過去の日経平均株価 12月の値動き

年末になると、利確や損切りで株価がアノマリーな動きを示すことがあります。そこで過去の12月の値動きを振り返ってみることに。

 年末の株価の動き

アノマリー」とは、ある法則や理論から見て異常(例外)、または説明できない事象のことをいいます。これは、マーケット(相場)においては、はっきりとした理論的な根拠を持つわけではないが、よく当たるかもしれないとされる経験則のことをいいます。(金融経済用語集より)

毎年暮れになると、国内の社会経済のファンダメンタルズや、企業の業績に関係なく、株価がアノマリーな値動きをすることがあります。

米国の投資信託やヘッジファンドの決算が11月に終わるため、手仕舞いの売りが出たり、逆に12月になるとその買戻しが入ったりします。また、12月半ば過ぎになると、外国人投資家からは、クリスマス休暇に入る前のポジション調整で、売り圧力が強まります。国内の個人投資家からも、節税対策のための売りが出やすくなります。ただし、年末までに、早めにこうした売り圧力が収まると、外国人投資家の参加が乏しい中で、今度は逆に、来年の相場に向けた仕込みの買いが入りやすくなり、年末から大納会にかけて、相場が急に跳ね上がることがあります。それが所謂、「掉尾の一振」(とうび(ちょうび)のいっしん)と呼ばれる、株式相場のアノマリーです。

2010年以降、各年の年末12月の日経平均株価と日経ジャスダック平均の値動き(日柄の終値)を、月初日の終値を100とした指数でグラフ化したのか、下図です。

12月の日経平均株価の値動き
12月の日経平均株価の値動き

12月の日経ジャスダック平均の値動き
12月の日経ジャスダック平均の値動き

 

過去7年間で見ても、明らかに「掉尾の一振」が窺える値動きが、何回も生じています。特に、ジャスダック(新興市場)に限っては、ほぼ毎年といっていいほど、その発生確率が高いように見えます。日経平均とジャスダック平均の両者で通じている現象は、12月月初から下げがきつかった年ほど、日経平均では12月の11~13日営業日を境にして、ジャスダックではクリスマス前後を境に反転して、上昇基調に転じている年が多いようです。逆に、12月初めから大きく上げて、月央に一旦調整が入った年も、年末にかけてまた上昇して終わる傾向があるように窺えます。

ただし、実際にこうしたアノマリーな傾向が、毎年必ず起こるとは限りません。それまでの一年間を通じて、株式相場がどう動いてきたのか、さらに来年以降、国内および海外の社会情勢や経済成長はどうなると予想されるのかによっても、年末の株価の動きは変わってくるはずです。

そこで、過去(2010年~直近)の12月の日経平均株価のチャートと、新興市場の値動きとして日経ジャスダック平均のチャートを並べて、その年に起きた主な社会的出来事や株式市場に影響を与えた事件などを振り返りながら、株価がどう動いたのか検証してみることにしました。東日本大震災直後、福島の原発事故を受けて株価がどう反応したのかも、大変興味深く、今後の取引の参考にしたいと思います。

まず、2010年以降から直近までの約9年間、株価がどのように推移してきたか日経平均株価の月足で見てみましょう。

こうして長いタームで見れば、日経平均は右肩上がりの「上昇基調」が続いているように見えます。2012年の8千円から、2018年の2万4千円まで、日経平均株価は実に 3倍にもなっています!。それなのに、なぜ私は株投資で儲かっていないのでしょうか?(汗)。高値で買って安値で売る様な、無駄な売買を繰り返しているからに他なりませんね・・・(泣)。

過去9年間の日経平均株価の推移
過去9年間の日経平均株価の推移

 

 2017年 年前半はトランプ政権の値踏みで停滞、後半は世界経済の成長期待で一段の踏み上げ

社会の主な出来事

2017年(平成29年)の世界・経済の根幹を揺るがしたのは、何と言っても「トランプ大統領」の誕生です。2016年11月8日(現地時間)の大統領選挙結果の開票速報を受けて、翌11月9日の日本の株式市場は大荒れし株価は大暴落しましたが、結果が固まると株価は一転、急上昇へと転じます。そして2017年1月20日、ドナルド・ジョン・トランプ氏が正式に、第45代アメリカ合衆国大統領に就任しました。

