【スキー板】2024NEWモデル・ラインナップ|今年の注目モデルは?

2023-24年ニューモデルのトレンドワードは、さらに磨きがかかった「軽量化」と「ちょい幅広」。アスリートでなくても、スキー板の性能を借りて、“楽に”、上級の滑りが“楽しめる”ことがモットー!

各メーカーの多種多様なスキーをすべて紹介することは困難です。そこで、整備されたゲレンデをメインに滑る自分が買うならと、アルペンスキーのオンピステ用をメインに、デモ系(基礎系・技術系)やオールラウンド系コンフォート系に分類される中から、中級者から上級者をターゲットに、上級者でも満足できるモデルから、ステップアップを目指す中級者向けモデルまで、代表的なメーカーの板を数点ずつピックアップしてみました。基本、超ハイスペックなエキスパート用や初心者用モデルは除きます。あくまで私目線での選択肢なので、何卒ご容赦を…。ただ、年々わずかずつですが、私もレベルアップしていますよ(笑)。

新着ニュース、最新記事 2023-2024年モデルにページを更新しました!(2023/7/15)。
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はじめに

コロナ過とロシアのウクライナ侵攻による影響

2022年2月24日、ロシアはウクライナへの軍事侵攻を開始しました。ウクライナの西部には、スキーやスノーボードの材料となる木材資源が豊富な森林地帯が広がり、フィッシャーの主力工場やロシニョールの工場などが立地しています。新型コロナウイルスの感染拡大による影響に加えて、ロシア軍の侵攻によるウクライナ国内のスキーやスノーボード工場の稼働停止に伴う生産の滞りだけでなく、スキーやスノーボード用の木材の産出が滞ることが危惧されています。さらに、昨今のスキー人口の減少も相まって、スキーメーカーはスキー板の生産量や流通量を大きく絞り込んでいて、以前の様に型落ちした売れ残りを安く買いたいと思っても、欲しいサイズが無くて手に入らないことが多くなっています。もし、目当てのモデルや自分に合ったサイズの人気の板を手に入れようと思ったら、できるだけ早期の予約注文がベターですよ!。

 1.小賀坂スキー(OGASAKA)

日本 小賀坂スキー(OGASAKA)

小賀坂スキーのロゴ小賀坂スキー製作所は、昭和33年(1958年)に設立された、日本のスキーメーカーで、本社は長野県長野市にあります。日本にスキーが伝えられた翌年の1912年(明治45年)、家具職人だった小賀坂濱太郎が国内第一号のスキーメーカーとして長野で創業し、2022年に創業110周年を迎えました。

世界的な知名度は高くありませんが、国内においては基礎スキーヤーを中心にその人気は絶大で、日本の雪質に特化した商品開発、歴史と伝統、Made in Japanのマイナーさも加わって、確固たる地位を築いています。

オガサカの2023/2024スキーカタログ

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長年、国内の基礎スキー界や技術選(デモ選)を牽引してきた「オガサカ スキー」。そのアルペンスキーの主力ラインナップは、①技術志向のコアユーザー向けのオールラウンドモデルとして知られる「Keo’s(ケオッズ)」シリーズと、②その上位クラスとして技術選に出場するエキスパート向けに開発されたハイスペックな「TC(ティーシー)」シリーズ、そして、③オールランド・オールシチュエーションモデルとして小賀坂の名を世に知らしめた「UNITY(ユニティ)」シリーズが、代表的です。

2023年モデルで大きくフルモデルチェンジし、ロゴデザインまで一新したオガサカ、2024年モデルはコスメ(トップシート)の変更が中心で、大筋は継続モデルの様です。その中で注目株は、来季デビューを果たすケオッズの新「KS-PSニューモデル。従来オガサカでは、ケオッズシリーズにシェルトップ構造のKS-Nシリーズと、独自のツインキール構造のKS-Sシリーズの二大潮流があり、隔年毎に交互にモデルチェンジしてきました。しかし2022年モデルからKS-Nシリーズがサンドイッチ構造になり、2023年モデルではKS-Sシリーズがサンドイッチ+テラス構造を採用したKS-Eシリーズへと生まれ変わっています。そして来季は、KS-NシリーズがKS-Pシリーズへと進化。トップモデルの「KS-PS」、セカンドモデルの「KS-PV」、オールラウンドモデルの「KS-PY」ともに、バランス・サイドカーブ・構成材を改良し、しなやかなのに安定性の高いスキーへと生まれ変わりました。

テククラ検定におすすめのスキー
TC-SB

Length: 155・160・165・170cm
 (165:R=12.1m、119-65-102、976g/m)
 ¥150,700(板のみ)
 ¥196,900(マーカーBINセット)
 ¥162,800(FM585 PL付・BIN別)
 ¥174,900(SR585 PL付・BIN別)

サンドウィッチ構造の「TC」(テクニカル・コンペティション)シリーズは、技術選で戦うアスリートのためのハイスピード域での安定性と操作性に優れた、高性能コンペティションモデルです。

特に人気は、小回り用モデルの「TC-SB」。昨年度モデル「TC-SU」の後継機で、変更点はトップシートのデザインのみの様ですが、スキー板も御多分に漏れず価格高騰(汗)。板で2万円ほど、ビンディングで1万円ほど、併せれば昨年モデルより3万円は高くなっています…。在庫があれば、旧モデルを狙いたいところです。

組み合わせられるプレートは2種類。オールラウンド性を求めるならソフトなFM585プレート搭載モデル、より切れのある滑りを求めるならハードなSR585プレート搭載モデル。何れもビンディングは別売ですが、プレート無しモデルにはマーカー rMOTION2 12GWビンディングがセットになったモデルもあります。

TCシリーズでは他に、大回り用モデルの「TC-LB」と、ミドルターンモデル(中回り用)の「TC-MB」がラインナップ。さらにジュニア用(FISレギュレーション対応あり)も充実していて、小柄で体重が軽い女性なら価格が抑えられた「TC-YS」も狙い目です。

1級受験におすすめのスキー
Keo’s KS-PS ニューモデル

Length: 155・160・165・170cm
 (165:R=13.8m、118-67.5-101、1,048g/m)
 ¥149,600(板のみ)
 ¥181,500(チロリアBINセット)
 ¥161,700(FM585 PL付・BIN別)
 ¥173,800(SR585 PL付・BIN別)

Keo’sシリーズでは、昨季フルモデルチェンジした「KS-E」シリーズ(KS-Sシリーズ後継)に続き、2024年モデルでは従来のKS-Nシリーズが生まれ変わり、新「KS-P」シリーズが誕生します。

