これまで直木三十五賞を受賞した作品の一覧です。
※ 【直木賞】受賞作一覧(写真・解説付き) のページでは、最近の直木賞受賞作品を、装丁写真と内容の解説付きで、詳しく紹介しています。
※ 過去に直木賞にノミネートされた作品の一覧は、【直木賞】歴代ノミネート作 一覧 のページをご覧ください。
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「直木三十五賞」(通称 直木賞)は、無名・新人及び中堅作家による大衆小説、エンターテインメント作品の単行本(長編小説もしくは短編集)に与えられる文学賞です。かつては芥川賞と同じく、無名・新人作家に対する賞でしたが、現在では中堅作家が主な対象とされていて、ベテランが受賞することも珍しく無くなりました。文藝春秋社社長の菊池寛が、友人の直木三十五(なおきさんじゅうご)を記念して1935年に芥川龍之介賞(芥川賞)とともに創設し、年2回発表されます(上半期は前年12月から5月までに発表された作品、下半期は6月から11月までに発表された作品から選出)。
日本文学振興会は2024年7月17日(水)、第171回芥川賞・直木賞の選考会を都内で開催し、直木三十五賞に一穂ミチさんの『ツミデミック』を選出したと発表しました。一穂さんは3回目の候補での受賞です。
一穂ミチさんは、大阪市出身の46歳。大学を卒業後、会社員として働きながら主にボーイズラブをテーマにした作品を同人誌で発表し、2007年に『雪よ林檎の香のごとく』で小説家としてデビュー。そして2021年の上半期に『スモールワールズ』で、2022年の下半期には『光のとこにいてね』で直木賞候補に選ばれています。
受賞作の『ツミデミック』は、パンデミックに翻弄されたコロナ禍の日本を舞台にした6つの作品からなる短編集です。夜の街で客引きのバイトをしている若者の前に死んだはずの同級生を名乗る女が現れる「違う羽の鳥」や、長年働いた飲食店を解雇された男が一人暮らしの老人に財産目当てで近づこうとする「特別縁故者」など。
直木賞にノミネートされた小説の詳細は、
直木賞 歴代ノミネート作 一覧 または 【直木賞2024】候補作・受賞作 紹介のページをご覧ください。
なお、現在の直木賞の選考委員は、浅田次郎氏、角田光代氏、京極夏彦氏、桐野夏生氏、高村薫氏、林真理子氏、三浦しをん氏、宮部みゆき氏の8名です。
受賞年 | 回 | 受賞者「受賞作」 |
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2024年 | 第172回 | 候補作発表:12月中旬 受賞作発表:翌1月中旬 |
第171回 | 一穂ミチ「ツミデミック」 | |
2023年 | 第170回 | 河崎秋子「ともぐい」、万城目学「八月の御所グラウンド」 |
第169回 | 垣根涼介「極楽征夷大将軍」、永井紗耶子「木挽町のあだ討ち」 | 2022年 | 第168回 | 小川哲「地図と拳」、千早茜「しろがねの葉」 |
第167回 | 窪美澄「夜に星を放つ」 | |
2021年 | 第166回 | 今村翔吾「塞王の楯」、米澤穂信「黒牢城」 |
第165回 | 佐藤究「テスカトリポカ」、澤田瞳子「星落ちて、なお」 | |
2020年 | 第164回 | 西條奈加「心淋し川」 |
第163回 | 馳星周「少年と犬」 | |
2019年 | 第162回 | 川越宗一「熱源」 |
第161回 | 大島真寿美「渦 妹背山婦女庭訓 魂結び」 | |
2018年 | 第160回 | 真藤順丈「宝島」 |
第159回 | 島本理生「ファーストラヴ」 | |
2017年 | 第158回 | 門井慶喜「銀河鉄道の父」 |
第157回 | 佐藤正午「月の満ち欠け」 | |
2016年 | 第156回 | 恩田陸「蜜蜂と遠雷」 |
第155回 | 荻原浩「海の見える理髪店」 | |
2015年 | 第154回 | 青山文平「つまをめとらば」 |
第153回 | 東山彰良「流」 | |
2014年 | 第152回 | 西加奈子「サラバ!」 |
第151回 | 黒川博行「破門」 | |
