【直木賞】受賞作一覧(写真・解説付き)②

1980・90年代に直木三十五賞を受賞した作品と作者の紹介。

直木賞受賞作一覧(1980年代、1990年代)

直木三十五賞」(通称 直木賞)は、無名・新人及び中堅作家による大衆小説作品に与えられる文学賞です。
 かつては芥川賞と同じく、無名・新人作家に対する賞でしたが、現在では中堅作家が主な対象とされていて、ベテランが受賞することも多くなりました。文藝春秋社社長の菊池寛が、友人の直木三十五を記念して1935年に芥川龍之介賞(芥川賞)とともに創設し、年2回発表されます。

最新の直木賞受賞作品の一覧は、「【直木賞】受賞作一覧(2000年~)」をご覧ください。


 1990年代 直木賞受賞作品

1999年 下半期 第122回

長崎ぶらぶら節

作者: なかにし 礼

【内容】 長崎・丸山遊里の芸者愛八が初めて本当の恋をしたのは、長崎学の確立を目指す研究者・古賀十二郎だった。「な、おいと一緒に、長崎の古か歌ば探して歩かんね」。古賀の破産を契機に長崎の古い歌を求めて苦難の道を歩み始める二人と、忘れられた名曲「長崎ぶらぶら節」との出会い。そして、父親のいない貧しい少女・お雪をはじめ人々に捧げた愛八の無償の愛を描く。

1999年 上半期 第121回

王妃の離婚

作者: 佐藤 賢一

【内容】 1498年フランス。国王が王妃に対して離婚裁判を起こした。田舎弁護士フランソワは、その不正な裁判に義憤にかられ、孤立無援の王妃の弁護を引き受ける・・・。


柔らかな頬

作者: 桐野 夏生

【内容】 カスミは、故郷・北海道を捨てた。が、皮肉にも、北海道で幼い娘が謎の失踪を遂げる。罪悪感に苦しむカスミ。実は、夫の友人・石山に招かれた別荘で、カスミと石山は家族の目を盗み、逢引きを重ねていたのだ。カスミは一人、娘を探し続ける。4年後、元刑事の内海が再捜査を申し出るまでは。話題の直木賞受賞作ついに文庫化。

1998年 下半期 第120回

理由

作者: 宮部 みゆき

【内容】 事件はなぜ起こったか。殺されたのは「誰」で、いったい「誰」が殺人者であったのか? 東京荒川区の超高層マンションで凄惨な殺人事件が起きた。室内には中年男女と老女の惨殺体。そして、ベランダから転落した若い男。ところが、四人の死者は、そこに住んでいるはずの家族ではなかった・・・。ドキュメンタリー的手法で現代社会ならではの悲劇を浮き彫りにする。

1998年 上半期 第119回

赤目四十八瀧心中未遂

作者: 車谷 長吉

【内容】 「私」はモツを串に刺し続けた。女の背中には迦陵頻迦の刺青があった・・・。救いのない人間の業と情念を見事な文章と技法で描く傑作。

1997年 下半期 第118回

該当作品なし

1997年 上半期 第117回

女たちのジハード

作者: 篠田 節子

【内容】 保険会社に勤める異なるタイプの女性たち。結婚、仕事、生き方に迷い、挫折を経験しながらも、たくましく幸せを求めてゆく。現代OL道を生き生きと描く。


鉄道員(ぽっぽや)

作者: 浅田 次郎

【内容】 娘を亡くした日も、妻を亡くした日も、男は駅に立ち続けた。心を揺さぶる“やさしい奇蹟"の物語。表題作はじめ、「ラブ・レター」「角筈にて」など8編収録。

1996年 下半期 第116回

山妣(やまはは)

作者: 坂東 眞砂子

【内容】 業深き男と女に荒れ狂う魔物。山妣伝説の扉が開かれた―。明治末期、越後の豪雪地帯を舞台に、旅芸人、遊女、又鬼、瞽女、山師らが織りなす凄絶な愛憎劇を濃密に描いた書き下ろし長編。

