冠着山 - 登山

小学校の遠足で登った冠着山へ、40年ぶりに鳥居平登山口から登ってみました。

冠着山

 1.冠着山の概要

冠着山(かむりきやま)は標高1,252メートルで、長野県千曲市と東筑摩郡筑北村にまたがる山です。棄老伝説が伝えられる姨捨の後背地にあることから、ウィキペディアには姨捨山(おばすてやま・うばすてやま)という名で掲載されていますが、長らく千曲市に住んでいて、地元民が姨捨山と呼ぶのを聞いたことは一度もありません。小学校の校歌にも登場する山なので、子供からお年寄りまで地元では、「かむりきやま」と正名で呼んでいます。山頂には、冠着神社を祀る鳥居と、簡素な祠があります。

坊城平登山口冠着山の主な登山口は、3箇所あります。ひとつが、久露滝(くろだき)に向かう冠着神社鳥居脇の ①「久露滝登山口」(久露滝コース)。もう一つが、坊城平いこいの森にある ②「坊城平登山口」(屏風岩コースと、ぼこだき岩コースの2ルート)。そして、一本松峠の先にある ③「鳥居平登山口」(鳥居平コース)です。

この他に、千曲市・戸倉上山田温泉の近くにある佐良志奈神社の脇の、④「八王子山のぼり口」(八王子登山口)も、冠着山への登山口となっていて、ここから尾根伝いに登る「八王子尾根コース」(鳴海新道ルート)もあります。ただし、他の登山道に比べると、あまり整備されていないので、道を知らない人は避けた方が無難です。
この他にも、千曲市側からは、姨捨駅から久露滝登山口を経由して登るルートや、坂北村側からは冠着駅から鳥居平登山口を経由して登るルート、さらに大林山や八頭山から縦走するルートも設定可能です。
(↓地図をクリックすると、googleマップが別ウインドウで開きます。)

冠着山 登山口

 

鳥居平登山口

鳥居平登山口の写真これらの登山口のうち、③「鳥居平(とりいだいら)登山口」が、もっとも車でアクセスもしやすく、手軽に登れる冠着山登山コースの登山口になります。別名、「一本松登山口」とか、「冠着山南登山口」と称されることもあります。登山口から山頂までの登山時間は、約20~30分です。鳥居平登山口は、東筑摩郡麻績村と千曲市を結ぶ県道498号聖高原千曲線の道路脇にあり、車が20台くらいは停められる駐車場と、案内看板が整備されています。県道498号線は、途中にある聖高原の聖湖と、上山田温泉のある千曲市磯部とを結び、鳥居平はそのほぼ中間地点にあります。千曲市側からは、大池キャンプ場から一本松峠を越えてアクセスすることも出来ます。また坂北村側からは、冠着駅から県道494号線を通ってアクセスすることも可能です。


坊城平登山口

坊城平登山口の写真次に容易に登れる登山コースは、坊城平いこいの森にある②「坊城平(ぼうじょうだいら)登山口」から登る、「屏風岩コース」(約30~45分)です。キャンプ場入口にある鳥居を抜けて、冠着十三仏の横を通って登っていきます。

坊抱(ぼこだき)岩登山口の場所一方、キャンプ場の駐車場の奥にある、”かえる池”の脇から登る「坊抱(ぼこだき)岩コース」(約40分~1時間)は、ぼこだき岩まで行こうとすると、途中に鎖場があるため、初心者は避けた方が無難です。また、ぼこだき岩まで行かなくても、屏風岩コースほど整備されていないため、登山道は狭く滑りやすいです。その代わり、日陰になるせいか、植生は多様で、無理でなければ行きと帰りで違うルートを通るのもいいかもしれません。

なお、坊城平登山口までは、羽尾にある更級小学校の脇から、狭く曲がりくねった急坂の林道(仙石線)を、車で20分も登る必要があります。車の運転にあまり自信が無いドライバーは、他の登山口へ向かうか、健脚であるなら、麓からこの林道を歩いて登ることをおススメします。更級小学校の5年生は、毎年学校から冠着山まで、登山遠足をしていますよ!。


久露滝登山口

久露滝登山口の写真登山口から一番距離があり、時間のかかる登山コースは、①「久露滝(くろだき)登山口」からの登る「久露滝コース」です。登山口から山頂までは、約2時間。登山口から10分ほどの場所にある久露滝は、冠着山からの湧水が流れ落ちる、高さ約18mの滝です。滝の裏側も通ることができ、”生きる化石”と言われる「ハコネサンショウウオ」が、今も生息しているそうです。山頂近くで、鳥居平コースや屏風岩コースへと繋がります。

なお、久露滝登山口には、整備された駐車場等はありません。林道の路肩に駐車する必要があります。登山道の途中も、土砂崩れが起きて工事をしていますので、注意して通行してください。JR篠ノ井線の姨捨駅から、久露滝登山口までは、田んぼの畦道など最短ルートを辿れば、約4.5km。久露滝登山口から坊城平いこいの森までは、林道・久露滝線を通って、約3.5kmです。