トップモデルの「KS-PS」は、前モデルに比べて乗り味がしなやかになり、安定性と操作性、特にカービング性能が向上しました。谷回りからグリップ性能の高さと足元を中心としたたわみが感じられ、小回りから大回り、不整地まで自在に対応可能です。特に不整地での安定性と操作性の良さが秀逸です。プライズテストにも最適な技術志向のエキスパートスキーヤーに向けた高性能オールラウンドモデルです。TCシリーズ同様に、板のみ、ビンディングセット、プレート付(FM585/SR585)モデルがあり、カラー赤と黒の2色。

ちなみに、「月刊スキーグラフィック 2023年7月号」の特集記事『2023/24ニューモデル 乗りくらべ!』において、奥只見スノーアカデミー代表の星直樹さんは、“テク・クラ検定を目指すための1台”として試乗した10機種の中から、この KS-PS が『よくマッチングしたプレート全体がたわみ、噛みも走りもいい』とマイBEST3の一台にチョイスしています!。

なお、セカンドモデルの「KS-PV」は、ビンディングセットで税込 134,200円、赤・青・白の3色展開。優雅な乗り心地で長いコースでも疲れにくく、技術習得、レベルアップに最適なモデルです。

サードモデルの「KS-PY」は、ビンディングセットで税込 115,500円、アクアとピンクの2色展開です。

オールラウンドにおすすめのスキー
UNITY U-FS/1

Length: 155・160・165・170cm
 (165:R=16.3m、119.5-76.5-103.5、945g/m)
 ¥134,200(板のみ)
 ¥169,400(マーカーBINセット)

小賀坂を代表する往年の名機、マイルドな乗り味で中高年にも人気のユニティ・シリーズは、昨季フルモデルチェンジ済みで来季は継続モデルのままです。ただし、価格だけは2万円ほどアップしています…。在庫があれば2023年モデルを狙いましょう。トップモデルの「U-FS/1」は、圧雪から非圧雪バーンまで安定性と操作性を高次元で両立、新感覚のコスメティックと共にスキーの爽快感を楽しめるモデルです。

以下、セカンドモデルの「U-FS/2」(¥125,400)、サードモデルの「U-FS/3」(¥114,400/ビンディングセット)の構成は従来通りです。

 2.ATOMIC(アトミック)

オーストリア ATOMIC(アトミック)

アトミックのロゴアトミック(Atomic Austria GmbH)は、1955年にオーストリアで設立されました。当初はスキー板の専業メーカーでしたが、その後はビンディングやブーツへと事業を多角化していきます。そして、スキー板では一時、フランスのロシニョールと双璧をなすメーカーとして君臨しましたが、徐々にスノーボード市場に押されて、1994年に破産に陥ってしまいました。そこで、アメアスポーツ(Amer Sports Corporation)に買収されて再建が図られ、現在はサロモンやアルマダと共に、アメアスポーツ・グループの傘下に納まっています。ただし、そのアメアスポーツコーポレーション(フィンランド)も、2019年に中国のスポーツウエアメーカーの安踏体育用品(ANTA)に買収されてしまいました。知らぬ間に、アトミックもサロモンもアルマダも、中国資本の傘の下です…(汗)。

アトミックの2023/24スキーカタログ

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アトミックの昨今の話題といえば、2022年シーズンに登場した新機能「REVOSHOCK(レボショック)」システムがREDSTER(レッドスター)シリーズに搭載されたこと。従来のSERVOTEC(サーボテック)システムと比べて、スキー板の振動を極限まで抑え込むだけでなく、その抑え込んだエネルギーを推進力に変えてスキーを加速、雪面に吸い付くような感覚でスピードが増していくとか…。

レッドスターで一番人気は、何といっても軽量なカルバウッド芯材を採用した日本限定(ジャパンモデル)の「REDSTER i」シリーズ。中でも小回り用モデルの「REDSTER S9i」が大人気です。デビュー10周年を迎えたREDSTARはデザインを一新、レッドスターiシリーズは従来の軽量カルバウッドの芯材に高い剛性を持つポプラ材を合わせたカルバポプラウッドコアを採用し、エッジグリップ力と加速力がアップしました。なお、昨シーズンからレボショックにも軽量のカーボンタイプが登場し、モデル名に従来のスチールタイプの“REVOSHOCK S”と、カーボンタイプの“REVOSHOCK C”が付く様になりました。

テククラ検定におすすめのスキー
REDSTER S9i REVOSHOCK S + X12 GW ニューモデル

Length: 155・160・165・170cm
 (165:R=12.5m、118-68-104、2,963g)
 ¥175,890(税込)

レッドスター iシリーズは、日本の基礎スキーヤーのために開発された”ジャパンDEMOモデル”で、中でも大人気は小回りベースのオールラウンドモデルと位置づけられる「REDSTER S9i」。来季2024ニューモデルでは、軽さはカルバウッドと同等ながら剛性が高いポプラウッドをコアに挟み込み、エッジグリップ性と安定性が向上、パフォーマンスと信頼性性能がアップしています。

レッドスター iシリーズには、S9iの上位モデルとなるエキスパート向けの「S9i PRO LTD」(別売ICONビンディング対応)と「S9i PRO」(別売Xビンディング対応)、ラディウスが15.2m(174cm)とミドルターン向けの「X9i」、センター幅が75mmとワイドボディの「Q9i」のほか、セカンドモデルの「S8i REVOSHOCK C」に加えて、サードモデルの「S7i REVOSHOCK C」がラインナップに加わりました!。なお、インターナショナルモデルの「REDSTER S9」とS9iは、サイドカットやロッカーは全く同じですが、構成材が異なります。S9iは芯材が軽量化され、しなやかで日本の重い雪や不整地でも扱いやすくなっています。両者の乗り味の違いは、スキーヤーの好みにより評価が分かれるところです。

ちなみに、「月刊スキーグラフィック 2023年7月号」の特集記事『2023/24ニューモデル 乗りくらべ!』において、2015年から全日本スキー技術選に出場し昨年度に自己最高位の21位をマークしたL字ターンの提唱者である尾崎隼士さんは、“テク・クラ検定を目指すための1台”として試乗した10機種の中から、この REDSTER S9i REVOSHOCK S が『薄く軽量なのにハイスピード時の安定感が抜群で、ターンでトップから内に入るキレのある乗り味』とマイBEST3の一台にチョイスしています!。

1級受験におすすめのスキー
REDSTER S8i REVOSHOCK C + X12 GW ニューモデル

Length: 155・160・165cm
 (165:R=12.5m、118-68-104、2,952g)
 ¥147,290(税込)

REDSTER iシリーズのセカンドモデルに当たる「REDSTER S8i」には、2022-2023年モデルから従来のスチール製REVO SHOCKに代わり、新たにカーボンを使用した「REVO SHOCK C」が採用されました。カーボン製はスチール製と比べて振動吸収率は変わりませんが、振動吸収の範囲が広く反発性もあるため、スキーがよりしなやかに動いてくれる特徴があります。S9iの弟分として、従来のS8iは2級から1級受験までのステップアップを目指す中級レベルのスキーヤーや、肩ひじ張らずスキーを楽しむ上級レベルのスキーヤーにおすすめの一台でしたが、新S8iならテクニカル受験レベルまでカバーできる、より対応レベルが広いスキーに仕上がっているそうです。こちらも来季は、カルバ&ポプラウッドコアが採用されました。

