直木賞 歴代ノミネート作 一覧

最近の直木賞で候補作として選考にノミネートされた小説を一覧にしました。

令和3年1月20日(水)、第164回(2020年下半期)芥川賞・直木賞の受賞作が発表されました! 新着記事、最新記事
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直木賞は、正式には「直木三十五賞」といい、当時文藝春秋社社長だった菊池寛氏が、友人の直木三十五氏の名を記念して、1935年に芥川龍之介賞(芥川賞)とともに創設しました。直木三十五(なおき さんじゅうご)氏は、『南国太平記』(1931年)などを著し、大衆文芸の世界で活躍しましたが、1934年(昭和9年)に、結核により43歳という若さで亡くなっています。

当初、直木賞は、広く各新聞雑誌(同人雑誌を含む)に発表された”無名もしくは新進作家の優秀な大衆文芸作”を表彰する賞とされ、「新人作家の登龍門」とも言われていました。しかし現在では、”無名・新進・中堅作家が対象”とされ、中堅作家まで表彰の対象が拡大されています。

直木賞は、年に2回発表されており、上半期に公開された作品は7月中頃に、下半期の作品は翌年の1月中頃に発表されます。ただ、受賞に値する作品が無かった場合は、”該当なし”とされる回もあります。なお、受賞作の選考にあたっては、財団法人日本文学振興会が選任した選考委員が、討議によって受賞作(1作または2作)を決定します。しかし、当然ながら選考委員がすべての作品を読めるはずもなく、選考会の約1か月前(6月中旬と12月中旬)に、5~6作の候補作品が選ばれ(ノミネートされ)、選考の対象とされます。ちなみに候補作品は、文藝春秋社の『オール讀物』編集部員や出版部員、合わせて20名による多数決で決められているそうです。

現在の直木賞の選考委員は、浅田次郎氏、伊集院静氏、北方謙三氏、桐野夏生氏、高村薫氏、林真理子氏、宮部みゆき氏、角田光代氏、三浦しをん氏の9氏です(2020年1月に宮城谷昌光氏が退任、代わって3月に三浦氏が就任)。ちなみに、9氏のうち8氏は直木賞を受賞した経験のある作家ですが、北方健三氏だけは3回候補に挙がったものの受賞には至っていません。

 2020年 直木賞

2020年 下半期 受賞作発表!

第164回直木賞(2020年下半期)にノミネートされたのは、6作品。候補者全員が初のノミネートで、直木賞候補作が全て初候補者で占められるのは、実に25年ぶりのことです。候補者の一人、歌手で俳優・タレントでもある、アイドルグループ「NEWS」メンバーの加藤シゲアキ氏(33)は、2012年に小説『ピンクとグレー』(角川文庫)で小説家としてもデビュー。芥川賞にノミネートされた、ロックバンド「クリープハイプ」メンバーの尾崎世界観氏(36)とともに、芸能界で注目を集めました。

そして直木賞に選ばれたのは、西條奈加さんの「心淋し川」。舞台は江戸の下町、長屋に住む庶民の喜びと悲しみをたたえた暮らしぶりを描く連作短編集です。

西條奈加(さいじょう なか)さんは、北海道池田町出身の56歳。貿易会社勤務を経て、2005年に『金春屋ゴメス』が第17回日本ファンタジーノベル大賞大賞を受賞しデビュー。2012年『涅槃の雪』で中山義秀文学賞、2015年『まるまるの毬』で吉川英治文学新人賞を受賞。時代小説から現代小説まで幅広く手がけ、近著に『亥子ころころ』『せき越えぬ』『わかれ縁』などがあります。


直木賞 第164回 候補作品と受賞作
 

汚れた手をそこで拭かない
芦沢央(あしざわ よう)
 

八月の銀の雪
伊与原新(いよはら しん)
 

オルタネート
加藤シゲアキ(かとう しげあき)
直木賞 受賞

心淋(うらさび)し川
西條奈加(さいじょう なか)
 

インビジブル
坂上泉(さかがみ いずみ)
 

アンダードッグス
長浦京(ながうら きょう)

候補作の作品紹介(内容、あらすじ)

汚れた手をそこで拭かない(芦沢央)
平穏に夏休みを終えたい小学校教諭、認知症の妻を傷つけたくない夫。元不倫相手を見返したい料理研究家……始まりは、ささやかな秘密。気付かぬうちにじわりじわりと「お金」の魔の手はやってきて、見逃したはずの小さな綻びは、彼ら自身を絡め取り、蝕んでいく。
取り扱い注意! 研ぎ澄まされたミステリ5篇からなる、傑作独立短編集。(文藝春秋より)
八月の銀の雪(伊与原新)
不愛想で手際が悪い――。コンビニのベトナム人店員グエンが、就活連敗中の理系大学生、堀川に見せた真の姿とは(「八月の銀の雪」)。会社を辞め、一人旅をしていた辰朗は、凧を揚げる初老の男に出会う。その父親が太平洋戦争に従軍した気象技術者だったことを知り……(「十万年の西風」)。科学の揺るぎない真実が、傷ついた心に希望の灯りをともす全5篇。(新潮社より)
オルタネート(加藤シゲアキ)
高校生限定のマッチングアプリが必須となった現代。東京のとある高校を舞台に、3人の若者の運命が、鮮やかに加速していく――。恋とは、友情とは、家族とは、人と“繋がる”とは何か。悩み、傷つきながら、〈私たち〉が「世界との距離をつかむまで」を端正かつエモーショナルに描く。著者3年ぶり、渾身の新作長編。(新潮社より)
心淋(うらさび)し川(西條奈加)
直木賞 受賞 江戸の片隅、小さなどぶ川沿いに建ち並ぶ長屋。住人たちは人生という川のどん詰まりでもがいていた。懸命に生を紡ぐ人々の切なる願いが胸に沁みる感動連作!(集英社より)
インビジブル(坂上泉)
昭和29年、大阪城付近で政治家秘書が頭に麻袋を巻かれた刺殺体となって見つかる。大阪市警視庁が騒然とするなか、若手の新城は初めての殺人事件捜査に意気込むが、上層部の思惑により国警から派遣された警察官僚の守屋と組むはめに。帝大卒のエリートなのに聞き込みもできない守屋に、中卒叩き上げの新城は厄介者を押し付けられたといら立ちを募らせる――。(文藝春秋より)
アンダードッグス(長浦京)
「君の選択肢に『No』はない。『Si(はい)』でなければ『morte(死)』だ」――1996年末、元官僚の証券マン・古葉慶太は、顧客の大富豪・マッシモからある計画を託される。それは、中国返還直前の香港から密かに運び出される国家機密を強奪せよというものだった。かつて政争に巻き込まれ失脚した古葉は、逆襲の機会とばかりに香港へ飛ぶ。だが、彼を待っていたのは、国籍もバラバラな“負け犬”仲間たちと、計画を狙う米露英中、各国情報機関だった――。裏切るか、見破るか。策謀の渦巻く香港を“負け犬”たちが駆け抜ける!(KADOKAWAより)

2020年 上半期 受賞作発表!

