平成27年度の芥川龍之介賞において、候補作として選考にノミネートされた全小説の一覧です。
※ 2015年度の直木三十五賞の候補作・受賞作は、【直木賞2015】のページへ!
第154回(2015年下半期)芥川賞にノミネートされたのは、6作品。そして芥川賞に選ばれたのは、滝口悠生さんの『死んでいない者』と、本谷有希子さんの『異類婚姻譚(いるいこんいんたん)』の2作品でした。
「家へ」 石田千 |
「異郷の友人」 上田岳弘 |
「シェア」 加藤秀行 |
芥川賞 受賞 「死んでいない者」 滝口悠生 |
「ホモサピエンスの瞬間」 松波太郎 |
芥川賞 受賞 「異類婚姻譚」 本谷有希子 |
著者:石田千
彫刻家を目指す美大生の新太郎は、日本海沿いの町で、母親とその内縁の夫「じいちゃん」の3人での家庭で育った。実の父親、「倫さん」と親しく交流を続けている。複雑ながら穏やかな関係を保つ家族だったが、やがて、彫刻の修業のために、新太郎が留学を考えはじめたころ、小さな亀裂が走り始める。(講談社)
著者:上田岳弘
阪神大震災を予言し、信者を増やす淡路島の新興宗教。教祖Sはイザナキ、イザナミの国生みの地で、新たな世界創世を説いていた。ある日、アメリカ西海岸の秘密組織から男たちが訪ねてくる。彼らは何を企んでいるのか。すべてを見通す僕とは、いったい何者か? 世界のひずみが臨界点に達したとき、それは起きた――。(新潮社)
著者:加藤秀行
新人登場! 「いま」を描ける才能がここにある。IT企業、シェアハウス……クールな文体でスタイリッシュな世界が秘める真実の感触に迫る! 文學界新人賞受賞作&芥川賞候補作。(文藝春秋)
著者:滝口悠生
通夜が奇跡の一夜に。
大往生を遂げた男の通夜に集まった一族約三十人。親族らの記憶の中から永遠の時間が立ちあがる。芥川賞受賞作に加え「夜曲」を収録。(文藝春秋)
著者:松波太郎
介護施設に毎週、マッサージ治療の機能訓練に通う主人公の鍼灸師。五十山田さん(仮名)のひどい首凝りをほぐすうちに浮かび上がる、日中戦争の記憶とは――?
ホモサピエンスとは、人間の、人間らしさを脱ぎ捨てた姿。「還ってしまっていいのですか? 人のかたちをした獣に」と呼びかける幻の少女の声。ユーモアと軽快さを武器に、異文化間の緊張をやわらげようとする試み。整体で身体の記憶と歴史を探る。(文藝春秋)
著者:本谷有希子
「ある日、自分の顔が旦那の顔とそっくりになっていることに気が付いた。」――結婚4年の専業主婦を主人公に、他人同士が一つになる「夫婦」という形式の魔力と違和を、軽妙なユーモアと毒を込めて描く表題作ほか、「藁の夫」など短編3篇を収録。大江健三郎賞、三島由紀夫賞受賞作家の2年半ぶり、待望の最新作!(講談社)
第153回(2015年上半期)芥川賞にノミネートされたのは、6作品。そして芥川賞に選ばれたのは、羽田圭介さんの『スクラップ・アンド・ビルド』と、又吉直樹さんの『火花』の2作品でした。
「MとΣ」 内村薫風 |
「夏の裁断」 島本理生 |
「朝顔の日」 高橋弘希 |
「ジミ・ヘンドリクス・エクスペリエンス」 滝口悠生 |
芥川賞 受賞 「スクラップ・アンド・ビルド」 羽田圭介 |
芥川賞 受賞 「火花」 又吉直樹 |
著者:内村薫風
1990年2月11日。光よりも速く世界を移動した、「奇跡」のすべて。誤審と解放。行列と暴力。タイソンとマンデラ。意志と衝動。ブラック企業とドラクエ。野性と理性。42 と1。みんながんばれ。無理せずがんばれ。「2とZ」と「パレード」そして「MとΣ」。小説の可能性を拡張する、力と技、心意気――。新しくて、尖ってて、でも不思議と懐かしい。(新潮社)
著者:島本理生
女性作家の再生の物語
過去に性的な傷をもつ千紘の前にあらわれたのは、悪魔のような男性編集者だった。若手実力派による、鬼気迫る傑作心理小説。(文藝春秋)
著者:高橋弘希
その日に死んでしまふ気がするのです──。昭和十六年、青森。凜太はTB(テーベ)を患い隔離病棟で療養する妻を足繁く見舞っている。しかし病状は悪化、ついには喉の安静のため、若い夫婦は会話を禁じられてしまう。静かに蝕まれる命と濃密で静謐な時。『指の骨』で新潮新人賞を受賞した大注目作家のデビュー第二作。(新潮社)
著者:滝口悠生
東北へのバイク旅行。美術準備室でのできごと。そしてジミヘンのギター。2001年の秋からいくつかの蛇行を経て2011年の春までをつなぐ、頼りなくもかけがえのない、やわらかな記憶の連なり――。人と世界へのあたたかいまなざしと、緻密で大胆な語りが融合した、記憶と時間をめぐる傑作小説。(新潮社)
著者:羽田圭介
「早う死にたか」― 毎日のようにぼやく祖父の願いをかなえてあげようと、ともに暮らす孫の健斗は、ある計画を思いつく。
日々の筋トレ、転職活動。肉体も生活も再構築中の青年の心は、衰えゆく生の隣で次第に変化して……。閉塞感の中に可笑しみ漂う、新しい家族小説の誕生!(文藝春秋)
著者:又吉直樹
笑いとは何か、人間とは何かを描ききったデビュー小説。
売れない芸人徳永は、熱海の花火大会で、師として仰ぐべき先輩神谷に電撃的に出会った。そのお笑い哲学に心酔して行動を共にしながら議論を続けるのだが、やがて二人は別の道を歩んでいくことになる。運命は二人をどこへ連れていくのか。(文藝春秋)