2013年 | 第150回 | 朝井まかて「恋歌」、姫野カオルコ「昭和の犬」 |
第149回 | 桜木紫乃「ホテルローヤル」 | |
2012年 | 第148回 | 朝井リョウ「何者」、安部龍太郎「等伯」 |
第147回 | 辻村深月「鍵のない夢を見る」 | |
2011年 | 第146回 | 葉室麟「蜩ノ記」 |
第145回 | 池井戸潤「下町ロケット」 | |
2010年 | 第144回 | 木内昇「漂砂のうたう」、道尾秀介「月と蟹」 |
第143回 | 中島京子「小さいおうち」 | |
2009年 | 第142回 | 佐々木譲「廃墟に乞う」、白石一文「ほかならぬ人へ」 |
第141回 | 北村薫「鷺と雪」 | |
2008年 | 第140回 | 天童荒太「悼む人」、山本兼一「利休にたずねよ」 |
第139回 | 井上荒野「切羽へ」 | |
2007年 | 第138回 | 桜庭一樹「私の男」 |
第137回 | 松井今朝子「吉原手引草」 | |
2006年 | 第136回 | 該当作品なし |
第135回 | 三浦しをん「まほろ駅前多田便利軒」、森絵都「風に舞いあがるビニールシート」 | |
2005年 | 第134回 | 東野圭吾「容疑者Xの献身」 |
第133回 | 朱川湊人「花まんま」 | |
2004年 | 第132回 | 角田光代「対岸の彼女」 |
第131回 | 奥田英朗「空中ブランコ」、熊谷達也「邂逅の森」 | |
2003年 | 第130回 | 江國香織「号泣する準備はできていた」、京極夏彦「後巷説百物語」 |
第129回 | 石田衣良「4TEEN フォーティーン」、村山由佳「星々の舟」 | |
2002年 | 第127回 | 乙川優三郎「生きる」 |
第128回 | 該当作品なし | |
2001年 | 第126回 | 山本一力「あかね空」、唯川恵「肩ごしの恋人」 |
第125回 | 藤田宜永「愛の領分」 | |
2000年 | 第124回 | 山本文緒「プラナリア」、重松清「ビタミンF」 |
第123回 | 船戸与一「虹の谷の五月」、金城一紀「GO」 | |
1999年 | 第122回 | なかにし礼「長崎ぶらぶら節」 |
第121回 | 佐藤賢一「王妃の離婚」、桐野夏生「柔らかな頬」 | |
1998年 | 第120回 | 宮部みゆき「理由」 |
第119回 | 車谷長吉「赤目四十八瀧心中未遂」 | |
1997年 | 第118回 | 該当作品なし |
第117回 | 篠田節子「女たちのジハード」、浅田次郎「鉄道員(ぽっぽや)」 | |
1996年 | 第116回 | 坂東眞砂子「山妣」 |
第115回 | 乃南アサ「凍える牙」 | |
1995年 | 第114回 | 小池真理子「恋」、藤原伊織「テロリストのパラソル」 |
第113回 | 赤瀬川隼「白球残映」 | |
1994年 | 第112回 | 該当作品なし |
第111回 | 中村彰彦「二つの山河」、海老沢泰久「帰郷」 | |
1993年 | 第110回 | 佐藤雅美「恵比寿屋喜兵衛手控え」、大沢在昌「無間人形 新宿鮫」 |
第109回 | 高村薫「マークスの山」、北原亞以子「恋忘れ草」 | |
1992年 | 第108回 | 出久根達郎「佃島ふたり書房」 |
第107回 | 伊集院静「受け月」 | |
1991年 | 第106回 | 高橋義夫「狼奉行」、高橋克彦「緋い記憶」 |
第105回 | 宮城谷昌光「夏姫春秋」、芦原すなお「青春デンデケデケデケ」 | |
1990年 | 第104回 | 古川薫「漂泊者のアリア」 |
第103回 | 泡坂妻夫「蔭桔梗」 | |
1989年 | 第102回 | 星川清司「小伝抄」、原尞「私が殺した少女」 |
第101回 | ねじめ正一「高円寺純情商店街」、笹倉明「遠い国からの殺人者」 | |
1988年 | 第100回 | 杉本章子「東京新大橋雨中図」、藤堂志津子「熟れてゆく夏」 |
第99回 | 西木正明「凍れる瞳」「端島の女」、景山民夫「遠い海から来たCOO」 | |
1987年 | 第98回 | 阿部牧郎「それぞれの終楽章」 |
