今年の流行のスノーボード用ウェア、最新モデルを一堂に集めてみました。
※ ここでは、ネットショップでの流通量が比較的多く、ブランドの情報が得やすい、人気のドメスティックブランドとインポートブランドをピックアップしました。したがって、コアな人気のあるブランドであっても、取扱店が限定されるなどして、ネット市場での流通量が少ないブランドは、拾いきれていないと思いますので、ご容赦ください。
※ これ以外のブランドは、「【スキーウェア】 おすすめ人気ブランドはどれ?」のページの、『スキーウェアおすすめブランドの一覧』のコーナーに、たくさん掲載しています。併せてご覧ください。
SAJ(公益財団法人 全日本スキー連盟)では、2019年シーズンから、従来の6部制から4 Division制へと体制が変更されました。Division.2のスノーボードアルペンのオフィシャルウェアは「DESCENTE」(デサント)、Division.3のスノーボードクロスのオフィシャルウェアは「GOLDWIN」(ゴールドウイン)、Division.4のハーフパイプ、スロープスタイル、ビッグエアのオフィシャルウェアは「AIR WALK」(エアウォーク)から提供されます。
→ 2020 SEASON OFFICIAL UNIFORM(AIRWALK)
2018年2月に開催された平昌オリンピックでは、スノーボード男子ハーフパイで、平野歩夢選手(19歳、木下グループ)が、前回のソチ五輪に続いて銀メダルを獲得!。ピョンチャンオリンピックが開催された2017/2018シーズンのスノーボードナショナルチームが着用したウェア(アウタージャケット&パンツ)の公式サプライヤーは、「AIRWALK」。平野選手も、BURTON(バートン)の板と、AIRWALK提供の白のジャケットと紺のパンツで、宙を舞いました。
→ 2018SEASON OFFICIAL UNIFORM(AIRWALK)
トラベルマルシェの「スキー市場情報局」に、男性100人に聞いた『スキースノボウェアの好きなブランドは?』というアンケート結果がありました。調査時期は、2015年2月。調査対象は、全国の男性(年齢不問)の100人ということなので、網羅性や数値の正確性は問えませんが、傾向はつかめるかもしれません。
結果は、1位のバートン(BURTON、35%)と、2位のキスマーク(KISSMARK、34%)が、圧倒的な支持を得て、この2つの人気ブランドで全体の約7割のシェアを占めています。BURTONは、スノーボーダーだったら誰でも知っている最も有名な老舗ブランドで、その安定感が最大の魅力のようです。2位のキスマークは、CMの好印象と認知度の高さが票につながったようです。ちなみに、キスマークは、日本のスポーツ用品大手「アルペングループ」のプライベートブランドです。続いて、クイックシルバー(QUIKSILVER、19%)、ボルコム(Volcom、11%)の人気が高そうです。以下、ビラボン(Billabong)の名前も挙がっていますが、調査数が少ないので、これ以外のブランドを含め、あまり定かなことは分かりません。
(トラベルマルシェ「スキー市場情報局」より)
圧倒的な支持を受け1位に挙がったバートン(Burton Snowboards)は、1977年に設立されたアメリカのスノーボード用品メーカーで、業界を代表する老舗ブランドです。
スノーボードの歴史は、まさにバートンの歴史と言っても、過言でないほどです。雪山を1枚の板で滑ることは、1800年代にはすでに行われていたそうですが(ウィキペディア)、スキーボードとかスノーサーフィンと呼ばれるような専用の板が作られ始めたのは、1960年頃になってからです。しかし、圧雪されたゲレンデを滑るには向かなかったこと、今のバインディングのような簡便なシステムが考案されていなかったことなどから、限られたユーザーだけのものでした。そして、ジェイク・バートン・カーペンターが1977年に設立したバートン・スノーボード社が、1980年代中頃に、世界で初めてゲレンデを滑る事が出来るスノーボードを開発。その後、量産体制を築いて、世界中にスノーボードが広まることとなりました。
バートンは、2014年2月に行われたソチオリンピックでは、USスノーボードチームの公式ユニフォームを提供するなど、スノーボードの発展にも大きく貢献をしてきました。バートンのチームライダーには、若手からレジェンドまで、世界屈指のメンバーが集結。日本人のトップライダーにも、バートンの契約選手が数多くいます。
例えば、先のソチオリンピックでは、スノーボード競技で日本人初となるメダルを獲得した選手が3人、入賞した選手が2人も出ましたが、男子ハーフパイプで銀メダルを取った平野歩夢(バートン所属)は、当時15歳で、フィギュアスケートを含めても冬季五輪で日本人史上最年少メダリストとなりました。同種目で、平岡卓(HOOD所属兼BURTONチームライダー)が銅メダル。男子スロープスタイルでは、角野友基が8位入賞。女子では、4度目となる五輪出場を果たした竹内智香が、女子パラレル大回転で念願の銀メダルを獲得。女子としては、スノーボード種目はもちろん、アルペン種目でも初のメダリストの誕生です。また、女子ハーフパイプでは、岡田良菜(バートン所属)が5位に入賞。いかにバートンが、日本のスノーボード界においても雄として君臨しているか、窺い知ることができます。特に、日本人として五輪スノーボード競技メダル第1号にして冬季五輪最年少という華々しい記録を打ち立てた平野歩夢(ひらの あゆむ)が、BURTONと契約したのは小学校4年生の時というから驚きです。