1996年 上半期 第115回

凍える牙

作者: 乃南 アサ

【内容】 深夜のファミリーレストランで突如、男の身体が炎上した! 遺体には獣の咬傷が残されており、警視庁機動捜査隊の音道貴子は相棒の中年デカ・滝沢と捜査にあたる。やがて、同じ獣による咬殺事件が続発。この異常な事件を引き起こしている怨念は何なのか? 野獣との対決の時が次第に近づいていた。女性刑事の孤独な闘いが読者の圧倒的共感を集めた直木賞受賞の超ベストセラー。

1995年 下半期 第114回

作者: 小池 真理子

【内容】 1972年冬。全国を震撼させた浅間山荘事件の蔭で、一人の女が引き起こした発砲事件。当時学生だった布美子は、大学助教授・片瀬と妻の雛子との奔放な結びつきに惹かれ、倒錯した関係に陥っていく。が、一人の青年の出現によって生じた軋みが三人の微妙な均衡に悲劇をもたらした・・・。全編を覆う官能と虚無感。その奥底に漂う静謐な熱情を綴り、小池文学の頂点を極めた直木賞受賞作。


テロリストのパラソル

作者: 藤原 伊織

【内容】 アル中のバーテン・島村は、ある朝いつものように新宿の公園でウイスキーを呷った。ほどなく、爆弾テロ事件が発生。全共闘運動に身を投じ指名手配された過去を持つ島村は、犠牲者の中にかつての仲間の名を見つけ、事件の真相を追う―。乱歩賞&直木賞を史上初めてダブル受賞した傑作。

1995年 上半期 第113回

白球残映

作者: 赤瀬川 隼

【内容】 四国の球場で目撃したのは突如、球界を去った名投手。元記者は謎を追って・・・。野球と女性への限りない憧憬を描く。

1994年 下半期 第112回

該当作品なし

1994年 上半期 第111回

二つの山河

作者: 中村 彰彦

【内容】 大正の初め徳島に開設されたドイツ人俘虜収容所で日本人将兵・市民と捕虜の交流を実現し、真のサムライと称えられた会津人の生涯。


帰郷

作者: 海老沢 泰久

【内容】 エンジンが大好きな組立工がいた。故郷の自動車エンジン工場勤務から、ある日、F1チームのエンジン組み立てメンバーに選ばれた。サーキットを転戦して世界を回る毎日。すばらしい日々だ。帰国休暇にはガールフレンドに土産をやり、土産話をするのも、その栄光の一部だった。3年の出向期間が終わり、故郷に戻った男を待っていたのは、しかし味気ない、退屈な生活だった─。喜びのあとに訪れる悲しさ、“成熟と喪失”を描いた第111回直木賞受賞作ほか、傑作短篇が全6篇。

1993年 下半期 第110回

恵比寿屋喜兵衛手控え

作者: 佐藤 雅美

【内容】 争いは世の常、人の常。江戸の世で、その争いの相談所が恵比寿屋のような公事宿だ。ある日、若者が恵比寿屋を訪れ、兄が知らぬ男に金を返せと訴えられたと相談した。喜兵衛は怪しい臭いを感じとる。事件の真相は如何に? 江戸の街に生きる市井の人々を、愛情込めて描く長編時代小説。


無間人形 新宿鮫

作者: 大沢 在昌

【内容】 手軽でお洒落。若者たちの間で流行っている薬「アイスキャンディ」の正体は覚せい剤だった。密売ルートを追う鮫島は、藤野組の角を炙り出す。さらに麻薬取締官の塔下から、地方財閥・香川家の関わりを知らされる。薬の独占を狙う角、香川昇・進兄弟の野望・・・。薬の利権を巡る争いは、鮫島の恋人・晶まで巻き込んだ。鮫島は晶を救えるか?感動巨編!長編刑事小説。

