キャベツの育て方

都会からリタイアして地元の田舎に戻り始めた家庭菜園、少しずつ学んだ野菜の育て方のコツをまとめてみました。

キャベツ

 1.キャベツ栽培のキモとコツ

キャベツ(甘藍(かんらん)とは

キャベツ(甘藍(かんらん)は、アブラナ科アブラナ属の多年草で、日本人がもっとも食べている野菜のひとつでしょう。トンカツの付け合わせには欠かせませんね(笑)。その起源は古代にまで遡りますが、今の様なキャベツになったのは12~13世紀のイタリアと言われ、その後アメリカに渡り品種改良されてきました。日本には幕末に伝わりましたが、品種改良され日本で広く生産されるようになったのは、明治から大正にかけてのことで、野菜としては比較的新しい部類です。

キャベツ畑

現在、日本で一年間に出荷されるキャベツの生産量は、全国で約150万トンもあります。人口一人あたりだと年間15kg、1球が1キロとすれば、一人で1年間に15球も食べている計算です!(驚)。一度、嬬恋高原のキャベツ畑を訪れてみてください。そのキャベツ畑が広がる絶景には、驚かされますよ!(笑)。これだけ人気の野菜なので、できれば家庭菜園でも、春先から晩秋まで、年間を通じて切れ間なく収穫できるようにしたいものです。しかし、春の長雨や夏場の猛暑で苗が育たなかったり、逆に天候が良すぎて後から蒔いた種の生育が早く、収穫する前に畑で裂果してしまうことも・・・(汗)。毎年、いろいろ試行錯誤しているのですが、長く食べ続けるには、とにかく小まめに時間差で種まきを続けるしか方法がありません。それでもキャベツの収穫が途切れて、スーパーで買わざるを得なくなった時の、口惜しさと言ったら・・・(泣)。

【品種】
キャベツの品種は大変バラエティに富んでおり、どの種を選んだらいいのか悩みます(汗)。まず気にすべきは、種まきの時期。年間を通じて長い期間収穫が可能なキャベツですが、生育にかかる時間は意外と長く、種まきから収穫まで4か月前後もかかります。そのため、春まきで夏収穫、夏まきで秋冬収穫、秋まきで翌春収穫と、種まきの時期によって生育環境が大きく異なるため、それぞれの種まきの時期に合った品種を選びましょう。
春まき用は耐暑性・耐病性に富む品種が作りやすく、秋まき用は塔立ちが遅い早生品種で、「金系201号」などが作りやすいです。そんなに沢山要らないという人には、年中蒔ける「四季どり」(三季どり、時なし等)品種が便利(笑)。その他、家族の人数に応じて大玉・小玉と球の大きさで選んだり、変わり種では芽キャベツレッドキャベツなどもあります。
【連作障害】
2~3年空けた輪作が望ましいとされますが、家庭菜園で育てたいアブラナ科の野菜は沢山あり過ぎて、2~3年も空けるのは、なかなか難しいのが実情です(汗)。少なくとも、前作でアブラナ科以外の野菜を育てた場所に植えるようにしましょう。
【病害虫】
連作により根こぶ病などが発生しやすくなりますが、比較的病気には強い野菜です。一方、害虫に対してはめっきり弱く、アオムシやコナガ、ヨトウムシなどチョウ目(鱗翅目)の幼虫と、アブラムシ対策は必須です!。できれば育苗中も、定植後は直ぐに虫除けネットを掛けます。しかし、それでも蝶の侵入はなかなか避けられず、アオムシは見つけ次第に捕殺(テデトール)しましょう(笑)。
とは言え、無農薬でのキャベツ栽培は難しく、結局私は、量と回数に注意しながら、農薬に頼ることにしています。アブラムシとアオムシに対しては、生育初期の段階では「オルトラン粒剤」や「オルトラン水和剤」がおすすめ。播種時や定植時の植穴処理、育苗期に株元に撒くことで、防除効果を発揮します。株が育ってからだと、速攻性の高い「プレオ フロアブル」や、収穫前日まで使える「フェニックス顆粒水和剤」が、幅広いチョウ目害虫に高い効果が期待できて、おすすめです。
家庭菜園で使う農薬、おすすめはどれ?」のページもご覧ください。

 2.種まきと定植

キャベツは、春から秋まで時間差で種まきを続けると、長い期間収穫できる、スグレモノの野菜です。アオムシやアブラムシに負けずに、ぜひ年間を通じた収穫を目指してください!(笑)。