トランプ政権が掲げるキーコンセプトは、「アメリカ・ファースト」。米国の国力が相対的に低下し、国内にさまざまな問題を抱える状況を鑑み、自国の社会経済の建直しを最優先し、国際的問題への関与を可能な限り控えるべきであるとする考え方です。日本語では「アメリカ第一主義」と訳されるため、自国を尊び他国を蔑ろにする主張と捉えられがちですが、手段はさて置き、考え方自体は、一国のトップとしては至極当然のことなのかもしれません。

また、朝鮮半島と中東情勢の緊張が高まったことにより、ドル円の為替レートや原油先物価格にも影響がもたらされました。北朝鮮は、2月以降に中長距離弾道ミサイルの発射実験と核実験を繰り返し、7月にはアメリカ大陸も射程に入る大陸弾道弾ミサイルICBM「火星14号」の発射実験が2度にわたって行われました。中東では、6月にサウジアラビアと複数のイスラム諸国が相次いでカタールとの国交断絶を宣言。また米国は12月6日、エルサレムをイスラエルの首都と認定すると宣言。これにより、パレスチナとイスラエルの平和プロセスは、いっそう脆ういものとなってしまいました。

2017年の日経平均株価の動向

2017年の日経平均株価は、前半は、前年の暮れにアメリカ大統領選挙の結果を受けて急反動した影響と、トランプ政権による影響を見極めようとする動きから、小幅な値動きでの横ばいが続きました。

しかし年央を過ぎると、金融危機の影響が次第に消え、世界経済は成長を加速させます。年後半は、10月の国際通貨基金(IMF)による「世界経済見通し」で、今年と来年の世界経済成長率見通しが上方修正されると、株価は急上昇をはじめ、2017年CYの第4四半期だけで日経平均株価は2万円前後から23,000円台へと登りつめます。
 

▼ 2017年 日経平均株価チャート(2016年10月~2018年3月)
2017年の日経平均株価チャート

2017年12月の日経平均株価・ジャスダック平均の動き

2017年の12月の日経平均株価の値動きは、9月以降の急上昇の影響からか、2万3000円を天井に下押しを繰り返しますが、結局はほぼ横ばいの状態で年が暮れました。

一方、新興市場の値動きは、年後半の日経平均の急上昇を背景に、強気のファンダメンタルズが市場を席巻し、ほぼ一貫して高値追いの状況を呈しています。
 

▼ 2017年12月 日経平均株価チャート
2017年12月の日経平均株価チャート

▼ 2017年12月 JASDAQインデックスチャート
2017年12月のジャスダック平均インデックス・チャート

 


 2016年 米大統領選で年後半に急上昇し・年末疲れ?

社会の主な出来事

2016年(平成28年)は、8月にブラジルで、リオデジャネイロオリンピックが開催され、柔道とレスリングでは金メダルを量産。男子体操団体の大逆転金メダルや、初のメダル獲得に沸いた卓球やバトミントンなどラケット競技も盛り上がりました。

一方、世界中では悲惨なテロ事件が続発。6月に行われたイギリスの国民投票では、事前の予想を覆し、EU離脱派が勝利。欧州各国の株式市場は、過去最大の下げを記録します。

2016年の株価への最大のインパクトは、11月8日(米東部時間)に執行されたアメリカ合衆国大統領選挙で、これまた事前の予想を覆し、民主党のヒラリー・クリントン氏らを破って、共和党ドナルド・トランプ氏が勝利を収めたことでした。翌9日の午前9時に日本の株式市場が開くと、クリントン氏優勢の報道の中、為替は105円台半ばまで下落、日経平均株価は開始値17,281円から150円近く上げ17,427円まで上昇。しかしトランプ氏優位の報道が伝わり出した9時半以降は、情勢が一変。円が急ピッチに上げ幅を拡大させると、株価は急転直下。午後には一時、1ドル=100円台へ突入かと思われたころ、日経平均株価は前日終値から1,000円超も下げ、米国でもダウ工業株30種の先物が急落し、「恐怖指数」は4割も上昇します。ところが、日本市場が午後3時に閉まって以降、世界の金融市場は落ち着きを取り戻し、その夜の米国市場では株価は堅調に推移。翌10日の日本市場では、翌日の急落が夢だったかの様に、前々日以上の水準まで切り戻しました。たった一日で、日経平均は1,000円以上も上下し、日本の投資家はまさに悲喜交々・・・。