第97回 | 白石一郎「海狼伝」、山田詠美「ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー」 | |
1986年 | 第96回 | 逢坂剛「カディスの赤い星」、常盤新平「遠いアメリカ」 |
第95回 | 皆川博子「恋紅」 | |
1985年 | 第94回 | 森田誠吾「魚河岸ものがたり」、林真理子「最終便に間に合えば」「京都まで」 |
第93回 | 山口洋子「演歌の虫」「老梅」 | |
1984年 | 第92回 | 該当作品なし |
第91回 | 連城三紀彦「恋文」、難波利三「てんのじ村」 | |
1983年 | 第90回 | 神吉拓郎「私生活」、高橋治「秘伝」 |
第89回 | 胡桃沢耕史「黒パン俘虜記」 | |
1982年 | 第88回 | 該当作品なし |
第87回 | 深田祐介「炎熱商人」、村松友視「時代屋の女房」 | |
1981年 | 第86回 | つかこうへい「蒲田行進曲」、光岡明「機雷」 |
第85回 | 青島幸男「人間万事塞翁が丙午」 | |
1980年 | 第84回 | 中村正軌「元首の謀叛」 |
第83回 | 向田邦子「花の名前」「かわうそ」「犬小屋」、志茂田景樹「黄色い牙」 | |
1979年 | 第82回 | 該当作品なし |
第81回 | 田中小実昌「浪曲師朝日丸の話」「ミミのこと」、阿刀田高「ナポレオン狂」 | |
1978年 | 第80回 | 宮尾登美子「一絃の琴」、有明夏夫「大浪花諸人往来」 |
第79回 | 津本陽「深重の海」、色川武大「離婚」 | |
1977年 | 第78回 | 該当作品なし |
第77回 | 該当作品なし | |
1976年 | 第76回 | 三好京三「子育てごっこ」 |
第75回 | 該当作品なし | |
1975年 | 第74回 | 佐木隆三「復讐するは我にあり」 |
第73回 | 該当作品なし | |
1974年 | 第72回 | 半村良「雨やどり」、井出孫六「アトラス伝説」 |
第71回 | 藤本義一「鬼の詩」 | |
1973年 | 第70回 | 該当作品なし |
第69回 | 長部日出雄「津軽世去れ節」「津軽じょんから節」、藤沢周平「暗殺の年輪」 | |
1972年 | 第68回 | 該当作品なし |
第67回 | 綱淵謙錠「斬」、井上ひさし「手鎖心中」 | |
1971年 | 第66回 | 該当作品なし |
第65回 | 該当作品なし | |
1970年 | 第64回 | 豊田穣「長良川」 |
第63回 | 結城昌治「軍旗はためく下に」、渡辺淳一「光と影」 | |
1969年 | 第62回 | 該当作品なし |
第61回 | 佐藤愛子「戦いすんで日が暮れて」 | |
1968年 | 第60回 | 陳舜臣「青玉獅子香炉」、早乙女貢「僑人の檻」 |
第59回 | 該当作品なし | |
1967年 | 第58回 | 野坂昭如「アメリカひじき」「火垂るの墓」、三好徹「聖少女」 |
第57回 | 生島治郎「追いつめる」 | |
1966年 | 第56回 | 五木寛之「蒼ざめた馬を見よ」 |
第55回 | 立原正秋「白い罌粟」 | |
1965年 | 第54回 | 新橋遊吉「八百長」、千葉治平「虜愁記」 |
第53回 | 藤井重夫「虹」 | |
1964年 | 第52回 | 永井路子「炎環」、安西篤子「張少子の話」 | 第51回 | 該当作品なし |
1963年 | 第50回 | 安藤鶴夫「巷談 本牧亭」、和田芳恵「塵の中」 |
第49回 | 佐藤得二「女のいくさ」 | |
1962年 | 第48回 | 山口瞳「江分利満氏の優雅な生活」、杉本苑子「孤愁の岸」 |
第47回 | 杉森久英「天才と狂人の間」 | |
1961年 | 第46回 | 伊藤桂一「螢の河」 |
第45回 | 水上勉「雁の寺」 | |
1960年 | 第44回 | 寺内大吉「はぐれ念仏」、黒岩重吾「背徳のメス」 |
第43回 | 池波正太郎「錯乱」 | |
1959年 | 第42回 | 司馬遼太郎「梟の城」、戸板康二「團十郎切腹事件」他 |
第41回 | 渡辺喜恵子「馬淵川」、平岩弓枝「鏨師」 | |
