関西の「ご当地ラーメン」

全国のご当地ラーメンの特徴と味の情報に加えて、地域の観光情報も。食べ歩きはいかが?

(25)滋賀県

近江ちゃんぽん(彦根ちゃんぽん)

  • 地域エリア:  彦根市、その周辺
  • 由来や定義:  彦根市に1963年に創業した「麺類をかべ」の店主が、地元で採れる新鮮野菜をおいしく食べてもらえるメニューはないかと、本来はうどんを主体とする食堂でしたが、ちゃんぽんを考案して客に提供したところ、とても人気を博しました。1985年にドリームフーズの創業者が、麺類をかべの経営を引き継ぎ、人気のちゃんぽんに改良を加えて、主力商品として成長させていきます。後に、「ちゃんぽん亭総本家」としてフランチャイズにより店舗数も増え、「近江ちゃんぽん」(以前は「和風ちゃんぽん」)というメニュー名でブランド展開したことで、彦根のちゃんぽんは「近江ちゃんぽん」として、広く知られるようになりました。今では、彦根市および県内各地で、滋賀県民のソウルフードとして、ちゃんぽんのメニューが数多くの店で提供されるようになりました。2015年2月には、近畿地区限定ですが、日清食品からカップラーメン「麺ニッポン 近江ちゃんぽん」が新発売されました。

(26)京都府

京都ラーメン

  • 地域エリア:  京都市、その周辺(京都府南部、滋賀県南部)
  • 由来や定義:  1938年に、京都駅付近で一人の中国人が始めた屋台が、京都ラーメンの発祥と言われています。後に、この屋台は小路高倉に「新福菜館」という店を構えて、濃い口醤油を使ったスープに薄切りのチャーシューをふんだんに載せたラーメンを提供して、人気を呼びます。その後、「珍遊」や「ますたに」などの店で、鶏ガラベースの醤油味のラーメンに、豚の背脂を散らした濃厚な”背脂ラーメン”(”チャッチャ系ラーメン”とも)が登場します。さらに、1971年に創業した「天下一品」は、鶏をゼラチンが出るまで炊き出した超濃厚なスープのラーメンを生み出し、京都で大きなブームを呼び、全国にも多くの店舗を展開するまでに成長しました。このように、「京都ラーメン」の本流は大きく三つに分けられますが、いずれもその味は濃い口であり、濃厚なラーメンです。
    一方で、1976年に阪急デパートが、女性客をターゲットにした薄味のラーメン店をオープンさせたところ、京料理のイメージに合うと、逆に首都圏で人気となりましたが、これは濃厚な京都ラーメンからすると、「京風のラーメン」に過ぎないとするのが、地元京都民の認識です。

(27)大阪府

高井田ラーメン(高井田系ラーメン)

  • 地域エリア:  大阪市(東部)、東大阪市(西部)、その周辺
  • 由来や定義:  いろいろな地方からの出身者も集まる大阪には、東京と同じように、これぞご当地と呼べるほど地域性を持ったラーメンは、実は見当たりません。唯一、東大阪市の高井田を中心として、大阪市東成区などを含む狭い範囲に、濃い醤油味の極太ストレート麺を提供するラーメン店が軒を連ねていることから、高井田のラーメン、つまり「高井田ラーメン」(高井田系ラーメン)として、徐々に知られるようになってきました。当地では、今でもラーメンのことを中華そばと呼ばれることが多いことから、”高井田系中華そば”と言われることも。
    高井田ラーメンの発祥は、1953年に屋台を始めた「中華そば 光洋軒」であると言われています。大阪市の東部や東大阪市には、昔から町工場が多くあり、工場労働者に、濃厚な醤油味で、食べ応えがある極太麺のラーメンが、値段の安さもあって、大変人気になったようです。また、夜勤明けの労働者には、朝早くから「おはようラーメン」とも呼ばれ、提供されるようになりました。こうして、地域に広まったのが、高井田ラーメンです。

(28)兵庫県

播州ラーメン

  • 地域エリア:  西脇市、その周辺(播磨地域)
  • 由来や定義:  西脇市を中心に播州地域で食されている「播州ラーメン」の最大の特徴は、スープが「甘い」ことです。このスープは、播州織が隆盛を極めた昭和30年代に、西日本各地から集団就職でやってきた2万人近くの若い女性たちの口に合うように作られた、少し甘めのスープがルーツだと言われています。「播州ラーメン」と呼ばれるようになったのは、西脇多可料飲組合が、地元の特産としてPRするようになったのがきっかけです。同組合には、現在6店舗が加盟していますが、全盛期と比べると半分以下に激減してしまいました。
播州ラーメン

(29)奈良県

天理ラーメン

  • 地域エリア:  天理市、その周辺
  • 由来や定義:  「天理ラーメン」の発祥は、彩華ラーメンが屋台で営業していた昭和40年代に(この屋台は今でも現存しています)、ラーメンの上に白菜を乗せたメニューを考案したのが発祥と言われています。今では、奈良県および関西を中心に多店舗展開する、「彩華ラーメン」と「天理スタミナラーメン」の2大チェーン店が、天理ラーメンのルーツを競いあっています。地元では、彩華が供する天理ラーメンは「サイカラーメン」と呼ばれ、天理スタミナラーメンが供する天理ラーメンは「天スタ」とも呼ばれ、それぞれ地元でも好みが分かれるところです。

(30)和歌山県

和歌山ラーメン

  • 地域エリア:  和歌山市、その周辺(紀北地方)
  • 由来や定義:  「和歌山ラーメン」は、主に県北部の紀北地方にある大衆食堂などで提供されてきたラーメンです。全国的には、和歌山ラーメン=豚骨醤油味のラーメン として知られていますが、地元では通常、「中華そば」と呼ばれ、「醤油ベースの豚骨醤油味」と「豚骨ベースの豚骨醤油味」の2つの系統があり、これに最近の新興勢力を加えた、3つのパターンに区別されています。もともとは、昭和初期から始まった屋台のラーメンが和歌山ラーメンの原型と言われています。これが、前者の醤油系で、見た目は濃い茶色ですが、食べると意外とあっさりしているのが特徴です。全国的には後者の豚骨醤油系が人気ですが、現在でも地元では、和歌山中華そばの主流は、この醤油系のようです。

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