2016年の日経平均株価の動向

2016年の大発会の初値は1万8,818円でスタートを切ると、前年末の下げ基調への転換を引き継ぎ下落を続け、2月12日には一時1万5千円を割り込むまで下げました。その後、夏ごろまで日経平均株価は一進一退。6月のイギリスの国民投票でEU離脱が決まり、日経平均も一旦は下げますが、徐々に元の水準まで戻すと、秋以降はドル/円が円高基調から円安基調へ転じると伴に、日経平均株価も上昇基調に転じます。そして、11月の米国大統領選挙の大波乱から、株式市場は踏み上げ相場へと移行、12月末まで、日本の株式市場は上昇ピッチを早めつつ、年末の終値は1万9千円台まで回復を果たしました。
 

▼ 2016年 日経平均株価チャート(2015年10月~2017年3月)
2016年の日経平均株価チャート

2016年12月の日経平均株価・ジャスダック平均の動き

2016年の夏ごろまで停滞した日本の株式市場でしたが、10月以降は上昇基調に転じ、11月上旬の米国大統領選挙の結果を受けて、踏み上げ相場を演じると、12月も堅調に上昇し、12月20日には年初来高値となる1万9,500円台にタッチします。しかし、この年の日経平均株価の上昇はここで停まり、20日以降は横ばい、大納会は後半の急上昇の反動からか、陰線引けとなりました。

一方、新興市場のジャスダック平均は、12月も堅調に右肩上がりで推移。12月中旬には、外国人投資家のクリスマス休暇入りで低調になってしまった日経平均株価とは一線を隔し、大納会まで堅調な上昇基調を続けています。
 

▼ 2016年12月 日経平均株価チャート
2016年12月の日経平均株価チャート

▼ 2016年12月 JASDAQインデックスチャート
2016年12月のジャスダック平均インデックス・チャート

 


 2015年 株価上昇し2万円回復後は半値戻し・年末も下落(新興市場は掉尾の一振)

社会の主な出来事

2015年(平成27年)は、9月にイングランドで、ラグビーのワールドカップが開幕。世界ランキング15位の日本が、世界ランク2位の南アフリカに、34対32で逆転勝利。この日本の勝利を、『W杯史上最大の番狂わせ』と世界中のニュースが報じ、国内ではお笑いのスリムクラブ・真栄田さんが『具志堅用高さんが数学オリンピックで優勝するような偉業』とつぶやき、話題をさらっていたことが思い出されます。また、3月には金沢まで北陸新幹線が開業、北陸には観光客が大勢押し寄せ、今後も大きな経済効果をもたらすことが期待されています。

一方で、9月には、台風17号の影響による集中豪雨で、茨城県内で鬼怒川の堤防が決壊するなど、大きな被害が発生しました。その他、東京五輪エンブレムの盗用疑惑による撤回騒動や、横浜のマンションの杭打ち工事のデータ偽装問題など、実に多様な事件や事故、ニュースに翻弄された一年でした。

政治面では、9月19日未明に、前夜から続いていた参議院本会議で、戦後日本の安全保障政策の大転換と位置づけられる、安全保障関連法案が可決・成立しました。これに先立つ9月8日には、安倍晋三首相の自民党総裁への3選が無投票で決まり、憲法改正に向けての歩みをさらに強固にしていく姿勢が鮮明になっています。

2015年の日経平均株価の動向

2015年の大発会の初値は1万7,325円でスタートを切ると、前年の強い上昇基調を引き継ぎ、4月22日には終値で2万円台を回復。ITバブル期の2000年4月14日以来、実に15年ぶりの大台回復です。年初の初値から、6月に付けた年初来高値の2万952円までの上昇率は、20.9%に達し、2015年前半は、様々な記録に残る高騰劇が続きました。

しかし、6月に入ると、米国のFRB(中央銀行)による利上げが意識され始め、ギリシャの財政不安の再燃などで相場の雰囲気が徐々に悪化。そこに来て、6月12日に始まった「チャイナショック」(中国ショック)が世界中に飛び火、世界同時株安が発生してしまいます。直近の1年間で2倍以上に上昇していた上海総合指数は、リーマンショック後の最高値を付けた6月12日にバルブが弾け、この日を境に下落に転じて、3週間余りで3割以上も急落してしまいます。連日、多くの銘柄でストップ安が発生。売りたくても売れない状況が、さらに売り圧力に拍車をかけ、急落劇が引き起こされたと分析されています。この影響を受けた日経平均も、9月には一時、年初からの上昇分をすべて吐き出して、安値で1万6,901円まで下落しますが、その後は年末にかけて持ち直し、半値戻しの1万9,033円で一年の取引を終えました。年初の初値からの年間の上昇幅は、1,708円です。
 