1958年 | 第40回 | 城山三郎「総会屋錦城」、多岐川恭「落ちる」 |
第39回 | 山崎豊子「花のれん」、榛葉英治「赤い雪」 | |
1957年 | 第38回 | 該当作品なし |
第37回 | 江崎誠致「ルソンの谷間」 | |
1956年 | 第36回 | 今東光「お吟さま」、穂積驚「勝烏」 |
第35回 | 南條範夫「燈台鬼」、今官一「壁の花」 | |
1955年 | 第34回 | 新田次郎「強力伝」、邱永漢「香港」 |
第33回 | 該当作品なし | |
1954年 | 第32回 | 梅崎春生「ボロ家の春秋」、戸川幸夫「高安犬物語」 |
第31回 | 有馬頼義「終身未決囚」 | |
1953年 | 第30回 | 該当作品なし |
第29回 | 該当作品なし | |
1952年 | 第28回 | 立野信之「叛乱」 |
第27回 | 藤原審爾「罪な女」他 | |
1951年 | 第26回 | 久生十蘭「鈴木主水」、柴田錬三郎「イエスの裔」 |
第25回 | 源氏鶏太「英語屋さん」「颱風さん」「御苦労さん」 | |
1950年 | 第24回 | 檀一雄「長恨歌」「真説 石川五右衛門」 |
第23回 | 今日出海「天皇の帽子」、小山いと子「執行猶予」 | |
1949年 | 第22回 | 山田克郎「海の廃園」 |
第21回 | 富田常雄「面」「刺青」他 | |
1945~ 1948年 |
(第二次世界大戦のため中断) | |
1944年 | 第20回 | 該当作品なし |
第19回 | 岡田誠三「ニューギニヤ山岳戦」 | |
1943年 | 第18回 | 森荘已池「山畠」「蛾と笹舟」 |
第17回 | 山本周五郎「小説日本婦道記」(受賞辞退) | |
1942年 | 第16回 | 田岡典夫「強情いちご」他、神崎武雄「寛容」他 |
第15回 | 該当作品なし | |
1941年 | 第14回 | 該当作品なし |
第13回 | 木村荘十「雲南守備兵」 | |
1940年 | 第12回 | 村上元三「上総風土記」他 |
第11回 | 堤千代「小指」他 、河内仙介「軍事郵便」 | |
1939年 | 第10回 | 該当作品なし |
第9回 | 該当作品なし | |
1938年 | 第8回 | 大池唯雄「兜首」「秋田口の兄弟」 |
第7回 | 橘外男「ナリン殿下への回想」 | |
1937年 | 第6回 | 井伏鱒二「ジョン万次郎漂流記」他 |
第5回 | 該当作品なし | |
1936年 | 第4回 | 木々高太郎「人生の阿呆」他 |
第3回 | 海音寺潮五郎「天正女合戦」「武道傳來記」(武道伝来記) | |
1935年 | 第2回 | 鷲尾雨工「吉野朝太平記」他 |
第1回 | 川口松太郎「鶴八鶴次郎」「風流深川唄」「明治一代女」 |
ちなみに、「芥川賞と直木賞の違い」についてですが、「芥川賞」(芥川龍之介賞)は純文学の新人に与えられる文学賞で、「直木賞」(直木三十五賞)は大衆文学の無名・新人及び中堅作家による大衆小説作品に与えられる文学賞です。
では、「純文学と大衆文学の違い」についてですが、純文学は娯楽性よりも“芸術性”に重きを置いている小説のことで、逆に大衆文学は芸術性よりも“娯楽性”に重きを置いている小説とされています。
ただし、ここでいう「芸術性とは何にか」についての定義は曖昧で、ある読者が低俗な作品だと感じたとしても、著者自身が「これは芸術である」と思って書いていれば純文学に位置付けられます。
過去には、大衆文学が読者の慰安を目的として興味本位に書かれるのに対して、純文学はあくまで作者の芸術的感性に基づいて生み出される作品であり、“純文学は大衆文学より高級である”との前提が広く受け入れられた時代があり、その後の文学論争に発展した経緯があります。
いずれにしても、これらの分類は“日本の近代文学および文壇における独特の用語”であり、自分が好む小説や作家がどっちに当てはまるかなど、まったく気にする必要は無いってことですね。こうした読者の現代的な感性が、古い拘りに未だに縛られ続けている芥川賞や直木賞の受賞作より、本屋大賞の受賞作の方が売れる時代になった背景の一つにあるのではないでしょうか・・・?。