1993年 上半期 第109回

マークスの山

作者: 高村 薫

【内容】 昭和51年南アルプスで播かれた犯罪の種は16年後、東京で連続殺人として開花した―精神に〈暗い山〉を抱える殺人者マークスが跳ぶ。元組員、高級官僚、そしてまた・・・。謎の凶器で惨殺される被害者。バラバラの被害者を結ぶ糸は?マークスが握る秘密とは?捜査妨害の圧力に抗しながら、冷血の殺人者を追いつめる警視庁捜査第一課七係合田刑事らの活躍を圧倒的にリアルに描き切る本格的警察小説。


恋忘れ草

作者: 北原 亞以子

【内容】 この道一筋と心に決めても、惚れた男の面影が心をよぎる。恋に仕事にひたむきに生きる江戸の女たちを描いて直木賞に輝いた傑作集。

1992年 下半期 第108回

佃島ふたり書房

作者: 出久根 達郎

【内容】 佃の渡しが消えた東京五輪の年、男は佃島の古書店「ふたり書房」を立ち去った。大逆事件の明治末から高度成長で大変貌をとげる昭和39年まで移ろいゆく東京の下町を背景に庶民の哀歓を描く感動長篇。生年月日がまったく同じ2人の少年が奉公先で知り合い、男の友情を育んでいく。

1992年 上半期 第107回

受け月

作者: 伊集院 静

【内容】 人が他人のために祈る時、どうすれば通じるのだろうか。表題作ほか、選考委員の激賞を受けた「切子皿」など大人のための小説七篇。

1991年 下半期 第106回

狼奉行

作者: 高橋 義夫

【内容】 雪深き奥羽の秘境。失意と悔恨の日々を送る若き山代官は、いつしか狼奉行と呼ばれる逞しい武士に成長を遂げた。が魔の手が再び・・・。


緋い記憶

作者: 高橋 克彦

【内容】 古い住宅地図に閉じ込められた思い出の町、あの少女の家は空き地とだけ記されていた・・・。凍りついた時のゆるやかな復讐が始まる。表題作ほか7篇。

1991年 上半期 第105回

夏姫春秋

作者: 宮城谷 昌光

【内容】 鄭の美しい公女への、乱世の英雄たちの愛執。 中原の小国鄭(てい)は、超大国晋と楚の間で、絶えず翻弄されていた。鄭宮室の絶世の美少女夏姫は、兄の妖艶な恋人であったが、孤立を恐れた鄭公によって、陳の公族に嫁がされた。「力」が全てを制した争乱の世、妖しい美女夏姫を渇望した男たちは次々と・・・。壮大なスケールの中国ロマン。


青春デンデケデケデケ

作者: 芦原 すなお

【内容】 1965年の春休み、ラジオから流れるベンチャーズのギターがぼくを変えた。“やーっぱりロックでなけらいかん”。四国の田舎町の高校生たちがくりひろげる抱腹絶倒、元気印の、ロックと友情と恋の物語。青春バンド小説決定版。直木賞、文芸賞W受賞作。

1990年 下半期 第104回

漂泊者のアリア

作者: 古川 薫

【内容】 歌に生き恋に生き、世界的に名を馳せた藤原義江。英国人の貿易商を父に、琵琶芸者を母に持った義江の波瀾の人生。

1990年 上半期 第103回

蔭桔梗(かげききょう)

作者: 泡坂 妻夫

【内容】 紋章上絵師の章次のもとに、かつて心を寄せあっていた女性から、二十年前と同じ蔭桔梗の紋入れの依頼があった。その時は事情があって下職に回してしまったのだが、それは彼女が密かな願いをかけて託した紋入れだった・・・。微妙な愛のすれ違いを描き直木賞受賞作となった表題作「蔭桔梗」。下町の職人世界と大人の男女の機微をしっとりと描いた11編の作品を収録した珠玉の短編集。