第163回(2020年上半期)直木賞にノミネートされたのは、5作品。馳星周氏(55)は、2016年上半期以来となる7回目の候補入りです。他にも、澤田瞳子氏(42)は4回目、伊吹有喜氏(51)は3回目、今村翔吾氏(36)は2回目の候補入りと、常連組が多くなっています。初ノミネートは、遠田潤子氏(54)のみ。

そして直木賞に選ばれたのは、馳星周(はせ せいしゅう)氏(55)の「少年と犬」。馳星周氏は、北海道浦河町出身の55歳。横浜市立大学卒業。書評家などを経て、96年『不夜城』でデビュー。

直木賞 第163回 候補作品と受賞作
 

雲を紡ぐ」(文藝春秋)
伊吹有喜(いぶき ゆき)


じんかん」(講談社)
今村翔吾(いまむら しょうご)
 

能楽ものがたり 稚児桜」(淡交社)
澤田瞳子(さわだ とうこ)
 

銀花の蔵」(新潮社)
遠田潤子(とおだ じゅんこ)
直木賞 受賞

少年と犬」(文藝春秋)
馳星周(はせ せいしゅう)

候補作の作品紹介(内容、あらすじ)

雲を紡ぐ(伊吹有喜)
「分かり合えない母と娘」。壊れかけた家族は、もう一度、一つになれるか? 羊毛を手仕事で染め、紡ぎ、織りあげられた「時を越える布・ホームスパン」をめぐる親子三代の「心の糸」の物語。
いじめが原因で学校に行けなくなった高校生・美緒の唯一の心のよりどころは、祖父母がくれた赤いホームスパンのショールだった。ところが、このショールをめぐって、母と口論になり、少女は岩手県盛岡市の祖父の元へ家出をしてしまう。美緒は、ホームスパンの職人である祖父とともに働くことで、職人たちの思いの尊さを知る。一方、美緒が不在となった東京では、父と母の間にも離婚話が持ち上がり……。実は、とてもみじかい「家族の時間」が終わろうとしていた――。(文藝春秋より)
じんかん(今村翔吾)
仕えた主人を殺し、天下の将軍を暗殺し、東大寺の大仏殿を焼き尽くすーー。民を想い、民を信じ、正義を貫こうとした」青年武将は、なぜ稀代の悪人となったか?
時は天正五年(1577年)。ある晩、天下統一に邁進する織田信長のもとへ急報が。信長に忠誠を尽くしていたはずの松永久秀が、二度目の謀叛を企てたという。前代未聞の事態を前に、主君の勘気に怯える伝聞役の小姓・狩野又九郎。だが、意外にも信長は、笑みを浮かべた。やがて信長は、かつて久秀と語り明かしたときに直接聞いたという壮絶な半生を語り出す。
貧困、不正、暴力…。『童の神』で直木賞候補となった今最も人気の若手歴史作家が、この世の不条理に抗う人すべてへ捧ぐ、圧巻の歴史巨編!(講談社より)
能楽ものがたり 稚児桜(澤田瞳子)
わが国最高峰の舞台芸術として受け継がれてきた能楽。長年、能に親しんできた著者が名曲にインスパイアされて生み出した8編の時代小説集。
3「稚児桜」―清水寺の稚児としてたくましく生きる花月。ある日、自分を売り飛ばした父親が突然面会に現れて……。(原曲『花月』)(淡交社より)
銀花の蔵(遠田潤子)
大阪万博に沸く日本。絵描きの父と料理上手の母と暮らしていた銀花は、父親の実家に一家で移り住むことになる。そこは、座敷童が出るという言い伝えの残る由緒ある醤油蔵の家だった。家族を襲う数々の苦難と一族の秘められた過去に対峙しながら、少女は大人になっていく――。圧倒的筆力で描き出す、感動の大河小説。(新潮社より)
少年と犬(馳星周)
直木賞 受賞 傷つき、悩み、惑う人びとに寄り添っていたのは、一匹の犬だった――。
2011年秋、仙台。震災で職を失った和正は、認知症の母とその母を介護する姉の生活を支えようと、犯罪まがいの仕事をしていた。ある日和正は、コンビニで、ガリガリに痩せた野良犬を拾う。多聞という名らしいその犬は賢く、和正はすぐに魅了された。その直後、和正はさらにギャラのいい窃盗団の運転手役の仕事を依頼され、金のために引き受けることに。そして多聞を同行させると仕事はうまくいき、多聞は和正の「守り神」になった。だが、多聞はいつもなぜか南の方角に顔を向けていた。多聞は何を求め、どこに行こうとしているのか……
犬を愛するすべての人に捧げる感涙作!(文藝春秋より)

 2019年 直木賞

2019年 下半期

第162回(2019年下半期)直木賞にノミネートされたのは、5作品。湊かなえ氏(47)は、2009年に『告白』で第6回本屋大賞を受賞、2016年に『ユートピア』で第29回山本周五郎賞を受賞しているほか、数々の賞を受賞&候補になっている人気ミステリー作家で、直木賞には今回が4回目の候補となりました。ほかの4人、小川哲(おがわ さとし)氏(33)、川越宗一(かわごえ そういち)氏(42)呉勝浩(ご かつひろ)氏(39)、誉田哲也(ほんだ てつや)氏(50)は今回初めての候補入りです。

そして直木賞に選ばれたのは、川越宗一氏の「熱源」。川越宗一(かわごえ そういち)氏は、1978年大阪府生まれの42歳。龍谷大学文学部史学科中退。2018年に「天地に燦たり」で第25回松本清張賞を受賞しています。

直木賞 第162回 候補作品と受賞作
 

嘘と正典
小川哲
直木賞 受賞

熱源
川越宗一
 

スワン
呉勝浩
 

背中の蜘蛛
誉田哲也
 

落日
湊かなえ

候補作の作品紹介(内容、あらすじ)