 3.Salomon(サロモン)

フランス Salomon(サロモン)

サロモンのロゴサロモン(Salomon Group)は、1947年にフランスで設立されました。当初はビンディングの専業メーカーでしたが、その後、ブーツや板の生産も手掛けるようになりました。一時期、ゴルフ用品メーカーのテーラーメイドと合併して事業を拡大させますが、業績に陰りが出始めるとアディダスに買収され、さらにアディダスからフィンランドのコングロマリットであるアメアスポーツ(Amer Sports Corporation)に売却されて、今はアメアポーツ・グループの傘下に納まっています。同じアメアスポーツの傘下には、アトミックも所属しており、サロモンの板は現在、アトミック系の工場でOEM生産されているようです。アメアが、今後もスキー用品を性格を代えて2つのブランドで展開していくのか、アトミックに統合していくのかは、今のところ不明です。ちなみに、アメアスポーツ社は2019年に中国のスポーツウェアメーカーの安踏体育用品に買収され、今や100%中国資本の会社となってしまいました…。

サロモンのスキーカタログ

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サロモンのオンピステスキーの代表格は、純競技や技術選までのエキスパートを対象とした「S/RACE」シリーズと、ショートからロングターンまで思いのままに操作できるオールラウンドモデルの「S/MAX」シリーズの2ラインです。

昨年、創業75周年を迎えたサロモンはブランドロゴを一新し、コロナ禍で2年間継続モデルとなった主力のS/RACEシリーズは大胆にフルモデルチェンジしました。最大の目玉は、新システムのBLADE TECHNOLOGY。ブレードの前後2カ所に埋め込まれたポリマーパッドが、スキー全体をきれいにたわませ、かつ振動を吸収。これまで以上に反応のいい、加速するスキーへと進化しました。今季はその継続モデルとなります。

一方、2024年モデルで注目を集めているのは、NEWモデルとして新登場した「ADDIKTシリーズ」。オンピステ用の新しいカテゴリーで、サロモン独自の再生チップ(リサイクル素材)を使用し流行のSDGsで軽量、独特なテール形状で整地カービングに特化、PROとノーマルの2機種がラインナップします。昨季フルモデルチェンジした S/RACEシリーズには、「S/RACE 8」が仲間入りします。

テククラ検定におすすめのスキー
S/RACE SL 12 + X12 TL GW

Length: 155・160・165・170cm
 (165:R=13m、121-68-104、2,075g(1/2pair))
 ¥170,500(税込)

S/RACE SL 12」は、高レベルのパフォーマンスを求めるエキスパートのために新開発ブレードテクノロジーを採用したSLモデルですが、チタニウムの厚みを薄めに設定することで、剛性を保ちながらも取り回しやすさを兼ね備えたバランス重視の設計になっています。2022年モデルの「S/RACE RUSH」の後継に当たりますが、パフォーマンスはもう少し上位に位置づけられます。

この上位モデルの「S/RACE PRO SL」は、SL 12より滑走面側とトップシート側のメタルがそれぞれ0.2mmずつ厚く、滑走面側が0.6mm、トップシート側が0.8mmとなっていて、芯材の違いもあって、よりハードパックされた急斜面での小回りカービング性能がアップしています。ビンディングも、SL 12のツーレスタイプ(TL)に対してレース仕様に近い X12 LAB を採用、ねじれやたわみが抑えられています。テクニカル検定を受験する際に、コブに苦手意識があるならS/RACE SL 12、クラウン受験レベルでコブの中でも高い操作性が欲しいならS/RACE PRO SLが良さげです。

これらの更に上位には、レインボーソールが眩しい「S/RACE PRIME SL」もラインナップ。メタルの厚さはPROよりさらに厚くなり滑走面側が+0.4mmとなる1.0mm、素人でも乗ればレスポンス圧の強さが感じられるほど手強い仕様です…(汗)。ちなみに、SL 12の大回り用には、「S/RACE GS 12」(R=18m/175cm)がおすすめです。

オールラウンドにおすすめのスキー
S/MAX 12 + Z12 GW

Length: 160・165・170cm
 (170:R=15m、121-72-106、1,990g(1/2pair))
 ¥137,500(税込)

S/MAX 12」は、中上級者からレジャー志向、シニアまで幅広いレベルに適した、スピーディーかつ正確なカービングターンが可能なオールラウンドモデルです。さらなるパワーをエッジに送り込み、グリップ力、加速力を高めて、スキーヤーのスキルをワンランク上へと押し上げます。S/RACEシリーズには新開発のブレイドシステムが採用されましたが、S/MAXシリーズにはセパレートタイプのエッジアンプリファイアを採用、少ない力でもエッジへのパワーを30%増幅し、たわみやしなり、キレを引き出します。

オールラウンドにおすすめのスキー
ADDIKT PRO + Z12 GW ニューモデル

Length: 156・163・170cm
 (163:R=12m、120-66-104、-g)
 ¥165,000(税込)

2024年モデルとしてサロモンからデビューした「ADDIKT PRO」は、なにしろ軽い上に、切れ込みが入ったモーションテール部にまでチタンシートが入っているおかげでターン後半の抜けがよい滑りが可能。オンピステでのカービングの技術が上手くなったと錯覚するほど滑りやすく、滑っていても自然と笑顔がこぼれるほどスキーが楽しくなるそうです(笑)。リサイクルしたABS樹脂を使用し、SDGsに配慮した設計というのも新しい!。


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 4.ROSSIGNOL(ロシニョール)

フランス ROSSIGNOL(ロシニョール)

ロシニョールのロゴロシニョール(Skis Rossignol SAS)は、フランスの老舗スキーメーカーです。ロシニョール氏が、フランスで創業して初めてスキー板を作ったのは1907年のことですが、1955年に買収されてから、本格的にスキー分野に注力して、事業を拡大させました。1969年には、フランスのスキーメーカーのDynaster(ディナスター)を買収、1990年代にはスキーブーツのLange(ラング)、ビンディングのLook(ルック)やEmeryを買収し、事業の多角化を進めます。しかし、2005年には、サーフィンやスノーボードのブランドで知られる米国のQUIKSILVERに買収されてそのグループ傘下に入りますが、2008年にはオーストラリアのファンドに、その後はスウェーデンのファンドに転売されてしまいます。ただし、Skis Rossignol SAS社の本拠は、今でもフランスです。