▼ 2015年 日経平均株価チャート(2014年10月~2016年3月)
2015年の日経平均株価チャート

2015年12月の日経平均株価・ジャスダック平均の動き

2015年の前半、6か月かけて2割上昇した日経平均株価は、8月から9月にかけて一気に元の水準まで値を落としてしまいますが、年末にかけて持ち直し、「半値戻し」を達成します。しかし、年末12月の東京市場は、再び怪しい雲行きに陥っていました。

日経平均株価は、12月1日から15日までの間、高値から安値まで1,500円近く下げると、その反動で3営業日で一気にその下げを取り戻しますが、買いは続かず急速にしぼんで、結局月間の安値水準で大納会を迎えています。

一方、新興市場のジャスダック平均は、12月中はクリスマスまで下押しが続き、特に24日と25日の二日間は、大きく値を下げています。しかし、大納会に向かう最後の3営業日は、「掉尾の一振」で半値戻しを演じ、一年の取引を終えました。
 

▼ 2015年12月 日経平均株価チャート
2015年12月の日経平均株価チャート

▼ 2015年12月 JASDAQインデックスチャート
2015年12月のジャスダック平均インデックス・チャート

 


 2014年 消費増税不況も金融緩和の円安で株価は再上昇へ・年末は停滞

社会の主な出来事

2014年には、2月にロシアのソチで冬期五輪が、6月にブラジルでサッカーのFIFAワールドカップが開催されました。ソチオリンピックでは、羽生譲選手が金メダルを獲得しましたが、ブラジルW杯で日本代表は、グループCで1分2敗と1勝も挙げられず予選で敗退。また、9月には御嶽山が噴火し、地元の観光産業に大きな痛手を残しました。

政治経済面では、4月1日に、消費税が5%から8%になり、17年ぶりとなる消費税増税が実施されました。この消費税増税後、日本の経済活動は、増税前の駆け込み需要による反動減もあって、大きく落ち込み、国内の景気指数は軒並み悪化を示します。一方、前年からスタートしたアベノミクス効果で、ドル円相場は105円から102円程度で推移し、輸出企業・大企業を中心に企業業績は回復、株式相場も1万5千円前後で堅調に推移しますが、それが賃金上昇には結びつかず、アベノミクスの受益格差が、徐々に鮮明になっていきます。10月末に、日銀が追加の量的質的緩和に踏み切ると、円安が一気に加速、12月上旬には121円台と、2007年7月ぶりの円安水準までに達しました。日経平均株価も円安に支えられ、12月には1万6千円台へと踏み上げています。しかし、消費者のデフレ心理は一向に改善せず、アベノミクスの弊害と破綻を揶揄する声は、高まるばかりです。一方、原油価格は、新興国不安の高まりと、長引く世界経済の停滞で、一気に100ドル台から50ドル台へと半分に急落。資源国を中心に、政治不安が一層高まってしまいました。

すると安倍総理は、11月18日、翌2015年10月に予定されている消費税率10%への引き上げを、2017年4月に1年半先送りするとともに、アベノミクスの是非を国民に問うとして、衆議院の解散を表明。12月14日投票の第47回衆議院議員総選挙では、自民党が単独で絶対安定多数を超える291議席を獲得、公明党も最多の35議席を獲得、自公与党で議席数の3分の2以上を維持し、前回の総選挙に続く圧勝を収めました。民主党は、議席数を若干増やしたものの、代表の海江田万里が小選挙区で敗れ比例復活もかなわず落選するという事態に陥り、党勢の衰えは拭えませんでした。

2014年の為替チャート

WTI原油価格のチャート

2014年の日経平均株価の動向

2014年大発会の初値は1万6,147円と、ほぼ前年末の高い株高水準を引き継いで始まりましたが、徐々に下げ幅を拡大し、1月31日の最安値は1万4,764円と、ほぼ1か月間で2千円近く下落してしまいました。前年末に株価が急上昇した反動の売りが月初に出たことに続き、中国の経済指標の悪化や、アルゼンチンの通貨ペソの急落に端を発した新興国の通貨危機、ウクライナ情勢不安など、「新興国リスク」に対する懸念が高まると、一気にリスクオフの動きが加速、日経平均株価は大きく下落してしまいました。