嘘と正典(小川哲)
零落した稀代のマジシャンがタイムトラベルに挑む「魔術師」、名馬・スペシャルウィークの血統に我が身を重ねる「ひとすじの光」、無限の勝利を望む東フランクの王を永遠に呪縛する「時の扉」、音楽を通貨とする小さな島の伝説を探る「ムジカ・ムンダーナ」、ファッションとカルチャーが絶え果てた未来に残された「最後の不良」、CIA工作員が共産主義の消滅を企む「嘘と正典」の全6篇を収録。
小川哲(おがわ さとし)氏は、1986年千葉県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程退学。2015年に第3回ハヤカワSFコンテスト大賞を『ユートロニカのこちら側』で受賞し、デビュー。2017年に発表した第2長篇『ゲームの王国』が第39回吉川英治文学新人賞最終候補となり、その後、第38回日本SF大賞と第31回山本周五郎賞を受賞する。
熱源(川越宗一)
直木賞 受賞 樺太(サハリン)で生まれたアイヌ、ヤヨマネクフ。開拓使たちに故郷を奪われ、集団移住を強いられたのち、天然痘やコレラの流行で妻や多くの友人たちを亡くした彼は、やがて山辺安之助と名前を変え、ふたたび樺太に戻ることを志す。 一方、ブロニスワフ・ピウスツキは、リトアニアに生まれた。ロシアの強烈な同化政策により母語であるポーランド語を話すことも許されなかった彼は、皇帝の暗殺計画に巻き込まれ、苦役囚として樺太に送られる。 日本人にされそうになったアイヌと、ロシア人にされそうになったポーランド人。 文明を押し付けられ、それによってアイデンティティを揺るがされた経験を持つ二人が、樺太で出会い、自らが守り継ぎたいものの正体に辿り着く。
川越宗一(かわごえ そういち)氏は、1978年大阪府生まれ。龍谷大学文学部史学科中退。2018年、「天地に燦たり」で第25回松本清張賞を受賞。
スワン(呉勝浩)
銃撃テロを生き延びた五人。彼らは何を隠しているのか、何を恐れているのか。 首都圏の巨大ショッピングモール「スワン」で起きたテロ事件。 死者二十一名、重軽傷者十七名を出した前代未聞の悲劇の渦中で、犯人と接しながら、高校生のいずみは事件を生き延びた。 しかし、取り戻したはずの平穏な日々は、同じく事件に遭遇し、大けがをして入院中の同級生・小梢の告発によって乱される。 次に誰を殺すか、いずみが犯人に指名させられたこと。そしてそのことでいずみが生きながらえたという事実が、週刊誌に暴露されたのだ。 被害者から一転、非難の的となったいずみ。 そんななか、彼女のもとに一通の招待状が届く。集まったのは、事件に巻き込まれ、生き残った五人の関係者。目的は事件の中の一つの「死」の真相を明らかにすること。 彼らが抱える秘密とは? そして隠された真実とは。
呉勝浩(ご かつひろ)氏は、1981年青森県生まれ。大阪芸術大学映像学科卒。2015年『道徳の時間』で第61回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。『ロスト』で第19回大藪春彦賞候補、『白い衝動』で第20回大藪春彦賞受賞。
背中の蜘蛛(誉田哲也)
東京・池袋で男の刺殺体が発見された。捜査にあたる警視庁池袋署刑事課長の本宮はある日、捜査一課長から「あること」に端を発した捜査を頼まれる。 それから約半年後――。 東京・新木場で爆殺傷事件が発生。再び「あること」により容疑者が浮かぶが、捜査に携わる警視庁組織犯罪対策部の植木は、その唐突な容疑者の浮上に違和感を抱く。そしてもう一人、植木と同じように腑に落ちない思いを抱える警察官がいた。捜査一課の管理官になった本宮だった……。
誉田哲也(ほんだ てつや)氏は、1969年東京都出身。学習院中・高等科を経て学習院大学経済学部経営学科卒業。代表作に、『ストロベリーナイト』をはじめとする映像化された「姫川玲子シリーズ」や、『武士道シックスティーン』をはじめとする「武士道シリーズ」などがある。
落日(湊かなえ)
新人脚本家の甲斐千尋は、新進気鋭の映画監督長谷部香から、新作の相談を受けた。『笹塚町一家殺害事件』引きこもりの男性が高校生の妹を自宅で刺殺後、放火して両親も死に至らしめた。15年前に起きた、判決も確定しているこの事件を手がけたいという。笹塚町は千尋の生まれ故郷だった。この事件を、香は何故撮りたいのか。千尋はどう向き合うのか。“真実”とは、“救い”とは、そして、“表現する”ということは。絶望の深淵を見た人々の祈りと再生の物語。
湊かなえ(みなと かなえ)氏は、1973年広島県生まれ。2007年「聖職者」で第29回小説推理新人賞を受賞。08年同作品を収録したデビュー作『告白』は「週刊文春2008年ミステリーベスト10」で第1位、第6回本屋大賞を受賞。また14年には、アメリカ「ウォール・ストリート・ジャーナル」紙のミステリーベスト10に、15年には全米図書館協会アレックス賞に選ばれた。12年「望郷、海の星」で第65回日本推理作家協会賞短編部門を受賞。16年『ユートピア』で第29回山本周五郎賞受賞。18年『贖罪』がアメリカのエドガー賞“ペーパーバック・オリジナル部門”にノミネートされた。

2019年 上半期

第161回(2019年上半期)直木賞にノミネートされたのは、6作品。その作者6人が、なんと全員女性という快挙。候補者全員が女性となったのは、芥川賞も含めて、85年間(161回)の歴史の中で今回が初めて!。

初めて芥川賞にノミネートされた朝倉かすみ氏(58)は、候補作『平場の月』で先に第32回山本周五郎賞を受賞。他の5人は、何れも過去に何回かノミネート経験のある作家。窪美澄(くぼ みすみ)氏(54)と、大島真寿美氏(56)は、2回目のノミネート。2014年下半期の初候補から久しぶりのノミネートとなった、大島真寿美氏の候補作『渦 妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん) 魂結(たまむす)び』は、浄瑠璃作者の生涯を描いた自身初の時代小説。歴史・時代小説の注目株、澤田瞳子(とうこ)氏(41)は、2017年下半期の『火定』に続き今回で3回目の候補。原田マハ氏(56)は、『暗幕のゲルニカ』から3年ぶり4回目の候補。柚木麻子(ゆずき あさこ)氏(37)は、『BUTTER』から2年ぶり5回目の候補。

そして直木賞に選ばれたのは、大島真寿美氏の「渦 妹背山婦女庭訓(いもせ やまおんなていきん) 魂結(たまむす)び」。大島真寿美(おおしま ますみ)氏は、愛知県名古屋市出身の56歳。高校在学中より脚本の執筆を開始し、1985年より劇団「垂直分布」を主宰(1992年解散)。直木賞受賞作品は、彼女の初めて時代小説。

直木賞 第161回 候補作品と受賞作
 

平場の月
朝倉かすみ
直木賞 受賞

渦 妹背山婦女庭訓 魂結び
大島真寿美
 

トリニティ
窪美澄
 

落花
澤田瞳子
 

美しき愚かものたちのタブロー
原田マハ
 

マジカルグランマ
柚木麻子

候補作の作品紹介(内容、あらすじ)