 1980年代 受賞作

1989年 下半期 第102回

小伝抄(こでんしょう)

作者: 星川 清司

【内容】 おとこ狂いの美しい浄瑠璃語りにおもいを寄せる醜い船頭。男の心情の滑稽ないたましさを、多彩な語りで描く直木賞受賞の話題作。


私が殺した少女

作者: 原 りょう

【内容】 まるで拾った宝くじが当たったように不運な一日は、一本の電話ではじまった。私立探偵沢崎の事務所に電話をしてきた依頼人は、面会場所に目白の自宅を指定していた。沢崎はブルーバードを走らせ、依頼人の邸宅へ向かう。だが、そこで彼は、自分が思いもかけぬ誘拐事件に巻き込まれていることを知る・・・。緻密なストーリー展開と強烈なサスペンスで独自のハードボイルド世界を確立し、日本の読書界を瞠目させた直木賞・ファルコン賞受賞作。

1989年 上半期 第101回

高円寺純情商店街

作者: ねじめ 正一

【内容】 高円寺駅北口「純情商店街」。魚屋や呉服屋、金物店などが軒を並べる賑やかな通りである。正一少年は商店街の中でも「削りがつをと言えば江州屋」と評判をとる乾物屋の一人息子だった―。感受性豊かな一人の少年の瞳に映った父や母、商店街に暮らす人々のあり様を丹念に描き「かつてあったかもしれない東京」の佇まいを浮かび上がらせたハートウォーミングな物語。


遠い国からの殺人者

作者: 笹倉 明

【内容】 「男の人が倒れている」110番通報の女の声には妙ななまりがあった。マンションで死んでいたのは大学を中退した無職の若い男。姿をくらましたのは同居していた外国人ストリップ・ダンサー。彼女の身に一体何が起こったのか。彼女はなぜ真の素性を偽らなければならなかったのか。「じゃぱゆきさん」と呼ばれた外国人女性たち、経済大国ニッポンの底辺に生きる彼女たちの姿が、法廷での関係者の供述から次第に明らかにされていく。

1988年 下半期 第100回

東京新大橋雨中図

作者: 杉本 章子

【内容】 最後の木版浮世絵師・小林清親の波瀾に充ちた半生と江戸から明治に移り変わる風俗、庶民の生きざまをあざやかに描いた会心の長篇。


熟れてゆく夏

作者: 藤堂 志津子

【内容】 夏。北海道。瀟洒なリゾート・ホテル。共通の“女主人”を、それぞれの思いで待ち受ける、美しく不安な若い男女。ときに反発しあい、ときには狎れあいながら、たゆたゆと待つ日々が過ぎてゆく。女主人の望みはいったい何なのか?愛と性のかかわりの背後にうごめくエゴイズムや孤独感、焦躁感、そして混沌とした愛欲の世界をあざやかに描く。

1988年 上半期 第99回

凍れる瞳

作者: 西木 正明

【内容】 捕虜虐待の罪でBC級裁判で処刑された男と甲子園をめざして投げ合った不世出の元巨人軍投手スタルヒンの宿命の人生のかかわりあいを描いた表題作、廃鉱となった九州の端島とダム建設で東北の過疎となった山里を舞台に一人の女の転変の人生を描いた「端島の女」の直木賞受賞作を含む情感ただよう会心の作品集。


遠い海から来たCOO

作者: 景山 民夫

【内容】 小畑洋介、12歳。海洋生物学者の父、徹郎とフィジー諸島のパゴパゴ島に移り住んで3年になる。洋助はある朝、通学の途中、珊瑚礁の潮だまりにひとつの生命を発見した。“奇跡”との出会いだった。それは6000万年以上も昔に死に絶えたはずのプレシオザウルスの生まれたばかりの姿だったのである。しなやかな肢体と愛らしい黒い瞳を持ったその奇跡の生命は、洋助を見つめ、「COO」と歓喜の産声をあげた。こうして少年と幼い恐竜クーとのきらめく至福の日々がはじまった。だが平和は長くは続かなかった。

