令和6年度の直木三十五賞において、候補作として選考にノミネートされた全小説の一覧です。
※ 2024年上半期の第171回直木賞の受賞作が決定しました!。
※ 2024年度の芥川龍之介賞の候補作・受賞作は、【芥川賞2024】のページへ!
2024年下半期、第172回直木三十五賞(直木賞)の候補作は 2024年12月15日頃に、直木賞受賞作は 2025年1月15日頃に発表される予定です。
第171回(2024年上半期)直木賞にノミネートされたのは、5作品。5名の作者うち、柚木麻子さんが6回目、一穂ミチさんが3回目の候補入りで、青崎有吾さんと麻布競馬場さん、岩井圭也さんは初の候補入りです。
そして、一穂ミチさんの『ツミデミック』が直木賞に選ばれました!。一穂さんは、大阪市出身の46歳。大学を卒業後、会社員として働きながら主にボーイズラブをテーマにした作品を同人誌で発表し、2007年に『雪よ林檎の香のごとく』で小説家としてデビュー。そして2021年の上半期に『スモールワールズ』で、2022年の下半期には『光のとこにいてね』で直木賞候補に選ばれています。
受賞作の『ツミデミック』は、パンデミックに翻弄されたコロナ禍の日本を舞台にした6つの作品からなる短編集です。夜の街で客引きのバイトをしている若者の前に死んだはずの同級生を名乗る女が現れる「違う羽の鳥」や、長年働いた飲食店を解雇された男が一人暮らしの老人に財産目当てで近づこうとする「特別縁故者」など。
「地雷グリコ」(KADOKAWA) 青崎有吾 |
「令和元年の人生ゲーム」(文藝春秋) 麻布競馬場 |
直木賞 受賞 「ツミデミック」(光文社) 一穂ミチ |
「われは熊楠」(文藝春秋) 岩井圭也 |
「あいにくあんたのためじゃない」(新潮社) 柚木麻子 |
著者:青崎 有吾
射守矢真兎(いもりや・まと)。女子高生。勝負事に、やたらと強い。
平穏を望む彼女が日常の中で巻き込まれる、風変わりなゲームの数々。罠の位置を読み合いながら階段を上ったり(「地雷グリコ」)、百人一首の絵札を用いた神経衰弱に挑んだり(「坊主衰弱」)。次々と強者を打ち破る真兎の、勝負の先に待ち受けるものとは――ミステリ界の旗手が仕掛ける本格頭脳バトル小説、全5篇。(KADOKAWA)
著者:麻布競馬場
2021年にTwitterに小説の投稿を始めて以降、瞬く間に「タワマン文学」旋風を巻き起こした麻布競馬場。デビュー作『この部屋から東京タワーは永遠に見えない』のスマッシュヒットを受けて、麻布競馬場が第2作のテーマに選んだものは「Z世代の生き方」。
新社会人になるころには自分の可能性を知りすぎてしまった令和日本の「賢すぎる」若者たち。そんな「Z世代のリアル」を、麻布競馬場は驚異の解像度で詳らかに。20代からは「共感しすぎて悶絶した」の声があがる一方で、部下への接し方に持ち悩みの尽きない方々からは「最強のZ世代の取扱説明書だ!」とも。「あまりにリアル! あまりに面白い!」と、熱狂者続出中の問題作。(文藝春秋)
著者:一穂 ミチ
大学を中退し、夜の街で客引きのバイトをしている優斗。ある日、バイト中に話しかけてきた女は、中学時代に死んだはずの同級生の名を名乗った。過去の記憶と目の前の女の話に戸惑う優斗は――「違う羽の鳥」
調理師の職を失った恭一は、家に籠もりがち。ある日、小一の息子・隼が遊びから帰ってくると、聖徳太子の描かれた旧一万円札を持っていた。近隣に住む老人からもらったという。翌日、恭一は得意の澄まし汁を作って老人宅を訪れると――「特別縁故者」
渦中の人間の有様を描き取った、心震える全6話。(光文社)
著者:岩井 圭也
慶応3年、南方熊楠は和歌山に生まれた。
人並外れた好奇心で少年は山野を駆け巡り、動植物や昆虫を採集。百科事典を抜き書きしては、その内容を諳んじる。洋の東西を問わずあらゆる学問に手を伸ばし、広大無辺の自然と万巻の書物を教師とした。
希みは学問で身をたてること、そしてこの世の全てを知り尽くすこと。しかし、商人の父にその想いはなかなか届かない。父の反対をおしきってアメリカ、イギリスなど、海を渡り学問を続けるも、在野を貫く熊楠の研究はなかなか陽の目を見ることがないのだった。
世に認められぬ苦悩と困窮、家族との軋轢、学者としての栄光と最愛の息子との別離……。
野放図な好奇心で森羅万象を収集、記録することに生涯を賭した「知の巨人」の型破りな生き様が鮮やかに甦る!(文藝春秋)
著者:柚木 麻子
過去のブログ記事が炎上中のラーメン評論家、夢を語るだけで行動には移せないフリーター、もどり悪阻とコロナ禍で孤独に苦しむ妊婦、番組の降板がささやかれている落ち目の元アイドル……いまは手詰まりに思えても、自分を取り戻した先につながる道はきっとある。この世を生き抜く勇気がむくむくと湧いてくる、全6篇。(新潮社)