平場の月(朝倉かすみ)
「おまえ、あのとき、なに考えていたの?」「夢みたいなことだよ。夢みたいなことをね。ちょっと」 朝霞、新座、志木――。家庭を持ってもこのへんに住む元女子たち。元男子の青砥も、このへんで育ち、働き、老いぼれていく連中のひとりである。須藤とは、病院の売店で再会した。中学時代にコクって振られた、芯の太い元女子だ。50年生きてきた男と女には、老いた家族や過去もあり、危うくて静かな世界が縷々と流れる――。心のすき間を埋めるような感情のうねりを、求めあう熱情を、生きる哀しみを、圧倒的な筆致で描く、大人の恋愛小説。(光文社より)
渦 妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん) 魂結(たまむす)び(大島真寿美)
直木賞 受賞 江戸時代、芝居小屋が立ち並ぶ大坂・道頓堀。大阪の儒学者・穂積以貫の次男として生まれた成章。末楽しみな賢い子供だったが、浄瑠璃好きの父に手をひかれて、芝居小屋に通い出してから、浄瑠璃の魅力に取り付かれる。近松門左衛門の硯を父からもらって、物書きの道へ進むことに。 弟弟子に先を越され、人形遣いからは何度も書き直しをさせられ、それでも書かずにはおられなかった半二。著者の長年のテーマ「物語はどこから生まれてくるのか」が、義太夫の如き「語り」にのって、見事に結晶した長編小説。(文藝春秋より)
トリニティ(窪美澄)
どんなに強欲と謗(そし)られようと、三つとも手に入れたかった――。50年前、出版社で出会った三人の女たちが半生をかけ、何を代償にしても手に入れようとした〈トリニティ=かけがえのない三つのもの〉とは? かつてなく深くまで抉り出した、現代日本を生き抜く女たちの夢と祈り――。平成の掉尾を飾る傑作!(新潮社より)
落花(澤田瞳子)
将門という男は、なぜかくも激しく不器用なのだ! 音楽に取り憑かれ、「至誠の声」を求め旅に出た仁和寺の僧・寛朝。荒ぶる坂東の地で出会ったのは、謀反人と謗られる人物だった――。(中央公論新社より)
美しき愚かものたちのタブロー(原田マハ)
日本に美術館を創りたい。ただ、その夢ひとつのために生涯を懸けた不世出の実業家・松方幸次郎。戦時下のフランスで絵画コレクションを守り抜いた孤独な飛行機乗り・日置釭三郎。そして、敗戦国・日本にアートとプライドを取り戻した男たち――。奇跡が積み重なった、国立西洋美術館の誕生秘話。原田マハにしか書けない日本と西洋アートの巡りあいの物語!世界でも有数の「美術館好き」と言われる日本人の、アートへの探究心の礎を築いた男たち。美しい理想と不屈の信念で、無謀とも思える絵画の帰還を実現させた「愚かものたち」の冒険が胸に迫る。(文藝春秋より)
マジカルグランマ(柚木麻子)
正子は75歳の元女優。携帯電話のCMで再デビューを果たし、順風満帆かと思いきや、ある出来事をきっかけに事務所を解雇され、急遽お金が必要な状況に。周りを巻き込み、逆境を跳ね返す生き方はマジカルグランマ(理想のおばあちゃん)像をぶち壊す!(朝日新聞出版より)

 2018年 直木賞

2018年 下半期

第160回直木賞にノミネートされたのは、5作品。森見登美彦(もりみ とみひこ)氏(39)は、2007年上半期の第137回直木賞で「夜は短し歩けよ乙女」がノミネート、2016年下半期の第156回直木賞では『夜行』がノミネートされ、今回が3度目の候補。垣根涼介氏(52)と深緑野分(ふかみどり のわき)氏(35)は2度目のノミネートです。他の2人は、初のノミネート。真藤順丈(しんどう じゅんじょう)氏(41)は、2008年から2009年にかけて4つの新人賞を相次いで受賞しデビューし、2018年に「宝島」で第9回山田風太郎賞を受賞。今村翔吾氏(34)は、ダンスインストラクターで作曲家でもあり、守山市での埋蔵文化財調査員を経て専業作家に転身した、異色の経歴の持ち主。2018年に「童神」(のち「童の神」に改題)で第10回角川春樹小説賞を受賞。

そして直木賞に選ばれたのは、真藤順丈氏の「宝島」。真藤順丈(しんどう じゅんじょう)氏は、東京都出身の42歳。2008年に「地図男」でデビューし、2009年にかけて4つの新人賞を相次いで受賞。「宝島」では、第9回山田風太郎賞も受賞。

直木賞 第160回 候補作品と受賞作
 

童の神
今村翔吾
 

信長の原理
垣根涼介
直木賞 受賞

宝島
真藤順丈
 

ベルリンは晴れているか (単行本)
深緑野分
 

熱帯
森見登美彦

候補作の作品紹介(内容、あらすじ)

童の神
平安時代「童」と呼ばれる者たちがいた。彼らは鬼、土蜘蛛、滝夜叉、山姥……などの恐ろしげな名で呼ばれ、京人から蔑まれていた。一方、安倍晴明が空前絶後の凶事と断じた日食の最中に、越後で生まれた桜暁丸は、父と故郷を奪った京人に復讐を誓っていた。さまざまな出逢いを経て、桜暁丸は、童たちと共に朝廷軍に決死の戦いを挑むが――。皆が手をたずさえて生きられる世を熱望し、散っていった者たちへの、祈りの詩(うた)。
信長の原理
何故おれは、裏切られ続けて死にゆくのか。
織田信長の飽くなき渇望。家臣たちの終わりなき焦燥。焼けつくような思考の交錯が、ある原理を浮かび上がらせ、すべてが「本能寺の変」の真実へと集束してゆく――。まだ見ぬ信長の内面を抉り出す、革命的歴史小説!
宝島
直木賞 受賞 英雄を失った島に、新たな魂が立ち上がる。少年少女は20年の時を経て同じ夢に向かう。米軍統治下の沖縄を嵐のように駆け抜ける、青春と革命の一大叙事詩!!
米軍施政下の時代に翻弄されながら、立ち向かい、熱く生き抜いた沖縄の若者たちを描く超大作!そして現代に続く基地問題を知る必読の書!(ジュンク堂書店那覇店 森本浩平さん)
占領下、実際に起きた戦闘機小学校墜落、米軍車両死亡交通事故無罪判決。県民の怒りが爆発したコザ暴動。主人公たちの生き方を通して沖縄の痛みが理解できる作品です。(球陽堂書房メインプレイス店 新里哲彦さん)
ベルリンは晴れているか
1945年7月。ナチス・ドイツが戦争に敗れ米ソ英仏の4ヵ国統治下におかれたベルリン。ソ連と西側諸国が対立しつつある状況下で、ドイツ人少女アウグステの恩人にあたる男が、ソ連領域で米国製の歯磨き粉に含まれた毒により不審な死を遂げる。米国の兵員食堂で働くアウグステは疑いの目を向けられつつ、彼の甥に訃報を伝えるべく旅立つ。しかしなぜか陽気な泥棒を道連れにする羽目になり―― ふたりはそれぞれの思惑を胸に、荒廃した街を歩きはじめる。
熱帯
汝にかかわりなきことを語るなかれ――。そんな謎めいた警句から始まる一冊の本『熱帯』。この本に惹かれ、探し求める作家の森見登美彦氏はある日、奇妙な催し「沈黙読書会」でこの本の秘密を知る女性と出会う。そこで彼女が口にしたセリフ「この本を最後まで読んだ人間はいないんです」、この言葉の真意とは?秘密を解き明かすべく集結した「学団」メンバーに神出鬼没の古本屋台「暴夜書房」、鍵を握る飴色のカードボックスと「部屋の中の部屋」……。幻の本をめぐる冒険はいつしか妄想の大海原を駆けめぐり、謎の源流へ!
我ながら呆れるような怪作である――森見登美彦

