【芥川賞2021】候補作・受賞作 紹介

令和3年度の芥川龍之介賞において、候補作として選考にノミネートされた全小説の一覧です。

※ 2021年度の直木三十五賞の候補作・受賞作は、【直木賞2021】のページへ!

 2021年上半期 芥川賞

候補作 一覧

第165回(2021年上半期)芥川賞にノミネートされたのは、5作品。著者5人のうち、千葉雅也(42)氏と、李琴峰(32)氏は、2度目の候補入り。一方、石沢麻依(32)氏、くどうれいん(26)氏、高瀬隼子(33)氏の3人は初の候補入りです。

そして芥川賞に選ばれたのは、石沢麻依さんの『貝に続く場所にて』と、李琴峰さんの『彼岸花(ひがんばな)が咲く島』の2作品でした。

石沢(いしざわ)麻依(まい)さんプロフィールは宮城県出身の32歳。東北大学で美術史学を学び、2015年からはドイツで研究生活を続けています。本作で第64回群像新人文学賞を受賞し作家デビュー、もちろん直木賞も初のノミネートで受賞に至りました。受賞作の『貝に続く場所にて』は、新型コロナウイルスの感染が広がるドイツで生活している主人公のもとに、東日本大震災で行方不明になったはずの友人が訪ねてきて、再会するところから物語が始まります。人を隔てる距離と時間を言葉で埋めてゆくという、独創的な表現方法を用いて、筆者の鎮魂の思いが静謐な祈りとともに綴られています。

()琴峰(ことみ)さんプロフィールは台湾出身の32歳。日本語を母語としない作家の芥川賞受賞は、平成20年の中国人・楊逸(ヤンイー)さん以来 2人目です。国立台湾大学を卒業後、2013年に来日して早稲田大学大学院修士課程を修了。2017年、初めて日本語で書いた小説『独舞』(のち『独り舞』に改題)が第60回群像新人文学賞の優秀作に選ばれ作家デビュー。2019年、『五つ数えれば三日月が』が第161回芥川賞の候補となり、今回が2回目のノミネートで受賞に至りました。受賞作の『彼岸花が咲く島』は、とある島に流れ着いた記憶のない少女が島での暮らしを続けていく中で、独自の風習を持つ島の文化と歴史に直面していく物語です。その島は、「ノロ」と呼ばれる女性によって統治され、男女が違う言葉を学び、島の歴史は男性には秘密。自身もノロとなった主人公の少女が、男女の権力構造をめぐる歴史の暗部に向き合っていく心情を、架空の言語表現を用いて巧みに描いています。


第165回芥川賞 候補作一覧
芥川賞 受賞

貝に続く場所にて」(群像 6月号)
石沢麻依
 

氷柱の声」(群像 4月号)
くどうれいん
 

水たまりで息をする」(すばる 3月号)
高瀬隼子
 

オーバーヒート」(新潮 6月号)
千葉雅也
芥川賞 受賞

彼岸花が咲く島」(文學界 3月号)
李琴峰

候補作紹介(内容、あらすじ)

貝に続く場所にて(受賞作)

著者:石沢いしざわ麻依まい

第64回群像新人文学賞受賞のデビュー作。

コロナ禍が影を落とす異国の街に、9年前の光景が重なり合う。ドイツの学術都市に暮らす私の元に、震災で行方不明になったはずの友人が現れる。人と場所の記憶に向かい合い、静謐な祈りを込めて描く鎮魂の物語。(講談社)

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氷柱の声

著者:くどうれいん

語れないと思っていたこと。言葉にできなかったこと。

東日本大震災が起きたとき、伊智花は盛岡の高校生だった。それからの10年の時間をたどり、人びとの経験や思いを語る声を紡いでいく、著者初めての小説。(講談社)

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水たまりで息をする

著者:高瀬たかせ隼子じゅんこ

ある日、夫が風呂に入らなくなったことに気づいた衣津実(いつみ)。夫は水が臭くて体につくと痒くなると言い、入浴を拒み続ける。彼女はペットボトルの水で体をすすぐように命じるが、そのうち夫は雨が降ると外に出て濡れて帰ってくるように。そんなとき、夫の体臭が職場で話題になっていると義母から聞かされ、「夫婦の問題」だと責められる。夫は退職し、これを機に二人は、夫がこのところ川を求めて足繁く通っていた彼女の郷里に移住する。そして川で水浴びをするのが夫の日課となった。豪雨の日、河川増水の警報を聞いた衣津実は、夫の姿を探すが――。(集英社)

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オーバーヒート

著者:千葉ちば雅也まさや

東京から大阪に移り住み、京都で教鞭を執る哲学者。「言語は存在のクソだ!」と嘯きながら、言葉と男たちの肉体とのあいだを往復する。年下の恋人への思慕、両親の言葉、行きつけのバー、失われた生家である「大きな白い家」、折々のツイート……「僕」を取り巻く時間と人々を鮮やかに描く表題作。ハッテン場と新宿2丁目の移ろい、甦る記憶が現在を照射する川端賞受賞作「マジックミラー」を併録。『デッドライン』で鮮烈な小説家デビューを果たした哲学者による文学の最前線!(新潮社)

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彼岸花が咲く島(受賞作)

