甲信越・東海の「ご当地ラーメン」

全国のご当地ラーメンの特徴と味の情報に加えて、地域の観光情報も。食べ歩きはいかが?

(15)山梨県

ほうとう風ラーメン

  • 地域エリア:  山梨県
  • 由来や定義:  2023年にやまなし源水ラーメンが誕生するまでは、山梨県に「ご当地ラーメン」と位置付けられるラーメンが見当たりませんでした。そこで、ご当地名物のほうとう麺の代わりにラーメンの中華麺を使って、ご当地の郷土料理「ほうとう」風のラーメンを提供している店があるので、それを「ほうとう風ラーメン」と私が勝手に命名して、ご当地ラーメンとして、ここで推薦しておきたいと思います。
    「ほうとう」とは、小麦粉を練って切った麺(あるいは、すいとんの様に小さな塊状にしたもの)を、かぼちゃなど季節の野菜と一緒に煮込んで、主に味噌で味付けをした、山梨県の郷土料理です。ほうとうの具となる麺は、コシを出す必要がないため塩水が加えられていないので、生麺のまま煮込むのが、通常の麺料理とは大きく異なる点です。この小麦粉の麺状の具の代わりに、かんすいの入ったラーメン用の麺を使った”ほうとう風ラーメン”のメニューを提供しているのが、「湖麺屋 Reel Cafe」の”豆乳味噌ラーメン-ほうとう仕立て-”や、「味処 ほさか」の”ラーとう”です。
    なお、笛吹市では2023年、ほうとう麺を使ったラーメン調理法として「ラーほー」を開発し商標登録を発表しましたが、これはあくまでほうとう麺なのでラーメン(中華麺)には該当しないと判断し、ここでの掲載は見送ります…。

やまなし源水ラーメン

  • 地域エリア:  甲府市、富士吉田市など
  • 由来や定義:  2023年7月11日(ラーメンの日)に、山梨県にも全国的に認められるご当地ラーメンを作りたいと設立されたのが、「山梨ご当地ラーメン協会」。協会では、一般参加型のワークショップを開催したり、地元のラーメン店の市場調査や山梨県民のラーメンに対するアンケート調査などを実施しつつ、山梨のご当地ラーメン作りに対して3つを大きなテーマ(①山梨県のおいしい”水”をテーマに、②山梨県の特産品を使い、③SDGsの観点を踏まえたご当地ラーメンを作る)に添って試作を重ね、ついに「やまなし源水ラーメン」の完成に漕ぎ付けました。この山梨県の新ご当地ラーメンは、2023年11月20日(山梨県民の日)より県内3店舗で提供開始されました。

(16)長野県

安養寺ら~めん

  • 地域エリア:  佐久市
  • 由来や定義:  佐久市(旧岩村田)にある「安養寺」は、中国で味噌づくりを学び全国に広めた法灯円明国師無本覚心の遺言で、大歇勇健(正眼智鑑禅師)により、貞治年間(1365年頃)に建立されたといわれ、「信州味噌発祥の地」ともいわれています。 そこで、ここから全国に発信できる味噌ラーメンを作ろうと、2007年に、佐久市内のラーメン店6店の店主が、地域活性化を目的として「佐久拉麺会」(現;安養寺ら~めん会)を結成しました。この活動に、佐久商工会議所も協力、地域の観光の目玉=名物とすべくご当地ラーメンの開発が進められ、2008年に、地元で醸造された名産「安養寺みそ」を使った「安養寺ら~めん」が誕生しました。安養寺ら~めん会では、「安養寺ら~めん」を名乗るには、安養寺みそを80%以上用いることを条件としており、また店主は、安養寺みそについて客に説明できなければなりません。2015年3月末現在、15の提供店が会員登録されています。

ローメン(伊那ローメン)

  • 地域エリア:  伊那市、その周辺
  • 由来や定義:  「ローメン」は、1955年に伊那市の中華料理店「萬里」の店主が、冷蔵庫がまだ無いこの時代に、地元の服部製麺所の協力を得て、日持ちする蒸し麺を考案したのが始まりとされています。これが、長野県伊那地方に広まり、郷土料理として地域に根付きました。ローメンは、炒肉麺(チャーローメン)とも呼ばれ、マトンなどの肉と野菜を炒めて、蒸した太めの中華麺を加えた麺料理で、ラーメン用のスープを加えたものと、加えない焼きそば風のものとがあります。1994年には、ローメンを町おこしに繋げようと、ローメン委員会(現ローメンズクラブ)が設立され、ローメン発祥の記念碑を建て、6月4日を「ローメンの日」と制定して、普及のための活動を行ってきました。B-1グランプリにも第6回大会から毎年出場してきましたが、伊那ローメンズクラブが飲食店主中心の組織だったため出場資格を失ってしまい、そのため2014年に新たに、市民有志による「伊那ローメンZUKUラブ」が結成され、B-1グランプリ復帰を目指しています。