2018年 上半期

第159回直木賞にノミネートされたのは6作品で、いずれも実績ある6人の顔ぶれ。ベストセラー作家の湊かなえ氏(45)、オール讀物新人賞を受賞した木下昌輝氏(44)は、ともに3回目のノミネート。群像新人文学賞を受賞し、これまで芥川賞に4回ノミネートされている島本理生氏(35)は、2回目の直木賞候補。小松左京賞を受賞した上田早夕里氏(53)、山本周五郎賞受賞の窪美澄氏(53)、元サンケイスポーツ記者の本城雅人氏(53)の3人は、初のノミネートです。

そして直木賞に選ばれたのは、島本理生(しまもと りお)氏(35)の『ファーストラヴ』。島本氏は、1983年東京都板橋区生まれ。都立新宿山吹高等学校に在学中の2001年に、『シルエット』で第44回群像新人文学賞の優秀作を受賞し、デビュー。これまで芥川賞候補に、『リトル・バイ・リトル』『生まれる森』『大きな熊が来る前に、おやすみ。』『夏の裁断』が選ばれており、さらに直木賞候補には『アンダスタンド・メイビー』がノミネートされた経験のある人気作家で、今回は嬉しい初受賞となりました。

直木賞 第159回 候補作品と受賞作
 

破滅の王
上田早夕里
 

宇喜多の楽土
木下昌輝
 

じっと手を見る
窪美澄
直木賞 受賞

ファーストラヴ
島本理生
 

傍流の記者
本城雅人
 

未来
湊かなえ

候補作の作品紹介(内容、あらすじ)

破滅の王
1943年6月、上海。かつては自治を認められた租界に、各国の領事館や銀行、さらには娼館やアヘン窟が立ち並び、「魔都」と呼ばれるほど繁栄を誇ったこの地も、太平洋戦争を境に日本軍に占領され、かつての輝きを失っていた。上海自然科学研究所で細菌学科の研究員として働く宮本敏明は、日本総領事館から呼び出しを受け、総領事代理の菱科と、南京で大使館附武官補佐官を務める灰塚少佐と面会する。宮本はふたりから重要機密文書の精査を依頼されるが、その内容は驚くべきものであった。「キング」と暗号名で呼ばれる治療法皆無の新種の細菌兵器の詳細であり、しかも論文は、途中で始まり途中で終わる不完全なものだった。宮本は治療薬の製造を依頼されるものの、それは取りも直さず、自らの手でその細菌兵器を完成させるということを意味していた――。
宇喜多の楽土
父・直家の跡を継ぎ豊臣政権の覇者となった秀家。関が原で壊滅し、八丈島で長い生涯を閉じるまでを描く傑作長編。
じっと手を見る
大切な人を、帰るべき場所を、私たちはいつも見失う――。読むほどに打ちのめされる! 忘れられない恋愛小説。 富士山を望む町で介護士として働く日奈と海斗。老人の世話をし、ショッピングモールだけが息抜きの日奈の生活に、ある時、東京に住む宮澤が庭の草を刈りに、通ってくるようになる。生まれ育った町以外に思いを馳せるようになる日奈。一方、海斗は、日奈への思いを断ち切れぬまま、同僚と関係を深め、家族を支えるためにこの町に縛りつけられるが……。
ファーストラヴ
直木賞 受賞 夏の日の夕方、多摩川沿いを血まみれで歩いていた女子大生・聖山環菜が逮捕された。彼女は父親の勤務先である美術学校に立ち寄り、あらかじめ購入していた包丁で父親を刺殺した。環菜は就職活動の最中で、その面接の帰りに凶行に及んだのだった。環菜の美貌も相まって、この事件はマスコミで大きく取り上げられた。なぜ彼女は父親を殺さなければならなかったのか? 臨床心理士の真壁由紀は、この事件を題材としたノンフィクションの執筆を依頼され、環菜やその周辺の人々と面会を重ねることになる。そこから浮かび上がってくる、環菜の過去とは? 「家族」という名の迷宮を描く傑作長篇。
傍流の記者
格好つけるな。?をつくな。強がるな。おまえも本当は、部長になりたいんだろう? 優秀な記者ばかりがそろった黄金世代。しかし、社会部長になれるのはひとりだけだった。生き残っているのは得意分野が違う五人の男。部下の転職や妻との関係、苦悩の種に惑いながら出世レースは佳境を迎えるが、会社が倒れかねない大スキャンダルが男たちを襲う。組織を守るか、己を守るか、それとも正義をとるか。勝つのは、誰だ?
未来
「こんにちは、章子。わたしは20年後のあなたです」ある日、突然届いた一通の手紙。送り主は未来の自分だという……。『告白』から10年、湊ワーールドの集大成!待望の書き下ろし長編ミステリー!!