2018年2月9日に開幕する、2018年冬季オリンピック韓国平昌(ピョンチャン)大会の開幕まで100日を切った先日、米国バートンは、アメリカのスノーボード・オリンピック代表チームの公式ウェアを発表しました。競技用のジャケットとパンツのほか、宇宙服からインスパイアされたワンピースとジャケットがあり、そのデザインモチーフは、まさにNASAの宇宙服そのもの。「USA」や「BURTON」の文字まで、NASAが使っている書体を模しているという凝りようです。
スポーツ用品店に行くと、スキーとスノーボードのコーナーが分かれていて、それぞれに「スキーウェア」と「スノーボードウェア」が売られているので、その違いが気になる所ですが、結論的には、一般的なレジャーとして楽しむ上において、スキーとスノーボードで、そのウェアの機能に、何ら違いはありません。どちらも、冬山の寒さに耐えうる防寒性と、雪にまみれても濡れない撥水性や防水性がありながら、蒸れにくく動きやすい機能性を有している、「スノーウェア」です。
ただ、日本のスキーウェアで圧倒的なシェアを誇るゴールドウィンやフェニックス、ミズノなどが手掛けてきたウェアは、日本に伝来して100年を超えるスキーを専門に、永きに渡って、スキーの動きや用途に合った機能性とデザイン性を日々探究し続け、現在に至っています。外見的にその最大の特徴と言えば、スキー板のエッジでパンツの裾を切ってしまわないように、裾の内側に「エッジガード」が付いていたり、リフト券を入れる「チケットホルダー」が腕や胸に付いていたり等。
でも、ナイロンの様な薄い生地が使われていた昔ならいざ知らず、今時のスキーウェアの生地は丈夫になって、わざわざエッジガードを付けなくても、滅多に切れるようなことは無くなりました。また今では、大抵のスキー場が、リフト券が非接触式のICカードになっているので、昔の様にリフト券を係員に見せる必要もなく、ポケットに入れておけば済む時代です。実際、歴史が浅いスノーボードブランドのウェアには、大抵がパスケースは付いていないか、あっても、外見的には見えないところあるか、取外し可能な付属物として付けられています。
その他に大きな違いがあるとすれば、それは購入する側の好みの違いでしょうか。(あくまで一般論として)多くのゲレンデ・スキーヤーは、モード系の、スタイリッシュでスマートなカッコよさを求めますが、それに比べるとスノーボーダーは、ストリート系で、比較的ルーズなスタイリングを恰好良しとする傾向があります。そのため、先の日本の大手スキーウェアのメーカーでは、スキーラインとスノーボードラインとで、わざわざ違うブランドを立ち上げ、消費者のニーズに応えようとしています。
そもそもスキーウェアは、多少厚手になっても、それ一枚に高い防寒性が求められがちですが、スノーボードでは、ウェアの下にケツパッド等のプロテクターを付けることがあるので、着やすさや動きやすさを考慮して、薄手で大き目のサイズのウェアが好まれることから、デザイン的にもこうした違いが生じやすくなります。ただし、スキーヤーと言っても、フリースタイル・スキーをする人は、基礎スキーよりはむしろスノーボードのスタイルに近いですし、クロスカントリーやバックカントリーを楽しむスキーヤーでは、また好みが違ってきます。逆に、スノーボードのブランドでも、ガールズラインを中心に、最近ではスリムでタイトなシルエットのデザインで注目を集めるブランドも多くなってきているようです。
また、スマートさを重視するスキーウェアでは、動いてもパンツがずり落ちず、雪も入りにくいように肩ベルト(サスペンダー)が付いているリフトタイプのパンツが主流ですが、逆に腰穿きといったルーズスタイルを好む人が多いボーダー向けのウェアでは、肩ベルトが付いていないタイプが主流です。代わりに、ウェスト部分に巻いて雪の侵入を防ぐ「パウダーガード」が付いているウェアもあります。しかし最近は、つなぎタイプのボード用ウェアも見かけるようになりましたし、海外ブランドでは「スノービブパンツ」と呼ばれるオーバーオールタイプのパンツも流行りだしているようなので、一概に肩ベルト云々とは語れなくなりました。
また、海外ブランドの高価格帯のスノーウェアでは、脇の下に「ピットジップ」と呼ばれるファスナーが付いているものがあります。もともとは高価な冬山登山用のハードシェルジャケットで採用が進んだもので、このファスナーを開けてベンチレーションすることで、ウェアを着たまま体温調整ができるという便利機能です。特にBURTON(バートン)が、ボード用ウェアに積極的にピットジップを採用しているようです。一方、最近のスキーウェアでは、脇の下ではなく胸の正面サイドに、ベンチレーション機能を持たせた目立つ色のファスナーを付けるデザインが流行っているようです。
なぜ、こうした違いがあるのか定かでありませんが、歴史の長いスキーウェアは、国内ブランドかライセンスブランドとして日本でデザインされ開発されたウェアが主流なので、日本人お得意の高機能で高付加価値なウェアに注目が集まりがちですが、歴史の新しいスノーボードウェアは、サーフィンやスケートボードから派生したインポート(海外)ブランドの割合が多いことから、よりボーダースタイル的なファッション性が重視されていることによる違いかもしれません。また、バックカントリーが盛んな海外では、冬山登山やアウトドア衣料から派生した「スノーウェア」として扱うメーカーが数多くあり、わざわざスキーウェアとかスノーボードウェアと、その用途やブランドを使い分けていないことも確かです。