ROSSIGNOL&LOOK 23-24カタログ

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ロシニョールのアルペンスキーのラインナップは、RACING(レース)、DEMO(デモ)、ON PISTE(オンピステ)、ALL MOUNTAIN(オールマウンテン)、etcと分類されていて、非常に明快です。基礎スキーヤーでもエキスパートクラスになると、レース仕様の「HERO」シリーズの板を履いている人もいますが、一般的にはロシニョールのデモ板といえば、ワールドワイドのカタログには載っていない日本だけで発売されている”ジャパンモデル”のDEMOシリーズが人気です。以前は「デモ・アルファ/ベータ/ガンマ/デルタ」というモデル名が付けられていましたが、2022年モデルから名前もデザインも一新、1990年代前半に圧倒的なパフォーマンスで日本のスキーシーンを席巻した往年の名機、「スーパーヴィラージュ」の名を冠して復活しました!。V字型のラミネートをスキーに内蔵し中央にスリットを入れることで、縦方向のねじれに強くスキー全体の安定感を生み出す「V-TITANAL」、スキーに内蔵されたチタンバーとビスコエラストマーにより板の衝撃をやわらげ振動を吸収し理想的な滑走ラインを生み出す「LCT」など、ロシニョールの持つテクノロジーを随所に搭載した技術系のメインモデルです。

テククラ検定におすすめのスキー
SUPER VIRAGE VIII LTD(R22) + SPX 14 ROCKERACE GW

Length: 161・166・171cm
 (166:R=13m、123-68-104、4.10kg)
 ¥189,200(税込)

スーパーヴィラージュのフラッグシップモデル「SUPER VIRAGE VIII LTD」は、レーシング HEROにも搭載されているR22プレートが強いエッジグリップ力を生み出し、硬いバーンでも安定性が高いモデルです。2024年モデルは、2023年モデルからコスメと定価(2万円アップ)が変わっていますが、基本的には継続モデルの様です。

1級受験におすすめのスキー
SUPER VIRAGE VIII TECH(KONECT) + SPX 12 KONECT GW

Length: 161・166・171cm
 (166:R=13m、123-68-104、3.90kg)
 ¥179,300(税込)

スーパーヴィラージュのセカンドモデル「SUPER VIRAGE VIII TECH」は、LTDモデルと全く同じくビーチのハイブリッド芯材を採用した板ですが、レースプレートを使用しないセパレートタイプの KONECTビンディングとのセットになっています。そのため、少ないパワーでも扱い易く、足元からしなりを感じられる板です。

オールラウンドにおすすめのスキー
SUPER VIRAGE VIII OVERSIZE(KONECT) + SPX 12 KONECT GW

Length: 164・172cm
 (164:R=12m、135-78-111、3.60kg)
 ¥179,300(税込)

SUPER VIRAGE VIIIのセンター幅を10mm広げたオーバーサイズの「SUPER VIRAGE VIII OVERSIZE」は、浮力と安定性が高まりオールマウンテンモデルに近い走破性を実現しつつ、同時に深く切り込んだサイドカーブが硬いバーンでのカービング性能を高め、オールマイティな上級者向けスキーに仕上がっています。

月刊スキーグラフィック 2023年7月号」の特集記事『2023/24ニューモデル 乗りくらべ!』において、奥只見スノーアカデミー代表の星直樹さんは、“なんでもござれの1台”として試乗した11機種の中から、この SUPER VIRAGE VIII OVERSIZE が『ターンの時の戻りに粘りがあり、パワーのないスキーヤーでも乗りこなしやすい』とマイBEST3の一台にチョイスしています!。

 5.HEAD(ヘッド)

米国オランダオーストリア HEAD(ヘッド)

ヘッドのロゴヘッド(HEAD)は、1950年に米国で設立されました。当初はスキー板の専業メーカーでしたが、1960年代後半にはテニスラケットの生産も開始しました。1970年に米AMF社が、HEADスキーのほか、オーストリアのビンディングメーカーであるチロリア(Tyrolia)や、イタリアのダイビング用品のマレス(Mares)を傘下に治め、事業を多角化します。その後も投資家による何回もの合併や転売が繰り返され(1989年にはスキーブーツのSan Marcoも合流)、1998年にHTMの傘下でオランダに本拠を置くHEAD NV社が設立され現在に至ります。日本での総代理店となるHEAD Japan社は、オーストリアに拠点を持つHEAD Sport GmbHの子会社です。

スキーをしない人には、ジョコビッチ選手やシャラポワ選手が使うテニスラケットの方が有名になってしまいましたが、2018年のピョンチャン冬季オリンピックでは、アルペンスキー競技のメダリストになった42人が使用していたスキー板のシェアで43%を占め、断トツの使用率でした。

ヘッドの2023/2024スキーカタログ

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基礎スキーヤーご用達のヘッドのスキー板といえば、以前は「SUPERSHAPE(スーパーシェイプ)」シリーズが人気でしたが、昨今はオールラウンダーとしての色彩が強くなり、最近はレースモデルからインスパイアされたヘッドのチームカラーであるWCホワイトやイエローの板に人気が集中しています。そして今季、ヘッドのDEMOチームモデルのカラーが一新、鮮やかな「SPEEDBLUE(スピードブルー)」コレクションが誕生しました!。スムーズなターン始動のための新しいTIPデザイン、新テクノロジーのEMCを採用、サイドウォールを斜めにカットしてエッジング効率が飛躍的に向上しています。

ヘッド 2023/2024 SPEED BLUE

テククラ検定におすすめのスキー
WC SL-REBEL FIS RP-WCR14 SPEEDBLUE + Freeflex ST 14 ニューモデル

Length: 160・165・170cm
 (170:R=14.4m、121-68-102、-g)
 ¥194,700(税込)

ニューモデルWC SL-REBEL FIS RP-WCR14 SPEEDBLUE」は、REBELS DEMO TEAMのアスリート用に開発されたスラロームマシン。ワールドカップレースシーンで鍛え上げられた独自のサンドウィッチ構造にEMCテクノロジーをプラスして、有害な振動をなくし落ち着きのあるきれいなキレのあるカービングターンを描けます。165cmはジオメトリーを変更し、より縦方向にスピードを落とさずにターンのつなぎが可能になりました。WCR14プレートが足元の安定感を担保します。旧モデルの、HEADデモチームの選手が使用していた選手用SLモデル「WORLDCUP REBELS E-SL RD FIS」はかなりのハードマシンでしたが、新しいスピードブルーは見かけほど怖くなく、私レベルでも乗って楽しいと思える寛容性の高い懐の深さが魅力です!。

月刊スキーグラフィック 2023年7月号」の特集記事『2023/24ニューモデル 乗りくらべ!』において、長野県出身で2023年度スキーデモンストレーター選考会で6位に入賞した齋藤圭哉さんは、“テク・クラ検定を目指すための1台”として試乗した10機種の中から、このスピードブルーが『重量感があるのにターンがスムーズで、前半のきっかけが作りやすくターンに深みも出せる』とマイBEST3の一台にチョイスしています!。