 2017年 直木賞

2017年 下半期

第158回直木賞にノミネートされたのは、5作品。『銀河鉄道の父』の門井慶喜氏(46)は、芥川賞は3度目のノミネート。『火定』の澤田瞳子氏(40)、『彼方の友へ』の伊吹有喜氏(48)は、2度目のノミネート。『くちなし』の彩瀬まる氏(31)と、『ふたご』の藤崎彩織氏(31)は初ノミネート。藤崎彩織氏は、人気バンド「SEKAI NO OWARI」でピアノを担当する”Saori”さんで、デビュー作が直木賞の候補に選ばれました。

そして直木賞に選ばれたのは、門井慶喜(かどい よしのぶ)さん(46)の『銀河鉄道の父』(講談社)。門井さんは、群馬県桐生市生まれ、大学職員の傍ら執筆を始め、2003年、オール読物推理小説新人賞を受賞。2006年「天才たちの値段」で単行本デビュー。2016年、ミステリー評論で日本推理作家協会賞を受賞しています。直木賞には今回で3回ノミネートされており、今回うれしい受賞となりました。

直木賞 第158回 候補作品と受賞作
 

くちなし
彩瀬まる
 

彼方の友へ
伊吹有喜
直木賞 受賞

銀河鉄道の父
門井慶喜
 

火定
澤田瞳子
 

ふたご
藤崎彩織

候補作の作品紹介(内容、あらすじ)

くちなし
あの人を妻に返す代わりに、彼の左腕をもらったわたし。別れた不倫相手の左腕と暮す「くちなし」、運命で結ばれた恋人に会うと体に花が咲く「花虫」など、繊細に紡がれる傑作短編集。(文藝春秋より)
彼方の友へ
平成の老人施設でひとりまどろむ佐倉波津子に、赤いリボンで結ばれた小さな箱が手渡された。 「乙女の友・昭和十三年 新年号附録 長谷川純司 作」。そう印刷された可憐な箱は、70余年の歳月をかけて届けられたものだった――。戦前、戦中、戦後という激動の時代に、情熱を胸に生きる波津子とそのまわりの人々を、あたたかく、生き生きとした筆致で描く、著者の圧倒的飛躍作。(実業之日本社より)
銀河鉄道の父
直木賞 受賞 明治29年(1896年)、岩手県花巻に生まれた宮沢賢治は、昭和8年(1933年)に亡くなるまで、主に東京と花巻を行き来しながら多数の詩や童話を創作した。賢治の生家は祖父の代から富裕な質屋であり、長男である彼は本来なら家を継ぐ立場だが、賢治は学問の道を進み、後には教師や技師として地元に貢献しながら、創作に情熱を注ぎ続けた。地元の名士であり、熱心な浄土真宗信者でもあった賢治の父・政次郎は、このユニークな息子をいかに育て上げたのか。父の信念とは異なる信仰への目覚めや最愛の妹トシとの死別など、決して長くはないが紆余曲折に満ちた宮沢賢治の生涯を、父・政次郎の視点から描く、気鋭作家の意欲作。(講談社より)
火定かじょう
時は天平、若き官人である蜂田名代は、光明皇后の兄・藤原四子によって設立された施薬院の仕事に嫌気が差していた。そんな中、施薬院では不思議な病が次々と発生するが、施薬院から早く逃げ出したい名代は気にも留めない。だが、それこそが都を阿鼻叫喚の事態へと陥らせた、“疫神”豌豆瘡(天然痘)の前兆だったのだ。病の蔓延を食い止めようとする医師たちと、偽りの神を祀り上げて混乱に乗じる者たち――。疫病の流行、政治・医療不信、偽神による詐欺……絶望的な状況で露わになる人間の「業」を圧倒的筆力で描き切った歴史長編。(PHP研究所より)
ふたご
いつも一人ぼっちでピアノだけが友達だった夏子と、不良っぽく見えるけれども人一倍感受性の強い、月島。彼は自分たちのことを「ふたごのようだと思っている」と言いますが、いつも滅茶苦茶な行動で夏子を困惑させ、夏子の友達と恋愛関係になり、夏子を苦しめます。それでも月島に惹かれる夏子は、誘われるままにバンドに入り、彼の仲間と共同生活を行うことになるのですが……。ひとりでは何もできなかった少女が、型破りの感性を持った少年に導かれるままに成長し、自らの力で居場所を見つけようとする姿を描いた、感動の青春小説です。(文藝春秋より)

2017年 上半期

『BUTTER』の柚木麻子氏は4回目のノミネート。『あとは野となれ大和撫子』の宮内悠介氏は3回目、『敵の名は、宮本武蔵』の木下昌輝氏は2回目のノミネート。すばる文学賞受賞の佐藤正午氏、オール読物新人賞受賞の佐藤巖太郎氏は、初のノミネート。

直木賞 第157回 候補作品と受賞作
 

敵の名は、宮本武蔵
木下昌輝
 

会津執権の栄誉
佐藤巖太郎
直木賞 受賞

月の満ち欠け
佐藤正午
 

あとは野となれ大和撫子
宮内悠介
 

BUTTER
柚木麻子
直木賞 受賞 「月の満ち欠け」佐藤正午
【内容】 あたしは,月のように死んで,生まれ変わる――目の前にいる,この七歳の娘が,いまは亡き我が子だというのか? 三人の男と一人の少女の,三十余年におよぶ人生,その過ぎし日々が交錯し,幾重にも織り込まれてゆく.この数奇なる愛の軌跡よ! 新たな代表作の誕生は,円熟の境に達した畢竟の書き下ろし.さまよえる魂の物語は戦慄と落涙,衝撃のラストへ.
佐藤正午(さとう しょうご)氏のプロフィール
1955年8月25日、長崎県佐世保市生まれ、62歳(受賞時)。北海道大学文学部国文科中退。大学在学中、同郷の作家野呂邦暢の『諫早菖蒲日記』(1977年)を読んで感銘を受け、ファンレターを書いて返事をもらったのをきっかけに小説を書き始める。1979年に大学中退後は佐世保に戻り、1983年に2年がかりで書き上げた長編小説『永遠の1/2』がすばる文学賞を受賞し作家デビュー。代表作は、ベストセラーとなった『Y』や『ジャンプ』など。直木賞には、初のノミネートで受賞となった。

 2016年 直木賞

2016年 下半期

直木賞 第156回 候補作品と受賞作
 

十二人の死にたい子どもたち
冲方丁
直木賞 受賞

蜜蜂と遠雷
恩田陸
 

室町無頼
垣根涼介
 

また、桜の国で
須賀しのぶ
 

夜行
森見登美彦

『蜜蜂と遠雷』の恩田陸氏は、6度目のノミネートで直木賞受賞。『十二人の死にたい子どもたち』の冲方丁氏と、『夜行』の森見登美彦氏は2度目のノミネート。

直木賞 受賞 「蜜蜂と遠雷」恩田陸
【内容】 3年ごとに開催される芳ヶ江国際ピアノコンクール。「ここを制した者は世界最高峰のS国際ピアノコンクールで優勝する」ジンクスがあり近年、覇者である新たな才能の出現は音楽界の事件となっていた。第1次から3次予選そして本選を勝ち抜き優勝するのは誰なのか? ピアノコンクールを舞台に、人間の才能と運命、そして音楽を描き切った青春群像小説。
恩田 陸(おんだ りく)氏のプロフィール
本名:熊谷 奈苗(♀)。宮城県仙台市出身(本籍地)。1964年10月25日、青森県青森市生まれ、52歳(受賞時)。早稲田大学卒。1992年、第3回日本ファンタジーノベル大賞候補となった『六番目の小夜子』でデビュー。本小説はNHK教育でドラマ化(全12話)され、5回も再放送されるヒット作となる。2004年の『夜のピクニック』で第26回吉川英治文学新人賞、第2回本屋大賞を受賞。2006年の『ユージニア』で第59回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)、2007年の『中庭の出来事』で第20回山本周五郎賞を受賞。