その後も、イラクへの空爆開始やロシアへの経済制裁、原油価格の急落と続き、暫くは日本の株式相場も停滞を余儀なくされます。しかし、9月までに日経平均株価もようやく1万6千円台を回復、年初の水準まで戻したのですが、10月には再度の新興国リスクに加えて、欧州景気やエボラ熱といった不安要素が重なり、株価は再び急落。そこで飛び込んだのが、日銀の追加緩和策です。日経平均株価は、10月に長い下髭を残して急速に値を戻すと、それ以降は年末まで、円安と原油安の恩恵を受けるがごとく右肩上がりで上昇。12月には一時、7年4か月ぶりとなる1万8千円を突破しました。大納会の日経平均の終値は1万7,450円で、年初から1,303円上げて引けました。
 

▼ 2014年 日経平均株価チャート(2013年10月~2015年3月)
2014年の日経平均株価チャート

2014年12月の日経平均株価・ジャスダック平均の動き

2014年の日経平均は、1月に1万6千円から1万5千円に急落、その後も5月までは、年初から2千円安い1万4千円を探る動きを続けましたが、6月以降は上昇に転じ、年末には3千円アップの1万8千円で取引を終えています。12月中も、その後半の勢いのまま上昇を続けるかと思われたのですが、日経平均で1千円以上も乱高下する、波乱の師走になってしまいました。

日経平均は、12月1日から8日まで500円上げた後、下落に転じ、17日までの10日間で1,300円ほど急落。その後反動で、再び1万8千円を目指して上昇しますが、最後年末の2日間は、下押しして終わっています。
新興市場のジャスダック平均も、12月17日までは下げ基調、その後は上げ基調に転じて、ほぼ12月月初の水準で、一年の取り引きを終えました。

2014年は6月以降、半年間で日経平均は約2割も上昇していましたし、年初からも1,300円高い水準だったため、12月は利益確定売りと節税対策売りの両方に押された格好かと、推測されます。
 

▼ 2014年12月 日経平均株価チャート
2014年12月の日経平均株価チャート

▼ 2014年12月 JASDAQインデックスチャート
2014年12月のジャスダック平均インデックス・チャート

 

 2013年 1年間で日経平均は1.5倍・年末には「掉尾の一振」

社会の主な出来事

2013年(平成25年)は、「アベノミクス」発動の年です。2012年11月に、民主党政権下で野田首相が解散を表明。低迷する日本経済に何の知力も出せなかった民主党政権に対する失望と、TPP推進による経済成長を目指す自民党への政策期待から、12月16日に行われた第46回衆議院議員総選挙では自民党が圧勝、再び政権与党に復帰。12月26日には、安倍晋三が再び内閣総理大臣に選出され、第2次安倍内閣が発足しました。2013年3月には、TPP交渉参加表明とともに、日本銀行の新しい総裁に黒田東彦が選任され、異次元緩和と呼ばれる金融政策がスタートします。

また、2013年の最も大きな出来事と言えば、2020年夏季オリンピックの開催都市に、東京が選ばれたことでしょう。7月には、スイスのローザンヌで、立候補地のマドリード(スペイン)、イスタンブール(トルコ)、東京(日本)の3都市によるプレゼンテーションが行われ、滝川クリステルさんの『オ・モ・テ・ナ・シ』の心が注目を集めたのは、記憶に新しい所です。そして、9月7日(日本時間8日)に、ブエノスアイレスで開かれたIOC委員で、2020年夏季五輪の開催地に東京が選ばれると、東京のみならず、日本中が歓喜の渦に包まれました。

2013年の日経平均株価の動向

2013年正月の大発会が、1万604円でスタートすると、それまで3年間、9千円から1万円前後で低迷し続けていた日経平均株価は、アベノミクスへの期待を背景に、堰を切ったように上昇に転じ、ひと月間で5~8%もの上昇を続けます。3月には、TPP交渉参加表明とともに、新しい日銀総裁に選任された黒田総裁の下で、異次元緩和による物価の2%成長目標が示されると、日経平均株価の上昇はさらに加速、4月の月間上昇率は12%にも達しました。ゴールデンウイーク後も日経平均は上昇を続け、5月23日には1万5,942円の高値を付け、2007年12月11日以来となる、5年6か月ぶりの1万6千円台回復が目前に迫りました。この5か月間の日経平均の上昇率は、1月の初値から5,881円高い、50.1%にも達しています。

この間、積極的な金融政策によりドル/円も急伸。年初は86円/ドル前後だった為替相場は、1ヶ月で91円まで円安が進み、5月には1ドル100円の大台まで円安ドル高が進行しました。

