令和7年度の芥川龍之介賞において、候補作として選考にノミネートされた全小説の一覧です。
※ 2025年下半期の第174回芥川賞の受賞作(2作品)が発表されました!
※ 2025年上半期の第173回芥川賞の選考会が開催され、今回は「該当作なし」と決定されました!
※ 2025年度の直木三十五賞の候補作・受賞作は、【直木賞2025】のページへ!
第174回(2025年下半期)芥川賞にノミネートされたのは5作品。今回は直木賞も芥川賞も共に5人中4人が初めてのノミネートとなりました。坂崎かおるさんは第171回芥川賞候補に選ばれた『海岸通り』以来2回目の候補入りです。
そして第174回芥川賞と直木賞の選考会が14日都内で開かれ、芥川賞に鳥山まことさんの『時の家』と、畠山丑雄さんの『叫び』の2作が選ばれました。
鳥山まことさんは、兵庫県宝塚市出身の33歳。建築士の仕事をしながら小説の執筆を続け、2023年に『あるもの』で文芸誌の新人賞を受賞してデビューしました。受賞作『時の家』は、取り壊されようとしている空き家を舞台に、建築士ならではの視点で家の壁や柱などの細部を表現しつつ、そこで暮らしてきた3代にわたる住人たちの記憶をたどった物語です。
畠山丑雄さんは大阪府吹田市出身の33歳、現在は茨木で地方公務員として働きながら執筆活動を行っています。京都大学文学部に在籍していた2015年に『地の底の記憶』で文藝賞を受賞してデビューしました。今回の受賞作『叫び』は、大阪に暮らす主人公の男性が郷土史などを学ぶ中で、戦前に満州に渡り、あへんの原材料となるけしの栽培に従事した1人の青年に思いをはせる物語です。戦争のために開催されなかった万博と去年(2025)開催された大阪・関西万博の2つの万博を重ね、主人公と青年が時代を超えてつながっていく様子が描かれています。(NHKニュースより)
「貝殻航路」(文學界 12月号) 久栖博季 |
「へび」(文學界 10月号) 坂崎かおる |
「BOXBOXBOXBOX」(文藝 冬季号) 坂本湾 |
芥川賞 受賞
「時の家」(群像 8月号) 鳥山まこと |
芥川賞 受賞
「叫び」(新潮 12月号) 畠山丑雄 |
著者:久栖 博季
北方領土を指呼にのぞむ土地で育ち、結婚を機に港町・釧路に移り住んだわたしのもとに、アラスカからの豪華客船寄港の報が届く。
立ち寄る人、去る人が交差する霧にけぶる釧路の町で、わたしは過去の痛みに苛まれる。
アイヌの血を引く夫の不在、かつてロシア船に拿捕された漁師だった父の背中、灰色の海の彼方にたたずむ光を失った灯台――。
戦後の歴史と民族の記憶が北の大地に残した微かで確かな航路を辿る。(文藝春秋)
著者:坂崎 かおる
発達障害をもつ息子・夏秋、「人形」になってしまった妻・那津と暮らす「あなた」の日々の悩みと喜びを、「僕」はずっと見ていた。夏秋が少年野球を通じて親友と出会い成長する過程も、彼の逃避行にうろたえた日も――。
親と子のかけがえのない日々が驚くべき視点から描かれる、人生の熱を伝える物語。(文藝春秋)
著者:坂本 湾
宅配所に流れる箱を仕分ける安(あん)。ある箱の中身を見た瞬間から次々に箱が消えていって――顔なき作業員たちの倦怠と衝動を描くベルトコンベア・サスペンス。第62回文藝賞受賞。(河出書房)
著者:鳥山 まこと
ここで暮らしていた人々の存在の証を、ただ、描きとめておきたい。三田文學新人賞でデビューした注目の小説家が、傑出した完成度で紡いだあたらしい建築文学。