1987年 下半期 第98回

それぞれの終楽章

作者: 阿部 牧郎

【内容】 自殺した同級生の葬儀に故郷秋田を訪れた作家がふりかえる自らの生の軌跡。友と聴いたクラシック、仲間と励んだ雪の中の野球・・・万引事件や生家の破産を越えて胸に迫るのは懐しい思い出の数々。人生の終楽章を迎えて、自分を支えてくれた友人、父の愛、妻の献身に気づく。

1987年 上半期 第97回

海狼伝

作者: 白石 一郎

【内容】 戦国時代終盤、対馬。松浦党の一族であった母とともに海と船へのあこがれを抱いて育った少年・笛太郎は、航海中、瀬戸内海を根城とする村上水軍の海賊衆に捕えられた。笛太郎は瀬戸内まで連行されるが、そこで自分が村上水軍の将の息子であることがわかり、それからは海賊衆とともに行動するように。その後笛太郎は織田信長の水軍との海戦に加わるなど力量を発揮、比類なき「海の狼(ウルフ)」へと成長していった・・・。日本の海賊の姿を詳細にかつ生き生きと活写し、海に生きる男たちの夢とロマンを描いた海洋冒険時代小説の最高傑作。


ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー

作者: 山田 詠美

【内容】 "悲しくて楽しくて、そして甘い・・・。「WHAT'S GOING ON」「ME AND MRS・ JLEFT(RC[-1],1)S」「PRECIOUS PRECIONS」「MAMA USED TO SAY」「FEEL THE FIRE」八つのソウル・ナンバーが奏でる、粋で素敵な愛の物語。

1986年 下半期 第96回

カディスの赤い星

作者: 逢坂 剛

【内容】 フリーのPRマン・漆田亮は、得意先の日野楽器から、ある男を探してくれと頼まれる。男の名はサントス、20年前スペインの有名なギター製作家ホセ・ラモスを訪ねた日本人ギタリストだという。サントス探しに奔走する漆田は、やがて大きな事件に巻き込まれてゆく。


遠いアメリカ

作者: 常盤 新平

【内容】 世の中が、ずっと貧しかった頃。クリーネックス・ティシューもまだ日本に入ってきていなかった、そんな時代にひたすらアメリカに焦がれ続けた青年重吉と、演劇に熱中した娘椙枝。愛と希望だけが頼りの、そのふたりのひたむきな生、揺れ動く心の襞を、鮮やかに浮かびあがらせた、直木賞受賞の名品集。

1986年 上半期 第95回

恋紅

作者: 皆川 博子

【内容】 遊女屋の愛娘ゆうは大勢の花魁や男衆の中で、華やかな郭の裏も表も見て育った。ある日、芝居見物に出かけたゆうは、升席にいる男を見て衝撃を受ける。五年前、雑踏で途方にくれていたゆうを救い、優しさで包み込んでくれた旅役者だった。一緒になれるなら滅びてもいい。そう心に刻んだ幼い日の記憶を頼りに、無名の役者に縋りついていく女の情念の世界を描く。

1985年 下半期 第94回

魚河岸ものがたり

作者: 森田 誠吾

【内容】 だれもがかしと呼ぶ隅田河口のまちに、ひとつの秘密を抱いた青年が住みついた。そこに住む人にとって、「どこの誰」より「どんな誰か」が大切なまち。そんなまちの心優しい人々とともに彼は暮らし、〈秘密〉から解放される日の来るのを待っていた。心ならずも魚河岸の町に身をひそめた青年と、まちの人々との人間模様を感情こまやかに描き出した長編小説。


最終便に間に合えば

作者: 林 真理子

【内容】 七年ぶりに再会した男女の恋の駆け引きを冷めた目で捉えた表題作を初め、新しい感性と達者な筆遣いで描く“いまどき”の愛のすがた。表題作と、古都を舞台に年下の男との甘美な恋愛を描いた「京都まで」の2作品で直木賞受賞。

