけてですが、発芽適温は広く、寒さ・暑さを避ければ、比較的いつでも種まきできます。
種まきと収穫時期
 
【土壌・施肥】
排水性・保水性のある肥沃な土壌を好みます。播種・定植の1~2週間前には、石灰と堆肥を鋤き込み、耕しておきます。
【種まき】
ニラの種子は嫌光性です。5~10cm間隔の撒き溝を作り、灌水してから、種をすじ蒔きします。5mmほど覆土したら、灌水してから新聞紙で覆い、発芽を促します。草丈が20~25cmになった6月~9月ごろ、猛暑を避けて、株間15cmで定植します。
ところでニラは、トマトやナス、ピーマンなど、ナス科の植物のコンパニオンプランツとして知られています。そこで私は、どうせニラの種を蒔くなら、トマトの苗を定植する5月に、トマトの苗の株元に、ニラの種を蒔くようにしています。トマトの収穫が終わった10月頃、株の撤去と一緒にニラも掘り起し、栽培場所に定植しなおすと、一挙両得というわけです!(笑)。

 3.育て方

株分け

種から育てるのは面倒なので、品種に拘らなければ、知り合いから株を分けてもらい、株分けで育てるのが手っ取り早いですね。

株分け・定植の適期は、休眠期から休眠が明けまでの、葉が枯れている期間とする説や、春(4月)か秋(9月)にとする説もありますが、私の経験では、枯れている冬以外であれば、一年中何時やっても大丈夫そうです…。もう要らないと、捨てた株でさえ、その辺の地面の上に置いておけば勝手に根付いてしまうほど、頑強な植物でビックリします(汗)。

株分けの仕方は、大きく育った株をスコップで掘り起し、土を払いながら、葉の2~3本ごとに根を、力任せに(笑)、千切り分けします。多少どころか、相当手荒く扱っても、全く問題ありません(汗)。分けた株は、株間15cmで定植します。植え方は、天地さえ間違えなければ(間違えてもOKかも!?)、深植えしようが、浅植しようが、根付いて芽が出てきます!。水やりは、せいぜい1-2日もやれば十分。ただ、良いニラを収穫するためには、株分けした年は収穫せずに、株を大きく育てましょう!。

ニラの株分け

収穫

収穫は、株分けした翌年以降。草丈が20cm以上になったら、株元から数センチ上、葉が分岐したあたりで刈り取り、収穫します。

なお、家庭菜園で、スーパーで売られている様な長くて幅広の立派なニラが収穫できるのを期待してはいけません…(汗)。ニラ農家では、ハウスの中でマルチをして、ニラを箱入り娘のように過保護に育てているので、あれだけ立派なニラに育ちますが、家庭菜園の露地栽培では、半分くらいの背丈のニラが採れれば御の字ですよ(笑)。

追肥

追肥は、株分けしてから1か月後と、冬の間に1回。まったく追肥しなくても、ニラはどんどん増えて育っていきますが、葉を太くしたければ、追肥は欠かせません。

収穫がはじまったら、収穫した毎にお礼肥を与えましょう。株元に鶏糞などの肥料を蒔き、少し中耕しておきます。

花芽

ニラの種夏になると、花芽が伸び出します。花芽の茎は硬いので、食用には向きません。また、花を咲かせると株が弱ってしまうので、早めに摘み取ってしまいます。しかし、花芽はひっきりなしに順番に出てくるので、あまり気にせず、時々葉ごと刈り取ってしまうのが楽です。花を咲かせれば、固定種であれば、秋には種が採れますよ。

 


▲ページTOPへ