最近の直木賞で候補作として選考にノミネートされた小説を一覧にしました。
※ 令和5年7月19日(水)、第169回(2023年上半期)芥川賞・直木賞の受賞作が発表されました!
※ 過去の直木三十五賞にノミネートされた候補作を年度別に紹介する「【直木賞2022】候補作・受賞作 紹介」のページを作りました!
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直木賞は、正式には「直木三十五賞」といい、当時文藝春秋社社長だった菊池寛氏が、友人の直木三十五氏の名を記念して、1935年に芥川龍之介賞(芥川賞)とともに創設しました。直木三十五(なおき さんじゅうご)氏は、『南国太平記』(1931年)などを著し、大衆文芸の世界で活躍しましたが、1934年(昭和9年)に、結核により43歳という若さで亡くなっています。
当初、直木賞は、広く各新聞雑誌(同人雑誌を含む)に発表された”無名もしくは新進作家の優秀な大衆文芸作”を表彰する賞とされ、「新人作家の登龍門」とも言われていました。しかし現在では、”無名・新進・中堅作家が対象”とされ、中堅作家まで表彰の対象が拡大されています。
直木賞は、年に2回発表されており、上半期に公開された作品は7月中頃に、下半期の作品は翌年の1月中頃に発表されます。ただ、受賞に値する作品が無かった場合は、”該当なし”とされる回もあります。なお、受賞作の選考にあたっては、財団法人日本文学振興会が選任した選考委員が、討議によって受賞作(1作または2作)を決定します。しかし、当然ながら選考委員がすべての作品を読めるはずもなく、選考会の約1か月前(6月中旬と12月中旬)に、5~6作の候補作品が選ばれ(ノミネートされ)、選考の対象とされます。ちなみに候補作品は、文藝春秋社の『オール讀物』編集部員や出版部員、合わせて20名による多数決で決められているそうです。
現在の直木賞の選考委員は、浅田次郎氏、伊集院静
氏、北方謙三
氏、桐野夏生
氏、高村薫
氏、林真理子
氏、宮部みゆき
氏、角田光代
氏、三浦しをん
氏の9氏です(2020年1月に宮城谷昌光
氏が退任、代わって3月に三浦氏が就任)。ちなみに、9氏のうち8氏は直木賞を受賞した経験のある作家ですが、北方健三氏だけは3回候補に挙がったものの受賞には至っていません。
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第169回(2023年上半期)直木賞にノミネートされたのは、5作品。5名の作者うち、「機龍警察」シリーズで知られる月村了衛さんが初めて候補に選ばれたほか、高野和明さんと永井紗耶子さんは2度目、冲方丁さんと垣根涼介さんは3度目の候補入りとなりました。なお、永井紗耶子さんの話題作『木挽町のあだ討ち』は、先に第三十六回山本周五郎賞を受賞しています。
そして直木賞に選ばれたのは、垣根涼介さん(57)の『極楽征夷大将軍』と、永井紗耶子さん(46)の『木挽町のあだ討ち』の2作品。垣根さんは3度目、永井さんは2度目の芥川賞候補入りで受賞となりました。
垣根涼介(かきね りょうすけ)さんは、1966年長崎県諫早市生まれで、筑波大学に入学し上京。大学を卒業後、旅行代理店などを経て小説を書き始め、2000年に勤務経験をもとに執筆した『午前三時のルースター』でデビューしました。受賞作は、鎌倉幕府を倒して室町幕府を樹立し征夷大将軍となった足利尊氏の生涯を、やる気も使命感も執着もない無欲の人物という独自の解釈で描いた歴史小説。周囲から「極楽殿」とからかわれていた尊氏の不思議な求心力や、意図せず将軍に上り詰めた背景を、陰の立て役者である弟や家臣の視点から、史実に基づき丁寧に書き上げています。
永井紗耶子(ながい さやこ)さんは、1977年静岡県島田市生まれ。慶應義塾大学文学部を卒業し、新聞社勤務を経てフリーのライターとなり、2010年に時代小説『絡繰り心中』で小学館文庫小説賞を受賞しデビュー。受賞作は、江戸の芝居小屋を舞台に父を殺された若侍のあだ討ちをめぐる物語を描いた時代小説。複雑な過去を背負いながら、芝居に生きる人たちがそれぞれの目線で語るあだ討ちのてんまつを通して隠された真相が描かれる、人情味あふれる物語です。