1級受験におすすめのスキー
WC SL-REBEL FIS EVO SPEEDBLUE + Freeflex 14 GW

Length: 158・168cm
 (168:R=12.8m、119-68-103、-g)
 ¥181,500(税込)

ニューモデルWC SL-REBEL FIS EVO SPEEDBLUE」は、REBELS DEMO TEAMも使用するスラロームスキー。ワールドカップレースシーンで鍛え上げられた独自のサンドウィッチ構造にEMCテクノロジーをプラスして有害な振動をなくし、落ち着きのあるきれいなキレのあるカービングターンを描けます。柔らかめのEVOプレートとサイズ設定を168cm、158cmとやや長めに設定することで、ショートターンだけではなく一台でスキー場全体をカバーできる汎用性の高さがポイントです。

オールラウンドにおすすめのスキー
SUPERSHAPE E-MAGNUM + PR13 GW

Length: 156・163・170cm
 (170:R=13.1m、129-72-111、-g)
 ¥173,800(税込)

センター幅の違う5つのモデルがラインナップするSUPERSHAPE(スーパーシェイプ)シリーズの中で、「SUPERSHAPE E-MAGNUM」は最も人気のモデル。オンピステはもちろん、72mmのセンター幅はオフピステでも軽快に楽しめます。昨年度モデルから搭載されたEMC効果で、スキーの走りにさらに安定性が増しました。

 6.Völkl(フォルクル)

ドイツ Völkl(フォルクル)

フォルクルのロゴフォルクル(Volkl Group)は、1923年にドイツで設立されました。当初は、スキーの専業メーカーでしたが、スノーボードやアウターウェア、テニス用具などに事業を拡大していきました。ボリス・ベッカー選手が、フォルクルのテニスラケットを使っていたことで、一躍名を馳せ、後にベッカー氏は、フォルクル・テニス社のオーナーとなっています。

フォルクルは、同じドイツのビンディングメーカーのマーカー(Marker)や、イタリアのブーツメーカーのテクニカ(TECNICA)と共同で、スキーシステムの開発を行っていましたが、2004年にフォルクルとマーカーはK2に買収されてしまいました。そして、K2は2007年にJarden Corporationに買収されますが、ジャーディンは後にニューウェル・ブランドに買収され、ニューウェルは2017年に米国の投資会社、コールバーグ&カンパニーにK2を売却。そしてフォルクル自体は、2015年にスキーブーツメーカーのダルベロを買収しました。したがって現在は、K2とMDVスポーツ(マーカー&ダルベロ&フォルクル連合)は、コールバーグ&カンパニーの資本下にあります。

フォルクルの2023/2024スキーカタログ

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フォルクルのスキーのラインナップは近年再構築が進み、競技&技術志向のスキーはレースカテゴリー唯一の「RACETIGER(レースタイガー)」シリーズに一本化されました。一方、オールマウンテン系では、オンピステ用の「DEACON(ディーコン )」シリーズと、フリーライド用ではスピードモデルのKATANA(カタナ)やパウダーモデルのBLAZE(ブレイズ)などがあります。

基礎スキーヤーにとって特に魅力的なのは RACETIGERシリーズですが、ここでは純競技用のコンペティションモデル(WC COMP)は除きます。なお、競技者以外でも最上級エキスパートには、MASTERシリーズ(GS/SL)も候補に挙げられることでしょう。

テククラ検定におすすめのスキー
RACETIGER SL + rMOTION3 12 GW

Length: 150・155・160・165・170cm
 (165:R=12.6m、126-67-102、3,010g)
 ¥156,200(税込)

この小回り用「RACETIGER SL」(R13)と、大回り用「RACETIGER GS」(R18)は、それぞれMASTERモデル(「RACETIGER SL MASTER」と「RACETIGER GS MASTER」)とボディ形状は共通ですが、芯材・構成材が異なり、プレートもRモーションと呼ばれるビンディング一体型を採用することで、扱いやすいモデルになっています。2023年モデルから、トップモデルで採用されているスキー先端部にカーボンのチューブが入ったテイラードカーボンチップを搭載したことで、UVOが無くなりました。Rモーションも2から3に変更され、たわみが更に出しやすくなっています。

月刊スキーグラフィック 2023年7月号」の特集記事『2023/24ニューモデル 乗りくらべ!』において、奥只見スノーアカデミー代表の星直樹さんは、“テク・クラ検定を目指すための1台”として試乗した10機種の中から、この RACETIGER SL が『やや幅があり安定感が高く、テク・クラで強い味方になりそう。個人的にもお気に入り』とマイBEST3の一台にチョイスしています!。

1級受験におすすめのスキー
RACETIGER SC BLACK + rMOTION 12 GW ニューモデル

Length: 148・153・158・165cm
 (165:R=13.1m、123-68-102、2,850g)
 ¥154,000(税込)

レースタイガーSLのセカンドモデルとして、一昨年デビューして注目された軽量カーボンモデル「RACETIGER SC CARBON」の後継機となる新機種です。ラディウスを小さくして操作性を高め、メタルをスチールからチタニウムに変えて高速安定性を向上させたオールラウンドモデルです。UVOに代わって最新のテイラードカーボンチップを搭載しています。

オールラウンドにおすすめのスキー
DEACON 72 + rMOTION3 12 GW

Length: 158・163・168・173・178cm
 (168:R=14.5m、125-72-103、3,135g)
 ¥179,300(税込)

ディーコンシリーズは、オールマウンテンのフラッグシップモデルとして新登場した「DEACON V.WERKS」ニューモデル以外は、何れのモデルも一昨年からの継続モデルの様です。センター幅72mmの「DEACON 72」は、開発チーム渾身の一台とされており、フルチターナルやフルサイドウォールなどテクノロジー満載で、安定感と軽快さ、操作性の良さは、まさに究極の『ザ・オールラウンドモデル』です。

月刊スキーグラフィック 2023年7月号」の特集記事『2023/24ニューモデル 乗りくらべ!』において、尾崎隼士さんと齋藤圭哉さんの二人が、“なんでもござれの1台”として試乗した11機種の中からマイBEST3の一台にチョイスしています。尾崎さんは『セミファットながら整地の小回り&大回りも爽快で、これ1本で滑り倒せる』と、齋藤さんは『これ一台でどこでも行けるオールラウンダー、2級から1級の検定にも対応できる』と高評価!。


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 7.その他のメーカー・ブランド

オーストリア FISCHER(フィッシャー)