2016年 上半期

直木賞 第155回 候補作品と受賞作
 

天下人の茶
伊東潤
直木賞 受賞

海の見える理髪店
荻原浩
 

家康、江戸を建てる
門井慶喜
 

暗幕のゲルニカ
原田マハ
 

ポイズンドーター・ホーリーマザー
湊かなえ
 

真実の10メートル手前
米澤穂信

『天下人の茶』の伊東潤氏と、『海の見える理髪店』の荻原浩氏の二人は、5度目の選出。『暗幕のゲルニカ』の原田マハ氏は3度目のノミネート。その多くの作品が映画化やドラマ化された人気作家の湊かなえ氏が、『ポイズンドーター・ホーリーマザー』で2度目のノミネート。

ちなみに、今回も受賞を逃した伊東潤氏はこれで5回目の落選となったが、これまで過去に5回以上の落選を重ねた作家は8人。宇江佐真理氏と東郷隆氏の2人は、6回落選しており過去最多。伊東潤氏のほか、伊坂幸太郎氏、恩田陸氏、黒川博行氏、馳星周氏、北村薫氏、東野圭吾氏の6人も5回の落選を経験。なお、恩田陸氏は6回目のノミネートとなった2016年下半期(第156回)に『蜜蜂と遠雷』で、北村薫氏は2009年上半期(第141回)に『鷺と雪』で、直木賞を受賞した。また、東野圭吾氏も2005年下半期(第134回)に『容疑者Xの献身』で直木賞を受賞し、今では直木賞の選考委員の一人となっている

直木賞 受賞 「海の見える理髪店」荻原浩
【内容】 伝えられなかった言葉。忘れられない後悔。もしも「あの時」に戻ることができたら・・・。母と娘、夫と妻、父と息子。近くて遠く、永遠のようで儚い家族の日々を描く物語六編。誰の人生にも必ず訪れる、喪失の痛みとその先に灯る小さな光が胸に染みる家族小説集。
荻原 浩(おぎわら ひろし)氏のプロフィール
1956年6月30日、埼玉県大宮市(現・さいたま市)生まれ、60歳(受賞時)。成城大学経済学部卒業。大学卒業後、広告代理店に入社。35歳で二つめの広告代理店を辞め、フリーのコピーライターとして独立。39歳で小説を書き始める。1997年の『オロロ畑でつかまえて』で第10回小説すばる新人賞を受賞。2005年の『明日の記憶』で第18回山本周五郎賞を受賞。2014年の『二千七百の夏と冬』で第5回山田風太郎賞を受賞。直木賞には過去4回ノミネートされ、今度の5回目で受賞となった。

 2015年 直木賞

2015年 下半期

直木賞 第154回 候補作品と受賞作
直木賞 受賞

つまをめとらば
青山文平
 

ヨイ豊
梶よう子
 

戦場のコックたち
深緑野分
 

羊と鋼の森
宮下奈都
 

孤狼の血
柚月裕子

2011年に『白樫の樹の下で』で第18回松本清張賞を受賞した青山文平氏は、『つまをめとらば』で2度目のノミネート。梶よう子氏、深緑野分氏、宮下奈都氏、柚月裕子氏の4人は、いずれも初のノミネート。

2015年 上半期

直木賞 第153回 候補作品と受賞作
 

東京帝大叡古教授
門井慶喜
 

若冲
澤田瞳子
 

永い言い訳
西川美和
 

アンタッチャブル
馳星周
直木賞 受賞


東山彰良
 

ナイルパーチの女子会
柚木麻子

『アンタッチャブル』の馳星周氏は、これで歴代最多に並ぶ6回目の候補となったが、惜しくも落選。『ナイルパーチの女子会』の柚木麻子氏は3回目、『永い言い訳』の西川美和氏は2回目のノミネート。

 2014年 直木賞

2014年 下半期

直木賞 第152回 候補作品と受賞作
 

鬼はもとより
青山文平
 

あなたの本当の人生は
大島真寿美
 

宇喜多の捨て嫁
木下昌輝
直木賞 受賞

サラバ!
西加奈子
 

悟浄出立
万城目学

『悟浄出立』の万城目学氏は5回目、『サラバ!』の西加奈子氏は2回目のノミネート。

2014年 上半期

直木賞 第151回 候補作品と受賞作
 

ミッドナイト・バス
伊吹有喜
直木賞 受賞

破門
黒川博行
 

男ともだち
千早茜
 

私に似た人
貫井徳郎
 

本屋さんのダイアナ
柚木麻子
 

満願
米澤穂信

『破門』の黒川博行氏は、6回目のノミネートで直木賞を受賞。『私に似た人』の貫井徳郎氏は、4度目の選出。

 2013年 直木賞

2013年 下半期

直木賞 第150回 候補作品と受賞作
直木賞 受賞

恋歌
朝井まかて
 

王になろうとした男
伊東潤
 

あとかた
千早茜
直木賞 受賞

昭和の犬
姫野カオルコ
 

とっぴんぱらりの風太郎
万城目学
 

伊藤くん A to E
柚木麻子

『昭和の犬』の姫野カオルコ氏は、5度目のノミネートで直木賞を受賞。一方、『恋歌』の朝井まかて氏は、初ノミネートでの受賞と、対照的な女性二人の受賞となった。

2013年 上半期

直木賞 第149回 候補作品と受賞作
 

巨鯨の海
伊東潤
 

夜の底は柔らかな幻
恩田陸
直木賞 受賞

ホテルローヤル
桜木紫乃
 

ジヴェルニーの食卓
原田マハ
 

望郷
湊かなえ
 

ヨハネスブルグの天使たち
宮内悠介

『夜の底は柔らかな幻』の恩田陸氏は、5度目のノミネート。マティス、モネら4人の画家たちの人生を描いた原田マハ氏の作品集『ジヴェルニーの食卓』、その作品の多くが実写化されている湊かなえ氏が、初選出で直木賞を初受賞するのかにも注目が集まる。