2012年から2016年までのドル/円チャート

しかし、急速に跳ね上がった株価は過熱感を増しており、5月23日の場中に売り要因となる出来事が重なると、東京市場の株価は、雪崩落ちるように一日にして急降下。日経平均株価は、終値で前日比1,143円安(▼7.3%安)の、1万4,483円まで下落。下げ幅で、2000年4月17日のITバブル崩壊時(1,426円安)以来となる、大暴落を喫しました。

この「5.23ショック」により、日本の株式相場は数か月間の足踏みを余儀なくされます。しかし、9月7日(日本時間8日)に、2020年オリンピックの開催都市に東京が選ばれると、建設株を中心に株価は再び踏み上げを開始。年末には、5.23ショック前の年初来高値まで値を戻し、大納会の終値は1万6,291円と、年初の初値から5,686円も上げて、一年の取引を終えました。
 

▼ 2013年 日経平均株価チャート(2012年10月~2014年3月)
2013年の日経平均株価チャート

2013年12月の日経平均株価・ジャスダック平均の動き

2013年12月の日経平均株価の値動きは、日経平均が年初から1.5倍にも値上がりしていたため、月初より売り圧力に押され、激しく上下する株価に振り回されることに。12月17日までは、売り買いのせめぎ合いが続き、上げ下げを繰り返しますが、12月18日以降は一転、上値追いのまま大納会を迎えます。

新興市場のジャスダック平均も、月初より弱含み、12月10日を過ぎると25日のクリスマスまでは下げ基調が続きますが、仕舞は「掉尾の一振」で5%ほど上昇して大納会を迎えています。

2013年は、1年間で日経平均が1.5倍にも急上昇したことで、年末は売り圧力が強く働きましたが、逆に「掉尾の一振」が顕著に現れた年でもありました。
 

▼ 2013年12月 日経平均株価チャート
2013年12月の日経平均株価チャート

▼ 2013年12月 JASDAQインデックスチャート
2013年12月のジャスダック平均インデックス・チャート

 

 2012年 リーマン以降4年間の株価低迷最終年・年末株価上昇

社会の主な出来事

NYダウは、2008年のリーマンショック後の下落から、2009年1月にオバマ新大統領の就任とともに上昇に転じると、2011年8月の「米国債ショック」での下押しを乗り越え、2015年前半まで、ほぼ右肩上がりで上昇を続けてきました。特に、2012年1月25日に、米連邦準備理事会(FRB)が2%のインフレターゲット導入と2014年末までゼロ金利政策の維持を発表して以降は、その上昇傾向はさらに堅調さを増しています。国内においては、2月14日に日本銀行が、「中長期的な物価安定の目途」を公表。消費者物価の前年比上昇率で2%、当面は1%を目途とするという「インフレーション・ターゲティング」の枠組みを設定しました。

2012年(平成24年)の国内の出来事としては、2008年の着工から約3年8ヶ月をかけて、2月29日に自立式電波塔としては世界一の高さを誇る「東京スカイツリー」が完成、5月22日に開業を迎えました。

また政治面では、石原慎太郎東京都知事が10月25日に突然辞任を発表、たちあがれ日本を改称する形で「太陽の党」を結党。11月17日には、「日本維新の会」に合流し、代表に就任。12月16日に行われた第46回衆議院議員総選挙に比例東京ブロックで当選し、17年ぶりに国政に復帰しました。都知事の後任には、石原都知事の下で副知事を務めた猪瀬直樹が、12月16日の都知事選挙で史上最多の434万票弱を獲得し、当選を果たしています。

国政でも、2012年11月に民主党・野田首相が解散を表明し、12月16日に行われた第46回衆議院議員総選挙では、自民党が圧勝。2009年8月に実現した民主党の政権交代劇は、3年と4か月で終焉、再び自民党が政権与党に復帰しました。

2012年の日経平均株価の動向

2012年1月の大発会における初値は、前年の安値を引きずったまま、8,549円でのスタートとなりました。しかし、2月に日米でほぼ同時に発表されたインフレターゲットの導入と、それに伴う日銀の金融緩和策により、ドル円が77円前後から83円前後までに円安が進行すると、それを好感して日経平均は反転。3月には、1万円台を回復するに至りました。

ところが、EU加盟国の債務問題が深刻化し、世界経済の先行きにも不透明感が漂い始めると、株価は再び下値を模索。6月には、年初来安値となる8,238円まで、再び下落してしまいました。その後もしばらく、下値でのもみ合い状態が続きます。