フィッシャーのロゴフィッシャー(Fischer Sports GmbH)は、1924年にオーストリアで設立されました。ノルディックスキー、アルペンスキー、アイスホッケー用品などを製造しています。浮き沈みが激しいスキー業界において、多くのスキーメーカーが破産や買収が繰り返される中で、フィッシャーは創業家一族が今でも経営を続けている、世界でも数少ないスキーメーカーのひとつです。日本にはFischer社の支社や支店はなく、スポーツ用品大手のゴールドウィンが輸入総代理店となっています。日本では、スキージャンプ界のレジェンド・葛西紀明選手をはじめ、日の丸飛行隊の多くの選手がフィッシャーの板を使っているので、ノルディックスキーのイメージが強いですが、ワールドカップではアルペン競技でもフィッシャーの板は人気があります。

フィッシャーの2023スキーカタログ

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特にノルディックスキーで名を馳せているフィッシャーですが、アルペンのラインナップも充実しています。フィッシャーのオンピステ系スキーは、①世界で戦うトップレーサーのための「RC4 WORLDCUP GS/SL」シリーズと、②レースデパートメントから直接フィードバックされた性能を誇るレース&デモ系の「RC4 WORLDCUP」シリーズ、③ハイパフォーマンス・オールマウンテン系の「RC4 THE CURV(ザ・カーブ)」シリーズ、そして④愛好家やレクレーショナルスキーヤーに向けた「RC ONE」シリーズの、4系統です。そして2024年モデルでは、RC4シリーズに新しく2機種のPOWERモデルがラインナップします。チタニウムを挟みグリップ力を高めたニューモデルRC4 POWER TI」(¥133,100)と、チタニウム不使用モデルで扱いやすいニューモデルRC4 POWER」(¥116,600)で、軽量で高い操作性と安定性を備えています。

ちなみに、フィッシャーのスキー板は半々くらいの割合でオーストリアとウクライナで製造されています。またウクライナには、ロシニョールの工場もあるそうです。何れの工場も、ウクライナの森林地帯で木材の産地に近い西側にあって、ロシア軍による攻撃はまだ無いようですが、それでも工場の稼働は制約を受けているとのことです。

テククラ検定におすすめのスキー
RC4 WORLDCUP SC PRO(M-PLATE) + RC4 Z13 GW

Length: 155・160・165cm
 (165:R=13m、119-66-104、2,150g)
 ¥217,800(税込)
 Made in Ukraine

フィッシャーのレースデパートメントから生み出されたハイレベルの正確性とコントロール性を併せ持つ、RC4シリーズ。そのトップモデルにはMプレートが搭載され、大回り用(R=18m/175cm)の「RC4 WORLDCUP RC PRO」(¥217,800)と、小回り用(R=13m/165cm)の「RC4 WORLDCUP SC PRO」(同)、そして両者の中間のサイドカーブを持つ(R=15.5m/175cm)「RC4 WORLDCUP CT」(¥259,600)の3機種がラインナップします。


イタリアのメーカー NORDICA(ノルディカ)

ノルディカのロゴノルディカ(NORDICA)は、イタリアで1939年に革靴メーカーとして創業しました。その後、スキーブーツを手掛けるようになり、1970年代には世界のスキーブーツ市場で3割のシェアを占める大手ブランドへと成長しました。しかし1990年に、同じイタリアの衣料ブランドのベネトン社が、F1をはじめとするスポーツ業界への事業拡大を続ける中で、ノルディカもベネトンに買収されてしまいます。ベネトンは、1991年にノルディカを介してスキー板のケスレー(KASTLE)を買収すると、1999年にはスキー用品のブランドをノルディカ(NORDICA)に統一。こうして、ノルディカの名を冠したスキー板が登場し、逆にケスレーの板は姿を消すこととなりました。ただし、ケスレーの商標権はオーストリアの会社や日本のゼビオに転売され、今でもその名を冠した板が売られていますが、往年の名機を生み出したケスレーとは全く別物です。

ノルディカの2023/2024年スキーカタログ

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その後ベネトンは、ケスレーを吸収したノルディカを、2003年にブーツ発祥のテクニカ・グループ(イタリア)に売却。そしてテクニカは、2006年にノルディカを介してブリザードを買収しており、現在ノルディカとブリザードのスキー板は、親子関係というよりは、同じテクニカグループに属す兄弟関係と言った方が近いようです。

ノルディカのレース&オンピステ系カテゴリーには、トップレンジの「DOBERMANN(ドーベルマン)」シリーズと、セカンドレンジの「DOBERMANN SPITFIRE(スピットファイア)」シリーズがあります。一昨年よりドーベルマンシリーズのグラフィックがシンプルで目立つもにに刷新され、スピットファイアシリーズと類似したデザインに集約されました。そして、2024年モデルでは最新テクノロジー「DOUBLE CORE」を採用しフルモデルチェンジ!。ウッドコアを上下の2層に分け、その間には振動吸収をするエラストマー「パルスコア」をサンドイッチしています。波打つスキーの挙動を抑え、操作性の向上とスピードに対する安定感が増しています。

テククラ検定におすすめのスキー
DOBERMANN SLR DC FDT + Xcell 14 FDT ニューモデル

Length: 155・160・165・170cm
 (165:R=13m、120-69-104、-g)
 ¥209,000(税込)

DOBERMANN(ドーベルマン)シリーズの一番人気は、小回り系モデルの「DOBERMANN SLR」。レースプレートを採用した「DOBERMANN SLR DC RACE」(¥220,000)と、少ししなやかなFDTレースプレートを採用したFDTモデル「DOBERMANN SLR DC FDT」(¥209,900)が存在します(何れも2024年フルモデルチェンジニューモデル)。ノルディカと兄弟機になるブリザードの「FIREBIRD SRC」とは、僅かにサイドカットは異なりますが、設計及びモールドはほぼ同じで、トップシートやプレートの違いで乗り味に違いを出しているとのこと。どちらを選ぶかは、貴方好みのコスメの違いになるでしょうか?(笑)。

2024年モデルのドーベルマンには他に、大回り用の「DOBERMANN GSR」と、中回り用の「DOBERMANN MULTIGARA」がラインナップし、MULTIGARAにはSLRと同じく2種類のプレートタイプがあります。


オーストリア BLIZZARD(ブリザード)

ブリザードのロゴブリザード(Blizzard Sport GmbH)は、オーストリアで1945年に設立されました。その後、オーストリアのスキー界を背負って立つ存在にまで成長し、1996年には世界で最初にカービングスキーを製品化しました。しかし2006年に、テクニカグループ傘下のノルディカSPAに買収され、現在はノルディカと並んで、テクニカグループの傘下にあります。ただし、ブリザード社の本部は、今でもオーストリアです。

テクニカ(Tecnica Group S.p.A.)は、イタリアで1960年に創業した、スキーブーツの老舗メーカーです。1985年にはアウトドアブーツも展開、その後は事業の多角化を図り、1989年にスポーツアパレルのブランド・Think Pinkを買収したのを皮切りに、スキーブーツのドロミテ(DOLOMITE)やノルディカ(NORDICA)、スキー板のブリザード(BLIZZARD)、インラインスケートのローラーブレード(ROLLERBLADE)といった会社を次々に傘下におさめ、今では世界最大のスキーブーツメーカーに成長しました。なお、スキー板メーカーのケスレー(Kastle)や、スキーブーツのノルディカは、一時イタリア最大の衣料品会社のベネトンに買収されていましたが、2003年にベネトンからテクニカグループに売却されました。