1985年 上半期 第93回

演歌の虫

作者: 山口 洋子

【内容】 演歌歌手を育てて世に出すことに情熱を燃やすレコード会社のディレクターの夢と挫折を、冷めているようで暖かい女性作詞家の眼で描く「演歌の虫」、毎日美しく髪を結っては旦那が訪ねて来るのを待ち続ける老芸妓の心境を淡々と描く「老梅」の第93回直木賞受賞作2作のほか、著者会心の短篇集。

1984年 下半期 第92回

該当作品なし

1984年 上半期 第91回

恋文

作者: 連城 三紀彦

【内容】 マニキュアで窓ガラスに描いた花吹雪を残し、夜明けに下駄音を響かせアイツは部屋を出ていった。結婚10年目にして夫に家出された歳上でしっかり者の妻の戸惑い。しかしそれを機会に、彼女には初めて心を許せる女友達が出来たが・・・。都会の片隅に暮す、大人の男女の様々な“愛のかたち”を描く五篇。


てんのじ村

作者: 難波 利三

【内容】 大阪は通天閣の下に、漫才師、奇術師、浪曲師といった芸人たちがあつまり住む一郭“てんのじ村”があった。戦前、戦後、そして高度経済成長期と、大阪芸人の活躍の場が、寄席からラジオ、テレビへと移りゆくなか、時代の波にとり残された八十二歳と五十五歳の漫才コンビ。しかし、その二人に、たった一度だけ華やかなテレビのスポット・ライトが当てられる日が来たのだが─。身を寄せあって生きていく善意の人々の哀歓を、しみじみと描く。

1983年 下半期 第90回

私生活

作者: 神吉 拓郎

【内容】 この世の中、どこの誰にも一枚めくれば、あやしげな私生活があるものだ。人それぞれにおなじ悩みも濃くまた淡く・・・。いささか暗い人生の哀歓と心理の機微を、登場人物それぞれの何気ない会話のうまさと洗練の筆で、さりげなくしかし奥深く捉えた名人芸。「つぎの急行」「たねなし」など17の「私生活」を描く。


秘伝

作者: 高橋 治

【内容】 巨魚に挑む男たちを描いた直木賞受賞の大ロマン。長崎県西彼杵半島の西海岸を舞台に、二人の釣り名人と怪魚イシナギの死闘劇の幕は切って落とされた。まるで潜水艦のような黒い影が潜む海中に、特殊な工夫を施した必殺の仕掛けが送り込まれていった・・・。

1983年 上半期 第89回

黒パン俘虜記

作者: 胡桃沢 耕史

【内容】 「軍隊は運隊だ」という言葉どおり、運悪く、敗戦と同時に送りこまれたモンゴルの収容所は、まさにこの世の地獄だった。軍律の崩壊した集団に君臨するやくざあがりの大ボス・小ボス。食糧といえば、黒パンとわずかなスープ、それも搾取され、強制労働にかり出される毎日。栄養失調、疾病、私刑で、つぎつぎと失われる生命。襲いくる不条理に耐えながら、帰国を待ち侘びる日々を支えてくれたのは、小説と映画と流行歌への熱い思いだった。死んでいった戦友たちへの祈りをこめた第89回直木賞受賞作。

1982年 下半期 第88回

該当作品なし

1982年 上半期 第87回

炎熱商人

作者: 深田 祐介

【内容】 中堅商社のマニラ事務所長小寺は本社の要請で未経験のラワン材取引きに手を染めた。しかし現地の人々との信頼の上にビジネスを進めようとする彼の前に、厳しい現実が次々とたちはだかってくる・・・。炎熱の地で困難な国際ビジネスに情熱を燃やす男たち。しかもそこは戦争の傷跡を色濃く残す地であった。第二次大戦当時の日本軍とフィリッピン人との関わり合いを一方に、現代の国際商戦をもう一方に置いて語る巧みな展開と、壮大なスケールで描きあげられた直木賞受賞作品。