青年は描く。その家の床を、柱を、天井を、タイルを、壁を、そこに刻まれた記憶を。目を凝らせば無数の細部が浮かび、手をかざせば塗り重ねられた厚みが胸を突く。幾層にも重なる存在の名残りを愛おしむように編み上げた、新鋭による飛躍作。(講談社)
著者:畠山 丑雄
早野ひかるは「先生」に打ちのめされ、銅鐸と土地の来歴を学び始める。ここではかつて罌粟栽培と阿片製造が盛んで、満州に渡って「陛下への花束」を編み、紀元2600年記念万博を楽しみにしていた青年がいた。いつしか昭和と令和はつながり、封印されていた声が溢れ出す。大阪と大陸で響き合う夢とロマン、恋愛政治小説。(新潮社)
第173回(2025年上半期)芥川賞にノミネートされたのは、4作品。国語指導助手として米国から来日後に京都文学賞を受賞しデビューしたグレゴリー・ケズナジャット(41)さんは2022年下半期の『開墾地』に続き2度目、向坂くじら(30)さんも1年前の初小説『いなくなくならなくならないで』で芥川賞の候補に選ばれて今回が2度目のノミネート。群像新人文学賞受賞作が候補作となった駒田隼也(30)さんと、18歳だった2022年に『ビューティフルからビューティフルへ』で文藝賞を受賞しデビューした日比野コレコ(21)さんは初のノミネートです。
そして2025年7月16日(水)に日本文学振興会は第173回(2025年上半期)芥川賞・直木賞の選考会を都内で開催し、両賞とも『該当作なし』と決定されました。両賞とも“該当作なし”となったのは1998年の第118回以来、27年ぶりの異常事態です…。
「トラジェクトリー」(文學界 6月号) グレゴリー・ケズナジャット |
「鳥の夢の場合」(群像 6月号) 駒田隼也 |
「踊れ、愛より痛いほうへ」(文藝 春季号) 向坂くじら |
「たえまない光の足し算」(文學界 6月号) 日比野コレコ |
英会話教師として日本で就職したブランドンは、アポロ11号の月面着陸計画の記録を教材に、熟年の生徒・カワムラとレッスンを続ける。やがて、2人のあいだに不思議な交流が生まれていく。日本に逃げたアメリカ人と、かつてアメリカに憧れた日本人。2人の人生の軌道<トラジェクトリー>がすれ違う時、何かが起きる――。アメリカ出身の作家が端正な日本語で描く、新世代の「越境文学」。
ニューオーリンズにフォークナーと小泉八雲の残影を見る珠玉の短編「汽水」併録。(文藝春秋)
著者:駒田 隼也
第68回群像新人文学賞受賞!
「おれ、死んでもうた。やから殺してくれへん?」蓮見の頼みに、初瀬が自らの意思を決めるまでの五十五日。夢と現、過去と現在を行きつ戻りつ、視点は移ろい境界は溶けて、原初の感覚から目の前の世界を見つめていく。(講談社)
著者:向坂 くじら
初小説にして芥川賞候補作となった『いなくなくならなくならないで』に続く、向坂くじらの小説第二弾! 幼い頃から納得できないことがあると「割れる」アンノは、愛に疑念を抱いていて――。(河出書房)
著者:日比野 コレコ
若者たちの生を鮮烈な文章で描く、これが文学の未来!
「かいぶつ」と呼ばれる時計台が見下ろす公園で出会った二人の少女と一人の青年。美容外科のポスターに啓示を受け、花を食べる“異食の道化師”薗(その)。「みんなのひと」になりたくて、フリーハグを続ける“抱擁師”ハグ。“プロの軟派師”としてデビューしたばかりの弘愛(ひろめぐ)。
「こんなふうだったら、かんぺきだと思う」
「なにが」
「人と人とのむすびつきがさ」
ここは帰るべき家を持たない少年少女たちの残酷な楽園。21歳の新鋭が爆発させる愛と幻想の世界!(文藝春秋)