テクニカ&ブリザードの2023/2024年スキーカタログ

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ブリザードのレース&ハイパフォーマンス・スキーの代名詞となった「FIREBIRD(ファイアーバード)」シリーズに加えて、2022年モデルから新登場したのが、オンピステ用に開発された「THUNDERBIRD(サンダーバード)」シリーズ。ブリザード渾身の新型機で、異なる芯材を交互に配置することにより絶妙なフレックスを実現しています。また、新たにACTIVE-CARBON-ARMORを足元に設置して、ダンピングとリバウンドをうまくコントロールして有害な振動を吸収しつつ、高速安定性を確保しています。モデル数は多いですが、ラディウスによって R13、R15、R18の3タイプに分かれ、それぞれにLTDモデルやワイドボディタイプのモデルがラインナップします。名前に「LTD(リミテッド)」とつくモデルは、サイドウォールのセンター部の部分の素材を変えて硬くすることで安定性をアップしています。逆にLTDでは無いモデルの方が、軽量でたわみが出しやすく、扱いやすくなっています。

1級受験におすすめのスキー
THUNDERBIRD R15 LTD. + XCELL 12 DEMO ニューモデル

Length: 155・160・165・170・175・180cm
 (165:R=13.5m、121-70-102、1,790g/175)
 ¥213,400(税込)

オンピステ向けのハイパフォーマンスモデル「サンダーバード」シリーズに新しく加わったR15(175cm)のリミテッドバージョン「THUNDERBIRD R15 LTDニューモデル。オンピステ向けに複数の木材を組み合わせて形成したトゥループレンドウッドコアを採用し、柔らかさとハリのバランスの良さが特徴。同じくサンダーバードR15には、RACE XCELL 14 GWビンディングを搭載する「THUNDERBIRD R15 PLUS」(¥213,400)と、センター幅が76mmの「THUNDERBIRD R15 WIDE BODY LTD」(¥196,900)があります。


フランス DYNASTAR(ディナスター)

ディナスターのロゴディナスター(DYNASTAR、日本語読みでダイナスターとも)は、1963年にフランスで設立されました。1969年に、ロシニョールに買収されてしまい、今ではロシニョール・グループの一ブランドになっています。1990年代から2000年代に活躍し、オリンピックと世界選手権で合わせて20個ものメダルを獲得したアンドレ・オモット選手や、1994年のリレハンメル冬期オリンピックで金メダルを獲ったトミー・モー選手などが、ディナスターの板を使っていました。

ディナスター&ラングのスキーカタログ:2023-2024年モデル

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ディナスターと言えばブルーのトップが眩しいイメージ!。シャモニーならではの、頭からつま先までディナスターカラーに覆われたフランス人のイメージが、頭から離れませんw。2024年モデルではコスメを刷新、よりカラフルで艶やかなイメージに仕上がりました!。

ディナスターのオンピス向けスキーは、「SPEED(スピード)」シリーズに集約されます。レース系では、“WC FIS”の名を冠したモデルが純競技用で、その下にマスターモデル(MASTER)とジュニアチームモデル(TEAM)が位置づけられます。そして、小回り用が“SL”モデル、大回り用GSタイプが“COURSE”モデルと、モデル名からスキーの対象が分かりやすくなっています。一般ユースのオンピステ用には、“SPEED 763/563/363/263”の4モデル、オールマウンテン用は“SPEED 4X4 763/563/363”の3モデルがラインナップ。

1級受験におすすめのスキー
SPEED OMEGLASS MASTER SL(KONECT) + SPX 12 KONECT GW ニューモデル

Length: 155・160・165・170・175・180cm
 (168:R=13m、122-68-105、3,500g)
 ¥177,100(税込)

上級志向の基礎スキーヤーにおすすめなのが、「SPEED MASTER」シリーズ!。スラロームスキーをベースにしたマスターズ向けですが、パワフルかつシャープな滑りと、優れたグリップ力が魅力です。MASTERモデルにはそれぞれ、レース仕様のR22プレートと、セパレートタイプのKONECT(コネクト)ビンディングの2種類があり、R22プレートはテクニカル・クラウン検定向け、コネクトビンディングは1級受験向けにベストマッチ!。小回り用の「SPEED OMEGLASS MASTER SL(R22 or KONECT)」は、両者で若干サイドカットも異なる仕様、一方大回り用の「SPEED COURSE MASTER GS(R22 or KONECT)」は同形状となっています。


スロベニア elan(エラン)

エランのロゴエラン(elan)は、1948年にスロベニアで設立されました。スキーやスノーボードのブランドとして知られていますが、他にもヨットやスポーツ用具、アパレルなども生産している、スポーツ用品の総合メーカーです。中央ヨーロッパの、人口が206万人しかない国、スロベニアの会社ですが、エラン・グループの製品は、世界中の46カ国で代理店を通じて販売されています。フィッシャーと同じく、浮き沈みの激しいスキー業界において、大手資本に買収されずに自立経営を続けている数少ないスキーメーカーですが、2013年には、エラン・オーストリアの子会社が破産して、大きな打撃を受けました。

1970年代にアルペンスキー・ワールドカップで3連覇を成し遂げ、「史上最強の天才スラローマー」と呼ばれた、スウェーデンのステンマルク選手が、現役の間ずっとエランの板を使い続けたことで、世界に広く知られるようになりました。最近では、ジャンプの若きエース・高梨沙羅選手が、エランの板で活躍していた記憶がありますが、エランは2016年にスキージャンプ用のスキー板の製造から撤退することとなり、同事業は同じスウェーデンのスラットナー(Slatnar)社に移管されました。2017年シーズン以降、沙羅ちゃんはSlatnarブランドの板で、引き続き世界トップの飛躍を見せてくれています。

エランの2023/2024スキーカタログ

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エランのシリーズ構成は多種多様で、純競技用の「WORLD CUP ACE」シリーズや、レース&デモ系の「RACE ACE」シリーズ、オールマウンテン系の「WINGMAN」、フリーライド系の「RIPSTICK」などが有名ですが、2024年モデルからオンピステ用として新たにニューモデルPrimetime(プライムタイム)」シリーズが新登場!。カービングを自在にする細めのセンター幅で、操作性を高めるためにインとアウトで板の厚みを変えた左右非対称デザインを採用するなど、最新のテクノロジーを盛り込んだスキーに仕上がっています。メンズ用に55/55+/44/33の4機種、ウィメンズ用にN°5/N°4/N°4+/N°3の4機種(“+”はワイドボディモデル)がラインナップ。

