令和4年度の芥川龍之介賞において、候補作として選考にノミネートされた全小説の一覧です。
※ 2022年度の直木三十五賞の候補作・受賞作は、【直木賞2022】のページへ!
第167回(2022年上半期)芥川賞にノミネートされたのは、5作品。著者5人のうち、高瀬隼子(33)氏は2度目の候補入り、他の4人は初の候補入りです。なお、5人の候補者全員が女性で、これは1935年に芥川龍之介賞が創設されて以来、史上初めての出来事です!。ちなみに、直木賞では3年前、第161回(2019年上半期)直木賞の候補者6人全員が史上初めて女性でした。
そして、芥川賞に選ばれたのは、高瀬隼子さん(34)の『おいしいごはんが食べられますように』です。
高瀬さんは、1988年生まれ。立命館大学文学部卒。2019年に『犬のかたちをしているもの』で第43回すばる文学賞を受賞しデビュー。芥川賞は2回目のノミネートでの受賞となりました。
「家庭用安心坑夫」(群像 6月号) 小砂川チト |
「ギフテッド」(文學界 6月号) 鈴木涼美 |
芥川賞 受賞 「おいしいごはんが食べられますように」(群像 1月号) 高瀬隼子 |
「N/A」(文學界 5月号) 年森瑛 |
「あくてえ」(文藝 夏季号) 山下紘加 |
著者:小砂川 チト
日本橋三越の柱に、幼いころ実家に貼ったシールがあるのを見つけたところから物語は始まる。
狂気と現実世界が互いに浸食し合い、新人らしからぬ圧倒的筆致とスピード感で我々を思わぬところへ運んでいく。(講談社)
著者:鈴木 涼美
歓楽街の片隅のビルに暮らすホステスの「私」は、重い病に侵された母を引き取り看病し始める。母はシングルのまま「私」を産み育てるかたわら数冊の詩集を出すが、成功を収めることはなかった。濃厚な死の匂いの立ち込める中、「私」の脳裏をよぎるのは、少し前に自ら命を絶った二人の女友達のことだった――「夜の街」の住人たちの圧倒的なリアリティ。そして限りなく端正な文章。新世代の日本文学が誕生した。(文藝春秋)
著者:高瀬 隼子
「二谷さん、わたしと一緒に、芦川さんにいじわるしませんか」、心をざわつかせる、仕事+食べもの+恋愛小説。
職場でそこそこうまくやっている二谷と、皆が守りたくなる存在で料理上手な芦川と、仕事ができてがんばり屋の押尾。ままならない人間関係を、食べものを通して描く傑作。(講談社)
著者:年森 瑛
松井まどか、高校2年生。うみちゃんと付き合って3か月。体重計の目盛りはしばらく、40を超えていない。――「かけがえのない他人」はまだ、見つからない。優しさと気遣いの定型句に苛立ち、肉体から言葉を絞り出そうともがく魂を描く、圧巻のデビュー作。(文藝春秋)
著者:山下 紘加
あたしの本当の人生はこれから始まる――。九十歳の憎たらしいばばあと、面倒見が良く気弱な母と三人で暮らす小説家志望のゆめ。鬱屈を悪態に変えて己を奮い立たせる十九歳のヘヴィな日常。(河出書房新社)
2022年下半期、第168回芥川龍之介賞(芥川賞)の候補作は 2022年12月15日頃に、芥川賞受賞作は 2023年1月15日頃に発表される予定です。