令和7年度の直木三十五賞において、候補作として選考にノミネートされた全小説の一覧です。
※ 2025年上半期の第173回直木賞の候補作品が決定しました!。
※ 2025年度の芥川龍之介賞の候補作・受賞作は、【芥川賞2025】のページへ!
2025年下半期、第174回直木三十五賞(直木賞)の候補作は 2025年12月15日頃に、直木賞受賞作は 2026年1月15日頃に発表される予定です。
第173回(2025年上半期)直木賞にノミネートされたのは、6作品。6名の作者うち、複数の作品が映画やドラマ化され人気の柚月裕子(57)さんは3度目、逢坂冬馬(39)さんと芦沢央(41)さんは2度目のノミネート。青柳碧人(44)さん、新聞記者から作家に転身した塩田武士(46)さん、そして最年少となる夏木志朋(36)さんは初の候補入りです。
今回の芥川賞・直木賞の選考委員会は、2025年7月16日(水)午後に東京・築地の料亭「新喜楽」で開かれ、夜には選考結果が発表される予定です。
![]() 「ブレイクショットの軌跡」(早川書房) 逢坂冬馬 |
![]() 「乱歩と千畝 RAMPOとSEMPO」(新潮社) 青柳碧人 |
![]() 「嘘と隣人」(文藝春秋) 芦沢央 |
![]() 「踊りつかれて」(文藝春秋) 塩田武士 |
![]() 「Nの逸脱」(ポプラ社) 夏木志朋 |
![]() 「逃亡者は北へ向かう」(新潮社) 柚月裕子 |
著者:逢坂 冬馬
底が抜けた社会の地獄で、あなたの夢は何ですか?
自動車期間工の本田昴は、Twitterの140字だけが社会とのつながりだった2年11カ月の寮生活を終えようとしていた。最終日、同僚がSUVブレイクショットのボルトをひとつ車体の内部に落とすのを目撃する。見過ごせば明日からは自由の身だが、さて……。以降、マネーゲームの狂騒、偽装修理に戸惑う板金工、悪徳不動産会社の陥穽、そしてSNSの混沌と「アフリカのホワイトハウス」――移り変わっていくブレイクショットの所有者を通して、現代日本社会の諸相と複雑なドラマが展開されていく。人間の多様性と不可解さをテーマに、9つの物語の「軌跡」を奇跡のような構成力で描き切った、『同志少女よ、敵を撃て』を超える最高傑作。(早川書房)
著者:青柳 碧人
大学の先輩後輩、江戸川乱歩と杉原千畝。まだ何者でもない青年だったが、夢だけはあった。希望と不安を抱え、浅草の猥雑な路地を歩き語り合い、それぞれの道へ別れていく……。若き横溝正史や巨頭松岡洋右と出会い、新しい歴史を作り、互いの人生が交差しつつ感動の最終章へ。「真の友人はあなただけでしたよ」──泣ける傑作。(新潮社)
著者:芦沢 央
ストーカー化した元パートナー、マタハラと痴漢冤罪、技能実習制度と人種差別、SNSでの誹謗中傷・脅し……。
リタイアした元刑事の平穏な日常に降りかかる事件の数々。
身近な人間の悪意が白日の下に晒された時、捜査権限を失った男・平良正太郎は、事件の向こうに何を見るのか?(文藝春秋)
著者:塩田 武士
首相暗殺テロが相次いだあの頃、インターネット上にももう一つの爆弾が落とされていた。ブログに突如書き込まれた【宣戦布告】。そこでは、SNSで誹謗中傷をくり返す人々の名前や年齢、住所、職場、学校……あらゆる個人情報が晒された。
ひっそりと、音を立てずに爆発したその爆弾は時を経るごとに威力を増し、やがて83人の人生を次々と壊していった。
言葉が異次元の暴力になるこの時代。不倫を報じられ、SNSで苛烈な誹謗中傷にあったお笑い芸人・天童ショージは自ら死を選んだ。ほんの少し時を遡れば、伝説の歌姫・奥田美月は週刊誌のデタラメに踊らされ、人前から姿を消した。
彼らを追いつめたもの、それは――。(文藝春秋)
著者:夏木 志朋
何気なく開けてしまった隣人の扉、「フツウ」の奥に隠されていたものは――。始まりは日常からの小さな「逸脱」だった――。自ら仕掛けた罠が次々と思いがけぬ修羅場を呼び込んでいく隣人たちの3つの物語。
爬虫類のペットショップでアルバイトをする金本篤は、売れ残ったフトアゴヒゲトカゲが処分されそうになるのを見て、店長に譲ってくれと頼む。だが、提示された金額はあまりに高額で手が出ない。「ある男」を強請って金を得ようと一計を案じるのだが、自ら仕掛けた罠が思いがけぬ結末を呼び込んでしまう……「場違いな客」、ほか。
追う者と追われる者が入れ替わり、善と悪が反転していく予測不可能な展開――隣の人たちが繰りひろげる3つの物語。(ポプラ社)
著者:柚月 裕子
震災直後に殺人を犯し、死刑を覚悟しながらもある人物を探すため姿を消した青年・真柴亮。刑事の陣内康介は津波で娘を失いながらも容疑者を追う。ふたりはどこへ辿り着くのか──。『孤狼の血』『盤上の向日葵』の著者が地元・東北を舞台に描く震災クライムサスペンス。(新潮社)