(17)新潟県

雪国・新潟でも、北海道などの寒い地域に共通して、ラーメンは人気があります。店舗数も多く、ラーメン激戦地とも言われています。新潟には、ラーメン評論家の石神秀幸氏が分類した四大ラーメン(①新潟流あっさりしょうゆラーメン、②巻町流割りスープ付きみそラーメン、③燕三条流背脂ラーメン、④長岡流ショウガしょうゆラーメン)のほか、三条市には70店舗以上もの店が提供しているという人気の”三条カレーラーメン”があり、これらを合わせて「新潟五大ラーメン」と呼ばれています。ここでは、特に人気が高い、燕三条と長岡のご当地ラーメンを紹介しておきます。

燕三条系ラーメン(燕三条ラーメン、燕三条流背脂ラーメン)

  • 地域エリア:  燕市、三条市、その周辺(県央地域)
  • 由来や定義:  金属製品で有名な燕市をはじめ、新潟県の県央地域は古くからの工業地帯で町工場が多く、工場労働者の夜食などとしてラーメンが人気でした。その味は、汗をかく労働者の好みに合わせて、こってりした塩っぱめのスープに腹持ちのいい太い麺の、地元で呼ばれることの多い、いわゆる「背油チャッチャ系ラーメン」へと進化していきました。出前も多かったので、太くても茹で上がりに時間がかからず、伸びにくい極太麺も改良が積み重ねられてきました。石神秀幸氏が燕三条流背脂ラーメンと分類したことで、最近では「燕三条系ラーメン 」という名で、全国に知られるようになりました。

長岡系ラーメン(長岡生姜醤油ラーメン、長岡流ショウガしょうゆラーメン)

  • 地域エリア:  長岡市、その周辺
  • 由来や定義:  濃口しょうゆに、生ショウガを利かせたスープが特徴の「長岡系ラーメン 」は、雪国ならではの、体がポカポカ温まるラーメンとして、長岡市周辺で人気があります。古くは、長岡市でも支那そばがよく食べられていましたが、1960年代後半に「青島食堂」が、生姜をきかせた豚ガラ醤油スープに、ほうれん草と薄切りチャーシューがたっぷりのったラーメンを考案して客に提供すると、冬の寒さに負けない味として、長岡市民の間で人気が出て、市内の各ラーメン店に広がりました。そのため、地元では“青島ラーメン”とも呼ばれています。

(18)富山県

富山ブラック

  • 地域エリア:  富山市、その周辺
  • 由来や定義:  富山県には、ブラック、ホワイト、ブラウン、ホワイトと、色味の違いで称されるラーメンが複数存在しますが、ご当地ラーメンと呼べるほどの地位を、地元で確立しているとは言い難いのが実情です。その中でも、メディアへの登場頻度が一番多いのが、「富山ブラック 」です。1955年頃、戦後の復興事業に従事していた食べ盛りな若者の昼食として、醤油を濃くした塩味の濃いスープのラーメンを提供していた屋台の「大喜」が、富山ブラック・ラーメンの発祥と言われています。その後、県内の比較的味の濃い黒いスープのラーメン屋を総称して、何時からか「富山ブラック」と呼ばれるようになりました。

(19)石川県

石川県のご当地ラーメンと言うと、よく”8番らーめん”が挙げられます。8番らーめんは、株式会社ハチバン がフランチャイズ展開しているラーメン店で、2015年3月末現在、石川県内に50店、富山県に33店、福井県に29店と、北陸で超人気のラーメン・チェーン店です。昭和42年に、石川県加賀市の国道8号線で開業した8番らーめんの看板メニューは「野菜らーめん」で、独特のコシのある太麺と、キャベツ、もやし、タマネギ、人参をたっぷり使われており、特に「野菜塩らーめん」が一番人気だそうです。

ただし、このラーメンは特定のラーメン店のメニューなので、残念ながら石川県のご当地ラーメンとしては、ここでは掲載できません。したがって、石川県のご当地ラーメンは”無し”ということに・・・。


(20)福井県

敦賀ラーメン(敦賀屋台ラーメン)