1級受験におすすめのスキー
PRIMETIME 55(FUSION X) + EMX 12.0 GW ニューモデル

Length: 144・151・158・165・172・179cm
 (165:R=13.7m、121-69-102、-g)
 ¥165,000(税込)

ニューモデルPRIMETIME 55」は、2024年新登場するプライムシリーズのトップモデル。それでもフレックスは柔らかめで、脚力や体重がなくてもたわませやすく、ターン弧の大きさ調整も容易。薄くて軽さを感じやすい板なので、コブの中でも操作しやすく、コブ習得マシンとしてもおすすめです。


米国 K2(ケーツー)

K2のロゴK2(K2 Corporation)は、1962年に米国で設立されました。1984年のサラエボ冬期オリンピックのスラロームでは、米国のメイヤー兄弟が、K2の板で金メダルと銀メダルに輝き、その名が世界に轟きました。その後、数々の買収と転売が行われつつ事業を多角化、社名もK2 Incと変更されました。2007年に、Jarden Corporationに買収され、ジャーディンは後にニューウェル・ブランドに買収され、ニューウェルは2017年に米国の投資会社、コールバーグ&カンパニーにK2を売却。今では、MDVスポーツ(マーカー&ダルベロ&フォルクル連合)と並んで、コールバーグ&カンパニーの資本下にあります。現在、K2 Sportsのブランドで、スキーやスノーボード用品、インラインスケート、自転車、アパレル等も扱われています。

K2の2023/2024スキーカタログ

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K2のオンピステ(カービング)系の中心モデルは、従来は CHARGER(チャージャー)シリーズでしたが、2021年にフルモデルチェンジし、「DISRUPTION(ディスラプション)」シリーズとして生まれ変わりました。しかし来季は、2022-23年モデルからデザインは一新されたものの、多くが継続モデルの様です。

来季のK2で注目モデルは、その多くがモデルチェンジを果たしたフリーライド系の「MINDBENDER(マインドベンダー)」シリーズです。前期モデルからレギュレーションが約1cm長くなり、滑走面の面積を増やすことでより浮力が増し、安定した滑りにつながっています。

オールラウンドにおすすめのスキー
MINDBENDER 90C + Squire 11 ニューモデル

Length: 160・166・172・178cm
 (172:R=14.1m、132-90-117、1,708g)
 ¥108,900(税込)

MINDBENDERシリーズには、センター幅の違いにより116から85まで様々なシチュエーションに対応できるモデルが揃っていますが、カーボンタイプ(C)の機種と、チタンメタルが入った(Ti)タイプの機種が混在しています。広大なゲレンデをかっとぶにはチタン入りの方がいいですが、日本の多くのゲレンデではカーボンタイプの方が扱いやすいでしょう。中でも「MINDBENDER 90C」ニューモデルは、整地でのカービングからパウダー、荒れ地までスキー場全体を丸ごと楽しめる汎用性の高いセンター幅で、軽快で多目的に使えるスキーに仕上がっています。

月刊スキーグラフィック 2023年7月号」の特集記事『2023/24ニューモデル 乗りくらべ!』において、長野県出身で2023年度スキーデモンストレーター選考会で6位に入賞した齋藤圭哉さんは、“なんでもござれの1台”として試乗した11機種の中から、このマインドベンダー 90Cが『ハードバーンでもしっかり滑れる感動の乗り味、湿り雪も快適で遊び用としても欲しくなる』とマイBEST3の一台にチョイスしています!。


スイス STÖCKLI(ストックリー)

STOCKLIのロゴSTÖCKLI(Stöckli AG)は、1935年にヨーゼフ・ストックリーによってスイスのウォールヒューゼンにある両親の工務店の敷地内に設立されました。最初は自身の趣味として、工場から出た廃材を使ってスキーの製作を始めたのですが、軽量化のためにスキー板の滑走面に溝を付けるなどの独創性が人気となり、クチコミで注文が増えたことがきっかけでした。1945年には、ストックリーはヒッコリーとアッシュ材をねじ込み式のスチールエッジとで組み合わせた、世界で初めてのラミネートウッドスキーを作り上げ、更にセルロイドの保護シートを接着することを試みました。1957年にはヘッド社からのアイデアを取り入れて世界初のメタルスキーを製作、1965年には世界で初めてプラスチックコンパウンドのスキー板を世に送り出しました。1994年にワールドカップへ参戦すると、2002年の開幕戦でティナ・マゼが初優勝を飾り、2019年と2021年にはファニー・スミスがスキークロス・ワールドカップで総合優勝を果たしました。

ストックリーの2023/2024スキーカタログ

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ストックリーのスキーのモデル数はさほど多くなく、競技用の「LASER FIS(レーザー FIS)」シリーズと、基礎スキーからマスターズレーサーまでをカバーする「LASER(レーザー)」シリーズ、オールマウンテンスキーの「MONTERO」シリーズ、フリーライドモデルの「STORMRIDER」と軽量化した「NERA」シリーズの4系統です。基礎スキーヤーに人気なのは、ショートターンモデルの「LASER SL」(ビンディングset=¥251,900~)と、72mmとややセンター幅が広いオールラウンドモデルの「LASER SC」(同¥251,900)。何れも今季モデルチェンジした2024年ニューモデルニューモデルです。

オールラウンドにおすすめのスキー
MONTERO AS + STRIVE 13D ニューモデル

Length: 160・166・172・178cm
 (166:R=13.7m、127-76-107、-g)
 ¥245,300(税込)

ストックリーといえば、マスターズレーサーからデモ向けのショートターンモデルである青い「LASER SL」(センター幅66mm、BINセット¥251,900~)か、SLモデルよりフレックスがしなやかでエキスパート向けオールラウンダーとしてシリーズNo.1人気の白い「LASER SC」(センター幅72mm、BINセット¥251,900~)が大人気ですが、今回おすすめするモデルは、ショートからミドルターンを得意とするSLベースのハイパーオールマウンテンスキー「MONTERO AS」。

月刊スキーグラフィック 2023年7月号」の特集記事『2023/24ニューモデル 乗りくらべ!』において、2015年から全日本スキー技術選に出場し昨年度に自己最高位の21位をマークしたL字ターンの提唱者である尾崎隼士さんは、“なんでもござれの1台”として試乗した11機種の中から、このMONTERO ASは『悪雪もハードバーンもオールラウンドに滑れてとても気持ちいい、個人的にも欲しい』とマイBEST3の一台にチョイスしています!。

 旧モデル

※ 過去に発売された旧モデルは、「2023NEWモデル」、「2022NEWモデル」、「2021NEWモデル」、「2020NEWモデル」、「2019NEWモデル」、「2018NEWモデル」、「2017NEWモデル」の各ページをご覧ください。

【関連ページ】も、是非ご覧ください。

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