冠着山登山口マップ2


八王子登山口

八王子登山口の写真この他に、千曲市・戸倉上山田温泉の近くにある佐良志奈神社の脇の、④「八王子山のぼり口(八王子登山口)」も、冠着山への登山口となっています。ここから尾根伝いに冠着山に登る、「八王子尾根コース」(鳴海新道ルート)は、他の登山道に比べるとあまり整備されていないため、道を知らない人は避けた方が無難です。また、登山口から山頂までは、約3時間半かかります。そこで私は、少しショートカットしようと、途中の山腹にある「荒砥城跡」(城山史跡公園)から登ったところ、下山する時に尾根筋を一本間違えてしまい、えらく焦りました(汗)。

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 2.冠着山 山行 (鳥居平コース)

今回は、冠着山への一番簡単な登山ルートである、鳥居平駐車場脇の登山口から、冠着山へ登ってきました。

行程 (2015年7月11日)
10時00分 鳥居平駐車場 到着
  ↓ (登り:30分)
10時30分 冠着山山頂 到着
10時40分 皆神山 下山開始
  ↓ (下り:20分)
11時00分 鳥居平駐車場へ帰着
鳥居平駐車場
千曲市側から国道403線を聖高原方面へと登り、姨捨の千曲川展望公園を過ぎてから、大池自然の家・大池キャンプ場方面に左折します。ここから冠着山方面へと林道を登って行くと、一本松峠を過ぎて、県道498号線に出たら、左折します。約4kmほど、曲がりくねった県道を進むと、左手に鳥居平駐車場があり、冠着山トレッキングコースの案内看板が立っています。その脇が、冠着山への鳥居平登山口です。
(写真をクリックすると、別ウィンドウに大きく表示します→)
鳥居平駐車場脇にある案内看板

登山道の様子
鳥居平登山口から山頂までの登山道のうち、下3分の1は、軽トラなど林業作業車も通れる林道(無舗装)なので、傾斜もぜんぜんキツクありません。
その後、登山道になっても、よく整備されているので、初心者でもまったく問題なく登れる登山コースです。
登山道

見晴らし台
登山口から20分ほど登ると、北アルプスを望むことができる見晴らし台に出ます。自然木のベンチと、「信濃路自然歩道聖高原ルート冠着山展望図」と書かれた、北アルプスの山並みが描かれた案内看板があり、どの峰が何山かを知ることが出来ます。
ここの展望台に掲げられた看板には、「あと200米、←5分」とあります。
見晴らし台

坊城平・久露滝コースの合流地点
しばらく登ると、いこいの森にある坊城平登山口あるいは久露滝登山口からの登山道と合流します。「坂井村へ」と記された方向が、鳥居平駐車場です。
坊城平・久露滝登山口からの登山コースとの合流地点

山頂
鳥居平登山口から約30分で、冠着山の山頂に到着です。山頂には簡素な祠が建ち、鳥居平登山口から登ると、ちょうど祠を挟んで、坊城平や久露滝登山口から登てきた場合と、反対側から山頂に到着。
山頂には方位盤(案内石標)が置かれ、富士山の名前も!。目を凝らしてみると、その方向に確かに富士山の形をした山が。たまたま一緒になった人に『あれは富士山ですかね?』と尋ねると、『ここから見える富士山にしては大きすぎませんか?』との回答・・・。しかし、家に帰ってきてから写真を引き伸ばしてみると、富士山かと思った山の裾あたりに、もう一つ富士山らしき頭が!。きっとこれが富士山でしょう、肉眼では分かりませんでしたが(笑)。
冠着山の山頂
方位盤
富士山

山頂からの眺めと景色
山頂にも大きな木が育ち、360度の絶景とはいきませんが、高速道路が走り千曲川が蛇行する”善光寺平”を見下ろし、雪を頂いた北アルプスを望むことができます。
山頂には、トタン板で覆われた簡素な祠があり、中に登山者ノートが備えられています。せっかくですから、私も記帳。
冠着山頂からの善光寺平の眺め
冠着山頂からの北アルプスの眺め
冠着神社

ヤマホタルブクロとミツバチ
下りの途中、登山口近くで、ヤマホタルブクロの写真を撮っていると、偶然にもミツバチが入り込みました。
シャッターチャンスとばかりに、何枚か写真を撮ったのですが、あまり良いシーンを捉えることが出来なくて、とても残念!。
ヤマホタルブクロ

「田毎の月」で有名な姨捨の棚田
別な日に登ったとき、姨捨を回って帰ると、「田毎の月」で有名な姨捨の棚田では、ちょうど稲刈りとはぜ掛けの真っ最中。
『わが心慰めかねつ更級や 姨捨山に照る月を見て』(古今和歌集 読人知らず)、『おもかげや姨ひとりなく月の友』(松尾芭蕉)、『けふといふけふ名月のお側かな』(小林一茶)
姨捨の棚田

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