著者:琴峰ことみ

記憶を失くした少女が流れ着いたのは、ノロが統治し、男女が違う言葉を学ぶ島だった――。

不思議な世界、読む愉楽に満ちた中編小説。(文藝春秋)

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 2021年下半期 芥川賞

候補作 一覧

第166回(2021年下半期)芥川賞にノミネートされたのは、5作品。著者5人のうち、砂川文次(31)氏と、乗代雄介(35)氏は、3度目の候補入り、他の3人は初の候補入りです。

そして芥川賞に選ばれたのは、砂川文次さんの『ブラックボックス』でした。

砂川(すなかわ)文次(ぶんじ)さんプロフィールは、大阪府生まれの31歳。元自衛官でヘリコプターのパイロットの経験もあり、公務員として働きながら2016年に『市街戦』で文學界新人賞を受賞し作家デビュー。2018年に『『戦場のレビヤタン』が、2020年に『小隊』が芥川賞の候補となり、今回が3回目のノミネートで受賞となりました。受賞作の『ブラックボックス』は、新型コロナウイルスの感染が拡大している世の中で、自転車で荷物を運ぶメッセンジャーとして働いている男性が主人公。職を転々としてきた主人公が、日々感じている他人や世間への不満、そして“なぜ、突発的に怒りの感情を爆発させてしまうのか”という自身への問いかけが、独白のように淡々とした文章で書かれています。


第166回芥川賞 候補作一覧
 

我が友、スミス」(すばる 11月号)
石田夏穂
 

Schoolgirl」(すばる 12月号)
九段理江
 

オン・ザ・プラネット」(群像 12月号)
島口大樹
芥川賞 受賞

ブラックボックス」(群像 8月号)
砂川文次
 

皆のあらばしり」(新潮 10月号)
乗代雄介

候補作紹介(内容、あらすじ)

我が友、スミス

著者:石田いしだ夏穂かほ

前代未聞の筋トレ小説、誕生!

筋トレに励む会社員・U野は、Gジムで自己流のトレーニングをしていたところ、ボディ・ビル大会への出場を勧められ、本格的な筋トレと食事管理を始める。しかし、大会で結果を残すためには筋肉のみならず「女らしさ」も鍛えなければならなかった――。

鍛錬の甲斐あって身体は仕上がっていくが、職場では彼氏ができてダイエットをしていると思われ、母からは「ムキムキにならないでよ」と心無い言葉をかけられる。モヤモヤした思いを解消できないまま迎えた大会当日。彼女が決勝の舞台で取った行動とは?。世の常識に疑問を投げかける圧巻のデビュー作。(集英社)

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Schoolgirl

著者:九段くだん理江りえ

令和版「女生徒」。

どうして娘っていうのは、こんなにいつでも、お母さんのことを考えてばかりいるんだろう。社会派YouTuberとしての活動に夢中な14歳の娘は、私のことを「小説に思考を侵されたかわいそうな女」だと思っている。そんな娘の最新投稿は、なぜか太宰治の「女生徒」について――?

第126回文學界新人賞受賞作「悪い音楽」を同時収録。(文藝春秋)

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オン・ザ・プラネット

著者:島口しまぐち大樹だいき

「終わったのかな」「なにが?」「世界?」
同じ車に乗り込んだぼくら四人は、映画を撮るために鳥取砂丘を目指す。注目の新星が重層する世界の「今」を描く、ロード&ムービー・ノベル。

「これからぼくらが話すことは、人類最後の会話になるかもしれない。そうやって考えるとき、皆は何を話したい?」
記憶すること、思い出すこと、未来に向かって過去をみつけ直すこと。現実と虚構の別を越えて、新しい世界と出会う旅。(講談社)

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ブラックボックス(受賞作)

著者:砂川すなかわ文次ぶんじ

ずっと遠くに行きたかった。今も行きたいと思っている。自分の中の怒りの暴発を、なぜ止められないのだろう。自衛隊を辞め、いまは自転車便メッセンジャーの仕事に就いているサクマは、都内を今日もひた走る。昼間走る街並みやそこかしこにあるであろう倉庫やオフィス、夜の生活の営み、どれもこれもが明け透けに見えているようで見えない。張りぼての向こう側に広がっているかもしれない実相に触れることはできない。(講談社)

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皆のあらばしり

著者:乗代のりしろ雄介ゆうすけ

幻の書の新発見か、それとも偽書か――。高校の歴史研究部活動で城址を訪れたぼくは中年男に出会う。人を喰った大阪弁とは裏腹な深い学識で、男は旧家の好事家が蔵書目録に残した「謎の本」の存在を追い始めた。うさん臭さに警戒しつつも、ぼくは男の博識に惹かれていく。ラストの逆転劇が光る、良質のミステリのような注目作。(新潮社)

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【関連ページ掲載】
※ これまで、「本屋大賞・芥川賞・直木賞」の全受賞作を、一覧(リスト)にしていましたが、あまりに数が多くなってしまったので、各賞を切り出した、それぞれのページを作りました。
 → 芥川賞-歴代受賞作|全作品一覧
 → 直木賞-歴代受賞作|全作品一覧
 → 本屋大賞-歴代受賞作|全作品一覧

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