 2012年 直木賞

2012年 下半期

直木賞 第148回 候補作品と受賞作
直木賞 受賞

何者
朝井リョウ
直木賞 受賞

等伯
安部龍太郎
 

空飛ぶ広報室
有川浩
 

国を蹴った男
伊東潤
 

春はそこまで 風待ち小路の人々
志川節子
 

ふくわらい
西加奈子

2012年 上半期

直木賞 第147回 候補作品と受賞作
 

もういちど生まれる
朝井リョウ
直木賞 受賞

鍵のない夢を見る
辻村深月
 

新月譚
貫井徳郎
 

楽園のカンヴァス
原田マハ
 

盤上の夜
宮内悠介

『新月譚』の貫井徳郎氏と、『鍵のない夢を見る』の辻村深月氏は、3度目のノミネート。

 2011年 直木賞

2011年 下半期

直木賞 第146回 候補作品と受賞作
 

城を噛ませた男
伊東潤
 

春から夏、やがて冬
安部龍太郎
 

夢違
恩田陸
 

ラブレス
伊東潤
直木賞 受賞

蜩ノ記
葉室麟
 

コラプティオ
真山仁

『夢違』の恩田陸氏は、今回はミステリー作品で4度目のノミネート。同じく歌野晶午氏もミステリー『春から夏、やがて冬』で候補に選ばれた。

2011年 上半期

直木賞 第145回 候補作品と受賞作
直木賞 受賞

下町ロケット
池井戸潤
 

アンダスタンド・メイビー
島本理生
 

オーダーメイド殺人クラブ
辻村深月
 

ジェノサイド
高野和明
 

恋しぐれ
葉室麟

 2010年 直木賞

2010年 下半期

直木賞 第144回 候補作品と受賞作
 

」(もぬけ)
犬飼六岐
 

砂の王国
荻原浩
直木賞 受賞

漂砂のうたう
木内昇
 

悪の教典
貴志祐介
直木賞 受賞

月と蟹
道尾秀介

2010年 上半期

直木賞 第143回 候補作品と受賞作
直木賞 受賞

あの日にかえりたい
乾ルカ
 

天地明察
冲方丁
直木賞 受賞

小さいおうち
中島京子
 

リアル・シンデレラ
姫野カオルコ
 

かのこちゃんとマドレーヌ夫人
万城目学
 

光媒の花
道尾秀介

 2009年 直木賞

2009年 下半期

直木賞 第142回 候補作品と受賞作
 

鉄の骨
池井戸潤
直木賞 受賞

廃墟に乞う
佐々木譲
直木賞 受賞

ほかならぬ人へ
白石一文
 

ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。
辻村深月
 

花や散るらん
葉室麟
 

球体の蛇
道尾秀介

2009年 上半期

直木賞 第141回 候補作品と受賞作
直木賞 受賞

鷺と雪
北村薫
 

きのうの神さま
西川美和
 

乱反射
貫井徳郎
 

秋月記
葉室麟
 

プリンセス・トヨトミ
万城目学
 

鬼の跫音」(おにのあしおと)
道尾秀介

 2008年 直木賞

2008年 下半期

直木賞 第140回 候補作品と受賞作
 

きのうの世界
恩田陸
 

汐のなごり
北重人
直木賞 受賞

悼む人
天童荒太
 

いのちなりけり
葉室麟
 

カラスの親指
道尾秀介
直木賞 受賞

利休にたずねよ
山本兼一

2008年 上半期

直木賞 第139回 候補作品と受賞作
直木賞 受賞

切羽へ
井上荒野
 

愛しの座敷わらし
荻原浩
 

あぽやん
新野剛志
 

鼓笛隊の襲来
三崎亜記
 

千両花嫁―とびきり屋見立て帖
本兼一
 

のぼうの城
和田竜

 2007年 直木賞

2007年 下半期

直木賞 第138回 候補作品と受賞作
 

ベーコン
井上荒野
 

悪果
黒川博行
 

敵影
古処誠二
直木賞 受賞

私の男
桜庭一樹
 

警官の血
佐々木譲
 

約束の地で
馳星周

『約束の地で』の馳星周氏は、5度目の直木賞候補。初ノミネートの井上荒野氏は、作家の故・井上光晴氏の長女。

2007年 上半期

直木賞 第137回 候補作品と受賞作
 

玻璃の天
北村薫
 

赤朽葉家の伝説
桜庭一樹
 

まんまこと
畠中恵
 

鹿男あをによし
万城目学
直木賞 受賞

吉原手引草
松井今朝子
 

俳風三麗花
三田完
 

夜は短し歩けよ乙女
森見登美彦

『玻璃の天』の北村薫氏は5度目の直木賞候補。『吉原手引草』の松井今朝子氏は、3回目のノミネートで直木賞を受賞。他の5人は何れも初ノミネート。

 2006年 直木賞

2006年 下半期

直木賞 第136回 候補作品と受賞作
 

空飛ぶタイヤ
池井戸潤
 

四度目の氷河期
荻原浩
 

ひとがた流し
北村薫
 

一瞬の風になれ
佐藤多佳子
 

どれくらいの愛情
白石一文
 

失われた町
三崎亜記

※ 該当作品なし。

2006年 上半期

直木賞 第135回 候補作品と受賞作
 

砂漠
伊坂幸太郎
 

安徳天皇漂海記
宇月原晴明
 

遮断
古処誠二
 

愚行録
貫井徳郎
直木賞 受賞

まほろ駅前多田便利軒
三浦しをん
直木賞 受賞

風に舞いあがるビニールシート
森絵都

 2005年 直木賞

2005年 下半期

直木賞 第134回 候補作品と受賞作
 

死神の精度 (文春文庫)
伊坂幸太郎
 

あの日にドライブ (光文社文庫)
荻原浩
 

蒲公英草紙
恩田陸
 

夜市 (角川ホラー文庫)
恒川光太郎
直木賞 受賞

容疑者Xの献身 (文春文庫)
東野圭吾
 

ハルカ・エイティ (文春文庫)
姫野カオルコ

2005年 上半期

直木賞 第133回 候補作品と受賞作
 

逃亡くそたわけ
絲山秋子
 

ユージニア
恩田陸
直木賞 受賞

花まんま
朱川湊人
 

ベルカ、吠えないのか?
古川日出男
 

むかしのはなし
三浦しをん
 

となり町戦争
三崎亜記
 

いつかパラソルの下で
森絵都
【関連ページ掲載】
※ これまで、「本屋大賞・芥川賞・直木賞」の全受賞作を、一覧(リスト)にしていましたが、あまりに数が多くなってしまったので、各賞を切り出した、それぞれのページを作りました。
 → 芥川賞-歴代受賞作|全作品一覧
 → 直木賞-歴代受賞作|全作品一覧
 → 本屋大賞-歴代受賞作|全作品一覧

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