【気象環境】
生育・結球適温は15~20度、冷涼で日照を好みます。耐寒性は非常に高く、長野の氷点下10度以下になる冬でも、小苗のまま雪の下で越冬し、翌春に塔立ちしなければ、初夏には結球します。ただし、暑さにはめっぽう弱く、28度以上になると生育は停滞します。
【播種の適期】
暖かい地方だと、基本的に種まきの適期は、3月の春まきと9月の秋まきです。しかし、生育期間が4か月前後と長くかかるので、長野あたりだと芽が出る暖かさになる3月下旬に種を蒔いたら収穫できるのは真夏、9月に蒔いたら雪の降る前までに大きくならず、結局翌春にはトウが立ってしまいます(汗)。そこで、春用には、前年の晩秋に種を蒔いて、小苗の状態で越冬させると、春暖かければ5月下旬には収穫期を迎えることが出来ます。早蒔きして苗を大きくし過ぎるとトウ立ちするので、種まきは10月初旬から中旬ごろが適期。秋まきは、暑さ除け・日除けの寒冷紗を掛けながら、お盆までに種まきをすると、なんとか年内に収穫期を迎えることが出来ます。
あとその間でも、上手く時間差を利用して種まきを続けると、その年の気象条件によってはちゃんと生育し、晩春から初冬までキャベツを切らすことなく収穫し続けることが出来る・・・、場合もあります(汗)。ぜひチャレンジしてみてください!。
種まきと収穫時期
 
【土壌・施肥】
葉物野菜は、酸性土を嫌うものが多いです。播種・定植前に、中性寄りになるよう石灰を施しましょう。
キャベツは、肥料好きの野菜です。特に、定植後の下葉の成長が、その後の生育に大きく影響します。定植後、1週間ほどして根付いたら、追肥をしっかりして、大きな球に仕上げましょう。ただし、肥料のやり過ぎは、アブラムシとの戦いでもあります。ご注意を!。これは個人的な感覚ですが、化成肥料よりは遅効性の鶏糞などの堆肥を追肥に使い、中耕と土寄せを兼ねて、堆肥によく土を掛けておくと、比較的アブラムシの被害は受け難いように感じています(汗)。
【植え付け】
直播きも出来ますが、キャベツは成長途中で一度直根を切ってやると、根張りが強くなりますので、ポットでの育苗が最適です。
キャベツの苗本葉が5~6枚になった頃が、定植の適期。事前に石灰と堆肥を施した畝に、条間 60~70cm×株間 30~40cmで植え付けます。品種によって、大きく葉を広げる品種は広めに、葉の広がりがコンパクトな品種は狭めにします。アブラムシやアオムシ対策には、定植時の植穴に、オルトランやダントツなどを撒いておくと良いでしょう。
キャベツ栽培の畝幅・条間・株間

 3.管理と収穫、保存

定植後の管理

定植したら直ぐに、防虫ネットなどでトンネル掛けし、蝶や蛾に卵を産み付けられないようにしましょう。しかし、ネットを掛けてあるからと安心してはいけません!。どんな隙間からでも蝶は入り込み、草取りの合間にも人目を盗んで蝶は卵を産み付けてしまいます(汗)。常に注意を払い、もし葉に穴が開いていたり、糞の塊を見つけたら、葉の裏側までよく観察して、アオムシ類は見つけ次第に捕殺します!。

アオムシやコナガの幼虫などが多すぎて、テデトール(手で獲る)が間に合わなくなってしまったり、アブラムシが押し寄せた場合には、農薬に頼りましょう。速攻性の高い「プレオ フロアブル」や、収穫前日まで使える「フェニックス顆粒水和剤」が、おすすめです。

定植後、2~3週間ごとに、草取りと中耕・土寄せを兼ねて、追肥をします。肥料好きの野菜なので、追肥はたっぷり目に!(笑)。

 

収穫

球の頭を手のひらで押さえてみて、大きく締まりのよいものから収穫します。収穫が遅れると、球に亀裂が入り、葉が割れてしまいます。ギリギリ裂果を逃れても、収穫後に台所で水に浸けたら、パンッと割れてしまうことも!(汗)。もちろん、裂果しても味に変わりはなく、ちゃんと食べられるのですが、葉を剥くのが難しく、傷みやすくなってしまいます。できれば、裂果する前に収穫を済ませ、食べきれなければ知人や近所におすそ分けしてしまいましょう!(笑)。

収穫後のキャベツを長く保存するには、芯の部分をくり抜き、そこに水で濡らしたキッチンペーパーなどを詰めてから全体をラップに包んで、冷蔵庫の野菜室で保存すると、比較的長持ちします。

とにかくキャベツやブロッコリー等は、切った芯の部分が、一番腐りやすいです。収穫する際も、地際から包丁で切ったまま根を残しておくと、残った根の芯の部分から腐って、悪臭を放つことがあります。そのままにしておくと、病害虫の発生原因ともなりかねません。収穫の際は、根ごと掘り起こしてから球を切り離すか、根を残したら早めに耕すようにしましょう。ただし、適期栽培では、切り残した株から脇芽が出て、小さいながらもまたキャベツが収穫できる場合もありますので、見極めが肝心です!。


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