しかし11月になると、民主党・野田首相が解散を表明。自民党の与党復帰と、政策に掲げる大胆な金融緩和によるデフレ脱却や円高是正など、積極的な経済対策への期待感から、株価は上昇。日経平均は、11月13日に付けた11月中の安値8,619円から、12月の大納会につけた12月中の高値1万433円まで、1か月半で20%も上昇し、ほぼ年初来高値に戻して一年を閉じました。
 

▼ 2012年 日経平均株価チャート(2011年10月~2013年3月)
2012年の日経平均株価チャート

2012年12月の日経平均株価・ジャスダック平均の動き

2012年11月14日の国会で行われた党首討論で、民主党・野田首相は自民党・安倍総裁に対して、議員定数削減に協力することを確約するなら、衆議院を解散すると明言。それに対して、安倍自民党総裁は『やりましょう』と応じ、11月16日に内閣は総辞職、12月16日の総選挙へと至ります。

この間、株式相場は、自民党による積極的な金融政策と経済対策への期待感から、急速に上げ幅を拡大。日経平均株価も、新興市場のジャスダック平均も、強い上げ基調のまま、12月年末まで右肩上がりのチャートを築いています。強い上げ圧力が働いている年末の場合、そこそこの売り圧力は吸収されてしまうようです。

ただし、クリスマス直前の3連休を控えた週末の金曜日(12月21日)だけは、利益確定売りで日経平均は大きく値を下げ、205円の陰線を付け、終値でも1万円を割り込んで引けています。しかし、週明けから大納会までの4日間は、再び上げ足を加速、掉尾の一振のごとく高値引けとなりました。
 

▼ 2012年12月 日経平均株価チャート
2012年12月の日経平均株価チャート

▼ 2012年12月 JASDAQインデックスチャート
2012年12月のジャスダック平均インデックス・チャート

 

 2011年 震災発生で年間株価は下落・年末株価も低調

社会の主な出来事

2011年(平成23年)は、3月に「東日本大震災」が発生した年です。2010年6月に、民主党政権下で内閣総理大臣は、鳩山由紀夫から菅直人に交代。2010年11月以降は、世界的な株高と円高が一段落したことにより、日経平均株価は緩やかながら上昇基調を続けていました。ところが、2011年3月11日(金曜日)の午後に発生した東日本大震災により、東北のみならず、日本中の至るところで大きな被害を受け、国内の経済活動は長くて暗い地下に潜ってしまうことに。福島の原発事故発生時の、東電に対する政府の対応と、住民に対する非難指示の遅れ等、危機管理の不備の責任を問われ、8月には管首相が辞任し、9月に野田佳彦が内閣総理大臣に就任。その後、野田内閣は、翌2012年12月の年末まで続き、民主党政権下で最後の内閣を担いました。

2011年の日経平均株価の動向

3月11日(金曜日)の午後、東京証券取引所の後場の立合時間が閉まる直前、午後2時46分に、東北地方太平洋沖地震(マグニチュード 9.0)が発生しました。地震発生直後、東証が閉まるまでの14分間は、まだ津波による甚大な被害が発生しておらず、大きな地震と予感した投資家が売りを出した一方で、建設関連株に復興需要を先回りした買いも入り、日経平均株価は、前日の終値から180円安で引けました。この日の日経平均株価の終値は1万254円で、長い陰線をつけることも無く、朝方につけた安値引けの状態でした。

土日を挟んで開けた14日(月曜日)の東京市場では、津波被害の甚大さを痛感した投資家による売りで、週末の終値から200円安で始まりましたが、まだ株価にはさほど大きな売り圧力は働いていませんでした。しかし、14日の11時1分に、福島第一原子力発電所の3号機の建屋が水素爆発を起こし、赤い炎と大きな爆発煙をまき散らして大破。その映像がテレビに映し出されると、一気に売り注文が殺到し、月曜日は634円安の9,620円(▼6.18%)で引けました。
15日(火曜日)には、放射能汚染の拡大が確認されると、日経平均株価は下げ幅を拡大。この日の最安値は、福島原発事故発生直後の最安値となる8,227円を付けましたが、終値では8,605円まで戻して引けました。最安値は、震災発生当日の11日の始終値1万298円から、3日営業日の間に2,071円安、▼20.1%下げと、株式相場に与えた影響は甚だ大きいものでした。
しかし、地震発生から5日後の16日(水曜日)には、前日の終値から大きく上げて始まった株価は、終値で9千円台を回復し、326円もの長い陽線を残して引けると、その後も徐々に株価は持ち直し、翌週には9,500円台まで回復。4ヶ月後の7月には、一時1万円台を回復するまでに戻りました。