「骨灰」(KADOKAWA) 冲方丁 |
芥川賞 受賞 「極楽征夷大将軍」(文藝春秋) 垣根涼介 |
「踏切の幽霊」(文藝春秋) 高野和明 |
「香港警察東京分室」(小学館) 月村了衛 |
芥川賞 受賞 「木挽町のあだ討ち」(新潮社) 永井紗耶子 |
2022年上半期(第167回)・下半期(第168回)の直木三十五賞にノミネートされた全候補作品の、詳しい内容やあらすじは、「【直木賞2022】候補作・受賞作 紹介」ページをご覧ください。
第168回(2022年下半期)直木賞にノミネートされたのは、5作品。著者5人のうち、千早茜(43)氏は3度目の候補入り、一穂ミチ(44)氏と小川哲(35)氏は2度目の候補入りです。なお、雫井脩介(54)氏は初ノミネートですが、『犯人に告ぐ』をはじめ、『火の粉』『クローズド・ノート』『ビター・ブラッド』『検察側の罪人』『望み』など、映画やドラマの原作を多数手掛けています。また、同じく初ノミネートのボーイズラブ小説家として知られる凪良ゆう(49)氏は、『流浪の月』(2020年第17回本屋大賞受賞)が今年映画化されました。
そして直木賞に選ばれたのは、小川哲さん(36)の『地図と拳』と、千早茜さん(43)の『しろがねの葉』の2作品。
小川哲(おがわ さとし)さんは、1986年生まれで千葉県千葉市の出身。東京大学を卒業後、同大学大学院博士課程を中退。2015年に『ユートロニカのこちら側』で第3回ハヤカワSFコンテスト大賞を受賞しデビューし、直木賞は2度目の候補入りでした。受賞作『地図と拳』の舞台は満州にある架空の都市。日露戦争前夜から第2次世界大戦までの半世紀を描き、戦争の構造に迫る重厚な作品です。
千早茜(ちはや あかね)さんは、1979年生まれで北海道江別市の出身。立命館大学を卒業後、2008年に『魚神(いおがみ)』で第21回小説すばる新人賞を受賞しデビューし、直木賞は3度目の候補入りでした。受賞作『しろがねの葉』は、戦国末期の石見銀山を舞台とした時代小説。坑道で働く少女・ウメを主人公に、運命に抗いながら力強く生きる姿を描いた作品です。
「光のとこにいてね」(文藝春秋) 一穂ミチ |
直木賞 受賞 「地図と拳」(集英社) 小川哲 |
「クロコダイル・ティアーズ」(文藝春秋) 雫井脩介 |
直木賞 受賞 「しろがねの葉」(新潮社) 千早茜 |
「汝、星のごとく」(講談社) 凪良ゆう |
第167回(2022年上半期)直木賞にノミネートされたのは、5作品。5名のうち、窪美澄(56)氏と呉勝浩(40)氏、深緑野分(38)氏の3人は3度目の候補入り、河崎秋子(42)氏と永井紗耶子(45)氏は初ノミネートです。なお、芥川賞では史上初めて候補者5人全員が女性でしたが、直木賞でも候補者5人中4人が女性で、女性作家の勢いが感じられます。
そして、直木賞に選ばれたのは、窪美澄さん(56)の『夜に星を放つ』でした。
窪さんは、1965年生まれ。フリーの編集ライターを経て、2009年に『ミクマリ』で第8回女による女のためのR-18文学賞大賞を受賞しデビュー。2011年に受賞作を収録した『ふがいない僕は空を見た』で第24回山本周五郎賞を受賞。同作は本屋大賞第2位、本の雑誌が選ぶ2010年度ベスト10で第1位となります。直木賞は、3回目のノミネートでした。
「絞め殺しの樹」(小学館) 河崎秋子 |
直木賞 受賞 「夜に星を放つ」(文芸春秋) 窪美澄 |
「爆弾」(講談社) 呉勝浩 |
「女人入眼」(中央公論新社) 永井紗耶子 |
「スタッフロール」(文藝春秋) 深緑野分 |
2021年上半期(第165回)・下半期(第166回)の直木三十五賞にノミネートされた全候補作品の、詳しい内容やあらすじは、「【直木賞2021】候補作・受賞作 紹介」ページをご覧ください。
「同志少女よ、敵を撃て」(早川書房) 逢坂冬馬 |