時代屋の女房

作者: 村松 友視

【内容】 東京・大井で骨董屋「時代屋」を営む安さんと呼ばれている35歳で独身の男性と、そこへやってきた真弓という女性が繰り広げる恋物語。1983年と1985年に映画化、2006年にドラマ化された。また2編の続編が発表されている。

1981年 下半期 第86回

蒲田行進曲

作者: つか こうへい

【内容】 はじめて主役を演じることになった銀四郎。かつてのスター女優小夏。大部屋のヤス。奇妙な三角関係は、よじれによじれて・・・。衝撃的な話題をよんだ作品。


機雷

作者: 光岡 明

【内容】 海軍将校の花々しい死をのぞみながら機雷に取っ組み、その志を得ず、戦後まで生き延びて、甦る機雷に関係しなければならなかった男の生きざまが見事に描かれている。

1981年 上半期 第85回

人間万事塞翁が丙午

作者: 青島 幸男

【内容】 呉服問屋が軒をつらねる東京・日本橋堀留町の仕出し弁当屋“弁菊”。人情味豊かであけっぴろげ、良くも悪くもにぎやかな下町に、21歳で嫁いできたハナは、さまざまな事件に出遭いながらも、持前のヴァイタリティで乗り切ってゆく。―戦中から戦後へ、激動の時代をたくましく生きた庶民たちの哀歓を、自らの生家をモデルにいきいきと描き出した、笑いと感動の下町物語。

1980年 下半期 第84回

元首の謀叛

作者: 中村 正軌

【内容】 ある日、東ドイツの国境監視塔が轟音とともに崩れ落ちた。一方、ソ連軍や東独軍が不審な動きを見せ始めた。西側への侵攻準備だろうか? 各国の首脳が疑心暗鬼におちいっている間に、一人の東独空軍中尉が、密かに西ドイツに潜入した。彼は東独書記長の親書を西独首相に手渡すという、重大な秘密任務を帯びていた。東独書記長ホーネッカーは、ソ連の圧制からのがれ、東西ドイツの統一を実現するために、驚くべき手段を講じようとしていた。

1980年 上半期 第83回

花の名前ほか

作者: 向田 邦子

【内容】 浮気の相手であった部下の結婚式に、妻と出席する男。おきゃんで、かわうそのような残忍さを持つ人妻。毒牙を心に抱くエリートサラリーマン。やむを得ない事故で、子どもの指を切ってしまった母親など―日常生活の中で、誰もがひとつやふたつは持っている弱さや、狡さ、後ろめたさを、人間の愛しさとして捉えた13編。直木賞受賞作「花の名前」「犬小屋」「かわうそ」を収録。


黄色い牙

作者: 志茂田 景樹

【内容】 マタギの頭領をシカリというが、主人公のシカリ・佐藤継憲の目を通して、近代化に向かう日本社会のなかでしだいに滅びに向かうマタギ社会の悲哀が伝わってくる。大自然と動物、動物と人間とのかかわりも巧みに描写されているが、とくに主人公と、その宿怨の敵である巨大なツキノワグマの鬼黒との決闘シーンは手に汗を握らせられる。

 これ以前の受賞作品

続きは、

 → 「【直木賞】受賞作一覧(写真・解説付き)1960・70年代」をご覧ください。

【関連ページ掲載】
※ これまで、「本屋大賞・芥川賞・直木賞」の全受賞作を、一覧(リスト)にしていましたが、あまりに数が多くなってしまったので、各賞を切り出した、それぞれのページを作りました。
 → 芥川賞-歴代受賞作|全作品一覧
 → 直木賞-歴代受賞作|全作品一覧
 → 本屋大賞-歴代受賞作|全作品一覧

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