ところが8月5日に、S&Pがアメリカの長期発行体格付けを、「AAA」から「AA+」に格下げ。一方、Moody'sがギリシャ国債の長期信用格付けを3段階引き下げたことで、ギリシャ経済の危機説が再燃。世界中で同時株安が急進し、債権や通貨市場も大混乱に陥った、いわゆる「米国債ショック」が起こりました。日経平均株価も、下げ幅を拡大。この米国債ショックの影響は長引き、11月には2011年の最安値となる、福島原発事故直後の最安値を下回る8,135円を付け、12月もこの年の安値水準のまま、年末を迎えています。
 

▼ 2011年 日経平均株価チャート(2010年10月~2012年3月)
2011年の日経平均株価チャート

2011年12月の日経平均株価・ジャスダック平均の動き

2011年の12月の日経平均株価の値動きは、前年の2010年12月と同様に、年末にかけて大きな売り圧力も働かず、ほぼ横ばいのまま狭いレンジで取引を終えました。新興市場のジャスダック平均も、ほとんど上げ下げせず、横ばいで推移しています。

2011年1月の日経平均株価の初値は1万352円、年末の終値は8,455円と、約2千円近く下げて終わっています。年初に年間の高値を付け、年末にかけて最安値を付けるという、年間を通じて漸減傾向から抜け出せない、株価低迷の一年だっただけに、たいした益出しや損切りが発生しなかったためと思われます。
 

▼ 2011年12月 日経平均株価チャート
2011年12月の日経平均株価チャート

▼ 2011年12月 JASDAQインデックスチャート
2011年12月のジャスダック平均インデックス・チャート

 

 2010年 年間通じて株価停滞・年末株価も小動き

社会の主な出来事

2010年(平成22年)は、「政権交代」を果たした民主党の、実質初年度の年です。3代続いた小泉内閣の後、年金記録問題や道路特定財源制度などの政治課題への対応を誤り、安倍晋三、福田康夫、麻生太郎と、首相が次々と1年で退陣に追い込まれた自民党は、2009年7月の衆議院解散で、ついにその覇権を失うことに。

2009年8月30日に行われた、第45回衆議院議員総選挙(改選数480名、単独過半数241議席)では、民主党が1党としては戦後最多となる、308議席を獲得。15年ぶりの政権交代を実現しました。一方の自民党は、議席数が公示前勢力の3分の1余に激減と、歴史的な惨敗を喫し、1955年の結党以来初めて第1党の座を失ってしまいました。

2009年9月、第1党となった民主党から、代表の鳩山由紀夫が内閣総理大臣に就任。しかし、普天間基地移設問題で舵取りを間違え、1年と持たず、2010年6月に退陣。代わって、小沢一郎と対立する菅直人が総理に就任しますが、2011年3月の東日本大震災の際の不手際を責められ、2011年9月に退陣。

2010年の日経平均株価の動向

2010年の日経平均株価は、1月の初値が1万609円で、12月の終値が1万228円と、下値8千円から上値1万1千円という比較的狭いレンジで、ほぼ横ばいに推移しました。なにも打つ手を出せない民主党政権下での、政治空白を象徴するような一年でした。

2010年の株式相場に影響を与えた、一番大きな出来事は、5月の「ギリシャショック」(ギリシャの財政危機表面化)です。日経平均株価は、急速に1千円近く下落し、その後も円高の影響もあって、ずるずると下値を探る展開が続きましたが、11月から年末にかけては、年初の株価まで買い戻されました。
 

▼ 2010年 日経平均株価チャート(2009年10月~2011年3月)
2010年の日経平均株価チャート

2010年12月の日経平均株価・ジャスダック平均の動き

2010年の12月の日経平均株価の値動きは、1万150円から1万300円前後という、とても狭いレンジで横ばいのまま、年末を迎えるに至りました。12月の月足は、短い陽線引けです。一年間を通じて、日経平均株価に大きな値動きが無かったため、年末にかけての益出しや損切りの動きも少なかったか、拮抗したためと推測されます。

新興市場の値動きも、ジャスダック平均を見ると、12月中はほとんど下げることなく、月初より数パーセントの上昇ですが、高値で大納会を迎えています。
 

▼ 2010年12月 日経平均株価チャート
2010年12月の日経平均株価チャート

▼ 2010年12月 JASDAQインデックスチャート
2010年12月のジャスダック平均インデックス・チャート

 

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