「新しい星」(文芸春秋) 彩瀬まる |
直木賞 受賞 「塞王の楯」(集英社) 今村翔吾 |
「ミカエルの鼓動」(文芸春秋) 柚月裕子 |
直木賞 受賞 「黒牢城」(KADOKAWA) 米澤穂信 |
「スモールワールズ」(講談社) 一穂ミチ |
「おれたちの歌をうたえ」(文芸春秋) 呉勝浩 |
直木賞 受賞 「テスカトリポカ」(KADOKAWA) 佐藤究 |
直木賞 受賞 「星落ちて、なお」(文芸春秋) 沢田瞳子 |
「高瀬庄左衛門御留書」(講談社) 砂原浩太朗 |
2020年上半期(第163回)・下半期(第164回)の直木三十五賞にノミネートされた全候補作品の、詳しい内容やあらすじは、「【直木賞2020】候補作・受賞作 紹介」ページをご覧ください。
「汚れた手をそこで拭かない 芦沢央 |
「八月の銀の雪 伊与原新 |
「オルタネート 加藤シゲアキ |
直木賞 受賞 「心淋(うらさび)し川 西條奈加 |
「インビジブル 坂上泉 |
「アンダードッグス 長浦京 |
「雲を紡ぐ 伊吹有喜 |
「じんかん 今村翔吾 |
「能楽ものがたり 稚児桜 澤田瞳子 |
「銀花の蔵」(新潮社) 遠田潤子 |
直木賞 受賞 「少年と犬」(文藝春秋) 馳星周 |
2019年上半期(第161回)・下半期(第162回)の直木三十五賞にノミネートされた全候補作品の、詳しい内容やあらすじは、「【直木賞2019】候補作・受賞作 紹介」ページをご覧ください。
「平場の月 朝倉かすみ |
直木賞 受賞 「渦 妹背山婦女庭訓 魂結び 大島真寿美 |
「トリニティ 窪美澄 |
「落花 澤田瞳子 |
「美しき愚かものたちのタブロー 原田マハ |
「マジカルグランマ 柚木麻子 |
2018年上半期(第159回)・下半期(第160回)の直木三十五賞にノミネートされた全候補作品の、詳しい内容やあらすじは、「【直木賞2018】候補作・受賞作 紹介」ページをご覧ください。
「童の神 今村翔吾 |
「信長の原理 垣根涼介 |
直木賞 受賞 「宝島 真藤順丈 |
「ベルリンは晴れているか (単行本) 深緑野分 |
「熱帯 森見登美彦 |
「破滅の王 上田早夕里 |
「宇喜多の楽土 木下昌輝 |
「じっと手を見る 窪美澄 |
直木賞 受賞 「ファーストラヴ 島本理生 |
「傍流の記者 本城雅人 |
「未来 湊かなえ |
2017年上半期(第157回)・下半期(第158回)の直木三十五賞にノミネートされた全候補作品の、詳しい内容やあらすじは、「【直木賞2017】候補作・受賞作 紹介」ページをご覧ください。
「敵の名は、宮本武蔵 木下昌輝 |
「会津執権の栄誉 佐藤巖太郎 |
直木賞 受賞 「月の満ち欠け 佐藤正午 |
「あとは野となれ大和撫子 宮内悠介 |
「BUTTER 柚木麻子 |
2016年上半期(第155回)・下半期(第156回)の直木三十五賞にノミネートされた全候補作品の、詳しい内容やあらすじは、「【直木賞2016】候補作・受賞作 紹介」ページをご覧ください。
「十二人の死にたい子どもたち 冲方丁 |
直木賞 受賞 「蜜蜂と遠雷 恩田陸 |
「室町無頼 垣根涼介 |
「また、桜の国で 須賀しのぶ |
「夜行 森見登美彦 |
「天下人の茶 伊東潤 |
直木賞 受賞 「海の見える理髪店 荻原浩 |
「家康、江戸を建てる 門井慶喜 |
「暗幕のゲルニカ 原田マハ |
「ポイズンドーター・ホーリーマザー 湊かなえ |
「真実の10メートル手前 米澤穂信 |
2015年上半期(第153回)・下半期(第154回)の直木三十五賞にノミネートされた全候補作品の、詳しい内容やあらすじは、「【直木賞2015】候補作・受賞作 紹介」ページをご覧ください。
「東京帝大叡古教授 門井慶喜 |
「若冲 澤田瞳子 |
「永い言い訳 西川美和 |
「アンタッチャブル 馳星周 |
直木賞 受賞 「流 東山彰良 |
「ナイルパーチの女子会 柚木麻子 |
「鬼はもとより 青山文平 |
「あなたの本当の人生は 大島真寿美 |
「宇喜多の捨て嫁 木下昌輝 |
直木賞 受賞 「サラバ! 西加奈子 |