  • 地域エリア:  敦賀市
  • 由来や定義:  昭和28年に、1台の屋台がきっかけとなり、中華そばの屋台が人気となり、夜な夜なチャルメラを鳴らしながら、敦賀の町中を数多くの屋台が行き来するようになりました。深夜になると、屋台は住宅街から駅前へと集い、駅に降り立つ乗降客や旧国鉄職員のお腹を満たしていました。そのうち、モータリゼーションの波で、屋台は駅前から国道沿いに移り、多い時には15台の屋台が立ち並び「ラーメン街道」とも呼ばれるようになりました。今では、駅前に残る5軒の屋台のほか、屋台から店舗に移った店や、新たに出店した中華料理屋やラーメン店が、昔ながらの「敦賀屋台ラーメン 」の味を受け継いでいます。平成17年には、敦賀の企業や関係団体などが、「敦賀ラーメンブランド化プロジェクト」実行委員会を立上げ、敦賀のラーメンを地域ブランドとして全国にPRする活動が、県や市等の支援を受けて広がっています。

(21)静岡県

藤枝朝ラーメン(志太系ラーメン)

  • 地域エリア:  藤枝市、その周辺(旧志太郡、志太地区)
  • 由来や定義:  藤枝は古くからお茶の産地で、また焼津には大きな漁港があり、朝早くから働く人がとても多い地域であったため、客の要望に応える形でラーメン屋が早朝営業を開始したのが、「藤枝朝ラーメン 」(朝ラー)の起源と言われています。志太地区に朝ラーを提供する店が多いことから、地元では”志太系ラーメン”とか、発祥の店の名前が「マルナカ」であることから”マルナカ系ラーメン”とも呼ばれています。つるりとした喉ごしの麺と、さっぱりとしたスープで、「朝から食べても胃にもたれない」と評判になり、二種類の味を楽しもうと、温と冷をセットで食べるのが藤枝流となりました。。2010年に、朝ラーの食文化を受け継いで、勤労と人情にあふれた藤枝を取り戻そうと、「藤枝朝ラー文化軒究会」が発足しています。
    なお、喜多方にも、朝にラーメンを食べる習慣があり、「朝ラー」という造語は、2005年のJR東日本「あいづディスティネーションキャンペーン」で、この習慣を紹介するのに使われたのが最初と言われています。

(22)愛知県

台湾ラーメン

  • 地域エリア:  名古屋市、その周辺(中京圏)
  • 由来や定義:  1970年代に、名古屋市にある台湾料理店「味仙」で、台南名物の担仔麺を元に、名古屋人の好みに合わせて味付けを辛くして作った賄い料理が、起源と言われています。台湾人の店主が考案したことから、店では「台湾ラーメン 」と名付けらて、メニューにもなりましたが、それが市民の間で人気化したのは、1980年代中頃に激辛ブームが到来してからのことです。激辛メニューとして、テレビで頻繁に紹介されるようになると、名古屋大学の学生食堂やトヨタ自動車の社員食堂などでも提供されるようになり、深く地域に根付くこととなりました。

(23)岐阜県

高山ラーメン(飛騨ラーメン、飛騨高山ラーメン、飛騨中華)

  • 地域エリア:  高山市
  • 由来や定義:  飛騨高山で「そば」と言うと、通常は”中華そば”(ラーメン)をさし、「蕎麦」はあえて「日本そば」と呼ばれることが一般的です。なお、「高山ラーメン 」(飛騨ラーメン)という呼称は、地元では使われず、他地域からみた時の呼び名として、最近付けられたものです。名物”飛騨そば”(日本そば)も、地元ではよく食べられますが、中華そばが古く戦前から市民にたいへん人気で、今では年越しに中華そばを食べる家も多いようです。和風の鰹ダシなどに、醤油を直接入れて味をつけたスープと、細麺の組み合わせは、飛騨そばに通じるものがあるようです。

(24)三重県

亀山ラーメン

  • 地域エリア:  亀山市
  • 由来や定義:  全国各地どこにでもご当地ラーメンがあるラーメン大国ですが、三重県にはご当地ラーメンが存在しませんでした。そこで2013年に、亀山商工会議所が中心となって、亀山には名物「亀山みそ焼うどん」があるが、世界を相手にするにはラーメンであると、新たにご当地ラーメンを開発することになりました。そして完成した「亀山ラーメン」は、ぐるなびが主催した「ご当地ラーメングランプリ2013」で見事1位に輝き、2015年1月には、サンヨー食品から「サッポロ一番 三重亀山ラーメン 牛骨味噌(みそ)味」が全国で発売されることとなりました。亀山ラーメンは、三重県にちなんで、1)三重県産の小麦粉「ニシノカオリ」から作った麺であること、2)具材は三重県産のキノコ三種(ハナビラタケ、ハタケシメジ、ヒラタケ)を用いること、3)スープは県産牛の牛骨からとったスープに数種類の味噌を独自にブレンドしたものであること、の3つのこだわりが、亀山ラーメン会で定められています。

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