「悟浄出立 万城目学 |
「ミッドナイト・バス 伊吹有喜 |
直木賞 受賞 「破門 黒川博行 |
「男ともだち 千早茜 |
「私に似た人 貫井徳郎 |
「本屋さんのダイアナ 柚木麻子 |
「満願 米澤穂信 |
直木賞 受賞 「恋歌 朝井まかて |
「王になろうとした男 伊東潤 |
「あとかた 千早茜 |
直木賞 受賞 「昭和の犬 姫野カオルコ |
「とっぴんぱらりの風太郎 万城目学 |
「伊藤くん A to E 柚木麻子 |
「巨鯨の海 伊東潤 |
「夜の底は柔らかな幻 恩田陸 |
直木賞 受賞 「ホテルローヤル 桜木紫乃 |
「ジヴェルニーの食卓 原田マハ |
「望郷 湊かなえ |
「ヨハネスブルグの天使たち 宮内悠介 |
直木賞 受賞 「何者 朝井リョウ |
直木賞 受賞 「等伯 安部龍太郎 |
「空飛ぶ広報室 有川浩 |
「国を蹴った男 伊東潤 |
「春はそこまで 風待ち小路の人々 志川節子 |
「ふくわらい 西加奈子 |
「城を噛ませた男 伊東潤 |
「春から夏、やがて冬 安部龍太郎 |
「夢違 恩田陸 |
「ラブレス 伊東潤 |
直木賞 受賞 「蜩ノ記 葉室麟 |
「コラプティオ 真山仁 |
直木賞 受賞 「下町ロケット 池井戸潤 |
「アンダスタンド・メイビー 島本理生 |
「オーダーメイド殺人クラブ 辻村深月 |
「ジェノサイド 高野和明 |
「恋しぐれ 葉室麟 |
直木賞 受賞 「あの日にかえりたい 乾ルカ |
「天地明察 冲方丁 |
直木賞 受賞 「小さいおうち 中島京子 |
「リアル・シンデレラ 姫野カオルコ |
「かのこちゃんとマドレーヌ夫人 万城目学 |
「光媒の花 道尾秀介 |
「鉄の骨 池井戸潤 |
直木賞 受賞 「廃墟に乞う 佐々木譲 |
直木賞 受賞 「ほかならぬ人へ 白石一文 |
「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。 辻村深月 |
「花や散るらん 葉室麟 |
「球体の蛇 道尾秀介 |
直木賞 受賞 「鷺と雪 北村薫 |
「きのうの神さま 西川美和 |
「乱反射 貫井徳郎 |
「秋月記 葉室麟 |
「プリンセス・トヨトミ 万城目学 |
「鬼の跫音 道尾秀介 |
「きのうの世界 恩田陸 |
「汐のなごり 北重人 |
直木賞 受賞 「悼む人 天童荒太 |
「いのちなりけり 葉室麟 |
「カラスの親指 道尾秀介 |
直木賞 受賞 「利休にたずねよ 山本兼一 |
直木賞 受賞 「切羽へ 井上荒野 |
「愛しの座敷わらし 荻原浩 |
「あぽやん 新野剛志 |
「鼓笛隊の襲来 三崎亜記 |
「千両花嫁―とびきり屋見立て帖 本兼一 |
「のぼうの城 和田竜 |
「玻璃の天 北村薫 |
「赤朽葉家の伝説 桜庭一樹 |
「まんまこと 畠中恵 |
「鹿男あをによし 万城目学 |
直木賞 受賞 「吉原手引草 松井今朝子 |
「俳風三麗花 三田完 |
「夜は短し歩けよ乙女 森見登美彦 |
※ 該当作品なし。
「空飛ぶタイヤ 池井戸潤 |
「四度目の氷河期 荻原浩 |
「ひとがた流し 北村薫 |
「一瞬の風になれ 佐藤多佳子 |
「どれくらいの愛情 白石一文 |
「失われた町 三崎亜記 |
「砂漠 伊坂幸太郎 |
「安徳天皇漂海記 宇月原晴明 |
「遮断 古処誠二 |
「愚行録 貫井徳郎 |
直木賞 受賞 「まほろ駅前多田便利軒 三浦しをん |
直木賞 受賞 「風に舞いあがるビニールシート 森絵都 |
「死神の精度 (文春文庫) 伊坂幸太郎 |
「あの日にドライブ (光文社文庫) 荻原浩 |
「蒲公英草紙 恩田陸 |
「夜市 (角川ホラー文庫) 恒川光太郎 |
直木賞 受賞 「容疑者Xの献身 (文春文庫) 東野圭吾 |
「ハルカ・エイティ (文春文庫) 姫野カオルコ |
「逃亡くそたわけ 絲山秋子 |
「ユージニア 恩田陸 |
直木賞 受賞 「花まんま 朱川湊人 |
「ベルカ、吠えないのか? 古川日出男 |
「むかしのはなし 三浦しをん |
「となり町戦争 三崎亜記 |
「いつかパラソルの下で 森絵都 |